再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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すいません、今回も短いです。


隆誠の決断

(……はぁっ、やはりな)

 

 隆誠の懸念は見事に的中していた。ミラージ・バット決勝戦に出場してる深雪だけでなく、他校選手全員も飛行魔法を使っていたのだ。

 

 そうなったのは、達也が大会委員会にCADを預けたからである。その時に各校へ術式がリークされたのに間違いない。

 

 向こうからすれば不正疑惑の抗議に対する回答かもしれないが、FLT側からしたら完全な情報流出になっている。その原因を作ったのがFLT関係者の達也だから、隆誠からすれば堪ったものじゃない。

 

 決勝戦が始まる前、隆誠の携帯端末から電話が来ていた。龍郎からの連絡かと思ったのだが、母の小百合からで――

 

『隆誠、龍郎さんから聞いたわ! あの子達は一体何考えてるのよ!?』

 

 怒髪天を衝くと言わんばかりの怒鳴り声が鳴り響く事になった。

 

 そうなってるのは、FLT本社がまたしても問い合わせの嵐に巻き込まれているからだった。本来は管理部門に所属してる小百合が対応する必要は無いのだが、外部からの問い合わせが余りにも多すぎる為、FLT本社にいる社員の殆どがやらなければならないほど不味い状態に陥っているらしい。前回に飛行魔法を発表した以上に大変だと愚痴っていた。

 

 龍郎だけでなく、小百合からも達也と深雪にFLT本社に来るよう言われた。達也の屁理屈をこねた出社拒否を教えた直後、またしても怒号を鳴り響かせたのは言うまでもない。

 

 彼女は実の息子である隆誠に怒鳴ったりしないのだが、FLT本社が大変な状態になってる為、精神(こころ)に余裕が持てない状態に陥っていた。恐らくFLT本社にいる龍郎や他の社員達も同様だろう。

 

 思っていた以上の怒り具合を察した隆誠は、やはりこれは是が非でも愚弟(たつや)愚妹(みゆき)をFLT本社に出頭させた方が良さそうだと改めて認識した。飛行魔法を無断公開したあの兄妹に落とし前をつけさせなければ、FLT本社の全社員達は絶対納得しない筈だと。いくらあの二人が四葉家直系、並びに達也が『トーラス・シルバー』であっても、今回ばかりは流石に度が過ぎている。

 

(また会いに行ったところで、どうせまた屁理屈を捏ねて断るだろうな)

 

 隆誠は決勝戦を観ながら、達也にどうやってFLT本社へ出頭させるかを考えていたが、部屋でのやり取りを思い出した事で、何を言っても絶対断るだろうと予想している。

 

 口で言っても効果が無いのであれば、実力行使に出るしかない。余りにも野蛮な考えである事を本人は重々承知してるが、最早それしかなかった。

 

 だが、それを行うには色々不味い。隆誠が達也と深雪を圧倒出来る実力があると言っても、あの二人と違って誰にも知られないよう秘密にしている。独自に調べて判明した真夜や、隆誠と直接戦った者達は別だが。

 

 加えてあの兄妹に手を出せば、真夜と葉山を除く四葉家、並びにその分家が絶対黙っていない。達也と深雪は四葉家当主の真夜の姉である深夜の子供なので、分家の爪弾き者である隆誠が、四葉家直系の二人にそんな恐れ多い事を考えること自体あり得ないのだ。

 

 そう考えている中、突如周囲の観客達から悲鳴が上がった。飛行魔法を使ってる他校選手が魔法力が尽きたのか、空中でぐらりと体制を崩して落ちていくから。

 

 だがそれも束の間で、他校選手がゆっくりと降下してる為、客席全体がホッと息をついていた。

 

(アレが達也の言ってた『安全装置』、か)

 

 観客達が安堵の息を漏らすも、隆誠は他と違う反応を示していた。これで飛行魔法の詳細情報が完全に知れ渡ってしまったと嘆息している。

 

 達也からすれば安全性を宣伝してるかもしれないが、何度も言ってるようにこれは完全な情報流出であった。恐らく後ほどFLT本社は、安全装置についての問い合せも追加で来る事になるだろう。

 

 他校選手達がどんどん脱落していくも、深雪だけは当然のように残っており、最終ピリオドに移ろうとする。

 

(全く、向こうがどういう状況になってるのかを知らないで……)

 

 飛んでいる本人は大好きな達也(あに)の信頼に応えようと披露してるだけで、今も大変な目に遭ってるFLT本社にいる社員達の事なんか微塵も考えていないだろう。もしこの場に今も怒り心頭の小百合がいれば、絶対殴りたい衝動に駆られると断言出来るほどに。

 

(そう言えば深雪の奴、俺に殺意の目を向けていたな)

 

 深雪が妖精の舞(フェアリーダンス)を舞い踊っている事で観客達が魅了されるも、隆誠は突然ある事を思い出した。達也と話し終えて退室する際、深雪が殺意の目を向けていた事を。

 

 ほんの一瞬だったが、アレは確かに本気だったと隆誠は改めて認識する。

 

(あんまりやりたくないが、一応確認してみるか)

 

 嫌われているとは言え、神の能力(ちから)を使って妹の頭の中を覗くのに憚りはあったが今更だった。

 

 出来れば自分の思い過ごしで会って欲しいと一縷の望みをかけながらも調べ――非常に残念な結果となってしまう。

 

(俺を兄と絶対認めてないならまだしも、まさか氷漬けにしたい程の殺意を抱いてるとは、な)

 

 流石に殺すことまでは考えていないが、何の躊躇いもなく実行する為の算段を立てているから余計に性質が悪い。

 

 嫌っているのは知ってても、殺意を抱くほどの感情を抱かれていた事に、隆誠は僅かながらも残念な気持ちになっている。

 

 自分を身内と全く認識してないどころか、単なる赤の他人としか見ていないのであれば、如何に家族愛を大事にする隆誠でも考えを改めなければならない。寧ろ、これでもう踏ん切りがついた瞬間でもあった。

 

(良いだろう、深雪。それほどまでに俺を氷漬けにしたいのなら、元神である聖書の神(わたし)の恐ろしさを見せてやろう)

 

 向こうが今も算段を立てているのであれば、敢えてそれに乗ってやろうと隆誠は考えた。

 

 深雪に手を出せば間違いなく達也が黙ってないだろうが、それは好都合である。寧ろ本命は彼だから。

 

 もし深雪が誰かに暴行などで傷を付けられた瞬間、達也は怒りに目覚めて対象を殺そうとする。例え腹違いの兄であっても何の躊躇いもなくやるだろう。

 

 真夜は勿論のこと、四葉家や他の十師族であっても達也を倒せないだろう。元神である隆誠を除けば。

 

(達也が何度倒しても懲りずに立ち向かってきた場合、『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』を封印するとしよう)

 

 既に本戦ミラージ・バット決勝は終了して、観客達が優勝した深雪に熱狂的な拍手を送っていても、隆誠は全く気にしないのであった。




いまいちな内容かもしれませんが、今回は隆誠が深雪と達也を制裁する為の口実話です。

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