ポケモン廃人に転生してしまった。バトルスタンバイ 作:エンパイア
作者はサトシが嫌いなわけではありません。
セキチクシティに向かう道中、バトルを挑まれドダイトスで勝利したのだが、バトルを見ていた見物人達が次々に俺にバトルを挑んでくる。
やはり、まだシンオウのポケモンはカントーでは珍しいのか興味を持たれてしまったようだ。
これもポケモン達の良い経験になると思い、片っ端からバトルして行く。コノヨザルやジバコイルを出すと益々盛り上がっていき気付けば今日だけで15連勝である。
勿論、その都度きずぐすりなどを使いポケモン達を回復させているが流石に限界みたいなのでバトルを切り上げようとすると
「すいません。俺ともバトルして下さい!」
と言う声が聞こえた。声が聞こえた方を向くと、人混みをかき分けて出てきた、
アニポケ主人公のサトシがいた。
〈サトシside〉
「あぁー、P-1グランプリ出たかったな」
「アンタね何度も言ってるでしょ!言う事を聞かないオコリザルじゃ出ても意味ないって!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着け」
などと口喧嘩しながらセキチクシティを目指して旅をしているサトシ御一行の姿があった。
「あっちで珍しいポケモンを使うトレーナーがバトルしてるみたいだぜ」
「見に行こうぜ」
そんな会話を聞いたサトシは
「珍しいポケモンだって!よぉし、俺もバトルを挑んでやる。行こうぜピカチュウ!」
「ピカピ」
「待ちなさいサトシ!また勝手に行くんだから!」
「追いかけるぞカスミ」
サトシはタケシとカスミを置き去りにして走り、バトルをしているであろう人の集まりを見つけた。
「きっとあそこだ、ピカチュウ肩に乗れ!」
「ピカ」
相棒のピカチュウを肩に乗せて人混みをかき分け進んでいく。そして
「すいません。俺ともバトルして下さい!」
〈サトシside out〉
P-1グランプリで足止めを喰らったから近くまで来ていると思っていたが、まさか俺にバトルを挑みに来るとは思わなかった。
しかし、俺の返事は決まっている。
「悪いが今日のバトルは終わりだ」
「えぇー、何でだよ!」
「お前が来るまでにどれだけバトルをしたと思う?これ以上のバトルはポケモン達に悪影響でしかない」
他の見物人達は仕方がないという感じだったがサトシは納得していなかった。
「サトシいい加減にしなさい!」
「向こうの都合も考えろ!」
再び人混みをかき分けて来た2人がサトシを止めようとしている。
「…君はシンジか!?」
「お久しぶりです」
その1人は俺が初めて戦ったジムリーダーのタケシだった。
ひとまずバトルを見に来た者、バトルをしに来た者達の集まりを解散させたが、タケシはサトシが迷惑をかけたお詫びがしたいと言ったので今は食事をご馳走になっている所だ。
「まさか、こんな所で会うとは思わなかったな」
タケシは意外な再会に驚いているようだ。
「知り合いなの?」
「知り合いというわけではないんだが、サトシがジム戦に来る前にニビジムに挑みに来たのがシンジだったんだ」
タケシが俺との関係を説明した。
「タケシさんはどうしてここに?」
俺は原作知識で知っているが、形式上の質問をする事にした。
「俺は今、夢だったポケモンブリーダーになるために旅をしているんだ。ジムリーダーは親父が戻ってきたから変わってもらったんだ。」
どうやらその辺は原作と変わりはないようだ。
「今シンジはバッジはいくつなんだ?」
「今は5つです」
「流石だな」
どうやらタケシは俺の事を高く評価してくれているみたいだ。そう思っているとカスミが会話に入ってきた
「ねえ、もしかしてブルーバッジって持ってない?」
「持っていますけどそれがどうかしましたか?」
「やっぱり!サクラ姉さんの言ってたシンジってアンタのことなのね!」
「カスミどうしたんだ?」
「サクラ姉さんが言ってたんだけど、普段ジム戦で使わないレベルの高いギャラドスを倒した強いチャレンジャーの名前がシンジだったのよ」
「俺としてはハンデを貰ったバトルなのであまり喜べないですが‥」
そう、あのバトルは課題の残るバトルだった。俺のトレーナーとしての実力不足やジバコイルに無茶をさせてしまったりなど、反省の多いバトルを褒められてもあまり喜べない。
「…随分と謙虚なのね。アンタも見習ったらどう」
カスミはさっきから無言のサトシに言った。
「俺だってバッジ4つ持ってるし負けてない!」
さっきまではバトルが出来なくて不貞腐れてると思ったが、どうやらタケシとカスミが俺を褒めているのが面白くないらしい。
「やっぱりシンジ!俺とバトルしろ!」
どうやらどっちが上かバトルで決めたいらしい。あまりにも短絡的な考えに溜息が出そうになるが我慢して
「さっき言ったばかりだろ。今日はもうバトルする気はない」
「……1回だけバトルしてやってくれないか?」
すぐに断ったのだが、まさかのタケシからもバトルして欲しいと頼まれてしまった。
俺は驚いてどうしたらいいか分からないでいると
「タケシまで、何言ってるの!」
カスミがタケシに怒鳴りつけた。それもそうだ、ポケモンブリーダーを目指すタケシならポケモンの体調を気にしてるトレーナーにバトルして欲しいなど絶対に言わない、何かあると思いタケシを見ると申し訳なさそうな顔でコクっと頷いた。
何となくだが言いたい事が分かった。
「(サトシの天狗の鼻を折ってくれ、か)」
分かっていた事だが、今のサトシはお調子者で自分に必要以上の自信がある。
大きな失敗をする前に何とかして欲しいというのがタケシの思いである。タケシやカスミも色々言ったのだろうがあまり効果はなく、それなら同じ新人トレーナーのシンジとのバトルでなら自分の言いたい事が伝わると思いシンジにバトルをお願いした。
「はぁ…、分かった1回だけバトルしてやる」
「よっしゃあ!」
あまり気が進まないがバトルすることにした。使用ポケモンはお互いに2体で交代は自由というルールにした。
タケシが審判をしてくれた。
「ピカチュウ、君に決めた!」
「ピカ!」
「ピカチュウか。ニドキング、バトルスタンバイ!」
「ニドォォォ!」
相性の有利なニドキングを出したが、相手はあのピカチュウ油断せずバトルをする。
「ピカチュウ、『10まんボルト』!」
「ピィカチュゥゥ!」
と思っていたら、使って来た技が効果のないでんき技だった。
アニポケならではのアレでダメージが入るかもと思ったが、ニドキングにダメージは入らなかった。
「ニド?」
「そんな、効いてないのか!」
「ニドキングはじめんタイプなんだからでんき技は効かないでしょう!」
『10まんボルト』が効かないことに驚くサトシにカスミはアドバイスをしている。
「ぬるいな。相性ぐらい把握しておけ」
「何だと!」
思わず口が出てしまった。それに噛みついてくるサトシだが相性はポケモンバトルの重要なファクターなので知っているのと知らないのでは全然違う。
だがサトシは相性はポケモンのやる気と根性でなんとかなると思ってるようだ。
そういうバトルもあると思うが限度がある。実際に今、ピカチュウはニドキングにダメージを与えることが出来ないでいる。
「ニドキング、『じしん』!」
「ニドォ!」
こちらは堅実に弱点のじめん技を撃つ。ピカチュウは大きなダメージを受け肩で息をしている。
「こうなったら、ピカチュウ!『こうそくいどう』!」
「ピィカ!」
得意のでんき技が効かないと分かると素早さを上げてこちらを惑わせに来た。
「もう一度『じしん』だ!」
素早さを上げてもピカチュウは地面に足をつけているので『じしん』を使う。
「ピカチュウ!ジャンプして躱わせ!」
咄嗟にピカチュウをジャンプさせることで『じしん』を回避させるがでんき技が使えないピカチュウが空中で出来ることは何も無い。
「ニドキング、『どくどく』!」
濃縮された毒液を空中で身動きが取れないピカチュウに撃つ。『どくどく』を受けたピカチュウは苦しそうな顔をするがまだ立っている。
「よぉしピカチュウ、『でんこうせっか』!」
「ピィッカ!」
『こうそくいどう』で素早さを上げた状態でさらに『でんこうせっか』を合わせた事で目にも止まらない速さで攻撃してくる。
「ニドキング、防御だ!」
「ドォ!」
避けられそうもない攻撃だったので防御を固めてダメージを減らすことにした。そして、こちらを攻撃し終えると『でんこうせっか』は解除されピカチュウの速さも落ちたその瞬間を狙い、
「そこだ!『ベノムショック』!」
一瞬の隙を突き『ベノムショック』で攻撃する。ピカチュウは避けることが出来ず戦闘不能になった。
「チャア〜」
「ピカチュウ戦闘不能、ニドキングの勝ち!」
タケシがピカチュウの戦闘不能を宣言するとサトシはフィールドに入りピカチュウを回収するとカスミに預けた。
「ヒトカゲ!君に決めた!」
「!?カ…ゲェ」
サトシの2体目はヒトカゲだった。おつきみ山で戦ったあのヒトカゲだが、あの時よりも強くなっているのが戦う前から分かるのだが何か様子がおかしい。
「(俺達に怯えているのか?)」
シンジやニドキングを見る目が怯えていることに気づいた。タケシもカスミもヒトカゲが怯えていることに気がつくが
「どうしたんだヒトカゲ!ビビってる場合じゃないぞ!」
サトシはヒトカゲの怯えに気がつかないでいた。
「ヒトカゲ、『かえんほうしゃ』だ!」
「カゲェェ!」
「躱わせ!」
「ニド!」
奇しくもおつきみ山でのバトルと同じような指示になった。向こうは『ひのこ』が『かえんほうしゃ』にパワーアップしているが平常じゃないせいか狙いが悪く余裕で避けることが出来た。
「ヒトカゲ、さっきからどうしたんだ!」
「……カゲェ」
「ニドキング、『どくどく』!」
「ニドォ!」
動きが鈍いヒトカゲを猛毒状態にしていく。ラス1での『どくどく』は強い。猛毒のダメージは時間が経てば経つ程強くなっていく。
ボールに戻せば増えた猛毒のダメージをリセットできるのだがヒトカゲが最後のポケモンになってしまったので交代ができない。
サトシはヒトカゲが『どくどく』を受けたのを見て慌てて技を指示した。
「ヒトカゲ、『かえんほうしゃ』!」
「ニドキング、『10まんボルト』!」
お互いの攻撃がぶつかり合い相殺するが猛毒状態のヒトカゲだけがダメージを受ける。
「(まるであの時の再現だな)」
覚えている技はおつきみ山の時とは違うがバトルの流れがまるであの時と同じなのだ。
そのせいかヒトカゲの状態を理解していないサトシの姿がダイスケと被る。
「ニドキング、とどめの『じしん』だ!」
「ニド!」
丁度、猛毒のダメージを受けて動きが止まったヒトカゲに『じしん』が直撃し戦闘不能になる。
「ヒトカゲ戦闘不能、ニドキングの勝ち!」
「そんな…。もう一度、もう一度バトルしてくれ!今度こそ勝ってやる!」
その根拠のない自信はどこから来るんだと思いながらも返事をする
「断る。お前のようなぬるいトレーナーと何度バトルしても結果は変わらない」
「何でそんなことが分かるんだよ!」
「自分のポケモンの状態も分からずバトルを続けさせるような奴に負ける訳がないだろう。お前はヒトカゲがビビってると思っていたらしいがあれは怯えていたぞ」
「俺もそう思ったぞ。何故怯えていたのかは分からないが」
やはりタケシは気付いていたようだ。
「恐らく俺とニドキングに怯えていたんでしょうね」
「どういうこと?」
同じくヒトカゲの様子に気づいていたカスミが聞いてきたので、全てを話した。
おつきみ山でそのヒトカゲとバトルしたこと、バトル中トレーナーのダイスケがヒトカゲを罵倒し続けたこと。
「俺とバトルした後何かあったんでしょう」
虐待か、はたまた暴言を吐かれたか分からないが間違いなく何かあった筈だ。でなければ俺達にここまで怯える理由が分からない。原因となったバトルの相手の俺達にトラウマのようなものが出来てしまったようだ。
ヒトカゲの様子に気付くことが出来なかったことにショックを受けているサトシに
「今のお前はダイスケと同レベルのトレーナーだ。ポケモンの状態を理解せず無理にバトル続けさせたぬるいトレーナーだ」
「俺はアイツとは違う!バッジだって4つ持っているんだ!」
ジャケットの裏側に付けているジムバッジを見せつけてきたが
「…で、それがどうした?ポケモントレーナーが上を目指すなら集めて当然だろ。それともお前の夢はリーグの参加条件にすら満たない数のバッジを集める事なのか?」
「それは……」
「俺の夢は最強のポケモントレーナーになる事だ。バッジをゲットして喜ぶ事はしてもその程度の事で浮かれたりはしない。そんなぬるい事をしている暇はない」
何百、何千、何万といるポケモントレーナーが夢を叶えられるのはほんのひと握りの数だ。
夢が叶わず諦めるトレーナーも少なくない、シンジもレイジが引退するのを間近で見たからこそトレーナーの道は果てしなく険しい事がよく分かっていた。
「バトルしろと言ったな。どうしてもバトルしたいのならカントーリーグに出場して勝ち上がるんだな」
項垂れているサトシに最後の言葉をかけた。そしてタケシに小声で
「これで良いですか?」
「嫌われ役を任せてすまない」
どうやら頼まれた役目は果たせたようだ。その様子を見ていたカスミもバトルの意味に気づいたようだ。
サトシが立ち直るのかどうかは知らないがタケシ達に任せ俺は近くのポケモンセンターに向かう。
ネタが切れてしまったので更新が遅くなります。週一ぐらいになると思います。
流石に1日1本の投稿は無理がありました。