銀河転生記   作:Aa_おにぎり

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Ⅱ章
#1-1


「おい、起きろ」

「……はい」

 

仲間に起こされ、自分は体を起こす。

ここは仮設テントの中だ。側には最新式の日本製6.8ミリ自動小銃が直置きされていた。

 

「交代だ」

「……了解です」

 

眠たい目を擦らせながらテントを出ると、そこには多くの装甲戦闘車や装甲車が駐屯地を走り抜け、軍人が肩から銃を下げて歩いていた。軍服に縫われた国家から日本の他にも米国、仏国、英国、印国など実に多くの国々の人が集まっていた。

上空を警戒飛行するヘリコプターの国籍マークは濠国、より取り見取りの多国籍であった。

 

現在私がいるこの場所はこの前の攻勢で手に入れた中国の都市。その最前線だ。

我が日本国防軍は現在、多国籍軍と合同で世界の敵である中国を解放しつつあった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

それは自分が十歳の誕生日を祝ってもらった翌日の出来事だった。

 

街では多くの募集兵の広告が貼られ、ネットなどでも反韓のシュプレヒコールを叫ぶ民衆。

その声を抑えようとしない政府。数年前に新憲法の発布で再軍備を正式に宣言した我が日本はいつでも戦う姿勢を崩さず、自衛隊から国防軍と名を変た軍事組織は膨大な予算を注ぎ込んでいた。

 

街では韓国料理店や在日韓国人にはキムチを投げられたり、暴力が振るわれ。田中や小林など、線対称の漢字を使う苗字の人間は朝鮮人と言う噂が飛び交い、晒し上げられていた。

この頃から、日本では韓国人の事を再び朝鮮人と呼び始めており。これも後の作戦の準備だったのでは無いかと言われていた。

 

当時、驚異的な軍拡を行っていた日本は後に『二一世紀の吉田茂』や『東洋のビスマルク』と渾名された男が舵取りをしていた。

 

『いたぞ!朝鮮人だ!!』

『違うわよ!私は歴とした日本人よ!!』

 

まただ、ネットの情報に踊らされた哀れな近所の人間が自警団を率いて朝鮮人狩りをしていた。

 

この外国人狩りの影響は顔立ちの似ている中国人までにも波紋していた。

その時、バブル崩壊の起こった中国では大量に失業者が日本やアメリカなどの外国に出稼ぎに来ていた。

その為、一部ではリンチを受けて死亡した中国人が吊し上げられるという中世の世界に戻ったような光景が広がっていた。

 

当然、このような状況に被害を受けた国々は非難の声を上げる。しかし、その全ては徒労と化していた。

既に対馬は要塞化工事が行われ、もはや戦争は止められないと分かっており。米国も日本政府に対し、在韓米軍基地への攻撃を許さない協定を結ばせる事しかできなかった。

 

 

 

 

 

そしてその日。韓国海軍の駆逐艦が新潟市に向けて砲撃を行い、子供を含めた十二名が亡くなる事件が勃発した。

 

『臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます』

 

全国のテレビやラジオが強制的にその報道を発表した。

 

『国家安全保障局、本日午前七時発表。韓国海軍が新潟市内に無差別砲撃を開始。我が国は大韓民国と戦争状態に移行しました』

 

それから挙国一致内閣が創設され、国民には募兵を呼びかけた。

この時問題だったのは、この新潟市に対する攻撃は()()()()()()()()()行ってしまっており、韓国はかつて日本が犯したミスを再び犯したしまったのだ。

 

宣戦布告前の攻撃、民間人への無差別砲撃、韓国軍の先制攻撃。

 

このトリプルコンボで韓国軍は国際社会からの信用は失っていた。国際社会の評価としては韓国に非協力的な姿勢が大半であった。

日本側も待って居たと言わんばかりにその攻撃してきた世宗大王級駆逐艦をミサイルで轟沈させていた。

そして先に攻撃させた日本は世界からの同情を獲得し、そのまま日本は今まで()()されていた竹島の解放を行っていた。

 

その日本と韓国の戦争が起こったのが、私が十歳の頃の話だった。

 

 

 

第三次世界大戦の始まりとも言われているこの日韓戦争は、又の名を『一週間戦争』と呼ばれている。

先制攻撃で世界の協力を得られなくなった韓国は各国から貿易の停止をくらい、また港は待ち構えていた潜水艦艦隊から総攻撃を喰らって出られなくなったしまった。

 

侵攻翌日には対地用に改造された対艦ミサイルの攻撃が完成したばかりの対馬要塞から飛んでいき、本土からの空爆も始まり。韓国各都市に眠れぬ夜をお届けしていた。

 

三日目には日本軍は軍事国境線南部から上陸を開始し、ものの三日で韓国の大半を手中に納めていた。この破竹の勢いでの占領で、首都のソウルまで占領された韓国側はそこで降伏。終戦協定が公布され、日韓戦争は一週間で終結した。

この結末に、どの国も『当たり前だ』と言った様子を見せていた。

 

 

 

しかし、問題だったのはこの後の日本側の動きだった。

終戦協定を行っている間、日本は今度はしっかりと宣戦布告をした後に三八度線を越境、駐留していた全軍を北側に差し向けていた。

その時、韓国軍は日本軍の空爆やミサイル攻撃で各都市のインフラや軍はほぼ壊滅しており、韓国側に抵抗する余力もなく。その上、後続部隊も到着した頃合いであった。

 

この奇襲攻撃に北朝鮮側はほぼ対抗できず、これまたあっという間に新義州や羅先と言った街に日の丸の旗が掲げられていた。

 

この動きには世界中が驚いていた。まるでヒトラーのフランス侵攻の時のような賭けであったが、日本側はその賭けに勝利していた。この事実にアメリカですらも大騒ぎになる程だった。

 

戦後処理として占領した北朝鮮も組み込んだ朝鮮共和国を建国した日本は今までの軍事行動が嘘のようにとっとと撤収してしまった。国際的に建国も認められ、新たな出発を見た彼の国の歩んだ道は修羅の道だった。

先の日本側の攻撃で韓国側の都市は壊滅、元々酷い有様だった北朝鮮への経済政策も考えると国内復興するだけでも何もかもが足りない状況だった。

 

既にボロボロの彼の国は建国したとはいえ国際社会からの信用も薄く、融資もままならない状況だった。

そこで日本はそんな彼の国に融資を行い、莫大な額を受け取ったが。耳を揃えてきっちり返す必要があり、朝鮮共和国は事実上の日本の傀儡国となった。

 

今まで米国とか壁代わりであった北朝鮮を僅か数日で失った中国やロシアもこの奇襲には驚いていた。

まともな対処ができる前に日本は、占領した朝鮮半島から降伏文書を携えて帰って行った時は安堵していたようだが。朝鮮が莫大な資金を日本から借り入れたのを知った時はまたもや大騒動となり、日本を非難していた。

逆にいうとそれくらいしか出来る事はなかったのだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「交代です」

「ああ」

 

駐屯地の見張りを代わり、自分なら双眼鏡を手に取る。

 

「今日から春節だからか、敵はおねんねしているんだな」

 

そう言い同じく見張りを担当する日本兵がそう話す。

 

「だめですよ。ベトナム戦争の時のテト攻勢のようなことがあるかもしれないんですから」

「何だそれ?」

 

テト攻勢という言葉を知らない様子のその男に自分は思わずため息が漏れる。

 

「ベトナムにおける旧正月に起こった戦闘です。防衛には成功しましたが、アメリカ軍部隊は油断してい大損害を被ったんです。後にアメリカが負けた要因とも言われている戦闘ですよ」

「ふーん……」

 

対して興味のなさそうな返答が帰ってくると、その兵士は寝そべった。

 

「んしゃ、敵がいたら教えてくれ〜」

「ちょっと……!!」

 

今にも寝そうな状態のその兵に思わず注意を入れようとした時、その男は言った、

 

「こんな状況だぜ?俺達は圧倒的優位なんだ、そうそう来ねえよ」

 

そう言い彼は下に敷いている新聞紙を見ていた。

現在、我々は日米を中心とした多国籍軍を率いて、朝鮮共和国に侵攻した中国軍を迎え撃っていた。

 

徴兵で日本から遠く離れたこの地に降り立った自分はあと二ヶ月で内地に帰ることができる。

 

「お前、もう少しで帰れるのか?」

「ああ、あと二ヶ月だ」

「はっ、羨ましいねぇ」

 

彼はそう言うと、そこで自らを守るための術でもある自動小銃を手放して寝転がると、見張りの偽装ネットを被った空を見ながら溢す。

 

「俺もこんな廃墟からとっととおさらばしてえよ」

 

そう言い、空爆や砲撃で破壊された都市のビルを見る。

 

「沿岸部は対馬にあるレールガンがまとめて破壊し、お抱えの軍艦も全て港で沈没だ。恐ろしい話だ、対馬から大連まで砲撃が届くんだぜ?レールガン様様だな」

「ああ、確かにそうだな」

 

レールガン、電磁加速砲を世界で初めて実用化したのは我が日本だ。世界に一歩リードしたこの技術は今や洋上艦にすら搭載され、空母の時代は終わりつつあった。

事実、三亜に停泊していた中国の空母『福建』はたった三発のレールガンの砲撃で港から一歩も出ることなく轟沈してしまった。

 

「空母がレールガンには敵うことはないと言う訳だな」

「ああ、まさかこの時代に戦艦を見ることになるとは思わなかった……」

 

その瞬間、駐屯地に独特な砲声と共に砲弾が降ってきた。

 

『敵襲!!』

「迫撃砲?!」

「チッ、やっぱり来たか!!」

 

警報が鳴り、それと同時に見張り台にいた自分たちは銃を片手に飛び降りると、そのまま塹壕に滑り込んでいた。『日本軍は後方で働かせるのが効率的』と言われるほど卓越した建設隊の働きのおかげで、たった数日でこの駐屯地もまるで要塞のように堅牢な施設となっていた。

 

『ヒュ〜。これなら迫撃砲が来ても安全だ』

 

同じく滑り込んだ米軍の兵士がそう溢す。自分や、ここにいる日本軍兵士は英語を喋れるがゆえにこう言った多国籍軍部隊に配属されていた。

そして、建築したベトン要塞に迫撃砲が直撃したが。びくともしていない様子に舌を巻いていた。

 

『ああ、だが連続で同じ場所に撃たれたらどうなるか分からんぞ』

『まずは歩兵を片付けるぞ』

『了解』

 

そこで射撃をし、駐屯地に突っ込んできた車両達に攻撃を加える。

 

 

『APCだ!』

『退け!!』

 

そこで屋上から84mm無反動砲を発射した一人の兵士はそのまま駐屯地に突入してきた中国軍のAPCに命中すると、そのまま爆発を起こした。

 

 

 

「撤退したか……」

 

APCを撃破され、散り散りになって退散していく中国兵を見て軽くため息が漏れる。

 

 

 

今、世界は再び世界大戦が起こりつつあった。

 

 

 




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