横島の兄は多重転生者 作:バビルメイクライ
ハメルーンの笛吹きとも呼ばれる悪魔パイパーは、笛を吹くことで相手を子どもに変える能力を持つ。
悪魔パイパーに子どもに変えられた相手は、記憶や経験まで根こそぎ吸いとられてしまい、完全に子どもの頃に戻ってしまうようだ。
その昔ヨーロッパを荒らし回り、国連が賞金をかけて世界中のスイーパーに抹殺を呼びかけている悪魔族の1匹こそが悪魔パイパーである。
外見は笛を持ったピエロのような姿をしている悪魔パイパーだが、その姿は本体ではなく分身。
悪魔パイパーの本体は巨大なネズミであり、使い魔としてネズミ達を操ることも可能だった筈だ。
N県にあるバブルランド遊園地に潜んでいる悪魔パイパーの本体。
広大な敷地と莫大な予算をかけて建設中だったバブルランド遊園地だが、バブル経済が弾けて工事が中断され、業者が夜逃げして放置されている場所であった。
悪魔パイパーがヨーロッパを荒らしていた頃、1人の僧侶が悪魔パイパーから奪い取った金の針。
金の針こそが悪魔パイパーの魔力の源であり、悪魔パイパーが金の針を手にすれば、纏めて数万人は子どもにしてしまえる力を取り戻すだろう。
本体の居場所がわかっているなら日本に被害が広まる前に、手早く悪魔パイパーを倒してしまった方が良さそうだ。
という訳で、N県に行き、バブルランド遊園地まで向かうと、地下を走るカートに乗り込み、悪魔パイパーの本体の元へと移動。
カートが地下にある池に着水したところで、地下には浮かんでいる数多くの風船があった。
人の顔が描かれているそれらの風船こそが、悪魔パイパーに人々が奪われた時間と記憶であることは間違いない。
カートから全員で巨大な霊波盾に乗り換えて、空中を移動しているとピエロのような姿をした悪魔パイパーの分身が現れる。
笛を吹こうとした悪魔パイパーよりも速く動き、伸ばした霊波刀で悪魔パイパーの分身を頭頂部から両断。
悲鳴を上げて悪魔パイパーの分身は消滅したが本体は、まだ倒せていない。
悪魔パイパーの分身が現れた方向に霊波盾を動かしていくと巨大なネズミを発見。
「人間ごときが、おいらに勝てるとでも思っているのか!」
喋る巨大なネズミが悪魔パイパーの本体であることは確かだ。
再び分身を身体から出した悪魔パイパーは、ピエロのような分身と同時に巨大なネズミの本体も攻撃してきた。
俺は両手から霊波刀を伸ばして2刀流になり、御霊となっている竜崎霊華さんはテニスラケットでオーバーソウルを行い、2段媒介でオーバーソウルされている女王ヒミコは霊力を高めていく。
悪魔パイパーの分身と本体を同時に相手にして戦うことになるが、横島竜胆除霊事務所の全員が揃っているので問題はない。
竜崎霊華さんが霊波球をラケットで打ち出して、笛を吹こうとした悪魔パイパーの分身へと強烈に叩き込んだ。
眉間に霊波球を叩き込まれて苦しむ悪魔パイパーの分身に女王ヒミコから追撃の霊波砲が放たれていくと、分身は笛を吹く暇がない。
俺に襲いかかってくる悪魔パイパーの本体へと、鞭のような形状にした霊波刀を振るう。
形状が鞭のようになっていたとしても霊波刀であるということに変わりはなく、相手を斬り裂くことが可能だ。
俺が凄まじい速度で振るった霊波刀を悪魔パイパーは避けることができない。
悪魔パイパーの本体の右腕を、俺の霊波刀で斬り落とすと笛を持っていた分身の右腕も消えていく。
「ギャアアアアアアッ!!」
右腕を斬り落とされたことで悲鳴を上げた悪魔パイパーの分身と本体。
怯んでいた分身の額を左手から伸ばした霊波刀で貫き、本体の巨大なネズミを右手の霊波刀で深々と斬り裂いておくと、悪魔パイパーの分身と本体が更に大きな悲鳴を上げた。
再び分身が消滅し、血を流す本体は逃げ出そうとしたが、既に俺が霊波の盾で周囲を囲んでおり、悪魔パイパーの力では、霊波盾を破壊して逃げ出すことは間違いなく不可能だろう。
霊波盾に覆われた周囲は、まるで結界のようになっていて、悪魔パイパーの逃走を阻んでいた。
「おのれ!!おいらがこんなところで!!」
逃げられないと悟り、再び襲いかかってきた悪魔パイパーの本体を、左手の霊波刀で脳天から真っ二つに両断し、右手の霊波刀で横一文字に斬る。
左右の手の霊波刀で十字に斬り裂かれた悪魔パイパーの本体は、4つに斬り分けられて、完全に死亡したようだ。
それから悪魔パイパーの風船を割れる金の針を海外から取り寄せることにした。
取り寄せた金の針で風船を割り、人々が悪魔パイパーから奪われた時間と記憶を元に戻していく。
悪魔パイパーの本体の死体を確認してもらい、死体に残存していた霊波から悪魔パイパーの本体だと証明されたことで、国連から悪魔パイパーの賞金を貰うことができた。
その後、悪魔パイパーの本体の死体を燃やして浄化し、欠片も残すことはない。
これで悪魔パイパーによって日本に被害が起こることは、もうないだろう。
大規模になる霊災害を事前に防ぐことが出来て良かった。