壊れてしまったレフィーヤさん~妖精は髪を切り、そして英雄に依存する 作:37級建築士
ベルとレフィーヤ、二人が小屋でささやかなプラトニックを興じている合間
小屋の外の世界では、未だ深刻な会話で悲しみが繰り返されている
それは、一人の女神の謝罪から始まった
〇
~ロキファミリアホーム~
「力になれんですまん……ウチから言えるのはこれだけや」
女神ロキ、彼女が私室に呼び出したのはファミリアにおける主要な人員
特に、レフィーヤと親しい彼女たちをこそ、アイズにリウェリア、ティオネにティオナ、アリシア、エルフィ。レフィーヤに思いを強く抱く者達をとりわけ多くこの場に集めた。そのうえで、女神は自身の無力さを
そして、理不尽な世界の現実を、彼女たちに伝え聞かせるのだった
「……まってくれ、ロキ……それでは、レフィーヤのことを」
異を唱えるはリヴェリア、同じ同胞として彼女が心配をかけるは当然のこと。故に
ロキが唱えた待機の命令には、断固として首を縦には振れない、振るわけがなかった
「療養は続けさせる。何ヶ月、何年、何世紀でもな。費用はウチ個人で負担するし……そん為なら酒も遊びもやめたる、それで堪忍して欲しいわ」
「あきらめろというのか、原因がモンスターによる呪詛なら……倒せばことは済むはずだ」
「……せやな、それはうちも思う」
ならばと、リヴェリアを含め皆の意見は同じ
敵のいる位置はわかっている。であれば、危険を冒してでも仲間を救う。そのための行軍、だが
「けどな、駄目なんや……皆、わかってくれ」
「……ロキッ」
神は、その勇気を諫める
気の迷いではなく、それが懸命だと
「ウチかてそうや、可愛い眷属がこないな目にあって黙っておられん。られるわけがあらへんッ…………レフィーヤの為やったらいくらでも頭は下げたる、ドチビにやってこの頭も死ぬほど下げたる。そんで、下げたったわけやけど……あぁ、頭下げて済むことやったらいくらでもええわ」
けどな、転じてロキは返す
皆に言い聞かせるように、どうか聞き届いてくれるように
愛をもって、彼女はただただ頭を下げ続ける
「……どうしてだ、ロキ」
口惜しく、リヴェリアは苦虫を噛み砕く
皆も、彼女の一礼に察してしまう。此度のことは、安易に力で解決できるものではないのではと
本気で止めに来ている、我らが女神の言葉に、皆の勇み足は繋ぎ止められてしまう
「すまん、皆すまん…………ッ」
苦汁を飲み干し、女神は涙を拳に垂れる
無論、これは望まない結末だ。女神ロキは、諸悪の根源の抹殺こそを願った。背中は押しこそすれ、掴んで引き戻すことはしたいはずがなかった
だが、今はそのしたくないを、最も大事な選択として突きつけ、こうして皆の前に立ちふさがっている。
考えを変えた。とある場所、神々が集う場所で、密かに会談は済まされた
ウラヌス、そしてヘルメス、二人の主神から告げられたとある脅威
異常で不浄、外なる宇宙の対岸より超えてこの世界に届いたイレギュラー
ウラヌスは言った。我らのあずかり知らぬ神話と法則が近くまで来ていると
ヘルメスは続けて語った。この世界の言語では適切な言い方もできない、文字通り外宇宙の存在、限りなく言語を崩し、近しい言葉で『くとぅるぅ』、もしくは『くとぅるふ』
問題なのは、別世界の要素が混ざる怪物が現れたことではない。何の気まぐれか、星が振るう時の波長が、わずかといえど近づいてしまったこと
観測も、伝聞も、あらゆる認知を禁ずると
神々は警告を軽んじることはしなかった。各々が神という超然とした存在故に、異なる超常に敬意を払い、恐れを抱き、そして壁を張った
「主神ロキとして告げる、うちらは下層の禁域に干渉することを禁止する。破ったもんは、もれなくギルドに報告し、このオラリオから追い出すか、投獄されるか、まあそんなところや」
告げる、その言葉はロキだけにとどまらず、この地にいる多くの神々も同様に忠言で戒める
ティンダロスの怪物へは一切の干渉や詮索も許されず
はじめより、その存在はなく、犠牲者も凡庸な事故で起きたこととして書き換えられる。つまるところ、此度の件は全て闇に葬られる
神ウラヌスが知り、そしてヘルメスが打診をした
それもひとえに、世界安寧のために
一人と一人、少年と壊れた少女は、誰からも救われない未来が確定した
次回に続く
わかる人はお察しでしたかもですが、この二次創作のテーマはクトゥルフ要素を含んでいます。はい、SAN値ピンチです
自分自身そこまでTRPGに精通しているわけでもないので、あまり掘り下げ過ぎずあくまでダンまち基準で解釈して進めます。
外宇宙の神話から来たヤバイパニック、ダンまちの住人達もとい探索者達がどのように乗り越えるか、展開をお楽しみに
SAN値チェックにご注意あれ