再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は短い上に、殆ど原作と大して変わりません。


次期当主候補達との食事会

 午後七時前だが、食堂には次期当主候補が既に揃っていた。

 

 司波深雪、黒羽文也、津久葉夕歌、新発田勝成。この四人が四葉真夜より次期当主を指名する予定の候補達となっている。

 

 他にも司波達也、黒羽亜夜子もいる。亜夜子は文弥の補佐役と言う立場もあって、文弥の隣に座っているのは問題無い。達也は深雪の護衛(ガーディアン)だから、普通に考えれば席に座るなどあり得ないが、周囲から何の反対も見せていなかった。それどころか同席して当然だと考えている事を、当の本人は全く気付いていない。

 

 だがそれとは別に、もう一つの席(・・・・・・)が空いている(・・・・・・)事が気になっていた。食事会に参加するのは当主候補四人、補佐役の亜夜子、そして達也の計六人の筈なのに、一体誰が参加するのかが全く分からないのだ。達也だけは何かに気付いて、途轍もなく嫌な予感がするように空席を見ているが。

 

 時刻が午後七時になると、食堂奥の扉が開いた。それは、四葉家当主専用の扉だった。

 

 その扉から、黒に近い深紅のロングドレスを纏った真夜が、葉山ともう一人の男性を従えるように現れた。

 

『!』

 

 全員がもう一人の男性、司波隆誠を見た途端に目を見開くも、当主の前で無様な姿を晒す訳にはいかない為、彼等は必死に己を押し殺しながら、何事も無いように立ち上がっていた。

 

「皆さん、急な招待だったにも拘わらずようこそ」

 

 そう言った真夜は、葉山の引いた椅子に座ろうとしない。

 

「驚いているかもしれませんが、今回のお食事会には深雪さんと達也さんの兄である司波隆誠さんを、特別ゲストとして私が招待しました」

 

 次期当主候補でないのは勿論のこと、魔法師ですらない筈の隆誠が食事会に参加するなどあってはならない。だが、四葉家当主の真夜が直々に招待したのであれば話は別だった。

 

 彼の身内である深雪や達也が真っ先に意見を申し立ててもおかしくないのだが、ただ驚いているだけで何一つ口出ししなかった。二人の反応に、向かい合わせの席に座っている文弥と亜夜子は内心疑問を抱いている。いくら当主殿が招待したとは言え、何故あの部外者に対して何も言わないのだろうと。

 

 黒羽家とは別に、夕歌と勝成も意見を申し立てようとする姿勢を一切見せていない。特に勝成は隆誠と目が合った瞬間、数時間前に遭遇して自分を含めてガーディアンの奏太と琴鳴を殺しかけた記憶が蘇ったのか、一気に顔を青褪めていく。

 

「隆誠さん、そこの空いている席へ」

 

「分かりました」

 

 隆誠は指定席――真夜の座る席の隣で深雪の前――の前に立つ事に、彼の隣である文弥は信じられないと言わんばかりに凝視している。

 

「さぁ皆さん、どうぞ座ってくださいな」

 

 真夜が優雅に腰を下ろした後、隆誠も含めた達也たち六人は席に着いた。

 

「まずはお食事にしましょう。そんなに硬くならなくても構いませんよ」

 

 そう言った後に真夜は背後の葉山に合図する。

 

 葉山が目配せすると、オードブルを持ってくる給仕役が現れた。

 

「明日は和風のおせちですので、洋風のコース料理にしてみました。楽しんでくださいね」

 

 料理が一通り並んだのを見た真夜がそう発言し、隆誠を除く全員はナイフとフォークを手に取った事で会食が始まろうとする。

 

「隆誠さんは、こう言った料理は初めてですか?」

 

「いえ、両親から教わりましたので大丈夫です」

 

 心配そうに問う真夜に、隆誠は何の問題も無いと言わんばかりにナイフとフォークを手に取り、まるで上流貴族のように気品のある食べ方を見せている。真夜や葉山だけでなく、達也達も優雅な振る舞いを見せる彼の姿に驚くばかりだ。

 

 両親からと言ったが、実はそんなに細かく教わってなどいない。ここまで洗練された振舞いを見せているのは、単に聖書の神だった頃の知識と経験を活かしているに過ぎないのだ。

 

 優雅に振舞う隆誠の姿に驚かされていたが、真夜達も食事を始めようとする。

 

 その後からは何事も無いように進み、シャーベットを食べ終えたところで、真夜が本題に入ろうとする。

 

 隆誠だけでなく、達也達も背筋を伸ばして座り直す。

 

「――さて、そろそろ本題に入りましょうか」

 

 真夜が七人を見回して微笑み、次期当主候補である勝成、夕歌、深雪、文弥を順番に呼び、明日の慶春会に備えての次期当主を指名する事を話した。

 

 そこから先は隆誠がほぼ予想した通りの内容だった。文弥が深雪を次期当主に推薦すると言って、夕歌もそれに乗っかっている。横から口を挟んだ亜夜子も候補の地位の返上に同意しているとフォローするのを見て、聞き役に徹している隆誠からすれば、単なる体のいい断り文句にしか見えなかったが。

 

 勝成も文弥達と同じく深雪を次期当主に反対しなかったが、少しばかり予想外なお願いをしてきた。自身のガーディアンである堤琴鳴との結婚を認める為の口添えをして欲しいと。この発言に夕歌と文弥が分かり易い反応を示すも、真夜は気にせず一通り話して納得したのか、彼のお願いを許可するのであった。

 

(確かにそうした方が良いかもしれないな)

 

 深々と感謝の言葉を述べている勝成を見る隆誠は、堤琴鳴は暫くガーディアンとしての活動はままならないと思っていた。今の彼女は隆誠の『芯の一方』で動けなくされ、目の前で奏太と勝成を無惨な姿を見せられた挙句、精神的に追い詰められて傷心状態に陥っているから。

 

 恐らく勝成は彼女と離ればなれになってしまう事を恐れたが故に、手元に置く為の口実を作ろうと結婚の話を出したのかもしれない。そうなると隆誠に若干非があるのだが、当の本人からすれば知った事ではなかった。自分なら簡単に勝てると思い上がっていた堤姉弟だけでなく、決闘の最中に突然割り込んで無様に敗北した勝成の自業自得なのだから。それでも結婚する時のご祝儀は謝罪とお詫びの意味も込めて、なるべく良い物を贈ろうと隆誠は考えている。

 

 隆誠は後々の事を考えながらグラスの水を飲んでいる中、真夜は緩んだ表情を引き締め直し、深雪に向かってこう言った。

 

「深雪さん、貴女を次の当主とします。ここにいる皆さんは快く支持して下さるようだから、それに恥ずかしくないよう、お励みなさい」

 

「――はい、精進いたします」

 

(やはり、な)

 

 真夜が深雪を次期当主として指名するのを見て、隆誠は予想した通りの結果だった。食事会が行われる前に深雪の欠点を指摘して考慮した結果、そこは後々どうにかするのだろうと。

 

 そして深雪が立ち上がり、テーブルを囲む隆誠達に向けて丁寧に腰を折った後に再度座り、真夜は――

 

「では次に、深雪さんを今後支える為の補佐役を指名します」

 

 食事を再開するかと思いきや、他にもまだあるのだった。

 

 突然の不意打ちに深雪だけでなく、文弥達も目を見開くが、それはすぐに収まった。予想外であっても、その役をやるのは彼女の兄である司波達也しかいないと確信している為に。

 

 そして――

 

「隆誠さん、貴方に補佐をして頂きます」

 

「――承りました」

 

『ッ!』

 

 真夜が部外者である筈の隆誠を補佐役を指名した事に、この場にいる者達は勿論のこと、ずっと無言で見守っていた達也でさえも声を上げるのであった。




予想していた方もいらっしゃるかもしれませんが、非魔法師である筈の隆誠を真夜が深雪(+達也)の監視役として補佐に任命しました。

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