いつもと同じように小屋の前で日輪を拝んでいたら、「もっと熱くなれよ!!!」と猛ダッシュで男が侵入してきた。おいこら無断で入ってくるとか不法侵入だぞ。
山の各地に置いてたカラクリはどうなったんだ。起動してるじゃん!何だあいつ?!
長曾我部め!こういう時に限って居ないんだから!もう!
「諦めんなよ、諦めんなよお前!やればできる!」
「誰だ貴様出て行け」
ホント誰だお前。
あれよあれよという間に、『鬼』を退治する政府非公認組織『鬼殺隊』の最終選別に急遽参加することになった(困惑)。
はー、意味ワカンネ。
「お米食べろよ!!!」と言い残し、男は俺に一振りの刀を渡すと姿を消した。言葉の通り、ガチで姿を消した。
誰だよアレ。熱い男(概念)か?いやいやいや、何が起きたんだよ。俺の身に何が起きたんだ!ホラーかよ!!
「我が名は毛利元就! 日輪の申し子なり!」
自分で言ってて恥ずかしいけど「こんにちは!俺は毛利元就って言うんだ!」と自己紹介しようとするとこうなる。
自動翻訳機能すげぇな。一部の言葉が完全に切り替わる。喋ってるなーって言葉と聞こえてくる声が全く違う。他の参加者と協力出来ればな、と思ったけど無理そうだな。
7日間か…山育ちの俺にしたら楽なことこの上ない。鬼が放たれているそうだが、未だその姿は見ていない。昼間、太陽が出ている間は身を隠しているんだろう。
夜になり、本格的に鬼が行動し始めた様だ。参加者の断末魔が聞こえてくる。
「ぎゃはは、ぎゃははは、ああ、いたぞ。人間だ、食ってやろう食ってやろう。細く肉が無いが食ってやろう」
は??細いの仕方ねぇじゃん、俺は毛利なんだし。人っぽいけど長曾我部と違い、この輩に虫唾が走る。鼻が特別いい訳ではないけれど、血の匂い、というか生肉が腐った匂いがする。
いつかの戦場の匂いだ。殺し合い最中を高みの見物をしていた、戦場の匂い。
「腕からか、足からか。臓物は最後に取っておこう、ぎゃはは」
…………そうか〜、そうなのか〜、そんなに焼かれたいのなら早く言えよ〜。
刀を引き抜き天へ切っ先を向ける。
「焼け焦げよ!」
じゅっ。
どうだ見たか!!これぞ我が日輪の加護ぞ!!
というか、うわひっでぇ。じゅくじゅくに溶けてんじゃん。マジで日に弱いんだ。弱いというか致命だけど。
あ、霧散した。死体残んねぇんだ、すげー。
………………やっぱり俺、体力が続く限りここじゃ最強じゃね?
昼夜問わず日輪ビームぶっ放せる。これが最大のメリット。
やろうと思えば、
ソーラー充電の要領で夜も一台につき1、2発は撃てるな…。設計は俺だからね、作り方くらいは覚えているとも。
…いや、それはやめとこ。大量生産したら日本が焦土になりそう(遠い目)
日輪ビーム乱射のお陰で1日目の夜は穏やかに過ごせた。相変わらず断末魔が聞こえるけど。これ、参加者を抹殺するのが目的ではないんだよな???蠱毒じゃないんだよな???
翌日、朝からどんよりと厚い雲が空を覆っていた。
「曇天?だからどうした。曇天ならば雲を晴らせば良い。
『照らし給え、日輪よ!』」
さあ、見よ!この謎の力による『日本晴れ』を!
最近は『照ら』の段階で晴れ始める。気が早いな〜、この愛しの日輪め〜。
俺が両腕を天へ向け叫ぶと、ぺかーっと雲に隠れていた太陽が顔を出す。よしよし、今日も日輪はご顕在なり。
今度は鬼の断末魔が聞こえた。
結果、最後まで生き残ったのは俺一人だけでした。
そりゃそうね、昼だろうが夜だろうが、所構わず照射しまくってたからね。
曇天でも雨でも「てらたまりん」で晴れ間を見せたから逃げ場も少ない。最終的に命からがら逃げ回ってたのは鬼の方。過去に生き延びた連中の大半はその酷さに辞めていくと聞いた。
戦闘能力に長けなかった人は非戦闘員、バックアップ部隊に入るみたいだ。まあ、今回は生存者が俺を除いていない。本当クソみたいな入隊試験だな。俺が言うのもなんだけど。
適当に刀を作る鋼を選び、鎹鴉という連絡手段を寄越された。
「オ前ノ鎹鴉ニナッテヤッタンダ。オレニ尽クセヨ!クズ人間ガヨォ!」
ブチッ。
イラッと来たので、羽根を一本毟ってやった。
「図に乗るな、鴉めが。貴様はこの時より我の駒となった。捨て駒が我に多大な容喙か……恥を知れ」
「ハヒ、モ、申シ訳、アリマセン、デシタァ!」
「フン、この先も口の利き方には気をつけるがいい。…次は全て毟るぞ」
「ヒッ」
「…貴様、名はあるのか」
「
「フン…良いか、我の期待を裏切るな」
「ハイッ!!!」
よし、煩わしい鴉の躾完了。
刀は数日後に届くらしい。刀が届いた後は鎹鴉から本格的に鬼狩り仕事の連絡が寄越される。
あ、熱い男の刀どうしよ。