再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は文弥が他と違って悲惨な目に遭います。


黒羽家の末路②

(文弥……亜夜子……!)

 

 肺機能が麻痺されて忽ちに意識が失いそうになる貢だが、自身の大事な子供達を見た事の無い全長数メートル以上の大蛇が連れている光景を見て必死に藻掻いていた。

 

 その大蛇は隆誠の前で止まり、グルグル巻き状態になっている文弥と亜夜子を差し出そうとする。

 

「お疲れ、オルム」

 

「シャッ!」

 

 隆誠が気遣いながら名前らしきモノで呼ぶと、まるで言葉が通じているように大蛇が頷いていた。

 

 目の前にいる大蛇は言うまでもなく、隆誠が新たに造り上げた新たな神造精霊獣。大蛇の姿を見た事で前世(むかし)の頃、(イッセー)と一緒に出会ったロキの息子ミドガルズオルムを思わず連想した為、名前の一部分を切り取って『オルム』と名付けた。

 

 それとは別に今も動けない文弥と亜夜子は、自分達の父親が大変苦しそうな表情になっている事に気付く。

 

「おま…え…たち……ぶじ……よ……った」

 

 大事な子供達が生きていると分かって安堵したのか、もう限界が訪れたかのように貢は意識を失い、そのままうつ伏せになって倒れた。

 

「「~~~!」」

 

 文弥と亜夜子は貢が事切れたと思ったのか、二人揃って涙を浮かべながら叫んでいた。父親の元へ向かおうとしても、全身グルグル巻きにされて思うように進めず、口も塞がれてまともに喋れない。

 

「おっと、これは不味いな」

 

 隆誠は思っていた以上に早く倒れたのが予想外だったみたいで、すぐに蘇生の準備に入ろうとする。

 

 うつ伏せとなっている貢をすぐに仰向けにすると、やはり完全に意識を失っていた。同時に肺機能を停止してる事で心臓も止まりかけで、このままだとあと数秒もせず彼は本当に死ぬだろう。

 

 自分を殺そうとした人間を救おうとするなど、第三者から見れば異常と思われるだろう。尤も、隆誠は初めから彼を殺す気など無かった。貢には一度死の体感を味わわせ、その後には生きて報いを受けて貰わなければならない為に。

 

 次の瞬間、隆誠はオーラを纏わせた拳で両胸の中心に軽く当てた。直後にオーラは貢の身体の中に侵入し、停止した肺を活性化させた後――

 

「……がはっ……!」

 

「「!」」

 

 心肺停止状態になっていた貢が息を吹き返したことに、文弥と亜夜子は安堵の表情を見せた。

 

 蘇生には成功するも意識を取り戻す事なく、彼の呼吸は落ち着いて行きながら深い眠りにつく。

 

「さて……オルム、二人を喋れるようにしてくれ」

 

「シャッ!」

 

 貢の容体を確認した後、隆誠は次の行動に移ろうとオルムに指示を出した。

 

 命じられたオルムは、文弥と亜夜子の口を塞いでいた草と蔦の一部を解除する。

 

 オルムの属性は『土』だから、大地に関する魔法を自在に扱える。双子を縛っている草と蔦はオルムの意のままに操っており、その気になれば絞め殺す事も可能だが、主から捕らえるよう敢えて拘束だけに留めている。

 

「「ぷはっ!」」

 

「おや、苦しかったか」

 

 思いっきり息を吸い込んでいる双子に、隆誠は二人を見下ろしながら言った。

 

「ここまで無様にやられた気分は如何かな?」

 

「よくも、よくも父さん達をあんな目に……!」

 

「貴方だけは、絶対に許さない……!」

 

 隆誠からの問いに、文弥と亜夜子は憎しみと殺意を籠った目で睨んでいた。どうやらオルムの事を気にするだけの余裕は完全に無くなっているようだ。

 

 それを聞いた隆誠は呆れてものが言えないような顔になる。人を殺しに来たくせに、よくもまぁそんな台詞が口に出来るモノだと。

 

「どうやら君達は、今の状況を全く理解していないようだ」

 

 そう言いながら隆誠は亜夜子に近付き、片手だけで首根っこを掴んで対面するように持ち上げる。

 

「は、放しなさい下郎! 私に触れていい殿方は――」

 

「君にそんな選択権は無いんだ、よ!」

 

 強がっている亜夜子に隆誠は首根っこを掴んでる手を放した瞬間、顔面目掛けてもう片方の拳で殴り飛ばした。

 

 隆誠のパンチは見事に亜夜子の頬のクリーンヒットし、それを喰らった彼女は拘束されている為に受け身が一切出来ず、そのまま軽く吹っ飛び転がっていく。

 

「あ、が……!」

 

 亜夜子は顔だけでなく、吹っ飛んだ事で身体も叩きつけられる痛みを同時に味わっている為、まともに声が出せなかった。

 

「姉さん! 酷い、女性の顔を平然と殴るなんて……!」

 

「取り敢えず黙れ」

 

 いい加減にウンザリしてきた隆誠は、文弥の口を閉ざす為に少しばかり強烈な殺気を叩きつけてやった。『芯の一方』とは違い、文弥の先にある木々がざわめき出し、そこに留まっていた鳥達が逃げるように飛び立とうとしていく。

 

「あ、あ……」

 

 殺気を当てられた文弥は、全く別人になったかのように表情がガラリと変わった。もう完全に恐怖に染まっており、途端に両眼から涙が流れている。

 

 やっと大人しくなったかと思った隆誠は視線を外し、殴り飛ばした亜夜子の方へと近付いていく。

 

「あ、貴方……!」

 

「おや、もう喋れるのか」

 

 先程までショックを受けていた筈の亜夜子だったが、思ったより早く気を取り戻していたようだ。

 

 隆誠は再び彼女の首根っこを掴み、再び対面しようとする。

 

「絶対に、許さない……!」

 

「……やはり君も、一度死なないと理解出来ないようだ」

 

 亜夜子に(手加減して)何度も殴ったところで分からせるのは無理だと判断した隆誠は、ここで一度止めを刺しておこうと決めた。

 

 直後、文弥にやった時と同じく殺気を叩きつける。

 

「あ、あ……」

 

 すると、先程まで強気な発言をしていた亜夜子が途端に恐怖して涙を流し始める。双子だからか、文弥と全く同じ反応だった。

 

 だが隆誠は完全に怯えた亜夜子を見ても全く気にせず――

 

「じゃあな」

 

「ッ!!!!」

 

 別れの言葉を告げた直後、亜夜子は突然腹部を何かに貫かれたような強烈な激痛が襲い掛かり、吐血しながらも意識を失ってしまった。

 

 それを確認した彼は、去年にやった深雪の時と違い、何の気遣いも無く地面へ放り投げた。

 

「ね、姉、さん……」

 

 自身の姉が無残な姿になった事に、今も恐怖で埋め尽くされてる文弥は死んだと思っているかもしれない。

 

 その発言が聞こえたのか、隆誠は次に文弥の方へ向かう。

 

「残りは君だけだよ、文弥君」

 

「!」

 

「折角だから、君には餌になってもらおうか」

 

「え、餌……?」

 

 文弥は隆誠の言っている意味が分からなかった。自分が一体何の餌にされようとしているのかが。

 

 しかし、それはすぐに理解する。隆誠がすぐに彼を持ち上げた後、大蛇のオルムが此方へ向かおうとしていたから。

 

「い、いや、嫌だ!」

 

 当然文弥は抵抗しようとする。だが先程から何度も言うように、彼はグルグル巻きにされて身動きが取れない状態である為、身体を揺らすしか出来ない状態だった。

 

 そして――

 

「シャァァァァァアアアア!!」

 

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 オルムが大きく口を開けた瞬間、それを目の当たりにした文弥は周囲を響かすように大きな悲鳴を上げて気絶するのであった。

 

 

 

 

 

 

 文弥は神造精霊獣のオルムに食べられておらず、地面に放り投げられていた。

 

「悪いな、オルム。急に下らない芝居をさせてしまって」

 

「シャァ~~~~……」

 

「お前やフェン達のエネルギー源は俺のオーラだけで、それ以外全く必要無いのは分かってるから」

 

「……………」

 

「本当に悪かったって。詫びにはならないけど、帰ったら部屋で俺と一緒にゆっくり過ごして良いからさ」

 

「シャァ~~~♪」

 

「だけどその前に後始末をしないと、な」

 

 そして隆誠は意識を失ってる黒羽家を引き取らせようと、一度真夜に連絡するのであった。




肉体的な痛みと苦しみを味わった貢と亜夜子とは別に、大蛇に食われそうになる体験をする文弥でした。

文弥の方は色々問題があるんじゃないかと思われるかもしれませんが、大蛇のオルムを利用させました。

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