再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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すいません、またしても前置きになっちゃいました。


状況確認②

 魔法協会の組織した義勇軍は、大亜連合の侵攻軍に押されてジリジリと後退を余儀なくされていた。

 

 相手側は装甲車と直立戦車の混合部隊の他、魔物を真似た化成体を形成する古式魔法を使っている。義勇軍はそれによって苦しめられ、後退から一時撤退しようと考えようとしている者がいた。しかし、そこから状況が一気に変わろうとしていく。

 

「な、何だ!?」

 

「何故CADが!?」

 

「化成体が消えていく!」

 

 先程まで優勢だった筈の侵攻軍の勢いが途端に失っていた。彼等が使っている武装やCADが突如爆発するように破壊されている為に。

 

 いきなりの光景に義勇軍も困惑している。撤退を叫ぼうとしていた指揮官は、一体何が起きているのかと判断に迷っているほどだ。態と隙を見せて誘い込む為の演技をしているのではいかと考えるも、向こうは本気で困惑しているから、一体何が起きているのかと足を止めざるを得ない。

 

 

「何をしている!」

 

 

 その時、義勇兵たちに対して一喝する声が轟いた。

 

 彼等が振り向くと、分厚いプロテクターとヘルメットを身に着けた十文字克人がいる。

 

 克人はすぐに義勇軍の戦闘に立ち、こう叫んだ。

 

「この好機を逃すな、魔法を手にする者たちよ。卑劣な侵略者から祖国を守るのだ!」

 

『……ウオォォオオオオオ!!』

 

 克人の叫びに、困惑していた義勇兵達は迷いが断ち切れたのか、反撃に移ろうと雄叫びをあげた。

 

 これを見た侵攻軍は迎撃しようにも、肝心の武装やCADが破壊されている為に出来なかった。直立戦車に搭載されている武装も含めて。

 

 義勇兵達が反撃の魔法を放つ事で、敵は一方的に被害を受ける立場に回って一気に形勢逆転となる。

 

(しかし、敵に一体何が起きたんだ?)

 

 多重障壁魔法『ファランクス』で敵を吹き飛ばしながらも、克人は疑問を抱いている。何故敵側の武装が突然破壊されたのかを。

 

 彼も最初は義勇兵達と同じく困惑していたが、この機を逃してはいけないと、一気に畳みかける為に味方を奮い立たせる事にした。

 

 その結果、自身の判断は間違っていなかったと証明するように、敵は完全に浮き足立っている。自身が『ファランクス』を展開し続ける限り、この場にいる義勇兵達の死者は出ないだろうと考えながら。

 

「皆、我に続け!」

 

 取り敢えず自身が抱く疑問は後回しにしようと、敵を倒す事に専念する克人であった。

 

 

 

 

 

(もう手を貸す必要は無い、か)

 

 少々高いビルの屋上から、克人を含めた義勇兵達が侵攻軍に反撃する光景を隆誠は眺めている。当然、自身の姿が見えないように視覚阻害用の結界を施し済みだ。

 

 横浜ベイヒルズタワー付近に辿り着いて早々、魔法協会の組織した義勇軍が劣勢になっていた。それを目にした事で、不謹慎ながらも情けない状況だと少しばかり呆れている。

 

 彼は普段から魔法師に対して余り良い感情を抱いていない。千葉修次みたいに善良な魔法師がいる事は当然理解しているのだが、四葉家の者達から散々冷遇されていた事で、思わず悪感情を抱いてしまいそうになる。もしも『兵藤隆誠』として生まれていれば、そのような事にはならないのだが。

 

 そんな個人的感情とは別にして、このままでは不味いと思った隆誠は、義勇軍に助力する事にした。侵攻軍が手にしてる武装を見ながら、右手でパチンッと鳴らして。

 

 直後、侵攻軍の武装やCADが破壊され、更には展開されていた化成体が一気に消失する結果になった。そうなったのは隆誠が神の能力(ちから)を使って無力化させたから。

 

 敵の武装を破壊しても義勇軍が困惑して反撃に移ろうとしない中、一人の兵――十文字克人が奮い立たせた事で戦況が一気に変わった。隆誠はそれを見た事で、もう助力が必要無いと判断したのである。

 

(このまま一条将輝がいる所へ……いや、どうやら無用な心配だったな)

 

 視線の向きを変えると、少し離れたところで別の義勇軍が侵攻軍と交戦してるのを目撃するも、助力の必要は無いと判断した。そこで一条将輝が加わっただけでなく、彼の使う『爆裂』に関する魔法を使用した事で一気に押し返していたから。

 

 十師族直系が加わった事で戦況が一気に変わり、あと数分も経てば侵攻軍が無様に徹底していく姿が容易に想像出来る。それだけ敵は劣勢状態に陥っており、反撃出来る術も殆ど失っているのだ。

 

(そう言えば、バイクショップは大丈夫かな?)

 

 もうこれ以上留まる必要が無いと考え始める隆誠は、自身のバイクをメンテナンスして貰っているバイクショップを思い出した。

 

 あの店は侵攻軍がいる場所から遠く離れているとは言え、店主や店員は安全を考えて避難しているかもしれない。そう考えるとバイクの引き渡しは、今回の襲撃を考えると暫く先延ばしになる可能性があるだろうと隆誠は予測する。

 

(あ、やば。父さん達に連絡しないと)

 

 隆誠は今になって大事なことを思い出した。両親が横浜に行った自分を心配しているんじゃないかと。

 

 因みに二人は隆誠にずっと何度も連絡しているが、携帯端末の電源を切っている為に安否が不明で、今も『どうか無事でいてくれ!』と必死に祈っている最中である事を、当の本人は全く知らない。

 

 どこか別の場所で電話をしようと、隆誠は誰にも気付かれないよう――

 

(ッ! これは……!)

 

 移動をする隆誠だったが、すぐに足を止めて横浜ベイヒルズタワーへ視線を移す。

 

 そこからはオーラを感じ取った。普通の魔法師とは全く異なる野獣の如きオーラが。

 

 隆誠はその存在を知っている。以前に国立魔法大学付属立川病院で遭遇した男と全く同一である為に。

 

(間違いない、やはり(ルゥ)剛虎(ガンフゥ)!)

 

 神の能力(ちから)を使って確認すると、横浜ベイヒルズタワーの出入り口付近で暴れている男がいた。千葉修次より聞いた、大亜連合の『人食い虎』こと(ルゥ)剛虎(ガンフゥ)を。

 

 あの男は間違いなく警察に逮捕された筈なのだが、何故戻っているのかが隆誠には分からない。考えられるとすれば、大亜連合が秘密裏に救い出した可能性が高い。

 

 だけど、それとは別に隆誠は警察や軍に対して苦言を呈したかった。いくら敵側が一枚上手であっても、折角自分が倒した敵を逃がしてしまうヘマをしないで欲しいと。

 

(仕方ない。俺が行くか)

 

 魔法協会支部にいる警備の魔法師達が迎撃するも、呂剛虎の前では何の意味も無く蹂躙されていた。装甲車の機銃掃射すらものともせず、何重にも築かれたバリケードを次々と突破して登ってくる光景が映ってるから、隆誠が阻止するしかないと判断したのだ。

 

 隆誠が公の場で有名な呂剛虎を倒せば色々不味い事態になってしまうが、ああも無様にやられてる光景を見せられたら、助けに行かざるを得ない。今の状況であの男を倒せるのは自分しかいないと。

 

 この時の彼は確認を怠っていた。横浜ベイヒルズタワーへ向かってるヘリの中に深雪がいるだけでなく、真由美達も呂剛虎を阻止しようと動き始めてる事に。

 




呂剛虎と再戦すると言っておきながら、ついつい前置きを書いてしまう自分でした。

自分でも分かってるんですけど、どうしても向かう為の経緯が欲しかったんです。

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