崇永記   作:三寸法師

34 / 201
◆7

〜1〜

 

 

 足利軍の再編作業の終了に伴い、ここまで師直や直義から勝ち星を拾い続けた新田軍との戦闘がいよいよ明日に迫っている。

 出陣前の準備を粗方終えた俺は陣所として借りた寺の御堂で家臣筆頭にして近江国守護代である馬淵義綱と密談していた。

 

 

「道誉殿から連絡はあったか?馬淵……いや、義綱」

 

 

「はい。尊良親王殿下御自らお出ましとのことです。副将には脇屋義助や塩冶殿らが……上手く釣り出せましたな。殿」

 

 

「師直殿に多少の手直しを喰らったとはいえ、尊氏様に採択して頂いた策だ。上手くいって貰わねば困る」

 

 

 勢いに乗った新田義貞との尊氏戦で万全を期すには漸く出陣した尊氏にも弾みをつけて貰わなければならない。

 だからこそ利用するのだ。弟に当たる護良親王の死の真相究明とその鎮魂を願う奥ゆかしい親王殿下の心をである。

 

 

「しかし、斯様なことになろうとは殿下を六角邸でお預かり申し上げた時には夢にも思わなかった。先のことは分からんものだ」

 

 

「……殿はたいそう懐かれておいででしたな。現に殿の和歌や雅楽には今も殿下の教えの跡が残っておられる」

 

 

「ふむ。そう見えるか」

 

 

 思えば、元弘の変が起こった1331年のことだ。

 六波羅傘下の武将たちの中でも屈指の家格と実力を兼ね備えていた時信の元に、無謀にも笠置山に潜幸したことで幕府に睨まれた後醍醐天皇……その第一皇子に当たる尊良親王が預け置かれた。

 

 

『そこの覗き見る君は一体どこのどなたかな?』

 

 

『……左衛門尉時信の長子、千寿丸にございます。ご無礼をお赦しください。親王殿下』

 

 

 最初はただの好奇心だった。皇族を生で拝見する機会というのは二十一世紀でも簡単に得られるものではない。

 しかも、後醍醐帝の第一皇子である。同じ屋敷で過ごす機会を得たのなら、自然と顔を合わせてみたくなるものだった。

 

 

「幽閉生活の間、年端も行かぬ子どもだった俺に、京で貴人たちと渡り合うために必要な技能を余す所なく授けてくださった殿下には今でも感謝している。だが、俺は足利尊氏公の天下取りを後押しする身だ。こうして敵味方に分かれてしまった以上、情けは無用だ」

 

 

「殿。本当に宜しいのですな?もう……後に引けませぬぞ」

 

 

「ああ、構わない」

 

 

 俺は断じた。一切の澱みなく。六角家を守り、一族郎党の血脈を次代に繋いでいくため、そして足利尊氏という男に天下を取らせるためには如何なる障壁だろうと乗り越えなければならない。

 かつて心通い合わせた相手に刀を向けることを躊躇すべきではないのだ。その意味で今回の戦は中先代の乱と同じだと言えるのかもしれない。流石に親王を刃で傷付ける訳にはいかないが。

 

 

「では、私どもは家臣として殿をお支えするのみです。微力ながらこれまで同様……いえ、それ以上に力を尽くしましょう」

 

 

「義綱。お前にはつくづく労を掛ける。お前がいなければ、俺は近江国の守護としてやっていく事は叶わなかった。此度はよく道誉殿への不信感を呑み込んで役目を果たしてくれたな」

 

 

「殿。誤解されているようですが、私は何も私怨で京極殿を悪し様に申してきた訳ではございません。あの魅摩殿を人質として出して来たのであれば、策に組み込むのも道理かと」

 

 

「そうか……魅摩に下した沙汰。お前はどう思った?」

 

 

 新田への偽装投降を試みた父親の道誉に人質として俺の元に預け置かれた魅摩を殺害するのは論外だが、かと言って何の処分も下さないというのも体裁の上で宜しくない。

 だからこそ俺は郎党たちの前であのような宣言をしたのだ。

 敵方に走った道誉ではなく、佐々木一族の惣領である俺の持ち駒であるということに建前上してしまえば、郎党たちも他家の者たちも手を出すことが出来ないという寸法である。

 

 

「概ねは適当だったと言えましょう。現に、殿のお命じに従って、ただの一人も魅摩殿に危害を加えてはおりません」

 

 

「そうか。だが、義綱。概ねということはつまり?」

 

 

「京極殿が帰参した時に揉めるかと。私にはそこが心配です」

 

 

 確かにあの言い方では今後の魅摩があたかも恒久的に俺に従属するように聞こえてしまったかもしれない。

 だが、実際には()()が終われば魅摩はまた元の京極家の令嬢だ。

 きちんと五体満足の状態で魅摩を帰せば、道誉が文句あるいは言いがかりをつけて来る余地はないだろう。

 

 

「案ずるな。道誉殿は俺の意図を知っている。大体、新田軍を打ち破ったとしても、まだ楠木が京に残っているのだ。今の段階で余計な荒波を立てるような真似はするまいよ」

 

 

「……妥当なお考えかと。さて、殿。そろそろ高経殿より使者が寄越される頃合いです。その前に皆にお声掛けください」

 

 

「ああ、そうしよう」

 

 

 当主である俺の激励によって士気を高めた六角軍は日が暮れて間もない頃に先鋒大将足利高経と共に、竹下へ向かった。

 西の麓で燃える新田軍の夥しい数の篝火を見た源氏軍先鋒部隊は散開する。誘い出した義貞の弟の脇屋義助の他、塩冶高貞や大友貞載といった武将たちで固められた新田軍の別働隊を屠るために。

 先陣を切るのは勿論この俺、六角千寿丸である。

 

 

 

 

 

〜2〜

 

 

 

 

 

 京極や塩冶といった佐々木氏の分家の代表格と呼べる人物たちが新田軍に属している今、本家の六角家が内応を申し出ても何の違和感なく受理されるというのが俺の読みである。

 念の為、守護代の馬淵義綱の勧めに足利と親しかった当主の俺が折れたという形を取りはしたが、新たな関東の管理者に任じられた尊良親王の意思が想定以上に新田軍の行動に反映されていたため、正直に言えば要らない心配だったかもしれない。

 

 

 何はともあれ、新田軍は敗北を喫する。

 六角の内応を信じ、俺と親しかった尊良親王と二条為冬の主従二人を矢面に立たせてしまったがためにだ。

 

 

「為冬卿。お手数ですが、殿下にお伝えくだされ。私のことは今日この日を以て、お忘れくださいますようにと」

 

 

「……!千寿丸、それは」

 

 

「お別れにございます。為冬卿」

 

 

 速やかに弓を取り出した俺は天空に向けて鏑矢を放った。

 当然、合図のためである。高経軍をはじめとする周囲の山々に伏せた味方に対し、攻撃開始を告げたのだ。

 俺の背後にいる六角軍の兵士たちも一斉に各々の武器を構える。

 

 

「さぁ、逃げ切ってください。為冬卿。でなければ、私の言葉を殿下にお伝えすることが出来ないでしょう?」

 

 

「っ、千寿丸!汝は!」

 

 

「攻撃開始!皆の者、俺に続け!」

 

 

「「「応!」」」

 

 

 猛者としての牙を露わにした六角軍の兵士たちが駆け出した。

 為冬に率いられた五百の兵はこれに対し、慌てふためく。警備の仕事に慣れているとしても、精鋭を自負する武士たちの本格的な殺気は碌に経験していないに違いない。

 案の定、背中を見せて逃げ始める。惜しむような顔をした為冬もまた急かす近侍に連れられ、踵を返した。

 

 

「殿、本当にこの追撃速度で宜しいのですな!?」

 

 

「ああ、そうだ!木村!これで良い!」

 

 

 確かに六角軍が本気を出せば、明らかに先の北条軍や三浦軍に練度で見劣りする二条軍なら簡単に捻り潰せるだろう。

 しかし、それでは意味がない。二条軍を殲滅したところで、五千騎を超える脇屋軍が残っているのだ。

 

 

「各々が逃げて生き延びようとする二条兵たちを脇屋軍の隊列に追い立てるのだ!今は追いながら威嚇射撃あるのみぞ!」

 

 

「は!」

 

 

 歩兵たちが走る側で騎馬武者が程々の威力で弓を放つ六角軍は一定距離を保ったまま背走する二条軍を追い続けた。

 その中で、俺は二条軍とその後方で矢を放つ準備をする脇屋軍の間の徐々に狭まって行く距離を見極めていた。

 

 

「殿、ご覧ください!他の先鋒軍……高経軍、赤松軍、土岐軍がそれぞれ呼応の狼煙を上げましてございます!」

 

 

「良し!脇屋兵も取り乱している!勝てるぞ!この戦!」

 

 

 今回、足利勢を中心とする源氏軍が採択した策の要はこの竹下という地において脇屋義助が率いる一万騎にも満たない新田軍別働隊に勝利し、勢いを得ることにある。

 そのために道誉を通じ、佐々木嫡流として名高い六角軍の内応という餌をチラつかせ、直義を前後から挟み撃ちにしようと申し出たのだ。このおかげで脇屋を誘き出すことが出来た。

 当然、日頃クエスチョンマークを文字通り浮かべている新田家当主の義貞はともかく、俺と尊氏の距離が近いことを義助も義昌も把握しているだろう。だが、生憎と俺は外見の上では幼い。

 足利軍の不利で怖気付き、道誉や高貞ら佐々木の分家を頼ったという形であれば、不信感を抱かれる可能性は低いのだ。

 

 

「殿!足利尊氏の軍、動き出しました!」

 

 

「相分かった!美濃部、引き続き探れ!」

 

 

「はっ!」

 

 

 万を超す尊氏の軍が到着する前に、高経や土岐・赤松と連携し、二条軍諸共脇屋軍を掻き乱すのが今回の俺たちの役目だ。

 さて、統制を欠いた二条軍の練度はお粗末そのものである。

 事もあろうに、旗持ちが命を惜しんだのか、先ほどまで得意げに掲げられていた錦の御旗さえ打ち捨てられた。

 後で回収しなければと思いつつ、俺は声を張り上げた。

 

 

「皆の者、時が来たら一気に速度を上げるぞ!脇屋軍は二条兵に手が出せない!それを逆手に取り、脇屋軍の射程圏内に入る直前で二条軍に追い付き、そして追い立てるのだ!さすれば、脇屋軍は容易く隊列を崩す!後は尊氏様御自ら率いる足利本軍が脇屋軍を蹂躙するのを待つのみだ!勝利の二文字は我らにあり!」

 

 

「「「応!」」」

 

 

「殿、五十騎弱の騎兵部隊がこちらに近付いて参ります!」

 

 

「は!?……桔梗紋。土岐勢か。一体何の用だ」

 

 

 突然の知らせに横を向くと、少数の土岐勢が二条軍を追走する俺たちに接近して来るのが見えた。伝令にしても合流にしても中途半端な数で、意図が分からず不審に思って身構えた。

 ただ、巨漢の頼遠の姿はない。ならば、戦っても十分に勝てるだろうが、他者を追走する状態での迎撃は容易ではなく、何よりこのタイミングで二条軍追撃の手を緩める訳にはいかない。

 今は土岐氏が室町幕府の元で百年以上存続することを踏まえて、敵対のための接近ではないことを願うしかなかった。

 

 

「捗っておられますかな?六角殿」

 

 

「貴殿は……長山殿か!」

 

 

 六角軍との併走を開始した僅かな数の土岐兵を率いる独特な顎の形をした大将は名前を長山頼元という。

 あの土岐頼遠の猶子であり、手に持った立派な(まさかり)が示す通り、土岐軍の中でも抜群の武力の持ち主であるという噂である。

 

 

「我が義父上の命により、幼稚な六角殿をお助けに参りました」

 

 

「よ、幼稚……?いや、実に頼もしい!今は師直殿の戦略に沿って二条軍を距離をとりつつ追っているところにて!決して婦人の情に駆られている訳ではござらん!ご安心召されよ!」

 

 

「左様でしたか。失礼致した。ではこれより、我々が六角殿をお助けし、共に敵に攻め掛かりたいと思いますが、如何か?」

 

 

「それは心強い!いざ!」

 

 

 そうこうするうちに、二条軍が脇屋軍の構える弓の射程圏内に差し掛かろうとしている。スパートを掛けるなら、今だ。

 

 

 

 

 

〜3〜

 

 

 

 

 

 後に箱根竹下合戦と呼ばれることになった戦は旧暦にして十二月も中旬に差し掛かるだろうという日の朝に始まった。

 箱根で新田義貞率いる大手軍を足利直義が迎撃した一方で、竹下では脇屋義助による搦手軍に名を連ねた二条為冬の軍勢に佐々木と土岐の連合軍が兎を狩る獅子の如く攻め掛かった。

 

 

「皆の者!佐々木の惣領たるこの近江三郎が命ず!敵を討て!」

 

 

「「「御意!!!」」」

 

 

「……」

 

 

 伝家の宝刀の「綱切」が陽光を反射した。俺の持つ刀の先から放たれた光に照らされながら、六角軍は突然加速した。

 突然の変貌ぶりに一瞬だけ眉を顰めた長山も置いて行かれまいとして手綱を操る。そして、両軍が二条軍に追い付いた。

 

 

「二条の兵ども!逃げよ!逃げよ!さぁ、脇屋の兵ども!我らを射ようとして二条兵を巻き添えに出来るかな!?」

 

 

「なっ、あのガキ舐め腐りおって!」

 

 

「皆覚えているな!執事(師直)殿の定めた規則だ!"分捕切捨"始め!」

 

 

「「「応!!!」」」

 

 

「!?……六角軍に遅れを取るな!脇屋軍の武士どもよ、この長山様がお通りだ!命が惜しくば、道を開けよ!」

 

 

 高師直はやはり時代を代表する強者である。戦の最中に携行するには意外と嵩張る首を手柄の証拠とする旧式のやり方に拘らない手法である"分捕切捨"は目にも止まらぬ速攻を可能にする。

 逃げて来る二条兵を迎え入れざるを得ない脇屋軍に超速で突っ込んだ土岐・佐々木連合軍が混乱の渦を巻き起こした。

 

 

「ふんっ!やあ!……馬淵、伊庭!陣形変更だ!逆鉾の陣!」

 

 

「「は!」」

 

 

 突撃中の陣形変更というのは並の武将ではまず無理だが、能臣たちを従えて見知った精鋭兵を率いた俺なら十分可能だ。まして戦を見据えたこれまでの演習で散々取り組んで来たことである。

 神話に由来する名前を冠するこの陣形は"鋒矢の陣"に似て、少数で多勢を掻き乱すのに適している。母方の実家の縁で学んだ兵法や一族の武将である黒田による教えを基に編み出したものだ。

 効果は覿面であり、精強である筈の脇屋勢もとい新田勢は見知らぬ陣形に対して違和感を拭えず、混迷を深めるばかりだった。

 しかし、かと言って何の対処も講じない訳ではない。

 

 

「小癪な!細屋右馬助、参る!」

 

 

「ッ!」

 

 

 新田一族の武将であり、今回の戦では義貞の別働隊として動いた脇屋軍の副将を務める細屋秀国の登場に俺は息を呑んだ。

 言うまでも無く名のある武将であり、立ち振る舞いからも知名度が決して張りぼてではなく、真の実力者であることが伺えた。

 

 

「殿」

 

 

「ああ、分かっているぞ。伊庭。細屋の武力は一線級だ。難なく倒すことが出来る武将は足利軍にも十人と居ない筈」

 

 

 直感的に察知した細屋の実力から言って、今の俺が一対一で素早く仕留めるのは困難だ。しかし、立ち止まることは出来ない。

 六角軍総大将である俺を直接狙って来るのなら、リスクを受け入れて対応するしかないと思った矢先のことだった。

 

 

「あの者のために殿の御手を煩わせることは非ず!殿、細屋右馬助の相手はこの目賀田弾正忠にお任せあれ!」

 

 

「目賀田……頼んだ!」

 

 

 先代の時信が引退した今の六角軍においては抜群の猛者である目賀田を信頼し、立ち塞がる細屋右馬介の対処を託した。

 勇壮さでは軍中随一、坂東武者を十万騎揃えようとも敵う者は滅多におるまいというような目賀田ならば、新田一族で名の聞こえた武将相手でも十分に勝算が見込めるだろうと判断したのだ。

 

 

「ヤァァァ!」

 

 

「ぬお!」

 

 

 寡兵で突っ込んだのは此方である以上、あまり悠長に時間を掛けてはいられないことを知る目賀田の攻撃は鮮烈だった。

 討ち取るというより、体勢を崩させるための殴打のような攻撃を前にして、細屋は落馬して地に転がる。基本的に猛者同士の対決は中々決着がつかないものだが、今回は違ったようだ。

 剛の者である目賀田は悶絶する細屋を一瞥して兵に告げた。

 

 

「皆々、殿の御意思を忘れるでない!首は要らぬぞ!一人でも多くの兵を戦闘不能にし、敵軍を麻痺させようぞ!いざ参らん!」

 

 

「「応!」」

 

 

「ま、待て……勝負はまだ」

 

 

 大鎧を着用した身で喰らった落馬の痛みに耐え、何とか得物を杖のように使うことで立ち上がった細屋の引き止めようとする声に構うことなく、六角軍は更なる敵を目指して進んで行った。

 

 

「目賀田、よくやった。あの細屋を一撃で伸すとはな」

 

 

「何の。ただ、命脈を断つまで至らなかったのが残念です」

 

 

「流石の心意気だな。さて、どうやら第二波が来たようだぞ」

 

 

 戦況は目まぐるしく変化している。息を潜めて周囲の山々に伏せていた軍勢が敵の両脇腹を突き始めていた。

 足利高経、土岐頼遠、赤松貞範といった天下にその名が知られた名将たちが脇屋義助の軍を圧迫し始めているのだ。

 

 

「我こそは近江源氏佐々木氏が惣領にて近江国守護!此度の戦において先陣を切りし近江の三郎!名は六角千寿丸!」

 

 

「!……尾張足利家当主にして越前国守護足利尾張守高経。この決戦において源氏軍の先鋒大将を務める者なるぞ」

 

 

「土岐源氏惣領伯耆守頼貞の七男。此度の戦において桔梗一揆を率いる先鋒副将の土岐弾正少弼頼遠……全く煩わしい」

 

 

「まぁまぁ、土岐殿。我こそは先の討幕にて大功ありし赤松円心が次男雅楽助貞範!思うところあり、鎌倉殿にお味方致す!」

 

 

 他にも、高経の弟の式部大夫家兼や三浦因幡守貞連といった面々が声高に名乗りを上げた。というのも、後で武家の棟梁である尊氏に恩賞を求める上で、自分の存在感を高めておく方が有利なのだ。

 たとえ面倒でも、家族や郎党たちに少しでも良い思いをさせるには明らかな勝ち戦くらいは名乗っておくべきだろう。

 

 

「おのれェ!あまり良い気になるなよ!足利軍!囲め!囲め!」

 

 

「そうは問屋が卸さねぇんだな!これが!はああああ!」

 

 

 勿論、大将首を狙う敵の兵士たちに襲われようと返り討ちに出来る絶対的な自信があるからこその芸当である。しかし、ここにいる大将は皆揃って腕に覚えがある者たちばかりなのだ。

 今になって臆病風に吹かれることはなく、多方からの攻撃に対処が遅れた脇屋軍七千騎の中央へと攻め入った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。