崇永記   作:三寸法師

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◆5

〜1〜

 

 

 完全に不意を突かれてしまった。佐々木惣領の俺は楠木軍の急襲に驚き、これ以上ないほど歯噛みした。応神天皇陵、もとい誉田御廟山古墳を伏兵の配置場所に使うとは奇想天外にも程があった。

 確かに古墳が戦に活用される事例は知らないでもない。後の戦国時代に上杉謙信や石田三成が拠った丸墓山だ。しかし、誉田御廟山古墳は埼玉県の丸墓山古墳と違って、皇室の陵墓なのだ。仮にも官軍を自称する南朝方の楠木軍が軽々に用いて良いものではない。

 第一、応神天皇と八幡大菩薩の関連性を思えば、正行軍のしでかした作戦は、八幡大菩薩……ひいては我ら源氏の一門や尊氏様への愚弄でしかない。俺は怒りで頭に血を昇らせ、地団駄を踏んだ。

 

 

「何という畏れ知らず!正行(まさつら)ァ!」

 

 

「源氏の八幡大菩薩への崇敬を逆手に取られましたなァ。正成殿の御子息の才に偽り無し……六角殿、早急に立て直しましょうぞ」

 

 

「ッ……応!」

 

 

 事ここに至り、同じ幕府軍の武将である範資(赤松信濃守)の存在が頼もしい。

 総大将はこれもこれで実績のある豚カツ(細川顕氏)なのだが、範資(信濃守)は天下屈指の名将の父・円心に似て落ち着きがある。その弟の貞範(雅楽助)と合わせ幕府軍の逆襲……楠木軍を押し返すための鍵になるのは明白だ。

 しかも、範資(赤松信濃守)は此処の隣国の摂津国の守護で、比較的この近辺の地理に詳しい。地の利を確保しておくために重要な人材なのだ。

 俺は自軍を藤井寺に置いて此処に来てしまったいたため、ひとまず総大将の顕氏(細川陸奥守)とは別に手勢を纏める範資(赤松信濃守)に同行する事にした。

 

 

「応神天皇陵はこの摂河泉において仁徳天皇陵に次ぐ大きさを誇っている。楠木軍の動員兵力を鑑みれば、思うに伏兵の数は数百騎といったところでしょう。何の。慌てず粛々と立て直すが宜しい」

 

 

「……数百騎」

 

 

 湊川の戦いを思い出す。当時、足利軍は五十万騎とも言われた大兵力だった。四国勢をして楠木党を新田軍と切り離して孤立させ、名将たちに狙い撃ちさせた。しかし、それでも正成は寡兵で繰り返し奮闘して、軍神らしい武名を遺した。ではその嫡男の正行(まさつら)は?

 先には畠山軍に勝利し、今日は誉田八幡の謂れを完膚なきまでに利用して幕府軍の不意を突いている。八幡宮にいる武将や最精鋭はまだ良いが、すぐ近くの河原の北朝兵三千余騎がいつ恐慌状態に陥るか知れたものではない。はっきり言ってかなり危機的状況だ。

 

 

「六角殿。分かっておられようが、くれぐれも」

 

 

「……正行(まさつら)の実力、よく分かり申した」

 

 

「六角殿?」

 

 

 目先の激戦に当てられ、俺の心拍数は急速に上がる。向こうの叫び声で、村田だか村上だかいう兵卒たちだの、豚カツ(細川顕氏)党の何とか(さと)(ふさ)だのという者が討ち取られたと知ると、鼓動は更に加速した。

 見たところ、楠木軍は実に精強だ。この俺がまだ斬り込んでいないとはいえ、幕府軍の精鋭を押している。だが、単純な強さだけではない。正行(まさつら)が高いレベルで知勇兼備だからこその今の戦局だ。

 正行(まさつら)は用意周到である。何故だか誉田八幡宮での源氏の決起集会について察知し、予め伏兵を近くに忍ばせたようである。しかし、今考えてみれば簡単な罠のように見える。無論、実際には意外と()()()()()と相場が決まっているが、決してできない事ではない。

 

 

範資(信濃守)殿!先ほど顕氏(陸奥守)殿より紹介された誉田某とやらは?」

 

 

「……成る程。確かに姿が見えない」

 

 

「チッ……この戦場にもはや甲斐はないか」

 

 

「六角殿、幸い馬は我が弟・貞範が手を回して無事にござる」

 

 

「……ならばまだ逆転の余地はある」

 

 

 一瞬だけ元後醍醐軍の赤松家を疑ったが、やはり無用だ。彼らは武士を使い捨てる南朝(大覚寺統)の気風をよく知っている。今更元鞘に戻って大覚寺統(吉野政権)に味方するなぞ有り得ない。となれば誉田某が怪しい。

 先ほど豚カツ(細川顕氏)は言った。戦勝祈願の式は誉田某の助力あればこその事だったらしい。地元武士が北朝に味方する振りをして豚カツ(細川顕氏)を騙したのだ。不思議と豚カツ(細川顕氏)への怒りは沸かない。豚カツ(細川顕氏)も源氏の端くれだからこそ、そうした八幡宮を利用した策に引っ掛かったのである。ならば、俺が怒る事はない。逆に同情さえしたくなる。

 何はともあれ、こんな原因分析は一旦程々にして、切り替えるべきだろう。今すべき事は何か。浮かんだのは六角党たちの顔だ。

 

 

範資(信濃守)殿、ひとまず一騎駆けして敵の隊列を乱します」

 

 

「……御武運を。顕氏(陸奥守)殿の補佐は拙者にお任せくだされ」

 

 

「直ぐに兵を連れて戻ります。それまでどうにか粘って頂きたい」

 

 

「心得申した。できる範囲でやってみましょうぞ」

 

 

 少しでも早く最も信頼できる郎党たちと合流したい。藤井寺まで馬で駆けるついでに(楠木)軍の急襲の勢いを削ぎ、豚カツ(細川顕氏)や赤松兄弟が立て直す時間を作ろう。そうすれば勝ち筋を失わずに済む筈だ。

 騎乗状態となって名刀「綱切」を構える。楠木党はどう調練したのか知らないが、一人一人が精強そうだ。とはいえ、今の俺の武勇は彼らよりも異次元だ。風穴を開けてやる程度は十分できよう。

 こうして、後の世で「藤井寺の戦い」と呼ばれる戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

〜2〜

 

 

 

 

 

 暖簾に腕押しという言葉がある。単騎で正行(まさつら)軍の中央突破を狙った感想がまさにこれだった。事もあろうに、正行(まさつら)は遠目に俺を一瞥するや否や、即座に指令を下した。血気に逸る小物に構うなと。

 流石にカチンと来たが、今は手勢との合流が先だ。悪党の息子が名門の出の俺に対してほざいてくれた、身の程知らずな物言いへの落とし前は、後でもできる。まず藤井寺に向け、疾くと駆けた。

 

 

「はッ……はッ……どう!美濃部!」

 

 

「は!」

 

 

「今すぐにでも誉田八幡に引き返して正行をギッタギタにしてやりたいのは山々だが、後だ!直ぐにでも藤井寺から我が六角党を動かさねばなるまい!お前は向こうの顕氏(細川陸奥守)殿らの戦況を具に観察してくれ!敵の小細工のせいで、だいぶ混乱しているようだがな……」

 

 

「承知!殿、どうかお気を付けて!」

 

 

「分かっておる……さて」

 

 

 忍びを東へ放ち、俺は西の藤井寺の方を睨んだ。どうやら楠木軍の別働隊の同時攻撃を受けているようである。敵将は正行(まさつら)の弟の楠木正時、もしくは別の楠木党幹部か。正直言って、誰でも良い。

 俺が暴れて追い払えば済む話なのだから。騎乗のまま、刀を高く構えて一呼吸置く。それからカッと目を見開き、全力で駆けた。

 

 

「我が精鋭なる配下たちよ!大儀である!氏頼が戻ったぞ!」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

「ッ……氏頼がお出ましだ!退け!退けェ!」

 

 

「正時……いや、今は捨て置くべきか」

 

 

 楠木軍別働隊は、俺の姿を見た途端に藤井寺への攻撃を中止し、素早く撤退し始めた。判断が迅速極まりない。臆病風に吹かれたというより、正時(正行の弟)にも相応の軍才がある証左と見るべきだろう。

 一瞬、敵は藤井寺の六角党が当主の俺を敷地内に入れるための開門を狙ってワザと退却する振りを……とも考えたが、その線はどうやら無さそうだ。敵の撤退を確認した上で、俺は門を開かせる。

 

 

「兄様!お戻り嬉しく存じます!」

 

 

定詮(五郎)、時間がない。感慨に浸るのは後にしよう。光綱(六郎)は?」

 

 

「それが……敵の矢に当たり、暫く足が使えそうにありません」

 

 

「何?」

 

 

 話を聞いて俺は息を呑む。楠木軍は常習的に糞便を利用する集団である。軍神・正成から正行に代替わりして、そうした印象は薄れているものの、平地戦でも糞便が鏃に塗られていた場合、毒矢に匹敵する脅威になり得る。後遺症を含む懸念が生じてしまうのだ。

 六角党は他家の軍に比べ、特に弓矢防御に長けているとはいえ、後継代理の光綱(六郎)は経験が浅い。肝心の武もポテンシャル豊かだが、俺や定詮(山内五郎)に比べれば未だ絶対的とは称せない。そこに悪党出身とも言われる楠木軍への侮りがあれば、足元を掬われるのも道理か。

 目を瞑って逡巡する。然して長考するだけの猶予はない。こうする間にも、俺は小姓から受け取った自らの頬当てを付けていた。

 

 

「……反省は後だ。光綱(六郎)は天王寺方面へ退却させる。楢崎太郎左衛門ら数十騎に護衛させよう。本当は負傷状態で動かしたくないが、もう此処に長居は禁物だ。それに元より俺はそのつもりだった」

 

 

「兄様?」

 

 

顕氏(細川陸奥守)殿たちが危ない。ここで幕府の重役の顕氏(細川陸奥守)殿を死なせれば、将軍の沽券に関わる……定詮よ。俺はお前たちを率い、誉田八幡宮へと戻らねばならん。範資(赤松信濃守)殿と約束したのだ。必ず救援すると」

 

 

 既にはっきりしている。楠木正行(まさつら)の将器は大したものだ。軍神と謳われた父・楠木正成の後継者として何ら恥じるところがない。

 しかし、俺とて尊氏様の烏帽子子だ。一騎当万の土岐頼遠亡き後の外様筆頭武将としての自負がある。このまま黙って引き下がろうものなら、豚カツ(細川顕氏)のトバッチリで、世間から敗軍の将の烙印を押されてしまうだろう。そんなの真っ平御免だ。同世代の若手武将に負ける訳にはいかない。尊氏様のためにも、亡き実父(六角時信)のためにも。

 

 

「殿!」

 

 

「美濃部……もう向こうの、顕氏(細川陸奥守)殿らの戦況が悪化したか?」

 

 

「は!豚カツ(細川顕氏)殿は手勢三百騎を自ら率いて抵抗を試みるも、後方の兵たちが混乱して次々退がったがため、諦めざるを得ず!赤松御兄弟も粘り強く戦っておられますが、ジリジリと敗色濃厚に……」

 

 

 我々が藤井寺において手早く出立せんとする間にも、すぐ東の戦況は目まぐるしく変わっているようだ。救援が間に合わない可能性を頭に入れなければなるまい。だが、それでも諦観は御法度だ。

 我らの前から姿を消した敵軍・正時隊も間も無く南から通る形で誉田八幡宮へ押し寄せるだろう。そうなれば、名将の子である赤松範資(信濃守)並びに貞範(雅楽助)の兵たちといえど総崩れを免れまい。とはいえだ。まだ試合、もとい合戦は終わっていない。挽回は十分できる。

 俺は周辺地図を脳裏に浮かべる。目指すは逆転勝利ただ一つだ。

 

 

「聞いたか?定詮(五郎)……正行(まさつら)のヤツめが、細川顕氏(陸奥守)に加え、赤松範資(信濃守)及び貞範(雅楽助)を上回る実力の持ち主となれば、それはもう赤松円心(兄弟の父)にも比する武将という事だ。この意味が分からぬお前ではあるまい」

 

 

「は……他に北朝で言うところでは斯波(尾張)高経(修理大夫)様や高師直(武蔵守)。南朝で申すところでは()楠木正成、新田義貞、北畠顕家の三名に匹敵する。それ程の武将と見做すべき……兄様はそう仰りたいのでしょう」

 

 

「如何にも」

 

 

「しかしながら……定詮は、兄様が勝つ。そう信じております」

 

 

 次弟・山内定詮の純真な言葉に、俺は力強く縦に頷いて見せる。

 ここからは楠木正行(まさつら)とこの六角氏頼(大夫判官)の戦だ。敵は姿を消した別働隊と合わせてもおよそ千騎に満たず。対して俺が今から動かす兵力は数にして七百騎ほど。だが、決して負けるとは思っていない。

 この瀬戸際から勝負をひっくり返そう。算段は既に付いている。

 

 

 

 

 

〜3〜

 

 

 

 

 

 足場は全く問題ない。ここから再戦だ。俺は東に移動し、決意を新たにした。一旦、頬当てを外して正行(まさつら)軍の陣容を広く見渡す。

 勝てる。そう思って口角を上げる。本格的に乱戦が始まる前に高らかに叫びたい。勝つのは我々六角軍。将軍の烏帽子子なりと。

 互いに許容できる時間は長くない。だから簡潔に言い放った。

 

 

「ゴロツキどもを排除する!」

 

 

「尊氏の前座を討ち取る!」

 

 

「「掛かれェェェ!!!」」

 

 

 この九月十七日の合戦は最終局面へ移行し始める。後に佐々木一族の間では、東に通じる道で六角軍と楠木軍の乱戦が始まったと語り継がれ、軍記物語『太平記』の一部にその成果が収められる。

 尤も、今の俺にとってそんな事は知らぬ存ぜぬ。ただ目の前の合戦に集中した。尊氏様のため、幼馴染の正行(まさつら)を討ち取るために。

 鎌倉時代はとうに終わった。今時分の主流は乱戦だ。俺は決して乱戦が不得手という訳ではない。むしろこんな白兵戦が得意だ。

 

 

「目賀田、もっと前に押し出せ!青地、左翼を厚くせよ!」

 

 

「「御意!」」

 

 

 これでも平地戦の嗅覚は幕府武将たちでも抜群の部類に入る。

 あたかも空の上から盤面を俯瞰するように、臨機応変に指揮して戦を進めていく。だが、俺は違和感を募らせるばかりであった。

 続けて忍びから報告が入る。俺は刀で敵兵を斬り払いながら忍びの声に耳を傾けた。正行(まさつら)の姿は遠い。まだまだ個の武勇で押し切る段階ではない。大体、それで万事うまく行くなら、湊川の戦いで、土岐頼遠が味方(足利など)の大軍を差し置いて軍神(楠木正成)を討ち取っていた筈だ。

 楠木軍の数百騎は顕家軍の幾万騎に勝る。どうやら楠木家当主が代わっても尚、この認識を念頭に置かなければならないらしい。

 

 

「殿!敵の数が次から次へと増しておりまする!」

 

 

「おのれ……各所に散った楠木党が集まっているのか」

 

 

 楠木兵一人一人の歯応えは軽視せざるものだ。どこでそんな力を手に入れたのやら、高軍や桃井軍の精鋭すら上回るに違いない。

 並大抵の武士団であれば、我が武を誇示するだけでも軽く蹴散らせようが、今回は相手が相手だ。そう簡単に問屋が下ろさない。

 かと言って、近江国から多くの兵を連れて来ていればという簡単な話でもやはりない。此方が寡兵だからこそ、敗因になり得る隙を見せずに戦えているが、敵もまた精鋭であるが故に決め手を欠いているという状況だ。しかも、楠木軍は数が増えているといっても、その数は二千騎に届いてない。そのため、敵軍に馳け破れそうな隙が見当たらないのだ。しかし、勢いは当然、細川軍や赤松軍を破ったばかりの楠木軍にあり、対して我ら六角軍は中々逆転できない状況にヤキモキしている。誰よりも俺が痺れを切らしつつあった。

 あくまで軍と軍で決着を付けなければならない。しかし、このままでは六度だか七度だかの鍔迫り合いで遂に敗走の赤松兄弟の二の舞を演じてしまうだろう。何か、何かが足りない。そう思った。

 

 

「太守様、申し訳ござらぬ!お留守の間、正時どもに光綱(六郎)様を射させなければ、もっと楽に戦いを進められたやも知れませぬのに」

 

 

「謝罪は良いから敵を討て、小太郎。それにしても、光綱(六郎)か」

 

 

 これもまた幼馴染の郎党、粟生田小太郎を嗜め、続けてもうそろそろ天王寺に辿り着く頃合いの三弟・光綱に思いを馳せた。確かに光綱は負傷したが、既に自力で熊を倒せる程に強くなっていた。

 成る程、足りないピースは光綱(六郎)だったか。そう思ったところで、背筋が不意に凍るような心地がした。マズいと思い、瞬時に敵兵を遠くへ払い退ける。急ぎ忍びを放たねば。そう思った時だった。

 

 

「兄者!この楠木正時、及び和田賢秀が参りました!」

 

 

「……やったか!正時!?」

 

 

「はい!……六角軍よ、これを見ろ!佐々木光綱らの首である!」

 

 

「「「!?」」」

 

 

 正行(まさつら)軍に別働隊の正時たちが合流する。失策だった。高々と薙刀に括り付けられた我が三弟・光綱(六郎)の首を見て、俺は唖然とする。

 どうやら楢崎太郎左衛門ら、齢十三の光綱(六郎)に添えた筈の護衛たちまで壊滅したようだ。だが、今は正直それどころではなかった。

 方々で細川軍や赤松軍を追撃していた筈の楠木軍の兵が、方向転換して正行(まさつら)の本隊と我ら六角軍の戦いに身を投じる中、正時隊はわざわざ、北に走る光綱(六郎)たちの小勢を狙ったらしい。この意図とは果たして何か。身内の戦死は顕家軍との戦などで経験したが、弟が死ぬのは初めてである。この時点で我が動揺は極地に達していた。

 

 

「我が弟を……この匹夫どもがァァァァァァァ!

 

 

「兄様!?」

 

 

「何という威圧感……だが

 

 

今だ。賢秀

 

 

応よ

 

 

 やり場のない感情で堪らず咆哮を上げた途端、視界の隅に目掛けて黒い塊が瞬く間に通り過ぎる。何が起こったのか、直ぐには分からなかった。武勇を極めし筈の俺に敵の矢が当たるなぞ、近年想像だにしていなかったのだから。だが、異変は遅れて身に沁みた。

 頬が熱を帯びている。力が抜けるような感覚がする。どうして。どうしてこうなったのか。尊氏様の御尊顔を思い浮かべ、同時に前後不覚となる。混乱が馬に伝わる。そこからは無我夢中だった。

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