再び転生した元神は魔法科高校へ IFシリーズ 作:さすらいの旅人
(あの二人、一体何であんな必死なんだ?)
隆誠は全く不可解だった。修次と再会してるところ、摩利とエリカがすぐに引き離しただけでなく彼を何処かへ連れて行ってしまったのだ。女性二人の必死さに修次も全く分からず仕舞いだが、それでもどうにか落ち着かせようと今も説得している。
何か途轍もない勘違いをしてるのは察するも、それが全く分からない隆誠は部屋に戻る事にした。
すると、ここで思わぬ事態が起きようとする。
「義兄さん、何故貴方が此処に?」
「…………」
修次達に気を取られてしまった為、真夜から監視を命じられてる達也と遭遇する事になってしまった。当たり前のように彼の隣にいる深雪は、隆誠を見た途端に表情を強張らせている。
思わぬドジを踏んでしまった事に隆誠は内心舌打ちをするも、顔には出さずに挨拶をしようとする。
「よぉ、家で会って以来だな。夏休みを利用して九校戦を観に来たんだ」
挨拶と同時に理由を言っても、達也達は一切警戒を緩めていない様子。
「俺の記憶が確かであれば、義兄さんは九校戦に余り興味無かった筈では?」
「まぁな。あの時にお前達が出場すると聞いて、チョッとばかり気になってな」
監視する為に来ましたとバカ正直に言う訳にはいかない為、隆誠は身内を理由に誤魔化した。達也と深雪が理由を聞いて、簡単に信じるほど素直な性格をしてる訳がないと当然分かっている。
「しかしまさか、技術スタッフの達也がモノリス・コードに出場するなんて思いもしなかったぞ。まぁそれとは別に……」
隆誠はそう言いながら少々真剣な表情になって達也にこう言った。
「達也、少しお前と話がしたい」
「隆誠さん、お兄様は試合を控えてる身なのです。そう言う事は後にして頂けませんか」
試合前の食事をしようとホテルへ戻ったのに、偶然会った隆誠がそれを邪魔するように言ってきた事で深雪は不快な表情になった。
「深雪、悪いがコレを持って先に部屋へ戻ってくれ」
「お兄様……分かりました」
達也の言う事に逆らう事が出来ないのか、先程までの表情が一気に変わった。
彼が持っているランチボックスを受け取って(達也だけに)一礼した後、一足先に部屋へ戻っていく。
「やれやれ、あの子は相変わらずだな」
「深雪は大人びて見えてもまだ十五歳ですから」
「そうだな。まだ
「…………」
達也は深雪の行動を擁護するように言ったが、それを逆手に取った隆誠の発言に少しばかり眉を顰めていた。普段であれば簡単に聞き流すのだが、深雪となれば話は別だ。あらゆる
「それはそうと義兄さん、此処では何ですから場所を変えましょう」
だがそれをすぐに抑えた達也は、いつものポーカーフェイスに戻って話し合いが出来る場所へ行く事にした。
言った先は自販機が置かれているスペースで、幸いにも其処だけでなく周囲にも人影は一切いない。
呼び出したのは自分だから飲み物ぐらいは奢ろうと自販機に手を伸ばすも、達也が先に動いてしまった。まるで考えはお見通しだと言わんばかりに。
兄に気遣っている、もしくは借りを作りたくないのどちらかと思われるが、隆誠は敢えて何も言わず缶コーヒーを受け取る。
「それで、話とは一体何でしょうか?」
自分と同じ缶コーヒーを手にしてる達也が本題に入ろうとした。部屋で待たせている深雪の為に早く済まそうとしてるから。
「達也、早撃ちで凄い魔法を開発したようだな。『
「アレは一高の選手が優秀だからこその出来栄えです。開発者の俺は到底あそこまで使いこなす事はできません」
達也は謙遜するだけでなく、その魔法を使った北山を称賛していた。
しかし、隆誠が気になっているのはそんな事じゃない。
「チョッとばかり小耳に挟んだんだが、あの魔法を『インデックス』に登録すると言う話を聞いた。それは本当なのか?」
「いえ、それはもう既に辞退しています」
「何?」
キッパリと返答した事に隆誠は少々意外そうに目を見開く。
「確かアレは魔法師にとって名誉の筈だ。登録すれば深雪が一番喜ぶ筈なのに、何故辞退したんだ?」
もし達也が登録すると言ったら、隆誠は『
「義兄さんならもう既に察している筈です」
「………
隆誠の言うあの人とは四葉真夜の事を指している。周囲に誰もいないとは言っても偶然聞かれてしまう恐れがあるから、敢えて彼女の名を口にせず遠回しな呼び方にした。
「そうです」
達也もそれに気付いているから即座に頷いた後、更に続けようとする。
「もしアレに名を残すとなれば、
「……そうか」
四葉家が聞けば尤もな理由かもしれないが、隆誠からすれば滑稽な言い訳にしか聞こえなかった。
もしインデックスに登録して四葉家関係者だとバレてしまえば、達也と深雪だけでなく、隆誠や両親も当然該当してしまう。しかし、達也はあくまで自分と深雪の事しか言ってなかった。それ以外は迷惑を掛けてしまうことを全く意にも介してない、と言う風に隆誠は解釈した。
諸事情があるとは言え、達也は本当に深雪以外どうでもいいのだと改めて認識する。この後に『
「取り敢えず登録しない事情は分かった。だが達也、これだけは言っておく」
これ以上話を長引かせたら部屋で待っている深雪がそろそろ五月蠅くなるだろうから、隆誠は達也に忠告をしておくことにした。
「お前と深雪が何をしても口出しする気は無いが、俺の父さんや母さんに迷惑掛けるようなことをするなよ。良いな?」
「勿論そのつもりです」
隆誠からの忠告に達也はすぐに頷いた。本当に理解しているかと疑問を抱くほど事務的な返答であったが。
この時の隆誠は全く想像だにしなかった。明日に行われる本戦ミラージ・バットで、達也がとんでもない行動を起こしてしまう事を。
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