(艦名は”敷島”、”肥前”、”薩摩”を予定していたと言われている)
北太平洋
巨大な砲撃音が周りに響き渡る。
アイオワ艦長 「う、撃て…。撃てぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
米戦艦アイオワが主砲を発砲する。放たれた主砲弾は、日本海軍の”ある戦艦”の至近で着弾した。
米砲手 「だめです!!敵艦は射程圏外にいます!!ここからじゃ当たりません!!!」
米砲手の悲痛な声が砲塔内にこだます。
米乗員1 「なんなんだ…、あの戦艦は…」
米乗員2 「まじかよ…」
米乗員たちがみたもの。それは…
坊ノ岬沖海戦で沈めたはずの”大和型戦艦”だった…。それに驚くことに、アイオワよりも僅かに大きい。(アイオワの全長は270m)
米乗員3 「嘘だろ…。なんてでかいんだ、化け物め!!」
それは、史実では計画中止により、建造が叶わなかった幻の戦艦、”超大和型戦艦”の一番艦、”敷島(しきしま)”だったのだ。
戦艦敷島艦橋
敷島航海長 「艦長。敵艦、主砲の射程圏内に入りました。砲撃しますか?」
敷島艦長 「まあ、そう焦るな。敵艦の射程圏内に入ってから砲撃を開始せよ。」
敷島航海長 「了解しました。」
51cm砲は破壊力こそあるものの、射程圏内50kmからでは敵艦に砲弾はほとんど当たらない。なので艦長は、敵艦の射程圏内に入ってから砲撃を開始することにしたのだ。
伊藤龍生 「な、なんだ…。あの戦艦は…」
岩本徹三 「これまたすげぇものを作りやがったな…。」
上空では、伊藤たちが風防越しに敷島を見ている。それほどにまですごい戦艦なのだ。
西澤広義 「全機、戦艦を護衛してください!」
西澤が航空団員たちに命令を出す。現状ではあの敷島がアイオワ撃沈の希望だ。航空機がない今は敷島に賭けるしかない。
アイオワ艦上
米兵1 「おい!ジャップの連中が戦艦を押し進めてるのって本当かよ!?」
米兵2 「ああ、そうらしいぞ…」
米兵が双眼鏡を覗き込み、どんどん近づいてくる巨大な戦艦に圧倒される。
米兵1 「勝てるのか…。あんなのに…」
戦艦敷島
航海長 「艦長、まもなく敵戦艦の射程圏内に入ります。」
艦長 「…一番主砲、二番主砲装填!照準でき次第射撃開始!!」
航海長 「了解しました!」
主砲塔内で多くの掛け声がかかる。
装填手 「右砲装填!!左砲装填中!!急げ〜!!」
装填手が砲弾、薬莢を砲内に装填していく。敷島は51cm砲なので砲弾は2t近くある。そのため一発の装填にも長い時間を要する。
砲手 「照準合わせ開始!」
その間に砲手が照準合わせを行う。大砲塔が故に旋回性能も遅く、一周するのに1分近くかかってしまう。
しかし、今はそんなこと関係ない。
装填手 「全砲門装填完了!!」
砲手 「照準合わせ完了!!」
どうやらアイオワが砲撃を開始する前に、装填と照準合わせが完了したようだ。
砲術長 「撃ち方始め!!」
砲術長の声と同時に砲手が引き金を引く。
凄まじい轟音とともに、砲から巨大な火炎が飛び出す。甲板作業員たちは艦内に退去していたが、仮に甲板にいた場合、おそらく確実に海に吹き飛ばされていただろう。
放たれた砲弾は巨大な弧を描きながらアイオワに向かって飛翔する。
米偵察員 「敵戦艦砲撃!!砲弾、まとまって飛来します!!」
アイオワ艦長 「全力で回避だ!!被害をできるだけ減らせ!!」
アイオワはその高速性を活かして、飛来する51cm砲弾を回避しようと大旋回をする。その様子を伊藤たちは上空から眺めていた。
岩本徹三 「よけんじゃねぇ!!当たれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
赤松貞明 「いけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
岩本と赤松が叫ぶ。海軍第一航空団の叫びとともに51cm砲弾はアイオワへと降り注ぐ。
アイオワ艦長 「総員、衝撃に備えろ!!」
艦長が叫ぶ。そして
51cm砲弾が戦艦アイオワに命中する。巨大な爆発音が鳴り響き、アイオワは瞬く間に炎に包まれる。
米兵1 「消火開始!!急げ〜!!」
米兵たちが消火を開始する。しかし、所詮焼け石に水である。炎は勢いを緩めず、めらめらと音を立てながら艦を焼き尽くす。
バァーン!! バァーン!!
次々と爆発音が轟く。
米兵たち 「うわあああああああああああああああああああああ!!!」
爆発の衝撃により米兵たちが次々と吹き飛ばされ、海へと転落していく。
アイオワ艦長 「被害はどうなっている?」
艦長が航海長に問いかける。
米航海長 「砲弾の多数命中により、機械室は損傷。両用砲郡半壊。一番主砲、被弾により旋回不能です。」
アイオワ艦長 「二番砲、三番砲で攻撃だ!!やられてばっかでたまるか!!」
砲弾が装填され、アイオワの二番砲、三番砲が高角調整を行う。
米砲手 「照準よし!いつでもいけます!」
米砲手が報告する。
米砲術長 「撃ち方始め!撃て!!」
アイオワの40.6cm三連装砲が火を吹く。一度に六発の砲弾が放たれた。今度は敷島に向かって砲弾が飛翔していく。
偵察員 「敵艦砲撃確認!!」
偵察員が叫ぶ。
航海長 「艦長。敵弾、向かってきます。」
敷島艦長 「慌てるな。この距離ならまだかわせる。取舵一杯。急げ!」
操舵員 「取〜りかぁ〜じ!!急げ〜!!」
操舵員が巨大な操舵輪を左へ回す。艦が急激に左へ旋回を開始する。すると、先程まで敷島が航行していた海面にアイオワの放った主砲弾が着弾した。
水柱が立ち、敷島の甲板に海水が降り注ぐ。
機銃員1 「あぶねぇ〜〜〜!!」
機銃員2 「旋回が遅れてたら被弾してたぞ!」
こうしている間にもすでに第二斉射の用意が行われており、早くもアイオワに照準を合わせていた。
砲術長 「撃ち方始め!!」
砲手 「って〜!!」
またも轟音が響き渡り、51cm砲が火を吹く。その轟音は風防越しにも聞こえたほどだ。
伊藤龍生 「っ!!なんて砲撃音だ…」
西澤広義 「耳が引きちぎれそうです…!」
坂井三郎 「これが、超大和型戦艦か…」
戦艦アイオワ
米観測員 「敵戦艦、回避!!撃ち返してきましたっ!!」
米兵1 「おい、嘘だろ…」
米兵2 「早く艦内に退去だ!!ウィスコンシンは何をやってるんだ!?」
アイオワ艦上では今だに米兵たちが消火活動を行っているが、炎の勢いは今だに衰えていない。
米航海長 「艦長!敵戦艦が再び砲撃しました!!」
アイオワ艦長 「くそっ!これ以上やられてたまるか!!面舵一杯!!全力で回避しろ!!」
艦長が叫ぶ。操舵手が舵を右に回す。アイオワは高速戦艦であるため、万全ならば初速が遅い戦艦の砲弾は容易く回避できる。
万全ならば…
艦橋に警報音が鳴り響く。通信のようだ。米航海長がでる。
米航海長 「こちら艦橋!どうした!?」
米機関兵 「こちら機関室!!全力航行により機関損傷がさらに深刻化!これ以上は持ちませn」
最後まで言い終わらないうちに、爆発音とともに通信が切れた。そして通信が切れたと同時にアイオワの速力は急激に落ちていった。
米航海長 「くっそ〜!!」
米航海長が悪態をつく。ふと艦橋の窓を見ると、そこにはさきほど戦艦敷島より放たれた51cm砲弾が降り注ぐ光景を目にした。
アイオワ艦長 「どうやら、ここまでのようだね…。総員退n」
再び51cm砲弾がアイオワに命中した。放たれた六発のうち二発がアイオワの第一砲塔と第三砲塔に命中、そのまま弾薬庫に着弾し、砲弾の誘爆により大爆発を起こした。そのまま船体は第一砲塔付近から真っ二つに折れ、そのまま艦首部分から海に沈んでいった。
アメリカ海軍の誇る高速戦艦、アイオワの最期の瞬間だった。
戦艦ウィスコンシン
米兵1 「おい、嘘だろ…」
米兵2 「アイオワが、沈んだ…」
戦艦ウィスコンシンの艦上では多くの米兵たちがその最期を見届けていた。
伊藤龍生 「これが、超大和型戦艦の実力…」
伊藤も上空を旋回してアイオワの最期を見届けていた。
岩本徹三 「これで終わりじゃねぇぞ。さぁ、残党狩りだ。」
この後も戦闘は継続され日本軍は空母隼鷹を撃沈されたものの、報復として空母二隻を撃沈、敷島の引き連れる戦艦部隊の特攻によりウィスコンシンを含む米戦艦郡も壊滅させ、生き残った戦艦ニュージャージーもルーデル大佐の投下した800kg爆弾の命中により大破、継戦能力が失われ米太平洋艦隊は壊滅。連合艦隊は傷だらけであったが、陸戦隊、上陸部隊を輸送していた輸送船団は無傷であり、アメリカ本土上陸作戦は継続された。
こうして海軍第一航空団の活躍と超大和型戦艦の見参により、太平洋に旭日旗が掲げられたのだった。
次回 決戦!!アメリカ本土上陸作戦 前編
北太平洋海戦…二次に渡る大規模な人類史上一の海戦。総数2000機を超える艦載機が入り乱れて戦闘、戦艦同士の砲撃戦が行われた。戦いに勝利した連合艦隊は、太平洋の絶対的覇権を獲得したのだった。