ディストピア世界にTS転生したら、管理する側の上位存在だった   作:見てます見てます

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プロローグ

 便宜上、私と言う存在は性転換━━TS転生をしたと言う事になるのだが、しかしながらこの世界の知識だと人間の魂が上位存在である我々【天使】、その枠組みの中でも特に強い躯体である【熾天使】を稼働させる事は不可能とされている。

 天使の存在がフィクションとされていた世界で生きていた私の魂自体が特別だったのか、はたまた世界線が異なる故だったのか。

 何にせよ私という【熾天使】は【天使】でありながら人間らしい感性を持っている、言ってしまえばバグ個体としてこの世界に存在していた。

 

 この世界は【天界】と【魔界】に分かれていて、それぞれ【魔族】に管理されている。

【天使】もまた【魔族】の枠組みにカテゴライズされる生命体であり、そしてこの世界では個体数という意味で最も繁栄している生命体【人類】はこの中には入らない。

【人類】の数は多い、というか【魔族】の数が少ないのだろうか?

 ……いや、違う。

 正確にいうのならば、そう。

 

 上位存在である我々が、徒に増やし過ぎたと言うのが正解だろう。

 

【天使】を含め、【魔族】は【人類】の事を愛している。

 ただしこの感情はかつて異なる世界で人間をやっていた私からしてみれば愛玩のそれに近い。

 そもそも上位存在、魂の作り方からして違う存在に人間の道理を説くこと自体が間違っているのかも知れないが。

 

 例えば、とある【熾天使】が管理している『人類生息域』では、35歳以上の【人類】はいない。

 それは【熾天使】が【人類】が老いによる劣化により傷つくのを嫌うからだ。

 だからそれは35歳の誕生日を迎えた人を救済し、輪廻転生させる。

 再び愛で、愛するために。

 

 さて、さて。

 

 ここまで少しだけ真面目にこの世界の常識を考えてきた訳だが、これからは少し私情を混ぜて語っていこう。

 

 

 いや、この世界ってディストピア世界やんけ!

 搾取は当たり前、それどころか苦痛を感じる自由もないという意味では地獄よりも地獄だ。

 幸せなのは、義務なんです━━なんて事を笑顔で【天使】から本気で言われた時は正直どんな反応をすれば良いか分からなかった。

 戯れで【人類】を救い、苦痛をなくし、ただただ幸せを謳歌するだけの生命体に落とす。

 なかなかに、あれである。

 何があれって、【天使】の中には多少の苦痛を与える事で【人類】が上位存在に対して反感を持つようにしてその様を『愛おしい』と眺めるのが好きな奴もいるという事。

 性癖極まってんな。

 それに関しては同族からもドン引かれているので、だから異常性癖なのだろう。

 

 何にせよ、この世界の【人類】に自由はなく。

 

 そして、今、私にとって重要なのは━━私は【熾天使】であり【人類】を管理する責任があるという事。

 

 

 

 ……何より、最近になってようやく『人間さん』が愛おしいという感情が理解出来てしまい始めている事だった。

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