ポケモン廃人に転生してしまった。バトルスタンバイ 作:エンパイア
「そうか!バッジを8つ集めたか!おめでとうシンジ!」
「兄貴、まだリーグへの出場が決まっただけなのに騒ぎ過ぎだ」
ポケモンセンターの通信で兄貴に連絡しバッジが集まった事を報告したのだが、大袈裟といっても過言じゃない程喜んでくれた。
俺ももちろん嬉しいのだが、これからが本当の勝負なので気は緩められない。
「それで、リーグまでどうするんだ?」
「実家でポケモン達と特訓するつもりだが、まだカントーでやる事があるから帰るのは少し遅くなるかもしれない」
そう、俺にはまだやる事がある。それはカイリューをゲットする事だ。
カントーの他のゲットしてみたいポケモンはゲット出来なくてもしょうがないと思えるが、カイリューだけはそうはいかない。
新無印編ではマスターズエイトの内3人が使用してたり、ゲームでも使用率がトップレベルに高く強い。
今後の事を考えると是非ゲットしたい。
問題は何処に生息しているかだ。サファリゾーンのミニリュウで分かるようにカイリューとその進化系統は伝説のポケモン程とは言えないがそれでも珍しいポケモンで生息地などはよく知られてない。
しかし、俺にはアテがある。それはカイリュー島に行く事だ。
カイリュー島とは原作でサトシがカイリューをゲットした島でそこにはカイリューだけではなく、進化前のハクリューやミニリュウも多く生息している。
アニメでは何処かの海域を彷徨っていたら、嵐に巻き込まれていつの間にかカイリュー島に着いていたが、カイリューはカントーのポケモンなので、恐らくカントーの何処かだと思う。
なので、まずは新無印編で活動拠点にしていたクチバシティの辺りの海で探す事にする
グレン島から船に乗りクチバシティに来て、クチバシティの港からパルシェンに乗せて貰い海に出る。ジバコイル、ゲンガー、フーディン、ストライクの空を飛べるポケモン達には空からカイリュー島を探して貰う。
しかし、3時間程探したがまだカイリュー島は見つからない。日が沈み始める前にクチバシティに戻ろうと思っていると、ジバコイルが俺に近づいて来た。
「ジババン」
「ジバコイル、見つけたのか?」
「ジバ」
どうやらジバコイルがそれっぽい島を見つけたみたいだ。パルシェン達に指示をして、ジバコイルの後をついて行く。
そして、一つの島に到着した。此処がカイリュー島なのか確認する為にどんなポケモンが生息しているのか調べようとすると、
「「「リュウ」」」
「「「バウ」」」
近くにある木々に隠れながら、俺の様子を伺うカイリュー達がいった。
どうやら、本当にカイリュー島に着いたようだ。カイリューの特性は『マルチスケイル』一択なので、早速、厳選しようとモンスターボールを準備していると、
「バァァァウゥゥゥゥ」
1体のカイリューが俺の上を通り過ぎていった。少ししか見れなかったが、あのカイリューは周りにいるカイリュー達よりレベルが高い。
もしかしたらカイリュー島の主かもしれない。そう思った俺は飛んで行ったカイリューをゲットする為に追う事にした。
島の中心ぐらいまで来て、ようやく地面に降りた。しかし、降りた場所にはある人物がいた。あの人は、
「貴方は、四天王のワタルさん!」
「いかにも、俺の名はワタルだ。君は」
「俺の名はトバリシティのシンジです。いきなり話しかけて、すいません」
予想外の人物が居て思わず話しかけてしまい、ワタルを困惑させてしまったので謝罪をする。
「ワタルさんはどうして此処に?」
「あぁ、俺はカイリューを複数ゲットしているんだが、その内の1体はこの島でゲットしたんだ。だから、偶にこうしてこの島に来て遊ばせているんだ」
ワタルはそう言いながら、俺がさっきまで追っていたカイリューを撫でていた。
「態々そんな事をしているんですか?」
ゲットしたポケモンの為にゲットした場所にまた来るなんて事をするトレーナーなどあまり居ないので質問してみる。
「ハハハ、そうだな。そんな事をする者は殆ど居ないな。だが、此処は俺にとっても大事な場所なんだ」
「どういう事です?」
「あれは、俺がまだ一般のトレーナーだった時、海をポケモンに乗って渡っていて偶々休憩で寄った島がこの島だったんだ。あの時は驚いたよ、あのカイリュー達がこんなにも生息しているのかってね。ただ、その後カイリュー達を捕まえようとポケモンハンターが来たんだが、このカイリューと力を合わせてなんとか追い返す事が出来たんだ。その時の事がキッカケで俺はポケモンGメンになろうと思ったんだ」
「なるほど」
「シンジ君はどうして此処に?」
「……この島にカイリューが生息していると聞いて、ゲットしようと思って来ました」
今の話を聞くと答え辛いが、それでもくだらない嘘を言う訳にはいかず、俺の目的を話した。
「…そうか、それじゃあこれは俺のわがままなのだが、この島の事は無闇矢鱈に話さないでくれないか。」
「分かりました」
俺もカイリューが欲しいだけで、この島が荒れて良いとは思っていないので、ワタルの頼みを聞き入れる。
「バウゥゥゥゥ!!!」
突然、カイリューが雄叫びを上げて何処かに飛んで行く。
「カイリューどうしたんだ⁉︎」
ワタルはカイリューの後を追って走って行ったので、俺もそれに続いて走る。
走り続けると海岸まで来てしまった。そこで見た光景は大きな船とこの島に上陸する為の小型の船、そしてカイリュー達を網で捕まえている数十人ポケモンハンター達だった。
「お前達!!何をしている!!」
「マ、マズイ、ポケモンGメンのワタルだ!」
「だ、だけど1人なら俺達でもやれるんじゃないか?」
「全員でかかるぞ!やっちまえぇ!」
ポケモンハンターは激昂しているワタルに気付くが、この人数なら勝てると判断して各々ポケモンを出した。ゴルバット、スカンプー、スコルピなど、どこかシンオウを彷彿させるメンツだ。
ワタルは1人で戦おうとしているが、流石にこの数を相手にするのはマズイ。
「ワタルさん!」
「シンジ君、下がってくれ!」
「いくら何でもこの人数を1人でやるのは無茶です!俺も戦います!」
「……分かった。しかし、無理はしないでくれ。限界だと思ったら、直ぐに下がってくれ」
「分かりました」
ポケモンGメンとして、一般人を巻き込む事に抵抗があるようだが、ワタルもこの人数を一人で捕まえるのは難しいと思ったのか、一緒に戦う事を了承した。
「パルシェン、ストライク、ジバコイル、ゲンガー、フーディン、ニドキング、バトルスタンバイ!」
「シェェェン!」
「ストォォォ!」
「ジバババン!」
「ゲェェェン!」
「フゥゥゥゥ!」
「ニドォォォ!」
「ゆけ、サザンドラ、プテラ、ギャラドス、リザードン、カイリュー!」
「ドラァァァ!」
「ギャウゥゥ!」
「ギャラァァ!」
「リザァァァ!」
「バアゥゥゥ!」
俺もワタルも手持ちのポケモンを全て出してポケモンハンター達と戦う。
バトル自体は俺達が有利だが、相手はポケモンハンターなのでポケモンでは無く、何かの機械が使われないかと警戒しているが使ってこない。
「チッ、使えん奴らだ。お前達は邪魔だから船に戻ってろ」
あと少しで全員倒せるという所で、何処からか声が聞こえた。ポケモンハンター達が道を開けるように動くと、声の主が姿を見せた。
「お前は!!ポケモンハンターJ!!」
ワタルがその人物の正体を口にした。そう、アニポケのDP編で登場したあのポケモンハンターJだ。
「まさか、おまえがこの島に居るとはな。ポケモンGメン、ワタル」
「それはこちらのセリフだ。とっくにカントーから逃げたと思っていたぞ」
「カントーから逃げた?ポケモンハンターJはシンオウで活動しているんじゃないんですか?」
「確かにJはシンオウを拠点に活動していたが、カントーにもその勢力を伸ばそうとしていると情報があったんだ。そして、つい最近ポケモンハンターからポケモンを買ったという少年が逮捕されたのだが、その少年を取り調べをしたところ、少年にポケモンを売ったのがJの組織だったんだ。おかげで、J達のカントーでの拠点を特定出来たんだが、その事に気付いたJ達は拠点を捨てて逃走したんだ」
「……そうですか」
余りにも聞き覚えのある話に頭が痛くなりそうだった。
「(ダイスケお前か!!逮捕されても俺に迷惑かけるのか!!どんだけ使えない奴なんだ!!)」
「手ぶらでは帰れないのでな。この島のカイリュー、ハクリュー、ミニリュウを土産にしてシンオウに帰ろうと思ってな。進化系が揃っているなら高値で売れる」
「そんな事はさせん!!」
「丁度いい、貴様には拠点を潰された借りがある。借りを返させてもらおう」
「シンジ君、今度こそ下がっていてくれ」
「……はい」
相手があのJなら今の俺では足手纏いになりかねないので、悔しいが大人しく下がる。
「お前達もとっとと船に戻れ、邪魔だ」
「はい!!J様!!」
俺やJの部下達が下がり、Jとワタルが睨み合う。そして、
「いけ、ドラピオン!」
「ドラァァァ!」
「ゆけ、カイリュー!」
「バァァァウゥゥ!!」
Jはドラピオン、ワタルはカイリューを出した。カイリューは自分の故郷を金儲けの為にめちゃくちゃしようとしているのを怒っているのが、よく分かる。
「ドラピオン、『クロスポイズン』!」
「ドォォラァァ!」
「カイリュー、『はかいこうせん』!」
「バァウゥゥ!」
『はかいこうせん』が『クロスポイズン』を撃ち破りドラピオンに直撃する。
「チッ、だが『はかいこうせん』を使ったんだ、動けまい。『こおりのキバ』!」
攻撃の反動で動けないカイリューに4倍ダメージの『こおりのキバ』が命中する。しかし、カイリューは一瞬苦しそうな顔をするが耐えた。
「俺のカイリューの特性は『マルチスケイル』。こおりタイプの技であろうと耐える事が出来る!カイリュー、『ドラゴンクロー』!」」
カイリューに噛み付いているドラピオンのボディに『ドラゴンクロー』が直撃し吹き飛んでしまったがドラピオンはまだ戦えそうだ。
「『どくづき』!」
「『ドラゴンクロー』!」
二つの技がぶつかり合い煙が上がる。煙が収まると組み合っている2体の姿があった。
「その状態では何も出来まい!カイリュー、『はかい「ボーマンダ、『はかいこうせん』!」何⁉︎」
ワタルはチャンスを逃さず『はかいこうせん』で決着をつけようとするが、Jは新たにボーマンダを繰り出し『はかいこうせん』を……ワタルに向けて放った。
「ワタルさん、危ない!!」
「クッ!」
ワタルは倒れ込む様に伏せることで『はかいこうせん』を回避した。
「チッ、仕留め損ねたか」
「やってくれたな、J」
「貴様らのくだらないルールに従ってやる義理はない」
「お前がそのつもりなら、カイリュー、『はかいこうせん』!」
今度はワタルのカイリューがJに向けて『はかいこうせん』を放った。
「フン」
しかし、Jは軽やかな動きで避けた。
「そんな攻撃避けるなど造作も無い」
「避けてよかったのか?」
「何?」
すると、Jの後ろから大きな爆発音がした。カイリューの『はかいこうせん』はJの後ろにあったポケモンハンターの船に直撃した。
「しまった⁉︎」
「それだけではないぞ」
水平線からいくつもの影が見えた。
「まさか⁉︎」
「俺が応援を要請したポケモンGメン部隊だ。これでお前も終わりだ!」
「チッ、仕方あるまい」
Jはドラピオンをボールに戻して、ボーマンダの背中に乗った。どうやら逃げるつもりの様だ。
「部下達を見捨てて逃げるつもりか!そうはいかん!カイリュー行くぞ!」
「フン!」
ワタルもカイリューの背中に乗ってJの後を追おうとすると、Jは何か小さな機械をワタルに向かって投げ付けた。まさか、
「まさか、爆弾か!!カイリュー!!」
咄嗟に回避しようとしているが、間に合うかは分からない。なら、
「フーディン、『サイコキネシス』!爆弾をJに返してやれ!」
万が一の為にポケモン達を出したままにしていたのが功を奏した。
「何⁉︎ぐあぁぁぁぁ!!!!」
こちらに脇目も降らず逃げていたJは気付くのが少し遅れてしまい、自身の爆弾の爆発を受けた。
小型の爆弾だったので人の命を奪う程の威力は無かったが、それでもJを重症にするぐらいの威力はあった。
「……クッ、おのれぇ!!小僧!!」
Jは重症になりながらも、俺を睨み付けてきたがもうそれ以上の事が出来ないみたいだ。
ボーマンダも碌に動く事も出来ないみたいだ。
「シンジ君、ありがとう。お陰で助かった。……J、今度こそ終わりだ。大人しく捕まれ」
「ク、クソオォォォ!!!」
身動きが取れないJはアッサリとワタルに捕まった。その後はワタルとワタルが呼んだポケモンGメンの捜査員たちがJの部下を捕まえたり、捕らえられたポケモン達を保護したりして、全てが終わった時は日が暮れ始めた。
流石に今からカイリューをゲット、そして厳選しようとは思えず今日はカイリューは諦めるしか無いと思っていると、
「シンジ君、改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう。君のお陰でJとその部下達を捕まえる事が出来た」
「俺は当然の事をしただけです」
「ハハハ、謙遜しなくていい。Jの様な危険人物を逮捕出来たのは間違いなく君のお陰だ。そんな君にこれを渡そうと思ってな」
ワタルはそう言って自分の荷物から大きなケースを出し俺に渡して来た。ケースは透明で中が見える。中にあったのは、
「これは、ポケモンの卵!」
「そうだ、俺のカイリューの卵だ。今日のお礼として受け取ってくれないか?」
「ありがとうございます。大切に育てさせてもらいます」
まさか、ワタルのカイリューの卵を貰えるとは思わなかった。恐らく、特性は『ふしぎなウロコ』だろう。予定とは大分違うがそれでも、目的のポケモンをゲット出来たので、明日にはシンオウへ帰ろうと思う。