三好義継の野望・改訂版   作:鈴木颯手

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お久しぶりです。昨日14巻と15巻が届き、さっそく読んでいる最中です。やはり織田信奈の野望のキャラはどれも魅力的ですね


第参拾肆話「臣従と侵略」

 安芸国虎。その人物は以外にも若い女性だった。歳は20代前半くらいだろうか? 勝気というか気が強いというような感じの女性だな。

 

「三好義継様。安芸国虎と申します」

「三好左京大夫義継だ。それで? 態々俺に会いに来た理由とはなんだ?」

「……私を、義継様の配下に加えていただきたい、です」

「何?」

 

 意外だ。まさかそんな話をされるとは。安芸国虎がそういった事をするなんてというよりも交流のない勢力に従属を申し込むなんて中々あることではない。支援してほしいという申し出ならあり得たがな。その過程をすっ飛ばしていきなり従属したいとは……。

 

「一応理由を聞いてもいいかな?」

「最近、土佐では長宗我部家の大頭が激しくなっています。土佐中央部はほぼ長宗我部家が支配する場所となってしまっています」

「つまり、長宗我部家の侵略に備えるために従属を求めると?」

「去年、我らは長宗我部家に大敗しました。……このままでは数年のうちに我らは長宗我部家に滅ぼされてしまいます」

「……正直に言ってしまえば意外だな。俺としてはこんなに早く従属してくるとは思わなかったぞ。まずは支援を求める程度かと思ったが」

「はじめはそれも考えました。ですが、それでは足りないと思えるほどに長宗我部家はの大頭が激しいのです。幸い、長宗我部家もすぐにこちらを攻められるほどの力はありません」

「その間にこちらの支配下にはいることで長宗我部家にお前の後ろに俺がおり、いつでも力を借りられる状況にあると示したいわけか」

「できれば長宗我部家の力も削ぎたい所ですがそこまでは求めません」

「ふむ……」

 

 安芸国虎、まさかここまで理性的とはな。てっきり粗暴な面が目立つ人物とばかりに思っていたがそんなのとは真逆じゃないか。

 

「配下に入りたいと言っているものを突き放すほど当家は非情ではない。安芸国虎、君を歓迎しよう」

「はっ! ありがとうございます!」

「早速だが当家も支援をしよう。大西家を土佐北部に圧力をかける。それと同時に君が当家の配下に降ったという噂を流す。大体はこれで警戒して動けなくなるはずだ。……支援が行き届く前に攻めてくる可能性もあるがな」

 

 というか俺だったら即座にそう動く。実際、土佐は北からも東からも侵入が難しい立地だ。何しろ四国は中心地に山が連なっているからな。さらに土佐の東から阿波の南にかけて、その地域は主要な城や砦が少なく、あまり人が住んでいない場所となっている。ゆえに安芸国虎の領地に東側から向かう場合はそれなりの日数と補給体制が必要となる。何しろ城や砦が少ないから補給がままならないのだから。

 そして北部に関しては東よりマシ、という程度の状況だ。距離が短いだけ早く土佐にはいれるが通れる場所は限られているうえに通った先は長宗我部家の領地だ。救援に向かうには不向きの場所だ。

 つまり、即座に攻めかかれば俺がたどり着く前に安芸国虎を倒すことは可能ということだ。もちろん、安芸国虎とて即座にやられるわけがないだろうし、水軍を用いれば海側から補給・侵攻も陸地から進むよりは楽だ。代わりに兵の数次第で大量の船が必要になるがな。

 

「安芸国虎。君は領地に戻っても暫くはそのままで過ごすんだ。そして、こちらの増援なり支援なりを即座に送ろう。代わりに城の一つでも貸してくれ」

「構いません。それで我が領地が助かるのなら」

「……」

 

 ……果たして、この言葉を信用していいものかどうか。まぁ、信じるほかないんだけどな。マジでなんでこんなにこちらの要求をすんなり受け入れるのか……。罠だったりしないよな? 実は長宗我部家と手を組んでいて三好家を罠にはめようとしているとか? それとも別の目的が……。

 どちらにしろ情報が不足しているな。長宗我部家の大頭はまだ先のようだったから情報収集は後回しにしていたせいだな。いくらか忍びを向けて確認してみるか。

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

 軽く息を吐きながら元春は目の前に迫っていた敵兵を切り裂いた。戦が始まり、すでに三日目となっており、敵兵は三分の一が地に付しているがそれでも士気が崩れる様子はなかった。普通なら異常ともとれるだろうが相手が丹波の豪族であると理解すればそれにも納得できるだろう。

 

「元春様! さらに敵兵が300程近づいてきています!」

「っ! しつこい敵じゃ! ちと後退する!」

「はっ!」

 

 先に音を上げたのは元春が率いる三好兵だった。第一次三好包囲網以来、山城や摂津には丹波の豪族による侵略や略奪が横行するようになった。三好家も国境に兵を配置したり、砦を建設するなどして対策を立てていたが丹波の豪族の兵士は一人一人が強く、さらにゲリラ戦のように突如として現れるために対応が出来ずにいた。

 そんな中で元春がたまたま率いていた部隊が豪族の一人を補足。3日にわたる戦となったが結果的に元春側が引く結果となった。これは元春にとっては悔しい結果となった。将としての経験があるためにと少数ながら軍勢を率いての初戦闘がこれだったのだ。

 

「丹波の豪族がここまで厄介じゃったなんて……!」

 

 元春は予想以上に手ごわい丹波の豪族に苛立ちを覚えながら引き上げていく敵兵を見送。った。3日間の戦で兵の損耗が激しく、これ以上の継戦は難しい状態だった。それは相手も同じではあるが元春側の追撃を警戒してさっさと逃げて行ってしまっている。

 

「元春様、池田家の兵がこちらに向かってきているとのことですが……」

「敵兵は撤退していったと伝えるんじゃ。今からでは追い付けん」

 

 摂津に入り込む豪族に対して最も積極的に迎撃を行っている池田家の到着の報告を受けるもすでに敵は丹波に逃げて行っている。これが最近では継続しておきつつあったのだ。三好家は少しずつだが損耗を強いられることとなっていた。

 

「これで更に何か起きないといいんじゃが……」

 

 そう口にする元春の予感が的中したのか? 数日後には旧六角領で反乱。一月後には伊勢からの略奪者の侵入が相次いで起こることとなった。

 周辺の勢力にとって三好家は強大な大国であると同時に、肥え太った餌でもあったのだ。そして、餌に群がるハエは他者を惑わす花により連携を取り始めることとなるのだった。

 

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