再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


突然の凶報

 中学三年生となった隆誠は、今年の夏休みも修行の旅をしていた。勿論家族には一人旅と誤魔化しており、修行について一切話していない。

 

 既に恒例行事となっている事に、剛毅と美登里は何時もの事だと出掛ける時には必ず見送っている。当初は隆誠一人だけで遠出する事に若干反対だったが、旅をするのも勉強の一つだからと何とか押し切って了承を得る事が出来た。

 

 勉強目的の為に誤魔化していた隆誠だが、(あなが)ち嘘ではない。再び人間として転生した場所は、聖書の神が一切関知していない平行世界の一つ。彼からすれば、ある意味此処は未知の世界と言えなくもない。故に前世で培ってきた知識が、今いる世界と共通しているのかの確認も含めて旅をしている。

 

 今回の遠出場所は新潟県となっている。欲を言えば北海道や九州、もしくは沖縄へ行こうと思っていたのだが、剛毅が遠出を了承する条件があった。中学卒業するまでは北陸地方に留めておくようにと、一条家の目が届く担当地域に限定させていたのだ。隆誠としては修行の旅が出来れば問題無い為、剛毅の条件に反対せず了承している。

 

 隆誠は佐渡市のとある秘境の地で修行してから、既に一週間以上経つ。誰もいない場所で低下した神の能力(ちから)を向上させる為の措置として、『分身拳』を使って通常の修行より数倍以上の経験を得て、ある程度取り戻している。未だに前世より劣っているとは言え、魔法師を簡単に倒せるだけの実力を既に得ていた。彼の実力基準は未だに前世の頃と比較している為、この世界にいる最強クラスの実力者達を既に超えている事に全く気付いていない。

 

(ん? 何だあの軍艦は……)

 

 修行の最中、隆誠の眼にある物が映っていた。日本海側から他国と思わしき数隻以上の軍艦が。

 

 

 

 2092年8月12日

 

 

 

 剛毅は次期当主の将輝だけでなく、配下の魔法師達を連れて大急ぎで佐渡へ向かった。午前10時、正体不明の軍艦が佐渡に奇襲攻撃を受けていると言う凶報が入った為に。

 

 本来であれば国防軍が対処による迎撃を行うのだが、現在は沖縄で大亜連合の海戦で意識を向けている為、人手が足りない状況に陥っている。剛毅も当然それを知っているから、佐渡侵攻の対応をしていた現地の最高指揮官――(さか)()大佐に、新潟・北陸へ連隊規模の部隊を回してもらえるよう要請した。十師族の力を借りなければ非常に不味い状況を理解してる酒井は、彼の要請を了承したのは当然と言えよう。

 

 了承の返事を受け取った一条家当主は、自身を中心に組織した義勇軍で防衛線に進駐させようとする中、またしても凶報を耳にする。妻の美登里から、隆誠が今回遠出をしているのは今も侵攻されている佐渡だと。更に最悪な事に、何度電話しても全く繋がらない状況と言う事も含めて。

 

 佐渡にいる息子が侵攻を受けて連絡が全く取れないと聞いた剛毅は、途端に頭が真っ白になってしまいそうだった。一人の親として今すぐにでも隆誠の安否を確認したい気持ちでいっぱいになりながらも、彼は必死に己を押し殺しながら、将輝も含めた義勇軍を結成させる。

 

 目的地へ辿り着くも、侵攻された佐渡は酷い有様になっていた。侵攻軍と守備隊との戦闘により、平和だった筈の風景が荒れ果てた戦場と化している。その戦闘によって佐渡に住まう多くの民間人達に死傷者が出ているのは言うまでもない。

 

 その光景を目にした剛毅は、死傷者の中に息子が入っていると考えただけで、怒りと憎しみに囚われてしまうほど激高した。これは将輝も同様で、一条親子は自分達に襲い掛かってくる他国の兵達を『爆裂』で葬っている。慈悲を見せない二人の姿に、一条配下の魔法師達は理解しながらも戦慄する程だった。

 

 一条の義勇軍は防衛線を張りつつ、隆誠の捜索も行われている。それでも一向に発見出来ず、更には息子が持つ携帯端末に連絡しても一向に繋がらない。それによって段々と隆誠の死が確定してしまいそうになるも、そんな事は無いと剛毅と将輝は必死に否定していた。

 

「おい! 隆誠はまだ見つからないのか!?」

 

『げ、現在も目下捜索中です!』

 

 剛毅が思わず怒鳴りながら通信を入れるも、斥候の報告は変わらずだった。聞いていた将輝は途端にこう呟いてしまう。

 

「親父、やっぱり兄貴は――」

 

「まだ諦めるな!」

 

 兄の死を認めてしまいそうになる将輝に、剛毅はすぐに遮った。

 

「隆誠は必ず生きている! なのに弟のお前がそれを信じなくてどうする!」

 

「でも、こんなに捜しても見付からないなんて……」

 

「まだ捜していない場所がある! それらを全て確認しない限りは――」

 

『一条殿! 御子息を発見しました!』

 

 将輝に希望を捨てさせないように喝を入れてる最中、斥候から通信が入った。

 

 漸く待ち望んだ報告が入った事で、剛毅はすぐに応答する。

 

「隆誠は今何処にいる!?」

 

『一条殿がいる場所から少し離れた所でして、今は、その……』

 

「どうしたのだ? そこで一体何が起きている?」

 

『え、えっと……御子息が一人で多くの民間人を守りながら侵攻軍と交戦しています』

 

「……………は?」

 

 斥候から余りにも予想外な報告を聞いた剛毅は、思わず目が点になってしまう。それは当然聞いていた将輝も含めて。




次は隆誠がどうなっているかの話になります。

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