再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ 作:さすらいの旅人
大亜連合からの侵攻によって横浜は騒乱状態に陥っていた。隆誠が義憤に燃えて応戦している最中、ある場所も襲撃されていた。
「うわっ、何これ!?」
「
場所は変わって横浜国際会議場にあるVIP会議室。達也達は情報収集しようと、この部屋にある警察のマップデータを開いていた。
先程まで論文コンペ中だったが、突然の爆音と振動が起きた事で会場は騒然としていた。
その直後にはテロリストらしきゲリラ兵が会場内に侵入したが、そこは達也の活躍によって迎撃する事に成功している。けれど倒した敵はあくまで一部に過ぎない為、詳細な情報を得ようと考えていたところ、友人の北山雫が父親より教えてもらったデータを閲覧できるアクセスコードを知った。
この部屋は閣僚級の政治家や経済団体トップレベルの会合に使われる部屋で、本来であれば達也達が入る事が許されない。だがこれも雫がこの部屋の存在と暗証キーも知っているから、達也は是非とも使わせてもらおうと内心彼女に感謝した。もしバレたら非常に不味い事になるが、今の状況でそうも言ってられないのが現状だった。
そしていざモニターで状況を確認すると、海に面する一帯が危険地域を示す真っ赤に染まってる事で、予想を超えて悪化している状況になっていた。それを見た達也が顔を顰めていたところ、エリカとレオや他の友人達がもっと派手な反応を見せていたと言う訳であった。
防衛軍、並びに義勇軍も応戦しようと駆け付けているが、如何せん不利な状況だった。現場に警察官や警備員がいると言っても、侵攻軍やゲリラが持つ武装や兵器が強力である為にマップは更に赤く染まろうとしていく。
一通りの状況を確認した達也はシェルターへ避難する前に、先ずはデモ機のデータを処分する事を優先した。それが敵の目的かもしれない為、全員もそれに賛同している。
VIP会議室を出ようとする前に、モニターを消してもらうよう雫に頼むと――
「え、一体何が……?」
「どうした、雫」
突然の発言に達也は足を止めて振り向いた。
彼女がそう言ったのはモニターに何かあると思って見ると、丁度マップデータが更新されている。未だに日本側が不利な状況に変わりはないが、少しだけ異なっていた。危険地域となっている赤い部分の一部が途端に消えており、その穴を埋めようとゲリラが向かうもすぐに消失していくと言う奇妙な光景が。
「おいおい、どうなってんだ?」
「部分的にだけど、ゲリラの数が少しずつ減ってるわね」
達也と同じくレオとエリカもモニターを見ると、それぞれ思った事を口にしていた。真っ赤に染まっていた地域が突然息を吹き返したよう正常に戻っているから、そう言う反応が出るのは当然だろう。
「雫。この辺りのマップ拡大、もしくはそこにある街路カメラの映像を映し出せるか?」
「ごめん。私の権限で、これ以上のハッキングをやるとバレちゃう」
「そうか、無理を言ってすまなかった」
申し訳無さそうに首を横に振る雫を見て、すぐに謝罪する達也。自分でも無茶な要求をしていた自覚していた上に、流石にこれ以上は不味いと改めて理解した為に。
今すぐに確認したいの達也だが、それは後で独自に調べるしかないと結論を出して、改めてモニターを切ってもらうよう雫に頼んだ。
(しかし、あそこで一体何が起きている?)
深雪や友人達と一緒にVIP会議室を後にした達也だが、それでもやはり気になっていた。防衛軍や義勇軍が未だに到着してない中、一部分とは言え何故ゲリラ達を撃退してる状況になっているのかを。
あそこに偶然魔法師がいてゲリラと交戦しているにしても、そんなすぐに倒せるほど敵は弱くない。この会場へ侵入してきたゲリラ兵達は対魔法師用のハイパワーライフルを所持しており、外では他にも強力な兵器を使用している筈。いくらその魔法師が強いと言っても、民間人を守りながら戦うのは相当な苦戦を強いられるだろう。
(まさか……)
「お兄様、どうなされました?」
達也が移動中に深く考え事をしてるのに気付いたのか、隣にいる深雪が声を掛けた。
「いや、何でもない」
深雪に余計な心配をさせないよう、達也は考えるのは一旦後回しにしようと、デモ機の処分を優先する事にした。
彼は現時点で全く確証が無いと思いながらも、つい頭に浮かんでいた。一部のゲリラ兵達を倒しているのは、腹違いの兄である隆誠の仕業ではないかと。
☆
「ったく、本当にあの時の再現だな」
ゲリラ兵の集団を倒しても、また新たな集団が襲い掛かってくると言う一種のループ状態に陥っていた。大亜連合からすれば正体不明の敵一人に次々と倒されてる事で、一体何が起きていると言う困惑状態に陥っていることを隆誠はまだ知らない。
次々に向かって来る敵を倒しながらも、隆誠は三年前の『佐渡侵攻事件』もこんな感じだったと思い出している。侵攻してる相手が新ソ連じゃなくても、彼にとって単なる雑魚の群れに過ぎなかった。自身の身体能力と特殊警棒だけで簡単に倒しており、神の
因みに特殊警棒には隆誠のオーラが僅かに纏っており、それだけで強化と固定が施される為に破損する心配は一切無い。本来は打撃用の武器だが、隆誠の腕前であれば斬る事も容易い。尤も、斬ってるのは主に武装や兵器だけで、人間に攻撃する時は打撃のみで済ませていた。それでも骨が簡単に粉砕されてる他、オーラを注ぎ込ませた事で暫く動けない状態となり、ある意味生きた屍も同然の姿になっている。
応戦してるとは言え、隆誠がやっている事は正直言って焼け石に水状態だった。達也達がVIP会議室のモニターで見た通り、多くのゲリラや侵攻軍によって海に面する一帯が真っ赤になっている。そこで戦っている隆誠が本気を出さない限り、一気に逆転するのは無理だろう。
「よし、この辺りはもう大丈夫だ」
しかし、周囲を視た隆誠は目的を達成したように言った。彼がここで応戦していたのは、逃げている市民達を守る為だけに過ぎない。
これ以上相手をする必要は無いと判断して、すぐにこの場から離れようとする。後は此方へ向かっているであろう国防軍に任せるべきだと思いながら。
(そう言えば、此処から少し先に論文コンペの会場があったな)
移動してる最中、隆誠はふと思い出した。数キロ先に論文コンペ会場となっている横浜国際会議場がある事を。
ゲリラ兵の正体は既に知っている。敵兵の頭の中を探った際、侵攻しているのは大亜連合だと判明。連中は日本の有望な魔法師を拉致する他、魔法関連の情報を奪取するのが目的だった。それをやる理由としては、三年前の沖縄海戦の続きを行う為に。
余りにも身勝手極まりない目的を知った事で、隆誠はほんの一瞬ばかり、大亜連合国そのモノを滅ぼしてやろうかと本気で考えてしまった。彼が神の
だが、その考えはすぐに却下している。もし怒りに身を任せて滅ぼす事をすれば、その国にいる無関係な
大亜連合の目的の中には、魔法科高校の生徒達も対象になっている。だから論文コンペに参加してる者の拉致だけでなく、そこにある機材やデータも奪取する事も含まれていた。
あの会場に達也だけでなく深雪も当然いるが、隆誠は全く心配してない。あの弟妹の実力であれば問題無く敵を容赦無く迎撃する光景を容易に想像出来るから。もし
弟妹とは別に、他の生徒達が彼にとって一番の気掛かりであった。魔法で迎撃出来ると言っても、こんな戦争同然の実戦ですぐに応対するのは流石に難しい。隆誠が即座に対応出来る人物がいるとすれば、九校戦のモノリス・コードで無双の如く活躍した益荒男『十文字克人』、もう一人は九校戦と別に三年前に『佐渡侵攻事件』で戦った嘗ての少年『一条将輝』くらいだった。
(念の為行ってみるか)
会場に十師族直系がいると言っても、いくら彼等でも迎撃するのは難しいと判断した隆誠は、超スピードを使って向かうのであった。出来れば自分の取り越し苦労であって欲しいと思いながら。
(フェン、お前は一旦俺の影に潜ってろ!)
――ワンッ!
逃げてる市民を守る為に結界を張らせていたが、目的を終えて隆誠の近くにいるフェンだったが、命令を受けた事ですぐに実行した。
将輝と再会する前の更なる前置き話でした。
感想お待ちしています。