再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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本編じゃなくIFの方を更新しました。


逃れられない宿命 Part2

 襲い掛かろうとする黒い自走車に乗っていた連中が、密入国者だと隆誠は何となく分かった。

 

 今の日本は監視カメラが隙間無く設置されているから、それで撮られた者の素性がすぐにばれてしまう事を、市民や正規の入国者であれば誰でも知っている。なのに銃を所持して襲い掛かろうとするのは、知っていながらも敢えてやっている、もしくはまともな手続きをせず不法入国した者のどちらかになる。尤も、相手が誰であろうと隆誠にとって関係無いが。

 

 いざ迎撃しようとするも、後ろから追いかけてくる達也が来た事で出番は隆誠の出番は殆ど無かった。あるとすれば、約千メートル先から達也を狙撃しようとしていたスナイパーの銃弾を未然に防いだのみ。達也の胸を貫こうとする弾丸を特殊警棒で防ぐ、と言う防御手段で。これには普段無表情の達也も驚きながらも、『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』でスナイパーを捉えた後、約千メートル先にいる対象を『分解』で消失する事になった。

 

 スナイパーに気を取られた事で、達也が倒した二人組の男は黒い自走車に回収された挙句に逃走と言う結果になった。本当はフェンに追跡をさせようかと考えたが、まだ周囲に他のスナイパーが潜んでいる可能性があるかもしれないと、敢えて追跡させず護衛に専念せざるを得なかった。隆誠の言い分に達也もそれに賛同している。

 

 と言う、尤もな理由を説明した隆誠だが、実際はもう既にフェンを追跡に向かわせている。以前に達也と戦って気絶させた後に頭の中を読んだ際、神霊と思わしき狼犬(フェン)と契約を結んだ事で自分を圧倒する力や魔法を得たと考えていた。余りにも的外れな勘違いに思わず苦笑しそうになるも、案外これはこれで利用出来るかもしれないと考えた隆誠は、自分の傍に居させる事で最も強力な盾になると言う内容を付け加えて誘導させた。達也が本当に信じたのかは不明であっても、少なくともフェンがいる事で隆誠の安全は守られると言う考えに至るのは確かだろう。

 

 これがもし嘗て大事にしていた弟の兵藤一誠であれば騙す行為など絶対しないが、隆誠は今の達也や深雪と既に距離を置いている為に嘘を吐く事にした。前の世界ならともかく、自分と全く関りの無いこの世界で転生した元神とばれたら非常に面倒な事になると考えたから。

 

 

 

 西暦2095年10月23日

 

 

 

 あれから二週間近く経ち、隆誠は何事も無かったかのように過ごしていた。

 

 あの襲撃以降から前と同じく化成体の監視だけに隆誠は疑問を抱くも、追跡を任せたフェンから情報が届いた事で判明する。監視している正体が大亜連合に所属する特殊部隊で、その連中が聖遺物(レリック)を狙っている事を。

 

 隆誠と同じく襲撃された達也、四葉家当主の真夜に教えるべきなのだが、それは敢えてやらなかった。達也は独立魔装大隊と言う心強い支援者がおり、自分から真夜に連絡すれば黒羽家に気付かれてしまう恐れがある為に出来ないのだ。

 

 色々考えた結果、自分がやらずとも向こうで如何にかするだろうと任せる事にした。『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』を密かに粛清した達也達なら問題無いから。それでも前のような襲撃が再度起きた場合は、隆誠の方でちゃんと対処するつもりでいる。

 

 そう結論して日々を送る中、隆誠は国立魔法大学付属立川病院に向かっている。そこで入院してる後輩の見舞いに行く為に。

 

 その友人は中学の頃より付き合いがある他、前世(むかし)の後輩だった木場(きば)祐斗(ゆうと)と似ている所が多々ある。全学年の女子達から大人気だけでなく、特に自分を一番尊敬する先輩として接している所が。それを知った隆誠は『本当に祐斗そっくりだな』と苦笑してしまいそうになった程だ。

 

 後輩が入院しているのは、先週に学校の授業で思わぬ事故が起きてしまい、片足を骨折する事になってしまったのだ。隆誠ならば一瞬で治すことは可能だが、それをすると色々不味いから、病院で治療する選択しかなかった。

 

 本来であれば治療に時間が掛かるのだが、この世界には治療魔法師もいる為、通常よりも短い時間で完治が可能となっている。元神の隆誠から見れば、この世界で使う治癒魔法は一種の子供騙しにしか見えなかったが、そこは敢えて何も指摘しない。

 

 時刻は現在四時を過ぎている。用事があって見舞いに行く時間に遅れる隆誠だが、詫びをしようと手作りのお菓子をちゃんと用意している。後輩が好きなお菓子だから、すぐに許してくれるだろうと思いながら。

 

「ん? 何か騒がしいな」

 

 隆誠が病院に辿り着くも、そこから警報らしき音が響いていた事で訝る。

 

(これは……暴対警報か!)

 

 火事であれば焼けた臭いがする筈だが、それが無いと言う事は別の警報だと隆誠はすぐに察した。

 

 暴対警報とは、暴力行為対策警報の略称。暴力行為、または犯罪行為に第三者が巻き込まれない為の警報であると同時に、治安回復の為の協力者を募るモノでもあった。

 

(無事でいてくれ!)

 

 隆誠は急いで病院に入ろうとする。状況は全く分からないが、入院してる後輩の身を案じているから。同時にもし犯人と遭遇したら、後輩を含めた患者達を不安にさせた報いを受けさせようと考えている。

 

 そして中に入ると、明らかに戦闘と思われる爆発音が聞こえた。発生元は後輩が入院してる四階である為、隆誠はすぐに向かおうと周囲の目を気にせず一瞬で跳躍して駆け付けようとした。

 

(誰かが飛び降りた……!)

 

 隆誠が両膝を曲げて跳躍しようとする寸前、四階から人影らしきモノがダイブした。

 

 そのまま一階へ落下後に着地したのは、かなり引き締まった体格をした大柄の男。

 

(コイツ、確か密入国した大亜連合の一員……!)

 

 大柄の男に隆誠は見覚えがあった。フェンから得た情報の中に、指揮官らしき男の傍にガタイの良い男が控えているのを見て、隆誠は恐らく副官だろうと推測する。

 

 まさか自分の目の前に突然現れるなど思いもしなかった。未だに監視してるとは言え、聖遺物(レリック)とは全く無関係な場所を襲撃するなど、流石にソレは無いだろうと隆誠は高を括るも、現に副官がやっているので考えが甘かったと反省せざるを得ない。

 

 病院へ来た目的は不明でも、遭遇してしまった以上は逃がす訳にはいかないと、隆誠は後輩の不安を消す為に動き出そうとする。

 

 

 

 大柄の男――呂剛虎は四階で戦闘をしていた千葉修次、そして女が加勢した事で不利と判断して逃走を図った。

 

 何とか二人から逃れようと、一階へダイブして着地に成功してそのまま病院から出ようとしたが、またしても予想外な人物と遭遇してしまう。

 

 その人物は以前から監視をしていた少年、司波隆誠。聖遺物を所持してる司波小百合の息子で、今も監視を続けている対象の身内。

 

 大亜連合特殊部隊隊長の(チェン)祥山(シャンシェン)から、『聖遺物(レリック)の解析が判明次第、司波隆誠を交渉材料として捕らえる』と言われている。彼を人質にすれば、母親である司波小百合が必ず応じて引き渡すだろうと踏んでいるから。もし応じなかった場合、その時は大亜連合で人体実験の日々を送る事になっているが。

 

(致し方ない……!)

 

 呂は隆誠を見て瞬時に考えた。この場ですぐに彼を人質として捕らえようと。

 

 未だ聖遺物(レリック)に関しての情報を得ていないが、自分と遭遇して隆誠に顔を見られてしまった以上捕らえるしかないのだ。下手に見逃してしまえば最後、後から知った司波小百合が息子を守ろうと学校を休ませようとする恐れがある為に。

 

 修次と女によって負傷してるが、魔法を使えない一般人の小僧如きに後れを取らない。そう考えて呂は隆誠に狙いをつけようとする。

 

 だがここで、呂は思わぬ光景を目にする。捕らえようとしている隆誠が、自分を見た後、まるで戦いを挑むかのように懐から特殊警棒らしきモノを取り出して構えようとしていた。

 

(愚かな!)

 

 恐らく自分と戦う為に護身用の武器を取り出したのだろうが、呂からすれば愚かな行為であった。

 

 抵抗する意思を見せた以上、反撃せざるを得ない。だが下手に攻撃したら大怪我をさせてしまう恐れがある為、ある程度加減してやらないといけない。かと言って余り無駄に時間を掛けたら、先程戦闘していた二人が来てしまうから、加減しながらも一撃で気絶させる選択しかなかった。

 

 そう考えて突進する呂だったが、構えていた筈の隆誠を急に見失ってしまう。

 

 一体何処へと見渡そうとするも、突然目の前に現れた直後、自身の上半身から途轍もない激痛が走ろうとする。

 

「がぁっ!!??」

 

 突然攻撃を受けた呂は上に向かって吹っ飛ばされながらも混乱していた。一体自分に何が起きたのだと。

 

 やったのが隆誠だと判明しそうになるも、余りの激痛に意識を失ってしまい、そのまま落下した後に地面へ激突する。

 

 

 

「う~ん……あとチョッとだったか」

 

 呂剛虎が地面に激突して意識を失ったのを確認するも、満足した表情ではなかった。先程使った神速の抜刀術『(あま)(かける)(りゅうの)(きば)』の踏み込みが若干甘かったのだ。

 

 以前達也に使った時は失敗と言う結果になったから練習したのだが、それでも隆誠が満足する結果にならず、こうして残念そうに見ているのであった。

 

 次こそは必ず成功させてみせると決意を新たにしていると、見覚えのある男女が此方へ駆け付けてくる。

 

「イッセー君!」

 

 隆誠に向かってそう呼んだのは、以前の九校戦で会った美青年の千葉修次。彼は隆誠の本名を知らない為に『イッセー』と呼んでいる。

 

 そう言えばまだ自分の本当の名前を明かしてなかったなと思いつつも、隆誠は彼等の方へと視線を向けた。

 

「お久しぶりですね、修次さん。それと貴女は以前お会いした――」

 

「渡辺摩利だ。この前は私のシュウ(・・・・・)が世話になったな」

 

「は、はぁ……」

 

 修次に挨拶をしながらも女性の方へ目を向けるも、向こうは自己紹介と同時に何故か『私のシュウ』と矢鱈強調していた。同時に警戒されており、隆誠は全く分からない。

 

「ところで、その怪我はどうしたんですか?」

 

「ああ、これはそこで倒れている男に……って、そんな事より!」

 

 修次の右手が赤く腫れ上がっているのを見た隆誠が案じるも、彼は全く気にしてないように詰め寄ってくる。

 

「さっきの技、もとい抜刀術は一体どこで編み出したんだい!? あの『人食い虎』を一撃で倒すなんて凄いじゃないか!」

 

「へ? あ、アレはですね……!」

 

 隆誠は途端に焦り出した。

 

 この病院に修次がいるとは思いもしなかったから、呂を一撃で仕留めようと『(あま)(かける)(りゅうの)(きば)』を使ったのだ。

 

 すると、怪我をしているにも拘わらず、修次は隆誠の両肩を掴んでくる。

 

「イッセー君、無理なのは重々承知してるけど、どうか僕と(剣の修行に)付き合ってくれないかな? やはり君じゃないと(剣の高みを目指すのは)無理なんだ」

 

「えっと、そんな事したら色々不味いんじゃないかと……」

 

 以前と同じく修次が自分と手合わせしたがっている事を隆誠は分かっているだけでなく、先程の技を見て剣士としての血が騒いでいるのだろうと察していた。

 

 しかしその意図に気付いていない者から見れば、修次は自分の恋人である摩利を放置して、年下の男子である隆誠に熱烈な愛の告白をしてる光景としか思えない。

 

「貴様ぁぁぁ!! 男のくせに一度ならず二度までも、あたしのシュウを奪おうとするなぁぁぁ!!」

 

「へ? ちょっ、何の話ですか!?」

 

「ま、摩利、いきなりどうしたんだい!?」

 

 またしても完全に誤解した摩利が暴れ出した事により、隆誠と修次は彼女の行動に不可解に思いながらも宥めようとする。因みにこの光景は、警察官が駆け付けて来るまで続くのであった。

 




再び見せられた隆誠と修次のBL疑惑に摩利が暴走する事になりました。

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