「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛????!!!!」
「…気は済んだか、金吾」
「ご、ごべんな゛ざい゛、も゛ゔり゛ざばぁ゛」
顔中の穴という穴から液体を流している金吾。
流石に見てて汚いから手ぬぐいを差し出す。
「あ゛りがどゔござい゛まずぅ゛」
「返すな、貴様の物にしておけ」
「そ、そそそれでぇ……も、毛利様は、いったいなんでここに…?」
「…この衣服を見ても分からぬか、貴様」
「ヒィッ!いいいいやいや、分かるよぉ!分かりますぅ!鬼狩りなんですよねぇえええ!山の鬼を退治しに来たんですよねぇえええ!」
ここは何処かというと、例の町向こうの山の麓にある藤の花の家紋を掲げる屋敷。
ここで山の鬼の特徴を長曾我部に聞いてもらおうと思い立ち寄った。俺が聞いて回ろうとすると皆こそこそと姿を隠す。そんなに嫌かよ。
屋敷の主人に長曾我部が話を聞いている間、俺は暇だったため屋敷の中をぶらついていた。厨房付近を通りかかった際に、この金吾と再会した。
「所で金吾、貴様はここで何をしている」
「えっ、それはぁ…、ええっとぉ」
「何故、顔を赤らめる。気色の悪い」
「僕、料理人になったんだ!えっへん!」
「気色悪い」
「そんなこと言わないでくださいよぉ、毛利様。毎日料理が作れて、自分でもまぐまぐ。
戦は無いし、国主でもない。僕にとっては天職だよ!天職!」
金吾は天職♪天職♪たったらたったったー♪と、伊勢海老片手にスキップしている。どこから出したんだその伊勢海老。
前世こそ義理の孫であるが、ホント絡みづらい。
「って、アレっ?!な、なな、なんでそんなナメクジでも見るような目で僕を見るのぉおお?!」
「…いや、貴様の単純さに呆れていたところよ」
単純も単純。金吾は誉めれば調子に乗るし、怒れば泣き喚く。恐怖で支配する駒にしては優良だった。敵方に策略を見せないためのカモフラージュに最適だった。
あの怪僧さえ居なければ、事は順調に進んだはずなのになー。
「毛利、ここの主人は知らねぇって……金吾か?」
「長曾我部さん!」
「…遅かったな、長曾我部」
「嫁がどうだ婿がどうだってので捕まってな…。ああ、金吾。あんたはこの辺りに出る鬼ってやつを知ってるか?」
「鬼?あー、確か町の人が襲われたってやつだよね。僕よりも、天海様の方が詳しいと思うよ」
「……天海?」
「──金吾さん、ここに居ましたか」
背筋が凍るような、はたまた酷く優しげな、どっちつかずの声が背後から聞こえてきた。
長曾我部と俺は同時に振り返る。
「貴方はお仕事の途中でしょう。早く戻った方が良いのではありませんか?」
「あ、そうだった!ありがとう天海様!じゃあね、毛利様、長曾我部さん!」
金吾は、ばたばたと伊勢海老を片手に走り去って行った。
俺たちの背後にいる長い
「…テメェ」
「おや、久しいですねぇ。瀬戸内御一行」
「フン、この鬼と我を共にするな、怪僧め。このようなところに……また何ぞ企んでいるわけではなかろうな」
「心外ですね。私は『奴』とは違いますよ。ただ一心に、哀れな魂たちに念仏を唱えるためにここに居るのですから」
「…んじゃあテメェ、その獲物を下ろしてもらおうか。まだ僧が獲物持ちたァ、世も末だな」
後ろに回している手には鎌にしては大柄なものが両手に握られている。
「護身用ですよ。今にも襲ってきそうな鬼が居りましたので。嗚呼、怖い怖い」
「んだと…!」
「長曾我部」
「チッ、わあったわあった。毛利の為だ、見逃してやる」
「ククク、それはどうも」
「…先程、貴様は『奴』と言ったな。『奴』とは誰のことだ」
「『奴』は『奴』です。もう一つの私……水色桔梗の私ですよ」
「…厄介なものが分かれたな」
戦国BASARA界きってのヤベー奴が二人もいるなんて厄介過ぎる。一人は目の前にいるし。
「ええ、ですが…『奴』とは双児ですので姿形こそ似けれども、先程も申し上げたように別物です。私は金吾さんの所に居た私、あの雷雨の中名を失った私……。
ですので、努々お間違いのないように」
間違う以前に、ヤベー方のお前に鉢会いたくない。
ヤベー方がいるなら織田連中も居るんじゃね?あいつら地で魔界創生しちゃってるから。住まいが自動的に魔界になっちゃってるから!兵を生贄に自分が何度も生き返るとか何その凄い技。
「鬼、ですか。この先の山の」
「金吾の話じゃ詳しいみてぇだが」
「知っていますよ。ええ、それはとっても詳しく」
「…何?」
まさか、こいつがその鬼……ではないな。そうであれば残間や長曾我部が騒ぐだろうし、こんな真っ昼間から出歩いていない。
「山にて死んだ方々の冥福を祈り、念仏を唱えているのはこの私ですからね。その死に立ち会ったことも多々あります」
「その言い分じゃ、かなりの人間がやられてんのか」
「ここ数カ月ほどで20人は鬼とやらにやられています。…大事にならないのは、その被害者の大多数が口減らしのために山に捨てられている方々だからです。
家族が捨てたのですから、心配などしませんよ」
「…………」
山に、捨てられて、か。俺はまだ、鬼がいない山に住み着いたから良かったと安堵すべきか。
一呼吸置いて、天海がああ、そういえばと口にする。
「金吾さんもそのクチでしてね。古くからの友人であるここの主人に、抱えの料理人はいらないかと話をしたんですよ。
最初こそ落ち込んでいましたが、今ではまあ…アレですよ、アレ」
「アレな…」
アレかぁ…。
伊勢海老片手にスキップする金吾を思い浮かべる。本人のポテンシャルなのか、
この数カ月とこいつが言ったのは、それ以前から鬼の被害に合っていたということ。つまり…。
「この先の山にいる鬼は2体です。協力関係にあるわけではありませんが、双方共食いされるのが嫌なようでして、縄張りのようなものを取り決めています」
「姿形の特徴はあるのか」
「…先に居着いていた方は、食った人間の頭を身に着けています。もう片方は、数カ月前に現れた後から来た山姥です」
「山姥」
「山姥です。少なくとも私はそう呼んでいます。とはいえ、見目だけで言えば美しいと称せるでしょう。
山の中に見目の良い口の裂けた女が居たなら、それが山姥です」
口が裂けている時点で美しいと称していいのか?
美醜に関しては口に出すまいとしていたがその山姥は実際、美しいってどんなんだろうなぁ。人は美しいものに目がとらわれる。油断してしまう。判断能力を鈍らせてしまう。無意識に信頼してしまう。「相手は綺麗だから大丈夫」そんな心理が働く。
ま、人外めいた綺麗さは逆に恐怖を湧かせるらしいけどね。
「貴方たちに心配するようなことは特にありませんが…一応、私が念仏を唱えに行くことがないように、とだけお伝えいたしましょう」
良いこと言ってるけど鎌が台無しにしている。いい加減その大きな鎌をしまってくれ、天海。
「どうぞ、また金吾さんに会いに来てあげてください。
毛利殿と居る金吾さんはそれはそれは、ククク…面白いので」
「…会わせる気はあるのだな」
「『奴』とは違い邪心はありませんからね。私は人をおちょくるのが楽し…おっと」
「あんた、僧やめろよ…」
そら、長曾我部も呆れるわ。
小早川秀秋
料理人。天職に出会えた。
まぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐまぐ。
天海
やべー奴らが分裂しやがった。
まだマシなレベルのヤベー方。後は何も言うまい。