再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は凄く短いのでフライング投稿です。


九島烈との軽い話し合い

()(どう)(れつ)、か)

 

 日本の魔法師の間で敬意を以て『老師』と呼ばれる老人――九島烈に遭遇した隆誠は、少々面倒なことになったと内心眉を顰めていた。

 

 彼こそが十師族という序列を確立した人物であり、約二十年前までは世界最強の魔法師の一人と目されていた人物。その当時は『最高にして最巧』と謳われ、『トリック・スター』の異名を持っていた。尤も、先程まで圧倒していた達也と同じく、元神である隆誠からすれば強敵じゃないどころか単なる遊び相手に過ぎないが。

 

 それとは別に、この老人の事についても真夜から聞いている。第一線を退いて殆ど人前に出る事はないが、九校戦にだけは毎年顔を出している事を。

 

 一般客に扮してる自分と遭遇する事は無いだろうと隆誠は全く警戒していなかったが、こんな場所で遭遇するとは完全に想定外だった。

 

「君は――司波隆誠君だな。そこの司波達也君の腹違いの兄だとか」

 

 一切名乗っていないにも拘わらず、九島は彼の事だけでなく、達也との家族関係についても知っていた。態々それを口にしたのは、自分達の事を既に調査済みだと言う事を言外に告げているのだ。

 

 普通の人間なら当てられた事で動揺するが、隆誠はそれを微塵も見せていない。九島烈は四葉家に対して警戒している為、自分達の事を調べ上げているだろうと真夜より聞かされているから。

 

「それで、此処で一体何をしていたのかね?」

 

 隆誠の素性を一切確認しないまま、九島は改めて問い直した。

 

「単なる兄弟喧嘩ですよ」

 

「ほう」

 

 答えた瞬間、九島の目に宿る眼光が強さと鋭さを増していた。

 

 その光をまともに浴びた隆誠だが、全く怯んだ顔を見せていない。まるで恥ずかしい所を見せてしまったみたいに苦笑しているだけだ。

 

「愚弟は少しばかりおイタが過ぎまして。それでも穏便に済ますつもりだったんですが、コイツの我儘の結果がコレという訳でして」

 

 話してる最中に深雪が愚行を犯した事で、任務中の達也が隆誠を始末しようと急いで戻るも、弟妹揃って兄に敗北する結果となった。そして気絶してる二人を部屋に送ろうとしていたところ、九島烈に目撃されて今に至る。

 

 完全に内容は暈しているが、隆誠は決して嘘を言ってない。兄弟間の争いになったのは確かであり、九島は自分のことを知ってると思い、敢えて名乗らないまま勝手に話を進めているのだから。

 

「…………………」

 

 返答を聞いた九島は先程までと打って変わり、まるで呆気に取られるような表情になった。隆誠の発言を聞いた事でそうなっているから。

 

「………ク、クックック……ハッハッハッハ!」

 

 すると、今度は突然大笑いをする九島に隆誠が少しばかり戸惑う。それも凄く楽しそうに。

 

「いやはや……大したものだ。なるほど、真夜が君に興味を抱くのは無理もないな。ククク……!」

 

「当主殿から俺の事を聞いたのですか?」

 

「数年前に少しばかりな」

 

 三年前の当時、九島は師族会議議長の席にあった。加えて一時期に真夜は彼の教え子だった事もあり、運が良かった訳では無いが、師族会議が終わって久しぶりの思い出話に興じていた。それで隆誠についての話題になった際、真夜が珍しく饒舌に語っていたのが印象的で今も鮮明に憶えている。

 

 そして偶然にも隆誠と遭遇して話すも、真夜らしくない行動を取った理由が何となく分かる気がした。目の前にいる若者は普通の人間と何かが違う事に。

 

 同時に興味を抱き始めている。まだ話して間もないが、九島は自分でも全く分からないのに、何故かこの若者に対する知的好奇心がくすぐられているのだ。

 

 けれど、今回は敢えて此処までにしておくことにした。経緯は全く不明であっても、司波隆誠が深夜の息子である司波達也を簡単に倒せる実力があると分かっただけで充分な収穫だったから。先程まで、『単身で戦略誘導ミサイルに匹敵する戦力』と自分に語っていた独立魔装大隊隊長の風間少佐が、少々道化のように思えて再び笑いが込み上がりそうになっている事も含めて。

 

「君ともう少し話したいところだが、彼に申し訳ないのでね。用が済んだのであれば行きなさい」

 

「よろしいんですか? このまま俺達を見逃しても」

 

「私は夜風に当たろうと此処へ来ただけなのでな」

 

 九島の発言に隆誠は訝るが、追求する姿勢を見せていないのが分かったから、敢えてそれに乗る事にした。

 

 それでも警戒は緩めず、達也を担いだまま彼を通り過ぎようする直後――

 

「司波隆誠君、いずれ君とはまた会って話をしたいものだね」

 

「その時には俺が淹れた紅茶を用意しておきます」

 

「ほほう、では『その時』を楽しみにしているよ」

 

 完全に狙いを定めたように言ってきたので、隆誠が返した途端に益々笑みを浮かべる九島であった。

 

(私が紅茶好きなのを真夜から聞いたのだろうか)

 

 自分のお気に入りである紅茶を用意すると言った事に少しばかり疑問を抱いていたが。

 

 そして達也を担いだ隆誠が屋上から去った後、自分を捜していた護衛達が慌てながら現れる。ついさっきまで気軽に話していた若者について一切触れず、九島は軽く謝罪しながら屋上を後にする。




そろそろ司波隆誠編に区切りを付けたいので、内容を短くすることにしました。

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