「我が名は毛利元就! 日輪の申し子なり!」   作:ゆしゃ

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第16話

 

 

 

 

パキン。

 

 

 

 

 

真っ赤に染まった日輪刀が、輪刀が、内側から壊れた。

 

 

 

 

「なん、だと…?!」

「あラあラ、壊れてしまったワ!ワタクシに触れる前に壊れてしまったワ!

食い殺されても仕方ないわよネェ?…旦那様(パートナー)?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間──炎が走る。

 

 

 

 

「あ゛ア゛ッ?!」

 

突如高速で斬り込んできた男にドレスの鬼は頸を斬られていた。

 

 

「…よもや、俺が地下から上がってくる間に一掃してしまうとはな!うむ、ここまでよくやった!」

「そんな…そんな…ワタクシが…ワタクシが!」

「頸は既に落ちている。無駄な足掻きは止めるといい」

「あ、あ…だん…な、さ…ま……な、ぜ…とつ…く、にへ…おどっ…て、くだ…さる…と……なぜ…なぜ…お撃ち、に…なされ、た…の、ですか………」

「…貴様が異形に見えたのであろう。殺される前に殺しただけだ」

「ああ…だんな、さま…」

 

ドレスの鬼はそう言い残すと焼けて消えた。つくづく煩い奴だった。

 

輪刀が壊れてしまったからか入り口や室内の光の壁は姿を消している。それでこの男が入ってこれたのか。

しかし…何故、内側から(・・・・)壊れた?散らばる破片を見ても不自然だ。まるで破裂したかのよう。

 

「ふむ、壊れてしまったが、日輪刀の刀身が真っ赤に染まっていたな!見ていたぞ!」

 

あ、やっばぁ。やっぱり見られてた。面倒事になりそうだったから隠しておきたかったのに!

見た目からして1番面倒臭そうな奴に捕まった!!

 

「俺は煉獄杏寿郎。現炎柱だ。

君のことは噂に聞いたことがある。『呼吸』を使わぬ奇妙な力を使う鬼狩り、と。

刀身が赤、それも真っ赤となれば炎の呼吸の適性は文句無しだろうな!」

「我は『呼吸』が使わぬと、貴様も今し方言ったろう」

「うん?噂の話はしたが、君ほどの者であれば『呼吸』の習得も容易いだろう?」

 

俺の話を聞いちゃいねぇ。

 

使わないっていうか、使えないんだよ。それどころかやる気がない。だってめっちゃ辛いって言うじゃん…。

今のままでも良くない?

 

「まあ、それは追々取り決めるとしよう!今は彼のことが心配だ」

 

煉獄という柱の男は廊下に転がっている檻に目をやった。

あ、中の青年は生きてるね。生きてもらわなきゃなかったんで良かった良かった。

 

「…その男を檻から出すな。そのまま政府に明け渡す。放っておけ」

「政府に?」

「政府の手配犯だ。人を殺める味を覚えたようであるしな」

「なんと!犠牲者は鬼のものだけではなかったか!」

 

徳川からの話では、例の婆娑羅者についての情報の中に過去に友人に大怪我を負わせたことがあり、幾人か殺しているという話も浮上していた。

政府の見解は奴は連続殺人を行うシリアルキラーそのものと判断された。

 

「その檻に掛かっている錠前は内から掛けたものだな?鬼の食い散らかしで痕跡を消そうとしたか。

先の鬼と結託し、貴様はこの館に人間を連れ込んだ」

「いっ、いいや、違う!

だってあいつはおれを食うって…っ!」

「黙れ、我が話している」

 

ガンッと、鬼でも壊せなかった檻を蹴る。

恐怖を与えられればこちらに分がある。保身のためにべらべらと喋ってくれるだろう。

 

「ひィッ」

「調べは既に付いている。その軽い頭に叩き込んでおくがいい。

…図に乗るな、迂愚者めが」

「お、おれは人を殺す度に強くなれるんだ…!疲れも飛ぶし、しに、死にかけてたのにこんなに元気になれたんだ…!

やめられるか!あは、あはは。あの鬼には感謝してる!血を分けてやっただけで、鬼を引き寄せてやっただけで、あんなにも人を殺せた。あはははははは」

 

…やはり稀血かつ婆娑羅者であったか。属性は闇と見た。

 

檻の隙間に手を伸ばす。狂ったように笑う青年の髪の毛を引っ掴み、静かに耳打ちをする。

 

「貴様以上の者は数多在る。貴様は凡愚よ。

…凡愚な己を愧じるがいい」

 

あーあ、とうとう失禁した。

おめーよりすげーやついっぱい居るから。同じ属性なら石田や大谷の方が何十倍、何百倍もすげーから。マジで大谷やべーから。印とかつけられるから。

 

煉獄も俺の話に納得したらしく、このまま放置することにしたようだ。

 

「俺は敷地端の小屋から地下を通じてここへ来たのだが…地下には牢があり、床に落ちていた鉈や金槌が血に濡れていた形跡があった」

「あの男の仕業であろう。鬼めがそのような面倒はせぬ、爪と牙を立てれば良いのだからな」

「うむ!なるほど!!!」

 

うるさっ。

 

煉獄と事の次第を確認しながら螺旋階段を降りる。血がこびりついたこの屋敷は取り壊すことになるのだろう。

まあ、そこは徳川が決めることだけど。

 

洋館の内側に張り巡らせた格子を再度入り口の扉横のダイヤルを回し解除する。ガラガラガラと格子は上がっていった。

 

「何だとは思っていたが、このような仕組みだったか!!」

 

うん、そう、こういう仕組みなの。もう、話すまい。

 

重い扉を開けると、外は夜明けを迎えていた。上空を烏が2羽飛んでいる。

…あれは鎹鴉か。内、1羽が降りてきて煉獄と話している。じゃあもう1羽は残間だな。

 

「またどこかの任務で会えることを願おう!その時は新しい日輪刀の赤い刀身を見せてくれ!ではな!!」

 

次の任務だろうか、クソデカボイスで叫びながら走っていった。真田と張り合えるわ。

 

見た感じ俺と歳は近いんだろう。俺が今、18歳だから、まあそれくらいか。

もう、なんか、炎!!って感じだった。俺や長曾我部も炎の婆娑羅使うけどあんなのじゃない。

真田か武田だ。後は井伊か。

 

「残間、すぐに刀鍛冶の里へ飛べ。新たな日輪刀を貰わねばならぬ」

「了解シマシタ!カァ!」

 

武器がないことにはなあ…。

ただ、日輪刀を打ってもらった所で、また壊れるかもしれない。なにか対策はないだろうか。

 

 

 

 

そんなことを考えながら敷地から出ようとした。

 

「…徳川」

「おお、なんだ、バレていたのか」

 

敷地端、レンガ塀の道側に徳川は居た。ずっと見ていたのだろう。

堂々と立ってたからね?バレてるどころじゃないよね?

 

「まずは感謝を。ありがとう」

「フン、鬼を斬ったのは我ではない」

「いや、本当の目的のことだ」

「…政府はやけにあの男に執着するのだな」

「より良い検体を多く欲しいみたいでな。政府も躍起になっている」

 

やれやれとでも言うように、徳川は肩を竦めた。

そんなに婆娑羅者を集めて何しようってんだ。軍事目的か?

 

「後はワシに任せてくれ。すぐに回収する」

「…貴様、以前はそのような輩ではなかったはずだが?」

「そうだな、ワシは貴方より…皆より長く生きた。戦の無い、絆で結ばれた世をだ。

平和になると途端に良くないことを考える。皆が生きていれば、皆が戦無き世を受け入れてくれたのなら、と」

「とんだ狸め。本意はそうではないだろう」

「ははっ!やはり貴方は化かせない。ならば本意はワシの中にのみ仕舞っておこう。

…さて、早々に仕事を終わらせ三成のところに行こうか」

「…今度こそ首を斬られるぞ」

「それでもいいさ。ワシを憎むことで、三成が生きてくれるのなら」

 

うわぁ、キラッキラした目。

石田に憎まれて晴れ晴れした表情でいる徳川はドン引きものだわ…。笑顔で籠手を付け始めるなよ。何するんだそれで。シャドーボクシングするな。実力行使か!実力行使なのか!

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

洋装(ドレス)の鬼

 

ドレスを身に纏った妖艶な女の姿。

そのドレスも身体の一部で伸縮可能。血鬼術は身体中から弾丸を撃つことが出来る能力。

 

稀血の青年と手を組み、毎日稀血を少量死なない程度に貰う代わりに人間を屋敷に連れ込んだ。殺された人間は舞踏会(パーティー)の食事にした。

 

「稀血の人間を一回で食べきってしまうのは勿体無いですワ。生かしつつ。その血肉を長く頂ければよろしくなくテ?取り敢えず、その血の匂いでお客様()を呼び込みまショウ」

 

人間の時の名前は「越」。

貴族の娘だった。好意を寄せていた男性にドレスを着て舞踏会に行くことを約束していたが、男性は外国へ向かうことになる。

その後、越は奇病を抱え、顔が化物みたいになってしまう。男性が外国へ向かう前に話をしたいと呼び出したが、化物みたいな顔を見た男性に銃で撃たれてしまった。死にかけの状態で鬼にされた。

 

 

 

 

稀血の青年

 

名前は特に決まっていない。婆娑羅の属性は「闇」。

雑魚敵を一瞬で葬れるし、殺せば殺すほど体力が回復する。

こいつの稀血は鬼が我慢できる程度のもの。

 

洋装(ドレス)の鬼と手を組み、徳川所持の屋敷が空き家なのをいいことに潜伏して殺人を繰り返していた。犠牲者の殆どがこいつに殺されている。

 

予定では食人させるつもりだったが設定が更にドロドロし始めてきたのでやめた。

 

 

 

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