ガンダムビルドダイバーズ Episode:Fairy 作:セルフィア
[春のプルーマ祭り]
イベント内容としては期間限定エリア内に無限湧きするプルーマをどれだけ多く狩れるか競うもので時々一体狩るだけで、数十体分のポイントを得れる強めのプルーマが出る。
参加条件としてはランク2からで個人でもフォースとして参加しても良い。
「と言うわけで以前から話していたこのイベントにフォースとして初参加したいのですが、いかがでしょうか?」
「おぉ、良いんじゃないか?元からこのイベントに参加するためにランク上げ頑張ってたしな!」
「私は元から参加するつもり〜」
「僕も皆さんのお役に立てるなら…」
「ありがとうございます!それでは時間の相談を…」
〜〜時は流れてイベント当日の某時刻
転送された先は荒野フィールド。
すでに多くのプレイヤーが展開していた。
上空から、機影が一つ——急降下する。
高速で旋回しながら、次々とプルーマを撃ち抜いていく。
「……なんだあれ」
ハルトが思わず呟いた。
可変機でGN粒子を煌めかせながら空を支配するような動きをしている。
ガンダムキュリオス。
「こいつは、すげぇな……」
アックアが感心したように笑っているのに合わせてヤマトもゲルググ(長距離仕様)のスコープで除く。
「動きが無駄ないですね、可変機に慣れてる人の動きだ…」
同じようにアヤも視線を向ける。
「強そうだなぁ!ここがPK推奨エリアじゃなくて良かった。」
ハルトたちがガンダムキュリオスの動きに釘付けになっていると
その時、キュリオスがこちらに気づいた。
一瞬だけ、視線が交差する。
次の瞬間、加速。
近くにいたプルーマを奪うように撃破していく。
「……挑発されてるのか?」
「そうみたいですね、そろそろやりますか?」
アックアがいち早く挑発されている事に気付き遅れて気づいたヤマトも笑いながら言う。
ハルトは2人とは違って少しだけ息を吐く。
「フォース[fairy trace]。連携してスコア稼ぎましょう!」
「おう!」
「分かりました。」
「はーい!」
固まっていた4人はそれぞれの獲物を構えてプルーマへと突撃していく。
それぞれが動き出す。
アックアのクロスボーンガンダムX1.5の大剣が一体目のプルーマを両断するのと同じタイミングでヤマトのゲルググ(長距離仕様)がクロスボーンガンダムX1.5に襲い掛かろうとしていたプルーマを撃ち抜く。
その横でアヤのF91がヴェスパーで一体ずつ確実に撃ち抜き、更にその横でハルトのフリーダムガンダム(局地仕様)がアヤの撃ち漏らしたプルーマを切り裂いていき確実に数を重ねていく。
数分が経ったのちハルトが上空を見上げると変わらずガンダムキュリオスが圧倒していた。
変形、急降下、射撃。一切の無駄がない。
同じように上空を見ていたアヤも
「よく分からないけど、あのキュリオスにだけは負けたくない…」
その時だった。
ヤマトが、呟く。
「……おかしいですね。」
一体のプルーマが、不自然な動きをした。
ゲルググ(長距離仕様)のビームを避けつつ軌道がブレる。
止まったかと思えば、加速。
「は?」
クロスボーンガンダムX1.5が大剣で斬りかかるが弾かれてしまう。
「なんだこいつ!?」
「なんなの!?」
続けてアヤとハルトもそれぞれのビームライフルでそのプルーマを狙うが弾かれる。
見た目で言えばプルーマなのだが目の前のあいつはプルーマじゃない。
イベントに出てくるレベルの物ではなく明らかに“強化”されている。
次の瞬間、爆発的な動きで反撃。
「なんだ!?」
クロスボーンガンダムX1.5が吹き飛ばされる。
異変に気づいたガンダムキュリオスが上空から介入してくれて高速射撃。
だが、落ちない。
「……倒しきれない?」
すれ違い様のローカル回線で聞こえて来たガンダムキュリオスのプレイヤーの声に焦りを含んでいる気がした。
「女性の声?にしても、これ……おかしいだろ」
近くのプルーマを斬り伏せたと同時に視線の奥に同じようにプルーマがいたのだが様子がおかしい。
「……まさか」
そのプルーマが、ゆっくりと動く。
その動きに合わせて周囲のプルーマが、変わっていく。
「確実にアレだろ……」
アックアが静かに吐き捨てた。
今GBN界隈で話題に上がっている違法なコアチップ[ディスターティドディール]の事をアックアは言っているんだろう。
アヤが、その光景を見つめてぽつりと呟く。
「強い…」
様子のおかしいプルーマがクロスボーンガンダムX1.5を弾き飛ばした瞬間、止まっていた周囲のプレイヤーの機体たちも慌てたように動き出す。
あるプレイヤーは全身の銃火器を使ったフルバースト、その砲撃が止んだと同時に剣に覚えのあるプレイヤーはそれぞれの獲物を構えて振り下ろす。
逃げ出すプレイヤーもいたが正直仕方ない。
ガンダムキュリオスのプレイヤーも変わらず上空から射撃をしてくれているが大したダメージにはなっていなかった。
「どうするか…前回みたくランキング2位の人が居てくれたら良かったのに…」
「ハルト!ないものねだりをするな!」
「ただ、誰かしらが通報はしてくれたみたいですね…イベントマップが緊急通報で赤くなってます。」
ヤマトに言われ改めてマップを見ると異常を知らせる表示になっており通報中となっていた。
この様子なら状況次第では時間もかからず上位ランカーが事態の沈静にやってくるだろう。
「ただ来るランカーがまともかどうかにもよるが持ち堪えてみせますか!」
「どうせ来るならヤマトの兄ちゃんが良いけどな!」
「違いないね!」
話し合わせをし強化プルーマの方面を向くと新しくシールドを携えたシールドプルーマが生成されており砲撃型の機体も手をあぐねいていた。
ハルトも少しずつだがシールドプルーマの更に前にいる通常のプルーマをアグ二で蹴散らす最中、通報表示の色が変わっていく。
「多数通報案件によりチャンプより命を受けランカー、ヤマト。戦闘に介入するからな!」
フリーダムガンダム(局地仕様)の横を颯爽と駆け抜けた機体は以前にもハルト達の事を助けてくれた純白のトランジェントザインが強化プルーマの周囲を守っていたシールドプルーマを両断、ゆらゆらと消えていく。
「ランク2位の方のヤマトさん!」
「ん?おぉ!ハルトじゃんか、少しぶりだな。再会を喜びたい所だが今はそうも言ってられねぇ。手伝ってくれるか?」
「自分なんかが手伝う…?」
「そう自分も卑下するもんじゃねぇよ?流石の俺でも1人で終わらせるのはキツいしな。それなら少しでも俺が信用してる奴がいる所…いや、そういやフォースを作ったんだったな。」
「はい!」
「良い返事だ、フォース[fairy trace]。協力してくれるか?」
「…分かりました。出来る事をやります。」
ハルトの返事を聞き終えると同時に強化プルーマを蹴り飛ばす。
「前衛は任せたぜ?」
「なら前衛は俺がやる!」
クロスボーンガンダムX1.5が先ほどの同じように大剣を構えつつ突っ込むが直前で振りかぶる事なく挑発するような動きを取る。
「動きが右に寄ってますよ。」
クロスボーンガンダムX1.5を援護するようその背後からゲルググ(長距離仕様)が周囲のシールドプルーマの関節を撃ち抜いていく。
「なら左は私が!」
2人が右なら自分がそのカバーをするためアヤのf91が動き出し連携が噛み合う。
更にその上空からガンダムキュリオスが3人が漏らしたプルーマを撃ち抜いていき逃げ道を潰す。
「あ?あいつの話だと4人でって聞いてたが新しく1人入ったか?まぁいいや、その調子だ。」
ランキング2位のヤマトが軽く呟く。
「さ!このまま終わらせるか!」
強化プルーマ本体へ一気に加速。
強化プルーマ側の防御が間に合っていない。
「ハルト!」
「分かってます!」
フリーダムガンダム(局地仕様)が強化プルーマの関節にビームを撃ち込む。
流石に関節までは強化出来ていないらしく多少だが装甲が歪む。
「上出来!大人しくお縄につきな!」
トランジェントザインのGNパイルバンカーの一撃は的確に強化プルーマの歪んだ箇所を貫き爆発が起こる。
「いやー、思ったより硬かったな。」
笑いながら2位のヤマトは言う。
「でも楽しかったです!」
同じくアヤも笑う。
「だろ?それに…」
アヤへ向けて言った2位のヤマトは続けてこちらのヤマト方は向き直り
「良い仲間を見つけたな、ヤマト。」
「えぇ、自分でもそう思いますよ。ヤマトさん。」
こちらのヤマトも笑いながら返す。
「じゃ、俺はこれで。ああいうの見かけたら今度はフレコからメッセージよろしく。」
フォースに向けてコードを送ったのち、軽く手を振るような気配。
そのまま離脱。
「行っちまったな。」
「そうだね…けどその強さは本物だ…」
珍しくアヤの視線は何処か別の所を見てるようだった。
時を同じくしてヤマトがログアウトする頃、ハルトの個人チャットにメッセージが入る。
[そこから左奥にある建物の裏手に機体を降りて来なさい、来れば分かる。]
「なんだ?けど、ちょっとならみんなにも言わなくて良いだろ…」
アヤたちが勝利の余韻に浸ってるのを尻目にハルトは1人フリーダムガンダム(局地仕様)から降りると言われた通り、人気のない建物の裏手に歩いていくと目の前に1人の女性が立っていた。
「あの人かな?おーい、貴女が俺にメッセージをくれた人ですか?」
「そんな畏まる必要はない、何故ならアンタの姉だから。」
「は!?姉さん!?なんで?」
「仕事よ。」
唐突に差し出されるデータが添付されたメッセージ。
「これ、預ける」
受け取り開いてみるが、エラー表記が出てしまい言語化すら出来ない。
「……何これ」
姉は少しだけ視線を逸らす。
「依頼があってね、名前は言えない人から。」
「そいつが、この“バグ”を回収してほしいって」
ハルトは眉をひそめる。
「……バグ?」
「簡単に言えばGBN内で発生した異常データで、普通ならとっくに消されてるはずのもの」
一拍置く。
「でも、残ってた。」
静かに言う。
「それはもしかしたらただのデータじゃないかもしれない。」
ハルトがそのデータをアイテム化してみると微かに、光る。
「なんだよ、それ。」
姉はそれ以上何も言わない。
「とにかく、消さないで持ってて」
それだけ残して、ログアウトしていった。
「よく分からないけど、姉さんに逆らうと怖いから持っておくか…」
「あ!ハルト何処いってたの?さっきの騒ぎが終わった途端、いなくなって!まさか自分だけプルーマ狩りに行ってたの?」
「そんなんじゃないって、さ!気を取り直してプルーマ狩りに戻りますか!」
「あいよ!」
「はい。」
「はーい!」
アイテム化していたデータをポーチに戻しハルトは再びイベントエリアへ戻るとイベントも終わりに近づいていたがアヤたちと合流し再びプルーマ狩りへと戻るのだった。
その後イベント自体は特に問題なく終了し各員には騒ぎが起きた分のサービスポイントと個人が狩った分のポイントが加算され経験値が潤ったそうで、他は変わらない景色が続いている。
しかし、ハルトがログアウトする直前にアイテム化してみた言語化出来ないデータのみがまるで反応するように脈打った気がした。
Episode:Fairy第6話になります!
リアルがバタバタしすぎてビルドファイターズの方も半年ぶりでしたがこちらは一年ほど掛かってしまいました…
最近また落ち着いて来たのでこれからぼちぼち更新していけたらと思います。