ソードアート・オンライン・アゲイン ∼今度こそ君を……∼   作:八鍵 嘯

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索敵と隠蔽

 目と鼻の先。既に捕食器いっぱいに腐蝕液を溜め込んでいる《実つき》の向いている角度から俺は瞬時にその効果範囲を割り出した。

 

「全力で左に跳べっ! コペル!!」

 

 俺のその一言は、コペルの意識に届いたようだった。

 コペルはその一瞬で《実つき》の予備動作(プレモーション)に気付き、指示通りに左に跳んだ。しかし、その回避は完全には成功せず、コペルは足に腐蝕液をくらってしまう。

 

「はぁぁぁああああ!!」

 

 それを見た俺は、腐蝕液で動きが阻害されているコペルを助けるべく《実つき》へと攻撃を仕掛ける。

 単発技《スラント》。スモールソードの刀身が仄かに水色に光を放ち、《実つき》を襲う。

 当たり所がいまいちだったのか、HPバーはそれほど減っていない。だが、少なくともその標的を動けないコペルから俺に移すことは出来た。

 俺に目標を変えた《実つき》は技後硬直中の俺をその鋭いツルで狙うが、ツルの先が身体に届く直前に俺は硬直を抜け出し、それを回避した。

 そのまま連続で剣を叩きつける。

 

「うぉぉおおおおおおお!」

 

 そして、何撃目かの攻撃でようやく《実つき》はHPが(ゼロ)になり、ガラス片のようなものを飛ばしながら消えていった。

 それを見て俺は安堵して、コペルのいた方を向く。

 そこに、コペルはいなかった。

 何処へ行ったのだろうと辺りを見渡すと、先ほど自分が《花つき》を倒した辺りに一匹のネペントの姿。そいつはなぜか近くにいる俺には見向きもせずに何かを追っていた。

 悪い予感がする。

 急いでそのネペントの方へと向かおうと、足を踏み出した直後。ネペントがそのツルを振るった。そして、その先で何かが蒼い破片をまき散らしながら爆散した。

 それは、モンスターではなくプレイヤー死亡時のそれであった。

 

 

 

 

 コペルは著しく動きが阻害されているこの状況でも諦めていなかった。

 そう、この時コペルはこう思っていたのだ。

 彼、キリトを囮にすれば逃げることもできる。いま逃げれば自分は殺されずに済む、と。

 つまりコペルはキリトは自分を助けに来たのではなく、自分を殺しに来たのだと思っていたのだ。

 状況を客観的に見ればそんな事、思いつきもしないだろう。現に、キリトはコペルに最適な回避ルートを教えていたのだ。

 だが、コペルは自分がキリトをMPKによって殺そうとしたように、キリトもまた自分を殺そうとしていると信じて疑わなかった。

 自分はまだ死ぬわけにはいかない。そのためにはクエストの報酬を、《リトルネペントの胚珠》を手に入れなければならない。キリトがだとえ一撃で《花つき》を倒せたとしても、あの時間では拾う時間はなかったはずだ。ならば、その《胚珠》は未だそこに放置されているはず。

 そう考えたコペルは現在の状態での最高速度で《胚珠》があるであろう方向へと向かった。当然、スキル《隠蔽》を発動させて。

 そして《リトルネペントの胚珠》が見え、安堵した直後。コペルの背中を何か細い鞭のようなものが襲った。視界の左端に表示されたHPバーが大きく減り、七割ほどあったそれは一気に三割を切った。

 コペルは驚愕して、攻撃の主を見る。

 そこにいたのはごく普通のリトルネペント。

 

「なんっ……!」

 

 そして、続く二度目のツル攻撃によってコペルの意識は遠のき、拡散していった。




第一目標:クライン達の先導(継続中)
第二目標:コペルの殺人と死亡の回避(失敗)

次回で「始まりの日」編は終わります。

そのあとは待ちに待った「第一層攻略」編!

次回は今日の午後三時に投稿。
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