再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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更新する予定じゃなかったのに更新してしまった。

youtubeで魔法科高校の劣等生が2024年放送予定と知った為、他の作品を書いてる最中に思い浮かべてしまいました。


予想外の来客

 達也と深雪が九校戦で飛行魔法を無断使用した事でFLT本社は大変な状態となっていたが、今はもうすっかり落ち着いている。その二人が隆誠からの折檻で徹底的に叩きのめされた為、謝罪とお詫びを兼ねて業務サポートした結果、あっと言う間に終わったのだ。

 

 『トーラス・シルバー』こと達也が如何に優秀であったかを証明された他、滞っていた業務が効率良く終わらせた実績によって、蟠りがあった社員達も何一つ文句が言えなくなっていた。それでも二人の継母である小百合は完全に許してはいないが、隆誠がフォローした事で如何にか抑えて事なきを得ている。

 

 達也や第三課が必死にサポートして頑張っている中、深雪は隆誠に頭を下げて必死にお願いをした。『友人から泊りがけのお誘いがありまして、どうかその間だけお兄様を休ませて下さい』と。

 

 そのお願いを聞いて最初は疑う隆誠だったが、さり気なく能力(ちから)を使って頭の中を探ってみたところ、一切嘘偽りが無く本当であったと判明する。

 

 二人を誘った友人は、以前の九校戦で活躍していた北山雫と言う少女。20世紀から続く実業家の家系の大富豪であり、ホクザングループの総帥『北方(きたかた) (うしお)』(本名は北山潮)の娘。

 

 その令嬢が達也と深雪の友人だと言う意外な事実を隆誠は既に予想していた。九校戦で達也が彼女に最新式の汎用型CADや『能動空中機雷(アクティブ・エアー・マイン)』を提供していたから、単なる選手とエンジニアだけの関係では無い筈だと。

 

 本当は妹からの懇願を却下したい隆誠だったが、特例として許可を出す事にした。愚かな行為をした達也や深雪と違って、北山雫には何一つ咎は無いから、ここで無下に断ってしまえば申し訳ない気持ちになる。益してや友人の思い出作りに水を差すようなことはしたくないと、前世(むかし)に学生時代を経験してる元神としては猶更に。

 

 嘘じゃないとは言え、隆誠は取り敢えずと言う形で釘を刺している。『宿泊日数を過ぎて達也がFLT本社に来なかった場合、精霊の眼(エレメンタル・サイト)を永久封印する』と警告した瞬間、深雪はビクッと身体を振るわせて顔を青褪めながら深々と頷いた。

 

 隆誠としては腹違いの弟妹に脅す行為をしたくないのだが、二度と付け上がらせないように心を鬼にしている。それでも再度愚かな行為に走ったその時は今度こそ一切の情けを掛けず、魔法師生命を永遠に断たせてやると思いながら。それを知った(真夜と葉山を除く)四葉家が自分を危険視して始末しに来た場合……それは隆誠しか分からない。

 

 達也と深雪の問題は解決したと隆誠は一旦安堵するも、別の問題が起きるのであった。

 

 

 

 

 西暦2095年9月上旬

 

 

 

「まさか君達が家に来るとは思わなかったよ」

 

 再び日常生活に戻っている中、予想外と言うべき双子の来客が訪れていた。

 

 その双子は四葉家の分家の一つである黒羽家長女の『亜夜子』と黒羽家長男の『文弥』。二人は達也と深雪の実の再従姉弟(はとこ)だが、隆誠からすれば血の繋がりが無い義理の再従姉弟(はとこ)になる。

 

 亜夜子はリボンとフリルをふんだんに使った服装で、文弥は背広を身に纏っている。

 

 双子ゆえに同じ顔立ちをしてる所為なのか、文弥は男でありながらも女性みたいな顔立ちをしてる。当の本人はそれを凄く気にしているのだが、任務である事(・・・)を強いられて為に余計コンプレックスを抱く破目になっていた。

 

「それで、亜夜子ちゃんと文弥君は一体どんな用件で来たんだい?」

 

 リビングへ招いてソファーに座らせた後に隆誠が飲み物を用意したのだが、二人は一切見ないどころか手を付けようとしない。まるで興味すらないみたいな感じを示している。

 

 因みに家に龍郎と小百合はおらず、隆誠が双子の対応をしている。両親が会社で泊まり込みの仕事をしてる為、この場には隆誠しかいないのだ。

 

「貴方如きに気安く名前で呼んで頂きたくないのですが」

 

「ちょっと姉さん、失礼だよ!」

 

 口を開いて早々、大変不機嫌そうな表情をしてる亜夜子から辛辣な一言が返ってきた。

 

 姉の発言に文弥が窘めようとするも、彼女は聞く耳持たずで顔をぷいっとする。

 

「隆誠さんは一応(・・)僕達の義理の再従兄(はとこ)なんだから!」

 

(君も失礼だよ)

 

 深雪みたいに他人行儀な呼び方をしてるだけでなく、一応と強調してる文弥も充分に失礼だった。それでも亜夜子と違ってまだマシと言えるだろう。

 

 この双子にも力の差を教えてやろうかと隆誠は一瞬考えるも、すぐに止めようと考えを改めた。そんな事をすれば、愚かな行為に走った深雪と全く変わらないと。

 

 他にも自身の影に潜んでいるフェンは、今もジッと亜夜子と文弥を見ている。勝手な真似をしないよう厳命されている為に手は出さないが、それでも隆誠からしたら冷や冷やものだ。

 

 亜夜子に何を言っても無駄だと悟ったのか、文弥が代表するように用件を言おうとする。

 

「今回僕達が此処へ訪れたのは、隆誠さんにお聞きしたいことがあるからです」

 

 亜夜子と文弥は黒羽家当主の子供でありながらも、諜報部門の仕事を行える優秀な人材として扱われている。

 

 そんな二人が四葉家から爪弾き扱いしてる隆誠に態々会いに来たのは、何か相当な理由があるかもしれない。

 

 魔法的な手段のみならず、通信傍受やハッキングや伝統的な人手による調査まで、情報を集める手段を豊富に有している黒羽家ならば、他人の行動履歴を調べることなど造作も無い。それは本来プライバシーの侵害と言える行為だが、これが黒羽家の在り方なのである。隆誠としては、よくもまぁ平然と違法行為が出来るものだと内心呆れているが。

 

「確か隆誠さんは九校戦には興味が無かった筈なのに、今年は何故か観戦しに行ったとか」

 

「流石は黒羽家だな。そこまで調べていたとは」

 

「その後に達也兄さんは、特定の日を除いて、第一高校の夏休みが終わるまでFLT本社で仕事をしていました。発売前の飛行魔法を九校戦で無断公開した罰として、FLTの業務全般をサポートをする為に」

 

「うんうん。アイツが仕事を手伝ってくれたおかげで、今まで滞っていた業務が解消されたって、父さんと母さんが安堵していたな」

 

「………達也兄さんがそうしたのは、隆誠さんが原因じゃないかと僕達は考えています」

 

「何?」

 

 先程まで淡々と語っていた文弥だが、途端に隆誠を睨むように言ってきた。亜夜子も一緒に。

 

「隆誠さん、達也兄さん達に一体何をしたのですか?」

 

「いきなりな質問だな。俺は何もしてないぞ」

 

「惚けないで下さい」

 

 すると、亜夜子が割って入るように口を挟んだ。

 

「九校戦が終わってから、達也さんと深雪さんの様子がおかしい事は既に此方で確認済みです。お二人にFLT本社へ出頭するよう強制的に命じたのは、貴方なのでしょう?」

 

「命じたって……俺はあの二人にそんな強要をさせた憶えはないんだが」

 

 隆誠が兄として達也と深雪にミラージ・バットで飛行魔法を公開したのは違反行為だと言う事を教えた他、FLTにいる社員達に謝るよう説得した。と言うのが表向きになっている。

 

 しかし、この双子は簡単に信じられないだけでなく、何かしらの手段を使ったのではないかと疑っているようだ。

 

 それは大正解で内心お見事だと思いながらも、隆誠は敢えて身に覚えがないように振舞っていた。

 

「大体魔法の才能を一切持ってない俺が、二人を力付くで従わせるなんて無理に決まってるだろう。もし仮に実行したとしても、俺は今頃『凍傷』を治療する為に病院のお世話になってる筈だ」

 

「「………………」」

 

 隆誠の言い分に亜夜子と文弥は否定出来なく無言になった。

 

 確かに彼の言う通りの事をすれば、きっとタダでは済まない。達也と一緒にいる深雪が激昂し、全身から想子(サイオン)と言う名のブリザードを放出させる事態に陥るどころか、隆誠を容赦無く氷像にする光景が容易に想像出来るから。

 

 とは言え、それでも未だ腑に落ちない。あの達也と深雪が、一般人如きの隆誠の言い分に従ってFLTへ出頭するなど断じて有り得ないのだ。コレは絶対に何か裏がある筈と二人は確信してるが、決定的な証拠が無いのが現状だった。

 

 証拠が無くても此方から多少(つつ)けば何かしらの情報を引き出せると思って、亜夜子と文弥は義理の再従兄(はとこ)と言う理由で一応会いに来た。しかし相手はボロを出さないどころか、予想以上に強かな男だと改めて認識することになる。

 

 それでも二人は諦めずに問い詰めるも、隆誠が正論と言う名の返答しかしない為に無理だった。

 

 いっそこのまま捕えて強制的に吐かせようかと考えそうになるも、突如隆誠の持ってる携帯端末から着信音が響いた。

 

「もしもし。どうかしたの、父さん」

 

 電話をしてきたのは隆誠の父親である龍郎からだった。

 

 亜夜子と文弥は知っている。龍郎が亡くなった妻の深夜と結婚する前、愛人との間に子供を作った事を。一応事情は知ってる二人だが、それでも彼の事を結婚前にふしだらな行為をした最低男としか見ていない。

 

 そして電話を終えた隆誠は二人にこう言った。

 

「ゴメンな二人とも。急に父さんから夜食を持って来て欲しいと頼まれたから、悪いけど話はここまでだ」

 

「分かりました」

 

「では、私達はこれで失礼します」

 

 これ以上は無理だと分かった二人は諦める事にして、用が済んだと言わんばかりに去ろうとする。

 

「隆誠さん。一応言っておきますが、貴方が今こうして平穏な生活を送れているのは、真夜様からの慈悲だという事をどうかお忘れなく」

 

「勿論分かっていますよ」

 

 帰り間際に亜夜子が『余り調子に乗るな』と暗に脅したのだが、隆誠はすぐに従順な姿勢を見せた。

 

 本当に分かっているのかと疑いたくなる亜夜子だが、言いたい事は言ったので、文弥を連れて去るのであった。

 

「………全く、どっちが調子に乗ってるんだか」

 

 亜夜子と文弥が漸く帰った事に、隆誠は疲れたように嘆息していた。

 

 達也と深雪みたく、あの双子も痛い目に遭わせなければ一生改善しないと思いながらも、龍郎と小百合に夜食を作り始めた。




今回は達也と深雪の行動に疑問を抱いた黒羽家の双子が隆誠に会いに来たという、ちょっとした番外編みたいなものです。

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