ポケモン廃人に転生してしまった。バトルスタンバイ 作:エンパイア
それでもいいよという人はよろしく。
バトルスタンバイ
朝から続いている頭痛を我慢しながら俺は兄貴とフロンティアブレーンのジンダイさんのバトルを見ていた。
兄貴のバトルを見るのは初めてだが、レベルが高いのが分かった。だが、ジンダイさんは全てにおいて兄貴を上回っている。
バトルが進むにつれて頭痛が酷くなっていく、隣には先日ナナカマド博士から貰った俺の最初のポケモンナエトルが心配そうに俺の方を見ている。
バトルの結果は兄貴の完敗だった。兄貴はジンダイさんに
「お前ならではの強さはどこにある?」
と言われた。兄貴が負けたことにショックを受けたがこの状況どこがで見た事がある様な感じがした。バトルフロンティア、ジンダイさん、兄貴(レイジ)、そして俺シンジ、ポケットモンスター。
次の瞬間、頭痛が引くのと同時に今の自分の状況が分かった。
「(俺シンジになってる)」
そう、俺はアニポケの主人公サトシのライバルの1人シンジになっていた。兄貴とジンダイさんのバトルが俺の前世の記憶を呼び起こしたみたいだ。
兄貴は暗い顔をしてフィールドから去って行く。原作通りなら、この敗北で兄貴はトレーナーを引退して育て屋になるのだが、そうなる前に確認しなくてはならない事がある。
俺もナエトルを戻して観客席を後にして兄貴を探す。そして、ベンチで俯いてる兄貴を見つけた。
「‥兄貴」
「‥シンジか、せっかく見に来てくれたのにみっともない所を見せてしまったな」
「俺は悪くないバトルだったと思う」
「ありがとう。でも、俺からしたら情け無いの一言に尽きるけどね。」
これ以上の慰めは侮辱になりかねないと思い話題変えた。
「ジンダイさんにリベンジすればいい」
「それも考えたけどリベンジはするのはやめようと思う」
「トレーナーを引退する気か?」
「⁉︎」
どうして分かった、と言う疑問のこもった視線を向けられた。
「兄弟だからな。それよりも本当にいいのか?ジンダイさんに負けたとはいえ兄貴のトレーナーとしてのレベルは高い。まだ引退を決めるには早いんじゃないか?」
「いいんだ。今回のバトルで俺は未熟者だということが分かった。それに実家の育て屋を継いでみたいと思っていたから丁度いい」
「‥そうか」
「なんだ?心配してくれてるのか?」
「そんなんじゃない。ただ、もったいないと思っただけだ」
アニメでも、全てを諦めて育て屋に逃げた訳ではないのは分かっていたが、直接話を聞いて俺も安心した。
だが同時に、胸に何かモヤモヤした物が残っていた。やっぱり俺は兄貴を尊敬していて、その兄貴がこんな形で引退した事が、気に入らなくてそれがアニポケのDP編のシンジになってしまった理由の一端にだったんだなと思った。
「それじゃあ明日には、実家に帰るのか?」
「あぁ、早く帰って学ばなきゃならない事が山程あるからね。シンジも一回実家に帰るか?」
「いや。このまま、カントーを旅してカントーリーグに出場しようと思う」
「シンジ…」
兄貴は俺を心配するように名前を呼んだが
「勘違いするな。俺は兄貴の敵討ちを考えているわけじゃない、今日のバトルを見て焦っているわけでもない」
「ならいいんだけど‥」
「俺の心配をするよりも自分の心配をしろ」
「‥分かったよシンジ。俺も頑張る、お前もリーグ優勝目指して頑張れ」
「手持ちをオーバーしたポケモンは実家に送る、世話は任せた」
「分かった。じゃあこれは俺からの餞別だ」
そう言いながら兄貴は自分のバッグの中にあるモンスターボールやきずぐすり、挙句にはポケモンの進化に必要なアイテムまでくれた。
「兄貴いくらなんでもこんなにたくさん貰うのは気が引ける」
「トレーナーを辞める俺が持っていても宝の持ち腐れだろ?」
育て屋は時間のないトレーナーがポケモンを育成するのに利用するが、預けられたポケモンを進化させるのはタブーなのでこれから育て屋になるレイジには必要のない物であるが、全部普通に買うと数十万、下手すると100万を越えかねない。
「使わないでホコリを被らせておくぐらいなら、シンジお前に使って欲しいんだよ」
「‥お人好しすぎるぞ。兄貴」
甘すぎる兄に呆れながらも確かに自分にも必要な物なのであるのでありがたく頂いた。
「明日の船の出航には見送りに行く」
「そんなに気を使わなくてもいいのに」
と言われたがそれぐらいの事をしなげればこっちの気もすまない。
そして、話し合いを終えた俺達はポケモンセンターでゆっくり寝て次の日に備えた。