再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は内容が短い幕間です。


2023/5/4 前話の内容を修正した部分が結構ありますので、まだ読んでない方は前話を読んで頂けると助かります。


監視前の一時

 西暦2095年8月7日

 

 

 

「……ふぅっ」

 

 達也の監視をして二日目になるも、隆誠は今朝から富士山周辺の森にいた。

 

 今日行われる競技は新人戦クラウド・ボール、新人戦アイス・ピラーズ・ブレイクの二種目。その中で隆誠が観るのは深雪が出場する後者の競技だが、彼女が試合に出る時間は午後だった。それが分かった隆誠は時間潰しも兼ねた鍛錬をしようと此処に来ているのである。

 

 午前でも達也が担当してる選手も今日出場するから監視すべきだが、隆誠は敢えてやらなかった。明らかに真夜の命令無視と言えるサボり行為なのだが、それは問題無かった。

 

『今日は深雪さんの試合だけで充分ですから、その間は自由に過ごして構いません』

 

 と、昨夜に真夜からそう言う指示をされたのだ。その為に隆誠はこうして深雪の試合が始まるまで鍛錬をしている訳である。

 

 因みに今いる森は国防軍の方で規制されて立ち入り禁止エリアとなっているのだが、人目が付かない場所で鍛錬をしたい理由で隆誠は無断侵入していた。普通ならバレてもおかしくないのだが、神の能力(ちから)を使っている為に未だ気付かれていない。防音と視覚阻害の結界だけでなく、魔法師に感知されない為の特殊な細工も施してあり、それを解除しない限り探知するのは無理だから。

 

 鍛錬の内容としては『兵藤隆誠』の時でもやってるように分身拳を利用していた。自分同士との実戦組手、瞑想、能力(ちから)の調節と制御など、一気に数倍の経験を得る為に。勿論リスクが伴うも、聖書の神である隆誠だからこそ可能な手段であり、低下した実力を取り戻す為には最も効率の良いやり方なのだ。何れ自分の成長に限界を感じたら止めるつもりだが、それまでは続ける予定であった。

 

 そして時間帯が昼頃と認識した隆誠は、それぞれの役割を担っていた四人の自分を元に戻した。一人になった瞬間、四人分の経験が一気に集約される他に痛みと疲労も一気に襲い掛かるも、いつもの事だと思いながら受け入れている。

 

「さてと………ん?」

 

 今日の鍛錬を終えて一旦ホテルに戻ろうとするも、隆誠は突如足を止めた。まだ解除してないのに、自分が張った結界をすり抜けた存在を確認した為に。

 

 この世界の人間が聖書の神が張った結界を認識出来ないどころか、それを通る事も不可能であった。なのに通り抜けた何かが結界の中心にいる術者の方へ急速に向かってくる。

 

 直後、隆誠の目の前に現れたのは人間でなく、通常のサイズより巨大な狼犬(ろうけん)。嘗て隆誠が赤龍帝(イッセー)達と共に戦ったロキの息子――神喰狼(フェンリル)と連想するような姿をしている。明らかに普通の動物とは異なるのが一目瞭然だった。

 

「ウゥゥゥゥゥ……!」

 

「………………」

 

 威嚇するように唸る巨大な狼犬に隆誠は怯える事無くジッと見ている。普通ならこんな存在を見れば警戒してもおかしくないのだが、一切そんな事をせず本当に見ているだけだ。

 

 全く隙だらけな姿であって狼犬は突如バッと襲い掛かり、人外の戦闘が始まろうとする。

 

 

 

 

「クゥ~~ン!」

 

「久しぶりだな、『フェン』」

 

 と思いきや、巨大な狼犬は襲い掛からないどころか、まるで自分の飼い主と再会してるように思いっきり甘える行動をしていた。尻尾をブンブン振ってるだけでなく、スリスリと身体を寄せてくることに、隆誠は笑みを浮かべながら優しく頭を撫でている。

 

 実はこのフェンと呼ばれる狼犬、隆誠によって造られた存在――『神造精霊』である。以前に夏休みを利用して富士山周辺の森に来て鍛錬中の時、無数の精霊が群がっていた事もあって、それに困っていた隆誠が一つに集約させようと神の能力(ちから)で新たな存在として誕生させた。『兵藤隆誠』が作った神造精霊の『レイ』と『ディーネ』みたいなモノだが、あっちと違って『司波隆誠』は動物を模していた。名前については前世で戦ったロキの息子である狼の『フェンリル』に似てた事もあって、それを短くフェンと名付けて『神造精霊(じんぞうせいれい)(じゅう)フェン』が出来たと言う訳である。

 

 甘えた行動を取っている通り、フェンは主人である隆誠に物凄く懐いている。自分を造った(ちちおや)である為か、それはもうかなり従順な性格だ。聖書の神だった頃に天使(ミカエル)達が呆れるほど自分を崇拝していた事もあって、造った本人は『世界が違うんだから、もう少し反抗的になっても良いんだけどなぁ』と少々贅沢な悩み事を抱えているが。前世で『家族愛』を大事にしていたこともあって、神造精霊を造る工程で無意識に新しき家族として温かい(こころ)を与えているから、それに触れた精霊が大好きな主人の為に尽くす性格となっている事に本人は全く気付いていない。

 

「日本各地にいる精霊達との交流は順調か?」

 

「ワンッ!」

 

 隆誠の問いに力強く頷いていた。

 

 フェンが生まれたばかりの頃は透明化出来ることもあり密かに飼って(?)いたが、修行と同時に見聞を広げる意味合いも兼ねて野に放つ事にした。勿論一般人や魔法師の目に触れないよう行動するだけでなく、何かしらの非常事態が起きた場合は主に念話で送るようキツく言ってある。狼犬に関するニュースが流れてない他、念話が届いてないという事は今のところ問題無いのだと隆誠はそう認識している。

 

「それは良かった。っと、折角会えたところ悪いが、俺はこの後大事な用があるから戻らないといけない」

 

「クゥ~ン……」

 

 隆誠が離れようとしても、フェンは悲しそうな表情になりながらもスリ寄るのを止めようとしない。もっと構って欲しいと言わんばかりに。

 

 それを見た事で少々困ったように悩んだ結果――

 

「………俺の影に入って大人しくするなら構わないぞ」

 

「ワンッ!」

 

 条件付きの同行を許した直後、嬉々としながら隆誠の影に入ろうとするフェン。元々は精霊の集合体である他、隆誠が造り出した存在にもなったから主の影の中に入る事も可能となっていた。三国志に登場する軍師と同じ名前をした中華料理店のオーナーが知れば、何としても隆誠に接触しようとするだろう。

 

 自分の影に入ったのを確認した隆誠は嘆息しながらも、一旦ホテルに戻って休息を取ろうとこの場から姿を消した。




連日更新はここまでになります。

此方のリューセーは神造精霊獣フェンを造りました。

魔法科世界にいる周公瑾の哮天犬をモチーフにしていますが、化成体とは全く違います。

外見:モフモフした狼犬

性別:♀

性格:従順+甘えん坊(リューセー限定)

属性:風

補足:人間形態に変身出来るが、リューセーはまだ知らない。



もしも他の精霊獣も加えて欲しいと要望がありましたら、以下の活動報告にコメント願います。
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