壊れてしまったレフィーヤさん~妖精は髪を切り、そして英雄に依存する   作:37級建築士

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エッチじゃないよ、プラトニックだよ


健全なベルレフィをお送りしたい


(6) 触覚

 

 

 

~ケヒトの治療院~

 

 

 

~離れの茶室→ベル達の新居~

 

 

 

 

 

 星も瞬かない真っ暗な夜、離れの小さな小屋ではもくもくと湯気が煙突より漏れ出ている

 

 湯を沸かし、家主たちは入浴を興じるとする。ただし、その窓辺からは一切の光は漏れ出ていない

 

 

 

 

……ン……ピチャン

 

 

 

 

 

 水滴が垂れる音がする。湯船から湧き出る湯気が天井に触れ、そして水滴となって湯を穿つ。

 

 そんな音だけがむなしく響く

 

 

 

 

「手を入れ替える時は言ってください。決して、離さないように気を付けます」

 

 

「……はい」

 

 

 

 仕切りを二つ超えて、縁側の廊下を進んだ先にある更衣室に入り、扉を閉じた。

 

 魔石灯のスイッチを切って、そうすれば暗くなって見えなくなる

 

 目隠しはいらない。夜目も効かない曇天の暗夜だから、僕はレフィーヤさんを直視できる

 

 見えない先にある、裸のレフィーヤさんを、僕は認識してしまう。想像しすぎないのは、なんとも難しいことだ

 

 

「……ッ」

 

 

 

……する

 

 

……ふぁさッ

 

 

………………カチ

 

 

 

「!」

 

 

 布が落ちる音、そして聞こえた。金属の外れる音

 

 フロントホック、そう言っていた。胸の形が崩れるのが嫌だからと、レフィーヤさんが言っていた

 

 見えてくる。暗闇でも、その色と、デザインが見えてしまう。肉体的な目ではなく、心の目で見る光景にだ

 

 肌色の上半身、形のいいその二つの膨らみ、わかっていても意識してしまうそんな部位。そしてそんな部位を守る装い

 隠す様に守るように、包み込んで飾るライムグリーンのレース模様の布、形を保持して美麗な形状を保つ女性の秘すべき神秘。通常ならまともに拝む機会のないもの

 

 だけど、その神秘は女性自らの手で、留め具を外し、肩紐をずらし、目の前で秘するべき脱衣の行為が営まれている

 

 

 

…………スルル

 

 

 

「……ッ」

 

 

 

 つないでいない手から、まずは外して、すると自然に外れて、垂れ下がる

 

 僕の手、レフィーヤさんの左手を掴んだ右手の甲に、ブラの紐の感触がこすれている。

 

 ぶら下がっているのだ。レフィーヤさんのブラが、そして、今僕の目の前に

 

 この見えない闇の先に、何ものにも隠されていない神秘の果実が、全て、露に

 

 

「————ン」

 

 

「!?」

 

 

 声が上がった、甘い声だ。一気に、湿り気の匂いがする更衣室に花が咲いた気分になる。

 

 本当に、気が狂いそうになる

 

 

「……すぅ、はぁ……うぅ……ッ、手を、おねがい」

 

 

「う、うん……右手、触るね」

 

 

 見えない肌、触れて感じるのは手の感触だけ

 

 それでも、聞こえる音は姿を脳裏に描いてしまう。上着のパジャマを脱いで、そして今は下着を、ブラジャーを外して、傍の籠へと入れていく

 

 上はこれでもう何も身に着けていない。光のない空間で、貴方は僕の前で、肌を晒している

 

 だけど、絶対に離れることは無い。こんなに異性が近くにいて、それでも指先はしっかりと絡まって、握って、求めるように縋りついている

 

 自分に惚れた伴侶と勘違いさせる、そんな仕草を僕に見せる。魅せられてしまう

 

 意図せずとも、レフィーヤさんが無意識に振る舞うからだけじゃなく、僕自身がレフィーヤさんをそう見てしまうのだ

 忘れていたわけじゃないけど、それでも自分が盲目だったと内省してしまう。金槌で頭を強く殴られた気分だ

 

 初めからわかっていたことだった。レフィーヤさんはとてもかわいい、魅力的な女の子なのだから、この結果は当然の帰結だ

 

 

 

 

「……下は、わたしでもできますから」

 

「そう、だね……えっと」

 

「恥ずかしいのは、我慢します……だから、あなたもできるだけ、想像しないでくれたら」

 

「そ、それはもちろん、努力するよ」

 

「……欲を言えば、鼻の穴も口も閉じてくれれば」

 

「レフィーヤさん、僕それ死んじゃうから」

 

 冗談なのか、しかし声色にふざけた様子はない。ちょっと本気だ

 

 

「……だって、わたし」

 

 

「大丈夫、本当に見えてないし……変なことなんてぜったい」

 

 

「それは、信じてます……けど、でも……あ、その…………私、碌にお風呂使ってないから、変な匂い」

 

 

「……し、しないよ。大丈夫」

 

 

「あの、返答に妙な間が」

 

 

「…………べんべん」

 

 

 

 気が触れてしまう。変な答えに、きっとレフィーヤさんは怪訝な顔をしているだろう。想像できる、容易なことだ

 

 それにしても、匂いを気にしてないなんて、ないわけがない

 

 

 

 

…………言えるわけ、絶対にない 

 

 

 

 

 冒険者ならよくあること、高く成った体温とにじみ出た汗、それで異性の冒険者から漂う匂いが少し濃くなると、どうしても起きてしまうこと

 すれ違い様、ふとした接近、異性の匂いにドギマギしてしまうのは、不可抗力の事故だ

 

 部屋を暗くしてよかった。肌を晒らしたレフィーヤさんはイケない香りで、とても危険な魅惑の色香が常に漂っている

 

 汚いとか、におうとか、そんな心配は全く持って杞憂だ

 

 

 

……汚いどころか、危険すぎるッ

 

 

 

「……なにか、隠してませんか?」

 

「な、なにも……べんべんッ!!」

 

「べんべん?」

 

 

 

 戸惑い、震えている。衣類二つ脱ぐだけで大変な事態となってしまった

 

 これで、まだ下二枚が残っているから、本当に大変な仕事だ

 

 

 

 

「…………ボソ(別に、本当はあなたになら)」

 

 

 

「?」

 

 

 

「あ、その……うッ 下、脱ぎますから……やっぱり、手伝ってください」

 

 

 

 お願いします、頭は下げる代わりに、握った左手が僕の手に絡みついて、どこか媚を売るような触り方をする

 

 拒むことは、できない。結局、いつものごとく、僕はレフィーヤさんの肌に、慎重に、壊れ物を扱うように触っていく

 

 暗闇での着替え、これが連日続くと思うと、なんとも言えない心地だ。早く、慣れないと

 

 

 

 

次回に続く

 

 

 

 




以上、健全なお着換えでした。もっと匂いの感想を生々しく書くべきかと悩みましたが、さすがに駄目な気がしたので省略

次回入浴シーン、早ければ今日にでも投稿できるかもです。投稿しなかったら明日で


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