再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

1 / 64
活動報告に記載と同様の内容ですが、今回は司波隆誠として転生しています。


司波隆誠編
ある意味ハードモードな転生先


 古葉(こば)小百合(さゆり)には龍郎(たつろう)と言う愛する恋人がいる。二人が新たな人生の門出を迎えようと結婚する前、突如引き裂かれる悲劇が起きてしまう。

 

 それを起こしたのは十師族『四葉家』。良質の遺伝子を持つ者を探していた四葉家が規格外の想子(サイオン)を保有している龍郎に目を付け、その横車によって小百合は龍郎と強引に別れさせられた。

 

 四葉と言う強大な力を持った家に逆らう事が出来ず、身を引く事を受け入れざるを得なかった。加えて龍郎の妻となる『四葉深夜(みや)』は四葉家当主『四葉真夜』の実姉で、『忘却の川の支配者(レテ・ミストレス)』の異名を持つ伝説と化している魔法師。自分では到底敵う相手ではないと既に分かり切っている為『諦める』と言う選択肢しか無かったのだ。深夜の死去後、小百合が龍郎と結ばれるのは十六年と言う歳月を経る事になる。

 

 本来の歴史だと小百合は龍郎と強引に別れさせられた事で子供をつくれず、ずっと龍郎を待ち続けていた。彼と漸く再婚して子供が出来たのかは不明であるが、不運な人生を送っていることに変わりはない。

 

 しかし、予想外な事態が起きる事となった。四葉の圧力によって諦めた筈の小百合が、思い切った行動を起こした。せめてもの抵抗として、龍郎が四葉深夜と結婚する前に()(だね)を得て、その子と一緒に待ち続けようと。

 

 未婚の女性がそんな不埒な行いをするのは言語道断だと彼女も重々承知している。貞操観念が強いこの世界でそんな事をすれば、確実に周囲から白い目で見られるだろう。自分は長い間待たされる身になるのだから、歳を取った状態だと子供が授からない可能性が高い。そう考えた小百合は四葉家に気付かれないように、龍郎とのほんの短い時間を作った。

 

 結果として、彼女は子を身籠ることに成功した。それを後ほど知った龍郎は、本当に愛する女性との間に子供が出来た事を密かに喜んだ。四葉家もその情報は当然掴んでいたが、愛人の見苦しい抵抗と蔑みながらも敢えて放置した。四葉家当主の四葉真夜だけは何故か他と違って蔑みはせず、興味深そうに眺めているが。

 

 小百合が産んだ子供の性別は男であり、再婚したこともあって現在の名は『司波隆誠』。本来は『兵藤隆誠』として生まれる筈だった元神は、小百合と龍郎の息子として転生したのであった。更には達也と深雪の異母兄弟と言うオマケ付きで。

 

 魔法科高校に通っていない司波隆誠は本来の歴史と違い、今も極普通の一般人……とは言い難いが平穏な生活を過ごしていた。神の能力(ちから)は備わっていたが、再転生した事で力は低下していた。それでも家族や周囲に気付かれないよう密かに鍛錬して、現在は必要最低限の実力を取り戻していた。

 

 それとは別に新しい転生先となった自分の両親が色々複雑な事情があると知りながらも、隆誠は敢えて何も知らないフリを続けていた。母の小百合が龍郎と結婚した事で、隆誠に腹違いの弟と妹がいる事を聞かされた時は少々驚いたが。

 

 弟は司波達也で、妹は司波深雪。その二人は龍郎の前妻である『司波深夜』から生まれた子供であり、彼女の旧姓は『四葉』。十師族の中で最も恐れられてる四葉家の者で、小百合の人生を引き裂いた元凶でもあった。深夜が結婚して子供が生まれた後、もう用済みと言わんばかりに龍郎を四葉家から閉め出すが、当の本人は小百合が産んだ息子の隆誠に漸く会えるから別に構わないと思っていた。

 

 小百合と龍郎の人生を滅茶苦茶にした四葉家を『身勝手な一族』だと隆誠は心底軽蔑した。愛が一切無い結婚どころか、迎えた入り婿を用が済んだら平気で切り捨てる四葉家の行為に激怒した程だ。前世で家族愛を最も大事にしていたから猶更に許せなく、『聖書の神であるわたし直々の天罰を下してやる』と行動に出ようとしたが、そんな事をすれば不味いと思って何とか踏み止まった。もし本当にやれば四葉家は壊滅状態になるところだったが。

 

 隆誠と言う息子がいるお陰で司波夫婦はそれなりに充実した生活を送っているが、龍郎だけは前妻の子供である達也と深雪に対する負い目があるようだ。しかし下手に干渉すれば四葉家が絶対黙っていないので、敢えて見守るしかない。それが原因で事情を知る達也はともかく、深雪は父親を完全に見限ることになった。そうなる原因は四葉家にある事を知らずに。

 

 

 

 

 西暦2095年7月17日

 

 

 

「此処に来るのは久しぶりだなぁ……」

 

 雨天の日曜日で休日を過ごしている筈の隆誠はフォア・リーブス・テクノロジー(通称:FLT)へ向かっている。両親が突然泊まり込みの仕事が出来た為、隆誠に手作りの夜食を持って来て欲しいと頼まれたのだ。

 

 夜食は当然社内でも用意出来る筈なのだが、両親揃って息子の方が良いと言っていた。母親の小百合は普段家にいる時は料理をするが、会社で泊まり込みになる場合は必ず隆誠に頼んでいる。仕事で疲れてる時に息子の手料理を食べると不思議に心が安らぎ、気力も充実すると言ってるから。それは当然龍郎も同様に。

 

 二人の言い分に隆誠は呆れつつも、しょうがないなぁと満更でもなさそうに夜食を作って、こうしてFLTへ足を運んでいる訳であった。

 

「あら、隆誠君じゃない。今日は久々のアレで来たの?」

 

「ええ。そちらの本部長とその社員からのリクエストで」

 

 入って受付の女性と会うも、向こうは隆誠の事をよく知っていると同時にFLTへ来た目的を察していた。

 

 この会社にいる関係者全員は隆誠がFLT開発本部長の椎原(しいばら)辰郎(たつろう)(司波龍郎のビジネスネームである)、並びに管理部門の司波小百合の息子である事を知っている。小さい頃から何度も両親の為に夜食や着替えを持って来てる事もあって、大変に家族思いな息子と認識されている。

 

 隆誠は受付を済ませた後、途中で会った社員達と挨拶をしながら奥へ進んでいく。

 

(それにしても妙だな)

 

 本部長室へ向かってる最中、隆誠は社内の様子がおかしい事に気付いた。別におかしいと言っても悪い意味ではない。社員達の殆どが慌ただしく動き回っているが、喜色満面にあふれてると言う奇妙な行動に隆誠が訝るのは仕方の無い事だった。

 

 何かいい事でもあったのかと思いながら歩いていると、角を曲がりそうになってるところを誰かにぶつかりそうになった。

 

「おっと、申し訳ない! って、誰かと思えば若旦那じゃないですか」

 

「どうも、牛山さん」

 

 隆誠がぶつかりそうになるも、咄嗟に身を引いた事で回避出来た。

 

 目の前にいるのは作業服を着た技術者の男は牛山。FLTのCAD開発第三課の主任で、異母弟の達也と一緒に『トーラス・シルバー』と言うグループ名で魔法界全体の進歩させたほど有名な存在であった。しかし達也と牛山の存在は厳重に秘匿されており、世界から『トーラス・シルバー』は謎の魔法工学技師としか分からないままである。

 

「若旦那がここに来たって事は、本部長に会いに?」

 

「ええ。牛山さんもご存知の通り、夜食を持ってくるよう頼まれまして」

 

「かぁ~。ここには社員食堂があるってのに、本部長は相変わらず息子遣いが荒いですなぁ」

 

 そう言う牛山だが、実際は龍郎が息子の手料理を食べたがってる事を以前から知っていた。同時に両親の為に夜食を作る隆誠に対しても家族思いな息子と見ている。

 

「ところで、何やら社内が騒がしいような感じがしますが、何か良いことでもあったんですか?」

 

「……すいません。俺の口から言えませんので、そこは本部長の方で聞いて下さい」

 

「そうですか……」

 

「まぁ敢えて言えば、お宅の御曹司が現代魔法の歴史を変えようとしてるってとこですかね」

 

「達也が?」

 

 牛山は隆誠と達也に対してそろぞれ異なる呼び方をしている。

 

 兄の隆誠は『若旦那』で、弟の達也は『御曹司』。どちらも意味は同じだが、牛山としては区分けするにはそう呼んだ方が分かり易いとして今に至る。尤も、牛山としては一番に尊敬しているのは達也の方であるが。

 

「おっといけねぇ! すいません若旦那、俺はやる事があるんで失礼します!」

 

 そう言って牛山は一礼した後、即座に走り去っていく。

 

 相変わらず忙しい人だと思いながら隆誠は止めていた足を動かして、本部長室へ向かおうとする。

 

 そして父親の龍郎と会って夜食を渡しながら社内で何が起きたかを聞いてみると、牛山が言った通り歴史的偉業を成し遂げようとしてるようだ。これまで誰も完成できなかった飛行魔法を実現させたのだと。

 

(まぁ確かに偉業だな。この世界の人間にとっては)

 

 しかし隆誠からすれば非常に如何でも良いことだった。前世むかしの記憶と能力ちからを継承されてる為、空を飛ぶなんて造作もない事だから。

 

 当然この情報はまだ非公開の為、飛行魔法のデバイスが市販化されるまで秘密にしなければならないのだが予想外の事態が起きてしまう。まさか達也が発売前に九校戦のミラージ・バットで深雪に飛行魔法を衆目に晒したなんて、一体誰が予想出来るだろうか。

 




今回はいきなり九校戦編からになります。

殆ど飛ばし飛ばしで短く済ませます。

感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。