マジンガーを作りたかっただけなんだゼェーーーット 作:753101938315
TVアニメ版か漫画版かは忘れたのですが、イヤーびっくりした。
いきなり目の前に仁王立ちしたマジンガーZ出てくるなんて喜んで良いのか...ともかくた、助かった〜。
この話は時系列は本編の少し前の出来事、まだ長井激がマジンガーZを執筆する前の出会いと別れのお話です。
それではどうぞ。
「検査の結果的には.....やっぱり急性胃腸炎ですね、検査の結果的には結構症状が重いので私個人としては入院をおすすめしますが。」
モリモリ博士のような髭を蓄えた老年の医師はカルテや検査の結果を眺めながら俺にそう言ってくる。
俺こと長井激は絶賛ありえないほどの吐き気と気持ち悪さを味わっており、検査の結果言われたのが先程の医師からの言葉だ。
昨日の夜から何度も嘔吐して、キツかったというのに入院だなんて神様は俺に恨みでもあるのか?と疑いたくなる。
水を飲もうとお粥を食おうとすぐさま中身を吐いてしまうので脱水症状にすらなりかけている。
取り敢えず俺は診断の結果数日間入院することとなった。
点滴を打って入院だなんて前にやったのは何年も昔のことだ。
今はかなり冷えている冬の時期だが、検査の結果は夏場に多い細菌性のやつだそうだ。先生も珍しいと驚いていた。
「仕事なくて良かったな。って喜べることでもないだろうけど...」
なんて自虐的な独り言を吐きながら俺はトイレから病室に戻ろうとしたが、廊下に何かが落ちているのがわかってそれを拾ってみた。
「....これって、女性のブロマイド...だよな。ファンの人が落としたのか?こんなの落とすなんてドジだな。つーか、コイツどっかで見たことあるような....」
と誰とも知らぬブロマイドを落としたファンをちょっぴり哀れに思いながらも落とし物を保管する場所に向かって行った。
そうこうしていると偶然どこの担当の先生かはわからないが、病室から出て行くのを見かけた激は少し気になったのでその先生に少し質問をしようとした。
しかし、激は腹からいやな音が鳴り響き取り敢えずトイレで一度休んでから戻ろうとするが、病室の中からの女の子の一言で意識が引っ張られることになる。
「ない、ない!私のお気に入りのアイのブロマイド!せっかくゲットしたのに何処いったの⁉︎」
服のポケットを探りながらその子が探している物こそ自分が拾った物であると思った激は腹をさすりながらドアを開けてその子に近づいた。
いきなり近づいてきた激に少女は驚くが激はそれに対してぎこちない笑みを浮かべながら一枚のブロマイドを取り出した。
そうしてポケットから出したブロマイドを少女に差し出すといきなり顔が明るくなって驚かれる。
「えっ!これ、私が無くしてたヤツじゃない!あ、拾っていただいて。あの、えっと、ありがとうございます。」
驚きと興奮でしどろもどろになっていたが、がんばってお礼を言った少女に対してどういたしまして、と返すと取り敢えずその場を去って激は自身の病室に戻った。
なお、その後病室に戻ったが症状が悪化したのか看護婦さんが驚くぐらいの嘔吐をしたのは言うまでもないだろう。
そうこうしているとマスクをつけた過激さんが手を振りながら片手に紙袋を持ってやってきた。
「やっほー。オヌシのためにこの過激馳せ参じてやったぞい。」
何時間か前に電話して鍵を預けてから着替えなどを持ってきてもらったのだ。
「ずいまぜん。過激ざん。またなんがお礼に...」
それに対して過激はいいよ、いいよ。と返すと着替えやノートなどの入った紙袋を激に渡して、
水を飲むことも難しいので声が枯れそうになるが過激さんは
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そして翌日、腹からの苦しさを感じながらトイレから部屋に戻ろうとした激はまたあの少女に出会った。
2日前や昨日に比べて激の症状は軽くなったもののまだ正直になところ症状はキツいままである。
だから自身の部屋に戻ろうとしたのだが、そこに件の少女が通りかかったというわけだ。
なし崩し的に病室にお邪魔することになってしまい、緊張をほぐすつもりで不意に激はこんな事を聞いてみた。
「なんかさ、アイドルっぽい女の子のブロマイド持ってたけど好きなの?アイドルとかって。」
しかしそれが天皇寺さりなのアイドル大好き魂を予想以上に焚き付ける事態になってしまった。
「大好きです!何よりB小町ってアイドルが大好きで、歌はやっぱりありぴゃんときゅんぱんの2人が良いんですけど。やっぱり私の推しはアイなんですよ!」
激は面倒くさい所に火をつけちまったかな、なんて軽く後悔したものの、ちょっぴり楽しみにしながら話を聞いていた。
名前は天童寺さりなと言うらしく、さりなで良いと言ってくれた。
顔立ちは何年かしたら物凄く美人になりそうなくらいの可愛さだ。
「ーーってわけで、アイってなんでも完璧に成し遂げちゃうんだよ!私とそんなに歳変わらないのに凄くない‼︎」
「アイが凄いのは充分わかるけど、それ以上にさりなちゃんのアイドルに対しての愛の方がとっても凄いと俺は思うけどね。」
なんて笑い合いながら話をしていると俺についてさりなちゃんがどんな学校に行っていたりしているのかなど聞いてきた。相手の話が終わったなら俺も何か話さなくちゃな、なんて考えながら俺は自分語りを始めた。しっかしアイって名前やけに聞き覚えがあるな...まぁいいか。
「え!激さんって漫画家なんですか⁉︎高校生かと思ってました...」
さりなのその言葉に対して激は笑いながら答えた。
「そりゃそうだろうね。俺だって最初は高校に行けだなんて親に言われたけど、夢を追っかけて今のところ親とは怒られるのとかが怖くて全く連絡とってないからね。」
と、空笑いをしながら激とさりなちゃんはお互いに自分の話をしあっていた。激自身は必要のない自分の情報を他人にあまり教えないタイプだが、なんだかんだで激も心が軽くなったように感じていた。
看護婦さんに呼ばれてさりなちゃんとは別れてしまったが、激は顔が見えなくなるくらいの距離になったのを確認すると大きなため息を吐いた。
「ーーー あんなに小さい子が、気丈に振る舞ってる。親は何やってんだよ...」
そんな言葉を口からポロリと出してしまうのは激がさりなちゃんと話している中で感じ取れた雰囲気とも言えるものだった。
自分の心や体が辛いのなら老若男女問わずに好きなだけ泣き言を言ってもいい、むしろ言うべきだ。
それを助け、支えるのが病院に勤める人達の仕事であり、ひいては周りの人間がするべき行為なのだから。
と、激は病人や苦しい境遇の人達について常々そう思っていた。
だと言うのに、あの子は痛いの一言も会話に出さずに必死に耐えて心配をかけないようにするなんて子供らしからぬ事をやっている。
激は診断の結果後2日程で退院だと言われた。
たとえ退院しても俺はあの子を少しでも支えてあげたい。
そう思った激は何て漫画を描けばいいのかとアイディアを見舞いに来てくれた過激さんの持ってきてくれたノートに書き込むのであった。
「う~ん、退院はできたけど思いの外金がかかっちまったな...まぁ、おかげでさりなちゃんと知り合えたわけなんだけども。」
肩や首の骨を鳴らしながらぼやいた激はぶつくさ文句を言いつつも軽くなった足取りで家に戻った
そうして自分の仕事場である机と椅子によしかかった激はあと仕上げぐらい、というところで溜まっていたイベントの原稿に取り掛かりながらもさりなちゃんを元気づけられるような作品の制作を始めた。
そうして一週間と数日が経過したころ
「に、入稿おわった....もう一歩も動きたくねぇ.....」
夜遅くという状況と元気づけるための漫画の構想が思い浮かばなかったのが理由で余裕があったはずが最終的にデスマーチと化してしまったのはご愁傷様としか言いようがないだろう。
なんとかイベント用の原稿は間に合い、さりなちゃんのための漫画も半分くらいできてきた
明後日くらいにはイベントが始まるのでそれに備えて英気を養おうと布団に入った。
そして当日、サークルとして参加した激は売り子としても頑張っていた。
「新刊ください。」
「500円になります。はい、ありがとうございます。」
「これ2冊ください。」
「はい、えっと...1200円になります。」
と結構な忙しさであったのだがなかなか個性の強い人もいた
「長井先生ィ‼」
びっくりするぐらいの声量で激を呼んだのは固い握手をしている、なんというか島本ナントカ先生の漫画から出てきたような目に炎を灯した熱血漢と呼ぶにふさわしい青年だ。
「先生の作品、いつも楽しく拝見させていただいております。これ、つまらないものですが差し入れです!これからも応援しています‼」
差し入れをくれたり、新刊を買ってくれたりしてくれるのは嬉しいのだがお辞儀までするような真っ赤に燃えている青年がファンだとは驚きとうれしさで複雑な気分になっていた激だがまだまだ変な人たちは多かった。
可愛い女の子が来たと思ったら刀を背負っていて後ろから近づいてきた男の子にスカートを捲られていたりしたり、ありえないぐらい髭と髪の毛が生えている男性で、男の子と乱闘騒ぎになりかけたりと色々あったがなんとかイベントは無事に終了した
電車の中で既にメンバーと別れた激は窓からの景色、といっても薄暗いのだが頭に浮かぶのはさりなちゃんの事だ。
疲れた頭では何も良い作品は出来ないと激は瞼を閉じて眠ることにした、それで目的の駅を降り損ねてしまいそうになったのは秘密である。
そうして何日か経過した頃に、激はようやく完成した原稿を手にさりなちゃんのお見舞いに向かった。
もう2時ぐらいなので昼飯も終わっていて治療でもしていない限り彼女は病室にいるだろう。
そうして受付で教えてもらった部屋に向かいノックをすると聞き覚えのある声でどうぞー、との事なので俺はゆっくりと扉を開けた。
そこにはB小町のライブ映像を見ているさりなちゃんと初めて見る顔の男の先生がいた、さりなちゃんの知り合いだろうか?その男の先生は俺が来た途端に何故かテレビの電源を切ったがまぁいいだろう。
「激さん久しぶり!って程でもないだろうけどお見舞いに来てくれたの⁉︎ありがと!」
と手に持った携帯をブンブン振りながら喜ぶが、俺は予想以上に喜んでくれたさりなちゃんに対して苦笑いを返すと横に座っている先生に対して挨拶をした。
「どうも、長井激って言います。さりなちゃんの主治医さん....ですか?すいません、結構お若いな〜って思ったので。」
その言葉に対してさりなちゃんが笑い出すと気まずそうな顔でその先生は自己紹介をした。
「いや、別にこの子の主治医とかではなくて....研修医としてこの病院に来ている、雨宮吾郎って言います。」
あぁ、と俺は内心納得すると恥ずかしいなぁとも思った、でもちょっとした疑問が浮かび上がる。
「え、研修医の方って今休憩時間とかですか?もう昼休みとか終わってそうな時間帯ですけど。」
激は自身の左腕のちょっとお高めの腕時計をチラリと見て素直な疑問を口にしたが、ものの見事に地雷を踏んだらしく吾郎はピシリと固まってしまった。それでナニカを察した激は遠い目をしながら近くにあった椅子に腰掛けた。
「サボりも程々にしておいてくださいね、吾郎先生。あ、あとコレさりなちゃんへのプレゼント、見てみて。」
サラリと吾郎に対して釘を刺した後に激は目的の物が入った茶封筒をさりなに手渡した、そして封筒から中身を取り出したさりなは表紙を眺めたりパラパラとページをめくると驚きの声を上げた。
「え!コレ私が主人公の漫画‼︎うひゃー凄いなぁ....」
改めてじっくりとページの一つ一つを眺めているさりなは笑顔でそれを読み込んでいく、吾郎先生も隣から覗き込んでいる位だ。
そうして漫画について話していたり続きがどうとかアイドル談義に花を咲かせているといつの間にか夜も更けてきて俺は帰ったが、その後も俺たちの付き合いは続いていき看護婦の人達にも顔を覚えられるくらいになった。
コレからも彼女が元気でいられるようにと時には仕事を締切ギリギリにしてまでさりなちゃんへの漫画を描き続けた。
エッチなのをやってみようとしたのは流石にやめておいた。
そして、それはいつもの日常のようにやってきて....
「ひー、やっべぇ!さりなちゃんとの約束した時間に遅れちまうっての!」
いくら借りを返しますよと言ったとはいえまさかあんまり知らない雑誌のページを大幅に使ったギャグの短編を描いてくれだなんて過激さんも無茶苦茶言ってくる。
脳裏に浮かんでくる地味に可愛いあの顔を今回ばかりはパンチの一発でも入れたくなるが、そんな事を考えているヒマはないと俺は大急ぎで病院向かった。
そうしてついた病院で、一度落ち着いてトイレをするとベンチに俯いた吾郎先生が座っていた。どうにも近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
人がこんなに何かを恨むような様子は激は見た事がない、しかしそれでもと勇気を振り絞って吾郎の名を呼んだ。
「あの.......吾郎先生....さりなちゃんはどう...」
そこから先は声を出したのかすら激はわからなかった。
この世の全てを憎むような形相と手に握られたストラップが静かに事の顛末を激に訴えていた。
吾郎先生がか細い声で伝えたのはさりなちゃんの両親は死に際にすら現れなかった事と最終回の原稿を読みたがっていた事だった。
そこから先の記憶は激にはない、ただ目を覚ました時には部屋の中がぐちゃぐちゃになっていて目から涙が溢れていた事だけが記憶の中にある。
そしてさりなちゃんに渡すはずだった最終回の原稿は今でも棚の奥に仕舞われている。
あの子のために描いた作品はあの子だけの物だからと今でも静かに眠っている。
なんか...お待たせして申し訳ございませんでした...
私のミスで1人の読者の方を混乱させてしまった罰とさりなちゃんについての処遇をしっかりさせたくてこの話を執筆させてもらいました。
さりなちゃんの両親についてはそれなりの罰、というか末路を用意するのでご安心ください‼︎
にしても自分の中でこの話はトップクラスにエネルギー使ったと思います....
この後の続きもどうかお楽しみに!
それでは753101938315でした。
アイは生存させるべきか否か
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原作通り死亡
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生存ifルート