壊れてしまったレフィーヤさん~妖精は髪を切り、そして英雄に依存する   作:37級犬築士

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(12) 綺麗

 

 

 手を離した。

 

 

 瞬間、溶けた鉛が内側を這いずり回るような痛みを知った

 

 

「————ッ……か、はッ」

 

 

 揺らぐ、溶ける、水平も垂直も理解を飛び超えて霧散した。

 

 震える体は猛烈に寒く、寂しさと恐れで体が痛む

 

 

……痛い

 

 

 

 

……痛い痛い、痛い

 

 

 

 

……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛ぃ、痛いッ

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁ、あぁああああああああああァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!?!??!」

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………い、ぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………動く、見える

 

 

 

 縁側の廊下、トイレの扉が前にある。下を見ると、足をついて立っている、重力を感じる

 

 まっすぐ、立って、壁伝いに直立して、前に、進める

 

 

 

 

 

「……あ、ぁ、足を」

 

 

 

 一歩、前に、木の床をぎしぎし踏みしめて、前に進めた。

 

 

「え、わたし歩けた……手も、繋いでない」

 

 

 

 冴える意識、あたりを見渡して、畳の部屋ではまだベルは寝ていた

 

 自分一人で、誰にも頼らず、迷惑をかけず

 

 ベル・クラネルに依存してきたことが馬鹿らしくなる

 

 私は私だ、何も壊れていなかった、もしかしたらずと悪い夢を見てたっったたたた

 

 

 わつぃは、こwれて

 

 

 ない、ない、なにもだいじょぶ、くだけて、お空を見て犬が吠えて螺旋を下りていく私は犬を見た過去を超えて青黒い犬を見てみてみてみてみてみてみみいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………あは、ははは」

 

 

 

 

 

 聞こえる、聞こえる聞こえる

 

 

 心配してくれたやっぱり手を握ってくれた

 

 

 大好き、大好き

 

 

 壊れたから、私は壊れたもん、壊れた壊れた

 

 

 犬が鳴いている。私を呼んでいる

 

 

 入ってくる、流れて食べて、美味しい美味しい、ごちそうさま、ああはははははははははhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……嫌、助けて……ベル

 

 

 

 

 

……ベル、べ

 

 

 

 

 

 

 

……あぁああ、助けて!助けて!!

 

 

 

 

 

 

 

……助け、助けたらだめ

 

 

 

 

 

 

 

 

……駄目、絶対に駄目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ベル、わたしをころして」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ころして、そうころす

 

 

 

 

 

 

 

……ころす、ころすころす

 

 

 

 

 

 

 

 

…………あはは、ハハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………ワン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇

 

 

 

 

 

 

 

 

 バカなことをした、本当に愚かだと自分を殴りたい

 

 目が覚めて、まず感じたのは繋いだ手の先の空白、血管の末端に至るまで冷えつく恐怖に体が飛び起きる

 

 あたりを見渡して、縁側に躍り出て、見つけて

 

 

 

「……ぁ、あぁああッ」

 

 

 

 目を疑った。いや違う、疑いを向ける余裕なんてない

 

 まず、駆け寄ってその肩をつかみ、顔を無理にこっちへと向かせる

 

 

 

「!」

 

 

 

 恐怖で震えた顔をしていた。この世のものとは思えないナニカを見ているような

 

 今、視線は僕を向いているはずなのに

 

 その瞳は、ここじゃないどこかを見ているのか

 

 

「レフィー!!目を覚まして!!!」

 

 

 

 呼びかける、何度も何度もだ。両手を掴んで、いっぱい言葉をかけて呼びかける

 

 女の子すわりで、震えた姿はなんと痛々しいことか

 

 心が痛い、痛みで胃がおかしくなりそうだ

 

 

「だ、大丈夫ですから……掴んでます」

 

 

 呼びかける、すると

 

 

「——————————……ぁ」

 

 

「レフィー、よかった目を」

 

 

 

 

 

…………じわ

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 暖かい、お湯に触れた感覚が膝下、脛のあたりに感じる

 

 背中に腕を回して抱いて、立ち上がらせて布団まで戻ろうとした態勢

 

 密着していたから、これは

 

 

「……大丈夫、だよ。レフィーは、悪くないから」

 

 

 下を見なくてもわかる。嫌悪感よりも、まず感じたのは罪悪感だ

 

 寝巻にしているズボンは、失禁の液でダメになっている。羞恥にまみれた水たまりの上で、レフィーヤは泣いてしまった

 

 虚ろな目で、怯えながら泣いている。怖い目にあって、恥ずかしいことをして

 

 もう、どうにもならなくなっている。考えもまとまらないぐらい、だから呼びかけても無駄だ

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ぴちゃ、ちゃ

 

 

 

 

「————ッ」

 

 

 

 かける言葉に迷う、今この時にかけるべき言葉を、僕はこの人生で一度も学んでいなかった

 

 だから、泣くままに、感情のままに

 

 レフィーヤさんは、僕の胸で泣かせ続ける。

 

 

 

 

「大丈夫、大丈夫だから……レフィーは汚くないよ、どこも汚れていない」

 

 

 抱きしめる、抱きしめて、包んで保たないと

 

 この小さな体や、その中の心は、簡単に砕けて粉になってしまいそうで

 

 手遅れになるのが怖くて、一切の躊躇いは無くなった。なんでもしようと、躍起になっているのだ

 

 

 

「レフィー、レフィー、大丈夫だから……仕方ないし、僕が悪い」

 

 

 

 だから、悲しまないでと、薬にもならない言葉をかける

 

 肩に触れたレフィーは、僕の服を涙で濡らすだけ

 

 体が冷える。冷え切っていく

 

 

……しに、たい

 

 

 

「!」

 

 

 

 言葉を発した。それも、最悪の言葉だ

 

 

 

 

「ぁ、あぁ……ぁ、して……もう、いや、死にたいッ」

 

 

 

 

「……駄目だよ、そんなこと絶対に駄目だ」

 

 

 聞きたくない言葉を、繰り返しレフィーヤさんは吐き続けている。

 

 力なく、壊れた機械のように、負の言葉を履き続けるだけ。

 

 熱く濡れた肌も、今は冷え切って、気持ち悪くて、余計にやるせないはずだ

 

 

 

……がし

 

 

 

「……おねがい、ころし、て」

 

 

 

 

「しません、絶対にやりません……その代わりに、支えてあげますから」

 

 

 

 

 かける言葉は、その程度

 

 言葉よりも、今は行動だ

 

 だから、僕は無理やりに運んだ。自分が汚れることも気にせず、抱えて、縁側の廊下の反対側、お風呂の戸を開けた

 

 

 

「し、にたい……ひぐ、ころして、ころしてくださいッ ひどい、どうして、うわぁぁぁ」

 

 

「駄目です、絶対に駄目……もう、抵抗しないでくださいッ」

 

 

 

 良くない感情、苛立ちのような声で否定してしまう

 

 それほど聞きたくないのだ。レフィーヤさんの悲しい声を聴きたくない

 

 

 

 

「自分を責めないで、レフィーヤさんは汚くない……一緒に洗いましょう。お風呂、僕も付き合いますから」

 

 

 

 せめてできること、暖かくして清めて、傷ついた心を癒してあげよう。今の僕に出来るのは、これぐらいだから

 

 

 

 

 

……ガララ

 

 

 

 

 

「お湯は、よしッ」

 

 

 

 

 

 今ほど、命さんの気配りに感謝した瞬間は無い。なみなみとたまったお風呂の湯、ふたを開けて保温されたお湯を、風呂桶ですくい、足元へと撒いた

 

 暖かくなるお風呂の床、そこへとレフィーヤさんを座らせる

 

 

「服のままですけど、我慢してくださいね」

 

 一方通行の了解確認、レフィーヤさんは虚ろのまま涙を流すだけ

 

 わずかに吐き続ける言葉はずっと自傷の言葉。かき消すためにも、僕はお湯を手に取る

 

 

…………ざぁぁ

 

 

 いっぱいにすくったお湯を排尿で汚れた体に躊躇いなく浴びせた

 

 熱い湯気が空気を曇らせる。流れる水の音に、清らかな印象を覚える

 

 

 

 

「レフィー、強引にこんなことしてごめん……でも、必要だから」

 

 

 

 

 繋いだ手、片手で大変だけど僕は何度もお湯を組んでレフィーにかける

 

 暖かいお湯で、何度も何度も服を濡らす。体をお湯の熱で温める 

 

 不快感を全部洗い流して、少しでも表情を取り戻させたくて

 

 

 

 

……戻って、どうにか

 

 

 

 

 繋いだ手、湯を浴びた手は僕の手もレフィーの手も熱で包まる

 

 だけど、一向に温まらないものはある。

 

 手繋ぎの日々でわかること、僕の手にはレフィーの感情が伝わる。色が見える

 

 

 

 

 今の色は、冷え切った青だ。ずっと、冷たいまま

 

 

 

 

 

 

 暖まらない

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く




以上、失禁レフィーヤでした。読者の皆様の期待したものとは違ったかもですが、今はこれにて。純粋にエッチな失禁はまた別の機会に

次回、物語が大きく転換します。ご期待あれ、そしてSANチェックにご注意を
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