再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ 作:さすらいの旅人
2023/5/4 前話の内容を少し修正しました。
新人戦スピード・シューティングは一高の大勝利となっていた。達也が担当した結果なのか、一位から三位まで全員が一高選手の名前が表示されていた。
その一高の中で抜きん出ていたのは『北山雫』と言う選手だった。彼女が披露した魔法が観客達の心を掴むかのような活躍をしていたのだ。
魔法名は『
後から知ったのだが、北山が使っていたCADは特化型でなく汎用型と判明した。それを用意したのも達也であり、昨年ドイツのデュッセンドルフで発表された技術を利用して作成したらしい。
これらの情報を得た隆誠は心底呆れた。「あの
『如何でしたか? 達也さんの活躍をご覧になった感想を聞かせて下さい』
「いささか軽挙妄動が過ぎるのではないかと」
時刻は夜。真夜が用意してくれたホテルの一室に隆誠がいる。
夕食を済ませて部屋でゆったりしている最中、携帯端末から電話が入った。発信者は『四葉家当主』であり、随分早い連絡だと思いながらも
『あらあら、随分辛辣ね。折角達也さんが素晴らしい成果を示されたと言うのに。宜しければ理由を聞いても良いかしら?』
大層不機嫌そうに言った隆誠の評価に、真夜は楽しそうに笑みを浮かべていた。達也の叔母である彼女としては聞き捨てならないと憤慨してもおかしくない筈なのだが、まるで大変興味深そうな感じが見受けられる。
「確かに
容赦無く切り捨てるような発言をしてる事に、流石の真夜も次第に苦笑していた。自分から理由を求めたので、決して突っ込む事はしない。
しかし、此処から話が変わっていく。
「正直言って達也は既にやり過ぎです。大体隠す気あるんですか、アレは。まだ序盤とはいえ、あれほどの技術力を見せ付けては、“ただの高校生”でないと声高に叫ぶようなものではないですか」
『他には?』
まだ続きがあると思った真夜は催促してくる。
「今日観て一番に懸念を抱いたのは早撃ちに優勝した一高の北山雫です。彼女が使っていたCADは最新の汎用型で達也が用意しただけでなく、『
『流石は達也さんと称賛すべきでしょうが、隆誠さんは一体どのような懸念を抱いたのかしら?』
「後者の魔法です。ここからは俺の私見になりますが、よろしいですか?」
『構いません』
達也が開発した『
「今回『
『……………即死でしょうね。振動領域に捕らわれた瞬間、全身の骨を砕かれ血袋となって』
隆誠からの問いに真夜は魔法師としての観点で考えた直後、眉を顰めたまま嫌な光景を思い浮かべてしまった。返答を聞いた隆誠は『正解』と内心そう思いながら頷く。
「ご慧眼恐れ入ります。実際、人間相手であれば殺傷力がかなり高い魔法です。なので、もしアレが軍事利用されてしまえば……」
『いずれ開発者である達也さんに非難が殺到すると?』
「それだけで収まればマシな方かと。ただでさえ魔法師への風当たりの強い今、毎年行われるこの九校戦の継続自体も危うくなる恐れが」
隆誠が一番懸念していたのは、『
例えば戦争で敵を簡単かつ効率良く倒せる魔法があると分かった途端、即座に食い付いて利用しようとするだろう。そして実践した結果、多くの敵を倒せたと喜びながら
「そうなればバッシングは非魔法師からに留まりません。同じ魔法師からも、非難を受けることになる。達也、ひいては四葉家が魔法社会から孤立する事も有り得るのではないかと」
『……………………………』
非魔法師の隆誠が述べた考えは、他の魔法師からすれば余りにも大袈裟で絶対あり得ないと即座に否定するだろう。特に深雪が聞けば否定どころか、全身からブリザードを噴き出して隆誠を氷漬けにする程の怒りを示すのは確実である。尤も、隆誠がその程度で怯えたりしないが。
しかし真夜は否定しないどころか、手を口元に当てて深く考える仕草をしていた。彼女の背後に控えている葉山は瞑目したままだが、話を聞いている内に眉を顰めている。
『成程、それが隆誠さんの抱いていた懸念なのですね』
「先程も申しました通り、あくまで
『そんなことありませんわ。私としては大変参考になる内容でした』
卑下する隆誠に真夜は本当に称賛していた。予想に過ぎないとは言え、達也が開発した魔法に対してそこまでの危険性を考えていたとは想像もしなかったのだから。
『取り敢えず今回の懸念に関しては此方で検討します。隆誠さんは引き続き、達也さんの監視をお願いしますね』
「チョッと真夜さん。引き続きって言いますが、まだ初日なんですけど?」
『そう揚げ足を取らないで下さい。それだけ重く受け止めなければならない内容なのですから』
急に軽口を叩き始める隆誠に、真夜は少々呆れたように言い返した。
そして一通り話し終えた後、真夜は隆誠を気遣って明日に備えて休むよう言って電話を切るのであった。
☆
「………はぁっ、驚きましたわ」
場所は変わって四葉邸。
先ほど隆誠と電話していた四葉真夜は、ドッと疲れが溜まったかのような感じで背もたれに体重を掛けていた。
「初日の観戦だけで、まさかあそこまで考えていたなんて……。葉山さんも如何でした?」
「私めも大変感服致しました。達也殿が開発した魔法を危険視していただけなく、更にその先を見据えたかのようなお考えに目から鱗が落ちるばかりです」
まるで未来を見たのではないかと錯覚するような隆誠の考えに真夜は心底驚いており、聞いていた葉山も称賛する程であった。言った本人は別にそんな風に言ったつもりなど無いが、二人からすれば決して否定出来ない内容だった。『
もし黒羽家に依頼したら、このような結果にならなかっただろう。当主の貢は達也に否定的であっても技術に関しては認め、文弥と亜夜子であれば称賛するだけの報告で終わらせてるかもしれない。因みに青木執事の場合に関してだが、真夜と葉山の頭の中には既に外されている事を補足しておく。
「まぁそれとは別に、確かに達也さんは些かやり過ぎかもしれません」
真夜達も一応テレビでスピード・シューティングを観戦していた。達也が技術スタッフをした事で一高選手全員が入賞した事も含めて。
最初は選手を支えた達也の技術力に感心していたのだが、後で隆誠から辛辣な感想や懸念を聞かされた事によって段々頭を痛めることになってしまった。確かにこれは後々になれば色々不味い事になってしまうと。
「本当に不利益が生じるのであれば、すぐにでも止めさせるべきなんですが……今の時点では何とも言えませんね」
「そうですな。隆誠殿の懸念は無視出来ないとは言え、彼一人の言葉だけで我々が動く訳にもいきません」
真夜と葉山は確かに隆誠の懸念を聞いて驚かされたが、それだけで必ず止める理由にはならない。加えて隆誠は四葉家の爪弾き者である為、分家の殆どが彼の懸念など聞くに値しないと嘲笑、もしくは出しゃばった真似をするなと叱責するなどの光景が容易に想像出来る。
「ですが『
インデックスとは『国立魔法大学編纂・魔法大全・固有名称インデックス』。国立魔法大学が作成している魔法の百科事典に収録された魔法の固有名称の一覧表のことである。開発した魔法がソレに登録されたら、大学が正式に認めた新種魔法として独立した見出しが付けられると言う事を意味する。魔法開発者にとって一つの目標とされている名誉でもある。
しかし、真夜からすれば非常に不味い展開であった。恐らくあの魔法を見た魔法大学はインデックスに登録するよう、達也に申請してくる筈だと。だからもし達也が『
「奥様、それは問題ないと思われます」
すると葉山が突然安心させるように言ってきた。
「達也殿は『インデックス』の登録を自ら辞退する筈です。アレは登録時に身元を詳細に調べ上げる事が前提となっております。用心深い達也殿が、自ら四葉との繋がりを露見させるような行為はしますまい」
「………確かに葉山さんの言う通りかもしれませんね」
先程まで不安視していた真夜だったが、葉山が述べる意見を聞いて安心するように頷いた。
ですが不思議ですね、と言って真夜は呆れるように呟いた。
「達也さんがそれだけ用心深いなら、どうして隆誠さんから『軽挙妄動』と言う評価が下されたのでしょうか?」
「………………………」
隆誠から辛辣な評価を下された事で、真夜は本当に用心深いのかと疑っているのであった。達也を擁護していた筈の葉山も、こればかりは流石に何も言えなかった為に口を閉ざすしかない。
原作では周囲から称賛されてる達也ですが、こっちでは隆誠が容赦無く非難しています。
感想お待ちしています。