「我が名は毛利元就! 日輪の申し子なり!」   作:ゆしゃ

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第4話

 

 

 

7日振りに家へ帰る道中。見知った姿が向こうから走ってきた。異形を引き連れて。

 

「そこのあなた!わたしを助けてくださーーい!」

 

鶴姫だわ。普通の巫女服に見を包んでいる鶴姫だわ。

背後には鬼が迫っている。何やったんだ、あの小娘。

 

「きゃっ!」

「消えるが良い」

 

鶴姫が転び、地面へ伏せた隙に終の手「照」で鬼を消滅させた。フン、目先の餌にありつこうとする単純な輩よ。

 

「わっ、その力……毛利さんですね!お久しぶりです!」

「何故、追われていた」

「その、家が先程の鬼に襲われてしまって…」

「…残間」

「ハイィッ!!」

「すぐにこの付近に鬼畜生が居ることを他の連中に伝えよ。1体とは限らぬ。我は未だ正式ではないだろう。先人共に手柄はくれてやる、…行け」

「確ト、スグニ!カァ!」

 

他の鬼殺隊へ向けて残間を飛ばした。これで調査も兼ねて鬼殺隊が来るだろう。

 

今まで追ってきていた鬼が消え去ったことで安堵したのか、鶴姫が泣き始めた。

おい待て、今気づいたけど、今世は俺より年上じゃねぇか??

 

「わたし…これからどうすればいいのか……ぐすん」

「…一旦、我の家へ来い。話はそれからだ」

 

おい、目を輝かせるな。仕方ないからだぞ!

こんなところに置いて行ったら俺が悪いみたいになるじゃんか!

 

 

 

 

 

 

 

「帰ったぜェ!毛…利…?」

 

長曾我部が漁から帰ってきた。驚くよなぁ、そりゃあ驚くよな。長曾我部の口元が引き攣っているのが分かる。

 

「…何で鶴の字が呑気に茶ァ飲んでんだ!追い出すぞ、そいつは俺の湯呑みだぞ!」

「まあ、なんて悪い口!このお茶は毛利さんのご厚意です!」

「座れ、鶴」

「はい☆」

「何をしている長曾我部、貴様もだ」

「チッ」

 

キラキラとエフェクトが出ているかのような目で俺を見る鶴姫。

やめろ、俺は卑弥呼じゃねえってば。俺を見て呟くな、卑弥呼様と呟くな!

 

「鶴の字、あんたもこの時代に生きていることは特に不思議にも思わねェよ。俺たちがそうだ、他にも居んだろ。

だがな、俺たちの家で、俺の湯呑みで、茶を飲んでんのは実に気に食わねぇ。ちゃっかり飯も食った後じゃねェか!!!」

「うるさい海賊さんですね。毛利さんはわたしを助けてくださった上に、こんな美味しいお料理も食べさせてくださいました。

こんな、こんな美味しいものを悪い海賊さんは毎日食べてらっしゃったんですね!ずるいです」

「ハァ??!!んだと、ゴラァ!」

なんだこれ、小学生の喧嘩かよ。どっちも羨ましいってことしか言ってねぇ。

それよりも。

 

「貴様の方こそ、その碇槍はどうした」

「あ?偶然、サヤカと会ってな。んで、貰った」

「えーーー!孫市姉様に会ったんですか?!ずるいですずるいです!わたしも孫市姉様に会いたいですーー!」

「夜分だぞ、喚くな。騒がしい」

 

ま、山の中だから騒音被害とかはないはずだけど。雑賀孫市もいるのか。銃火器に世話になることはないだろうが、あの傭兵集団には興味が湧く。物理的な罠の仕掛けは雑賀衆が上手だと思う。

 

さて、この辺で本題に入らせないと、この二人の小学生の喧嘩がまた始まってしまうな。

 

「鶴、貴様のことを話せ。何ぞ、役に立つやも知れん」

「…今のわたしは神社の娘で、巫女です。藤の花の家紋を掲げている家でもあります。

…ですが、神社と家が鬼に襲われて、家の皆さんはわたしだけ何とか逃してくれたんです。鬼に追われ逃げていた最中、そこに毛利さんが」

「は?何で毛利が」

「ああ、貴様には連絡していなかったな。我は鬼狩りになった」

「なんて??!!」

「…なってしまったものは仕方あるまい。職に就けたとでも思うておれば良い」

 

俺にも分かるものか。あの熱い男(暫定幽霊)のことなど。

なってしまったからには目立たぬよう生き延びる他ない。

目指せ老衰!の目標がかなり遠ざかったけど仕方ない。なってしまったんだもの。

 

「やっぱり、鬼狩りの…。お父様やお祖母様から、鬼狩りの方には尽くして差し上げなさいと常々お話されていました。それがわたしの生家のあり方だと」

「藤の花の家紋の家と言ったな」

「はい。夜が明けたら親戚の所に向かってみます。今後、どうなるか分かりませんけど…ズバッ!とシュビッ!と頑張っちゃいますよ☆」

 

これなら大丈夫そうだな。今世も弓矢が使えるそうだし、何も出来ない守られるだけの姫巫(ひめかんなぎ)はもう居ない。あの戦国の世で戦に出てから、己が守る側であることに気付いたのだろう。

 

 

 

夜が明け、鶴姫は早々に親戚の家に向かうことにしたらしい。ここから町の方に出た辺りのようで然程離れてはいない。まずはそこに向かい、今後を決めるそうだ。

 

「おい、鶴の字。あんたの今の名前は?」

「わるーい海賊さんには教えてあげたくありませんけど…毛利さんもいますし、まあ、良いでしょう。大祝鶴、それが今の名前です。鶴姫ちゃんでも構いませんよ?」

 

長曾我部がうるせー、あんたは鶴の字で充分だ、と言う。その長曾我部の表情には心配するようなものだ。え〜、そんな顔するぅ〜?長曾我部にとっちゃ妹みたいだもんな。

 

 

遠く離れた所から鶴姫の声が聞こえてきた。

 

「今も昔もありがとうございましたー!卑弥呼様ー!」

 

ばっか、卑弥呼じゃねーし!…卑弥呼じゃねーし!!

ニヤニヤしながらこっち見んなよ、長曾我部!

 

 

 





鶴姫

現在の名前は「大祝 鶴」
藤の花の家紋を掲げている家で、神社の娘。
流石に馬のことを犬ですか?とは聞かなくなった。先見の能力こそ失われたが、人物の目利きの良さによる彼女の占いはよく当たる。

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