ソードアート・オンライン・アゲイン ∼今度こそ君を……∼   作:八鍵 嘯

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救える命

「うぉりゃああああ! スイッチ!」

 

「せいっ! やぁ! ぅおおおっ!」

 

 翌日。俺はクライン達のレベリング、そしてスイッチを始めとする初歩的なシステム外スキルを教えていた。

 結構様になってきた、クライン達の戦闘をぼんやりと眺めながら、俺は昨日の夜のことを考えていた。

 ソードアート・オンラインにおける最重要要素であるスキル。スキルを取得するには《スキルスロット》が必要だ。初期アバター、つまりレベル1プレイヤーの《スキルスロット》は二つ。その二つを俺は《片手用直剣(ワンハンドソード)》と《索敵》で埋めていた。

 ソロプレイヤーとして生きていくことを決意した俺にとって必須なスキルの内、最初に取っておかなければいけないものは三つあった。攻撃性のスキルそして《索敵(サーチング)》と《隠蔽(ハイディング)》だ。そして、今回受けるクエスト、《森の秘薬》の相手は視覚以外で獲物を察知するタイプのモンスターで、その類のモンスターには《隠蔽》は効果が薄いのだ。

 故に、俺は現時点での《隠蔽》スキルの取得を諦めた理由だった。

 そして、彼。コペルという名の少年は俺のようにβテスターだったが、この二つ目の情報を持っていなかった。だから彼は《索敵》ではなく《隠蔽》を取ってしまった。

 そして、《隠蔽》を発動していたうえでリトルネペントに見つかり、まともに動けない状況の中で殺された。

 もし、俺がコペルと出会った時点でそのことを伝えていれば、また結果は変わっていたかもしれない。だが今となっては詮無きことだ。

 今の俺にできることは、この事実を受け入れ、同じ過ちを繰り返さないことだけだ。

 これから先、救えなかった命を救える機会がどれだけあるのか。

 初期の攻略組をまとめて人々に希望を与えたディアベル。

 ケイタやサチといった《月夜の黒猫団》のメンバー。

 七十四層のボスに殺された《アインクラッド解放軍(ALF)》のコーバッツ。

 他にも投獄するだけのつもりだった《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》のメンバーだってそうだ。

 はあ、とため息を吐いた俺に、クライン達が尋ねて来た。

 

「おーい、キリトよう。この辺り一帯のモンスは狩り尽くしちまったぜ? どうするよ」

 

「そうだな。ちらほらプレイヤーが増えて来たことだし、そろそろ次の村へと進むか」

 

 そして、その日の昼頃には次の村へとたどり着いた。そこで夜遅くまで訓練をした後、俺はクライン達と別れた。一週間後にまた様子を見に行く約束をして。

 俺はその日の内に、次の街へと走り出した。

 




第一目標:クライン達の先導(無事終了)
第二目標:コペルの殺人と死亡の回避(失敗)

次回からは「第一層攻略」編!
アスナ登場!

次回は八日の九時ごろに投稿。
お楽しみに。
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