再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ   作:さすらいの旅人

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今回は幕間の内容です。


剛毅の苦労

 佐渡事変で戦った一条隆誠の功績は、海外にも広がると言わんばかり大々的に報道される事になった。

 

 一切味方がいないまま身を挺しながら民間人達を守り抜き、更には佐渡に迫り来る複数の艦隊を単身で無力化させた後に捕縛。いくら十師族直系とは言え、とても中学生とは言えないほどの大活躍を報道陣が見過ごす訳がない。

 

 佐渡を守った英雄と言う形で隆誠に直接取材しようとする不躾な記者達が一条家に押し掛けてくるも、そこは全て当主である剛毅が対応している。記者達としては隆誠本人のコメントが一番欲しかったのだが、『息子については全て自分が対応します』と有無を言わさない態度を取り続けて結局叶わなかった。

 

 記者の中には『報道の自由を侵害するのですか!?』と抗議する者も複数いた。余りにも勝手な発言に剛毅は憤慨しそうになるも、敢えて冷静に『息子の都合を全く考えずに押し掛けて取材するのが、報道の自由なのですか?』と不機嫌そうな表情で問い返した事で、抗議した記者以外も何も言えなくなっている。

 

 結果としてテレビでは佐渡で活躍した内容を全国放送するも、取材に関しては全て拒否されると言うモノになった。

 

 だが、これはまだ一つ目の苦労に過ぎない。

 

 報道陣の次は、各名家の魔法師達の対応も辟易するものばかりだった。

 

 今まで『一条家の恥』や『無能魔法師』と侮辱の言葉を散々浴びせていたにも拘わらず、隆誠の功績を知った途端、掌を返すような態度を取ってきた。挙句の果てには、隆誠に縁談を持ちかけようとする者までいた程だ。

 

 名家達の厚顔無恥極まる振舞いを見た事に、剛毅は本気でキレそうになるも、一条家当主としての理性を保ったまま、丁重にお断りしたのは言うまでもない。笑顔でありながらも、眼だけは全然笑っていなかったが。

 

 そのような魔法師達とは別に、十師族各家の当主のみで行われる師族会議の方でも、隆誠についての話題が上がっている。師族会議議長の九島家当主の『()(どう)(れつ)』が話題を出したかったのか、真っ先に言い出したのだ。元国防陸軍の軍人として、佐渡事変の勝利に大きく貢献した隆誠に礼を言いたかったのかもしれない。

 

 隆誠が佐渡事変で活躍する前までは、十師族直系でありながら魔法が使えない大変気の毒な若者と見ていた。その所為で次期当主の座から降ろす周知を聞いた当主達は、仕方のない事だと割り切っていた。しかし、それを覆すように魔法を使っていたと判明した為、一体どう言う事なのだと疑問を抱くのは無理もないと言えよう。

 

 理由を知る剛毅は、旅先で偶然発見した『水晶製の勾玉』の聖遺物(レリック)によるものだと正直に答える気は毛頭無い。原因は今も全く不明だが、あくまで一条家の問題である為に干渉はしないで欲しいと遠回しに説明した。他家の事情には深入りしない、と言う魔法師に広く適用されるルールを出した事によって、各当主達もそれに従って詮索しなくなる。

 

 それとは別に、詮索不要と言えども一番気になる事が当主達にあった。CADも使わずに『加重系魔法の技術的三大難問の一つ』として扱われている筈の飛行魔法を使っていたと言う情報が入った際、一体どうやって使えるようになったのだと詰問した程だ。現代魔法を携わる者達からすれば、飛行魔法に関する情報は喉から手が出るほど欲しいから、剛毅もこうなる事は粗方予想していた。尤も、彼も息子に現在確認中の他、情報を明かす事は出来ないと拒否している。

 

 二つ目の苦労を何とか乗り越えたかと思いきや、実はまだもう一つ残っている。これによって、剛毅は怒りを抑える事が出来なかった。

 

 日本と新ソ連との講和条約が一通り片付いた後、佐渡事変で最高指揮官をしていた国防軍の酒井大佐が、剛毅にある話を持ち掛けた。一条隆誠を国防軍へ迎え入れたいと。

 

 その話を聞いてすぐ、剛毅は即座に断固反対した。いくら彼に感謝しているとは言え、未成年の息子を軍に迎え入れるなど以ての外だと怒りを滲ませた程だ。

 

 酒井はすぐに引き下がらないどころか、是非とも軍に迎え入れるべきだと豪語した。

 

 彼がそこまでするには理由がある。佐渡事変で日本国防軍が勝利と言う形になっているが、世間が一条隆誠を大きく持ち上げてる所為で最高指揮官だった酒井は肩身が狭い思いをしていた。

 

 このまま十師族側に良い顔をされては軍としての面子に関わると危惧したのか、酒井は隆誠を軍に迎え入れようと考えた。佐渡を守った英雄を特別待遇で迎え入れれば、国民も納得してくれるだろうと。勿論彼が未成年である事は重々承知している為、必要最低ラインとして高校卒業した後、防衛大を経由せずに迎え入れようと考えている。

 

 酒井の思惑に何となく気付いたかのように、剛毅は反対の姿勢を取り続けた。如何に国の為に必要だとは言え、大人の身勝手な都合で息子を軍の戦力にさせたくないと言う気持ちが強いから。

 

 どちらも互いに一歩も引かない所為で、激しい口論を繰り返す始末。その所為で剛毅と酒井は喧嘩別れとなってしまい、二人はそれ以降の交流は無い結果になる。

 

 後から知った隆誠が申し訳ない気持ちになってしまうも、『隆誠が気にする必要はない』と剛毅は父親としてそう言った。




隆誠の活躍に報道陣、魔法師、国防軍の対応をする剛毅の話でした。

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