ウヴァさんが蟲惑魔アトラのに拾われるお話   作:覇王龍を従えるウィルス使いの蠱惑魔

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最初に言っておきます。
オーズの世界の中に遊戯王の精霊界が存在する事に特別な理由や事件などはありません。
この世界は最初から「そういうもの」として生まれてきたって事で……

さて、今回はオーズの45話の途中から始まります。
状況としては、
・アンク(ロスト)がプ・ト・ティラーノ・ヒッサーツ(物理)された事でアンクが復活(コア最大数6枚)
・アンクがクワガタ一枚◎のウヴァさんを復活させて真木一行に加わる。(真木ハウスに入居)
・カザリが完全態になるが、プ・ト・ティラーノ・ヒッサーツで完全消滅
・カザリのメダルがアンクへ
・オーズ側メダル不足で大ピンチ
・せや、どうせ襲撃されるんなら、コッチから仕掛けたろ!!真木ハウスにカチコミじゃあァッ!!←(今ココ)


第一話〜奇襲と落下と落とし穴〜

「妙な気配がするが……ッ!?」

 

ガチャーン!!!

 

 背後の窓ガラスが割れ、破片が飛んでくる。咄嗟の事に俺は硬直してしまい逃げ出す事が出来なかった。

 ……その一瞬が運命の分かれ道だった。

 

シュパァァァン!!シュババババババババババババ!!

 

 割れた窓から缶のようなナニカが投げ込まれ、けたたましい爆発音と共に激しい光と煙を撒き散らし始める。閃光弾ってヤツか!?

 そこそこ大きな部屋だったというのに、煙は一瞬で部屋中に充満しどんどんとその濃度を増していく。

 いやらしい事に、この煙は殺虫剤のようでこの部屋に居た(まだ一応人間の)真木や、光に弱いガメルだけでは無く、昆虫のグリードである俺にまでダメージを与えてきやがる。

 煙による痛みで少しずつ思考が鈍っていく感覚に命の危機を覚えながら(グリードが命の危機というのも変な話だが)

 取り敢えずオロオロしているガメルに外へ退避する事を命令した。

 コイツをパニックのままこの部屋に残したせいで、襲撃者にコイツのメダルを奪われたら厄介だからな……

 

 襲撃者。そう、襲撃者だ。十中八九オーズ達なんだろうが……

 決して短くない館の廊下を外に向かいながら、俺は()()()()()()()()()()に疑問を覚えた。

 今この館には真木に加えて俺たちグリード五体が全員揃っている。

 そんな危険な場所に、わざわざメダルが無いオーズ達が襲撃してくるだろうか?

 俺だったら、まずは身の安全を確保してからメダルを奪いに行くだろう。

 だが、オーズのやつはこの前たっぷり痛めつけてやったばかりの筈だ。

 とてもじゃないが、身の安全どころか十分に戦えるほどの力があるとは考えづらい。

 

 まぁ、これまでオーズの思考を理解出来た試しが無い以上、グリードには理解出来ないのかもしれないな。

 

「お菓子だあ!!……うん?爆弾??」

 

 そんな事を考えていると前方から間の抜けたガメルの悲鳴と共に爆発音が聞こえた。

 

「ガメル!?」

 

 急いで玄関から外に出ると、ガメルがお菓子に囲まれながら倒れている。

 周りには煙が立ち上り、あの頑丈なガメルにダメージが入っているなんてどんな威力の爆弾なんだ。

 すると、視界の端で全身に植物を付けた人間が森の奥へ走っていく様が見えた。

 

「やはりバカか……昆虫のグリードである俺が、草と人間の区別もつかないと思っているのか?」

 

 愚かな敵の偽装を前に、俺は不用心にもその()()に乗ってしまった。

 

「待てゴルルァァ!!!」

 

 目の前で逃げ惑う人間はオーズでも、バースでも無い矮小な人間。

 すぐにバレる偽装でのこのこと姿を見せるだなんて、よほどに死にたいらしいな。

 

 内心、オーズとバースが今ココに居ない事に安堵しながら人間を追いかける。

 アイツらには負ける可能性があるが、ただの人間一人に負ける訳が無い。

 コレは戦いでは無く、一方的な狩りなのだ。愚かにもちょっかいかけてきた事を後悔させてやらなきゃなぁ!!

 

「あっかんべーーーだ!!」

 

 そんな風に油断していたのがいけなかったのだろうか。

 人間は突然こちらを振り返り行った、その安直な罵倒で俺の怒りは頂点に達し、周りが見えなくなった。

 今持てる全力で目の前の女を抹殺しようと一歩踏み出して………

 

「うわぁぁぁぁぁあああああああ!?!?!?」

 

 足元の地面と共に、俺は全く底の見えない奈落へと落ちてしまった。

 

 

 

 

 


 

 

「…………あれぇ?」

 

 

 ウヴァの落ちた落とし穴に手榴弾を投げ込んだ里中エリカは、何時まで経っても爆発音が聞こえてこない事に違和感を感じた。

 しかし、背後からメズールに襲われ、咄嗟のところでプロトバースである後藤慎太郎に助けられ、その後は網で捕らえたメズールを二人でボコボコにしている間にウヴァに感じた違和感なんてすっかり頭から抜け落ちてしまった。

 とはいえ、例えすぐに気になって穴を覗き込んだとしても、そこには空っぽの落とし穴があるだけで、何も情報は得られなかっただろうが。

 

 

 

 

「あー……そういえば、ウヴァは?」

 

 結局、彼の失踪に皆が気づいたのは、真木博士が恐竜グリードへと変貌し、オーズ一行を撤収させてから数時間も経過した後だった。

 

「ハッ!!放っとけ。どうせどこかでメダル稼いでるだけだろ」

 

 だが、真木一行の中には彼の失踪を心配してくれる存在など、誰もいなかった。当たり前である。

 

 

 


 

 

 黒、赤、青、緑、様々な色や模様が不規則に並んだ謎の穴の中を、俺は落ち続けている。

 

 館の敷地内で落とし穴に落ちてからどのくらい経っただろうか。

 こんなにも長い間浮遊感を感じながら落ち続ける経験は初めてだ。

 おかげで落とし穴のパニックから冷静になる事は出来たが、冷静になった事で別の問題で頭を抱えている。

 

「この穴、どこまで続いてるんだ?」

 

 たしか……空気抵抗を考えなかった場合、地球上で物が自由落下する時の加速度はどんなモノでも一定だとかなんとか。

 9.8(重力加速度)×経過時間(秒)で速度が求められるんだったか…(一般教養と言われる範囲くらいの勉学は、人間態の元にした人間を殺した時に一緒に学習しておいた。今までに無かった知識を入れるのは中々に面倒くさかったが、あったらあったで中々便利である。)

 

 つまり、10分程度でも落ち続けていたとしたら、俺は1765kmも落下していて、時速は20000kmを超えている計算になる。

 音速を超えるスピードなのだから(実際は空気抵抗によってここまで加速していないにしても)

 生身の人間ではあっという間に燃え尽きてしまうのでは無いか。

 いくら頑丈なグリードの身体だとしても、どこまで耐えられるかわからない。

 しかも、1700km地下というと地球の下部マントルの中だ。

 実際はもっと長い時間落ち続けているのだから、もはや地球の中に収まらない長さになっている。

 ありえない状況だ。しかし、現実で起こっている以上はなんとかここから生還する方法を考えなければならないか。

 この穴がどこまで続いているかも気になるんだが、果たして底が有るか無いかなんて問題は、せいぜい俺がコアメダルごと燃え尽きるか、砕け散るかの違いでしか無い。

 考えるだけ無駄だろう。

 

 奇妙に色を変化させているこの摩訶不思議な壁を登ろうにも、俺を中心に穴が曲がりくねるので不可能だ。

 

 ハッキリ言って、詰みに近い状況。今この時ほど、俺はアンクの翼を羨ましいと思った事は無いだろう。

 

 

 

 だんだんと体表のセルメダルが剥がれてきた。

 

 

 

 

 

 あぁ……俺は、こんなところで、中途半端に、消えていく……の…か…、…

 

 

 あの、カザリのように………

 

 

 

 

 

 

 消滅の恐怖に怯えながら、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 




この小説、実は思いつきの見切り発車で始めてプロローグを投稿したので、GWの休みで急いでオーズ見返してきたんですけども……
ウヴァさんの落とし穴シーンって49話中の45話の事なんですね。記憶だともっと中盤のイメージでした。
カザリも消滅しちゃってるし、映司もクスクシエ出ていってるし、終盤も終盤じゃあないですか。どうしましょ?

と、とりあえず、時間稼ぎの為に「現実世界よりも精霊界は時の流れが遅い」っていう設定でも追加しますね。



そこまでしても、すぐにメズールさん消滅イベがあるので、間に合うかどうか……


次回、ついにウヴァさんとTSアトラの蠱惑魔が対面します。
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