ソードアート・オンライン・アゲイン ∼今度こそ君を……∼ 作:八鍵 嘯
「あれは……!」
俺がそう叫んだのは狩りを再開してから約一時間半が経過した時、俺のレベルが4に達した直後、そろそろ一度村に帰ろうかという頃の事だった。それは今回のクエスト《森の秘薬》のキーアイテムがドロップする、俺たちが求めていたモンスター。
「……《花つき》!」
俺とコペルは顔を見合わせた。前回も見つけるのにβテストよりも長い一時間ほど掛かった筈が、今回はそれ以上だった。俺は冷静に、そして同時に強く祈りながら、周りを索敵で確認した。
確認したのは周りに《実つき》がいないかどうか。《実つき》の実は直径20センチほどのボール、《実》を捕食器の上に持ち、その実は少しでも傷をつけば即座に破裂して、臭い煙を出し、猛り狂った仲間を呼び寄せる。前回、俺はこれを使って
今回の俺の目標は「死なずにコペルを助ける」事だった。この状況で《実つき》が現れた場合、前回と同じ状況に陥り、再びコペルが──いや、今度は俺すらも死んでしまうかもしれないのだ。
そして結果は……無慈悲なことに、《花つき》からさらに数メートル先に、巨大な《実》を付けたリトルネペントが現れた。
愕然としながらも、俺はコペルにそのことを告げる。
「……コペル、あそこに《実つき》がいるぞ」
「ああ、ホントだ。じゃあ、僕が《実つき》のタゲを取る。その間にキリトは《花つき》を速攻で倒してくれ」
コペルは俺が返事をする前に、既に《実つき》の方へと走り出していた。前回と同じだ。
俺の脳裏にコペルのアバターが砕け散るイメージがよぎった。
「ああ、分かった」
俺は焦りを堪え、《花つき》の方へと駈け出した。
こうなってしまっては、俺ができることはただ一つ。
コペルが実を傷つけるよりも早く《花つき》を倒し、コペルの元へ向かってそれを阻止することだ。それを実行する方法はただ一つ。《花つき》を一撃で倒すことだ。
幸い、リトルネペントの弱点は分かっている。茎と巨大な捕食器のついたウツボの接合部である。そして、現在の俺は、VR世界のアバター操作に関しては当時とは段違いで、このようなゆっくりとしたモンスターならポリゴンのドット単位で精密な攻撃ができる自信がある。
よって、
「せいっ」
目の前の《花つき》は弱点を正確に狙い打たれ、大音量のサウンドとともにガラス片を飛び散らせて消えた。
その光景を確認することなく、俺はコペルの方へと駆ける。
コペルがモンスターの死亡サウンドを聴いてか、俺の方をチラリと見た。その眼は大きく見開かれていた。きっと俺がこんなにも早く《花つき》を倒してくるとは思わなかったのだろう。
それを見て、俺は安堵した。
──これなら間に合う!
しかし、直後。コペルが相手をしている《実つき》の行動を見て、その安堵は完全に消えた。
あれは──腐蝕液噴射の
こちらを向いているコペルは、未だ気づいていない。
第一目標:クライン達の先導(継続中)
第二目標:コペルの殺人と死亡の回避(継続中)
コペルが危ない!
次回で「始まりの日」編が終わ……ればいいなぁ