『ぴよぴよぴよ~♪ ぴえヨンちゃんねる~♪』
ひよこ頭の上半身裸でパンツ一丁の筋肉がバッキバキの男が両手ではためいて、上腕二頭筋をアピールするポーズをとった
男性とは思えぬ裏声の酷使と集中線がスゴかった
『あい、今回はねェ~! しがらみ案件ですっ!』
しがらみ案件のフリップが表示されていた
ぴえヨンは背筋をピンと伸ばして後ろで手を組んでいて頭部と服装とはともかくとして大人として最低限の礼儀を感じるものがあった。絶妙にちゃんとしていた
『うちの事務所の社長令嬢がいるんだけどォそいつが弟子になりたいらしくて~お前のチャンネルで使えとォ──』
『最初断゛わ゛ろ゛う゛と゛思゛っ゛た゛ん゛だ゛け゛ど゛ね゛!゛』
炎を背負い画面一杯に憤るひよこ頭が迫る
仕事に妥協を許さないユーチューバーの鑑、との表示もされていた
『社長令嬢だしさァ~』
一回くらいはね、なんて言っていて後ろ手でひよこ頭を触り哀愁を漂わせていた
権力に弱いぴえヨン、との表示がなされていて中間管理職並の悲しみを背負っていそうであった。チーンとの音はもはや彼にトドメをさしていた
『というわけで! 今回の企画ゥ!』
ぴえヨンちゃんねる! どどん、とのチャンネル表示だ
なんともファンキーな見た目からは予想できない自然な導入であった。いずれもっと大人気になるに違いない
ドゥンドゥン、との音楽に合わせてプシュー、との地から白煙と紙吹雪と共に出てきた。肩まで伸ばされた鮮やかな金髪をもつ黄色を基調としたドレスに身を包んだ可鈴な女性が目を閉じて腕組みをしている
『しょうがないけど無駄に豪華だね。ぼくのちゃんねるなんだけど……』
ぴえヨンのぼやきをよそにギン、とその栗色の双眼が開かれる
おーっほっほ、と白銀の手袋に包まれた片手を口にやり笑ってるようで。マイクが入ってない様子であった
『どうして貴族令嬢衣装なの? いや令嬢だけど……あっ、そういうこと?』
ぴえヨンの実況がその所作の様子で流れた。平気で自分の服装を棚にあげて突っ込んだ
クリソベリルはぴえヨンに気がつくと獰猛な笑みを浮かべていて
『め、目指せム──♪』
ぴえヨンの裏声を酷使した歌と音楽が始まる
それに合わせて両腕をあげてことに上腕二頭筋がアピールできるポージングをしていた
『セイヤー!』
クリソベリルもぴえヨンと同じポージングをしている。マイクが入ってないというのにその声が通っていた
次に背後を向いて同じように背筋がアピールできるポージングをしていた
『イヤー!』
次に身体を横に向け、一方の手首をもう一方の腕で伸ばしながら胸板を強調するポーズを取っていた。ぴえヨンに負けず劣らず無駄に様になっていた
『テンション上がってきましたわぁーっ!』
大きくゆっくりと腕を広げて身体を前傾させ拳を合わせる。主に上半身の筋肉をアピールできるポージングをしていた
ドゥンドゥン、と言う音に合わせてそのままゆっくりと身体を回転させる
正面を向いて一旦音楽が止まると最後に腰に手をやり、真っ直ぐと腕を伸ばしていた
クリソベリルの指はやや斜めを指していて。満面の笑みであった
『ぴ え ヨ ン ブ ー ト ダ ン ス ゥ ッ!』
『一時間ついてこれたらマイク入れてヨシッ!』
ハァイッ、との声が皮切りに音楽と共に画面に右手でパンチを放つ。二人とも無駄にキレがよかった
ぴよぴよ、との謎のバックコーラスにノっていて。リズミカルだった
『なかなか熱量ですわねッ!』
音楽に合わせて顔が隠れるように腕をあげて両肘に右膝がつくような動きをしていた
だというのにその声は通った
『初心者だよね?』
ぴえヨンは素直に感心していた。ぴよぴよ、とのバックコーラスに合わせて反対の手でもパンチを放っていて顔が隠れるように腕をあげて両肘に左膝がつくような動きをしていた
ぴよぴよパワーが貯まっていそうだった
『おーっほっほっほ!』
音楽に合わせて腰に手を当てて、踵でリズムをとる
Doit! のリズムで両腕で真横をパンチするような動きを左右にわたって行った。クリソベリル、余裕の表情だった
『飛べない鳥のポオオォズ!』
『引かぬ、媚びぬ、省みぬですわぁーーっ!』
座って両足を伸ばして踵浮かして音楽に合わせ両手を広げて羽ばたくようにしていた
やはり余裕がありそうな顔をしていた。えぇ、とのぴえヨンの引いた声が入ってしまっていて
『鳴かないセミのポーズ!』
座ったまま前屈のような形となり、両腕を背中側に回すポージングをした
ツクツクボーシですわ! とくぐもった声と共にクリソベリルは両腕をわたわたしていた。鳴いちゃダメ、との真面目極まる突っ込みが入った
『眠らない蜘蛛のポーズ!』
尻を起点として腕を伸ばして脚に両手を付けるポージングをした
地獄からの使者ですわ! との声が通った。動画消えちゃうよ、とのまたも冷静極まる突っ込みが入った
『セェイ! セェイ!』
ぴよぴよのリズムでさっと立ち上がり身体を横に曲げ斜め上方向に右手、左手と拳を放つようにして動いていく
クリソベリルは尚も元気な掛け声をしていた
『肉のカーテンですわ!』
両腕を前にしては腰につけを繰り返し、膝も曲げ伸ばししていた
キン○マン知ってるの、とのぴえヨンの好感触があった
次にぶんぶん、と歩かないが激しく腕を振る。振っている間も膝を曲げることを忘れない。とにかく激しく振っていた
『帝王に逃走はないですわ!』
サ○ザー良いよね、との好感触もあった。両手を腰付近で広げて羽ばたくように手首をパタパタとさせる
膝を曲げ伸ばししていてドレスでは動きにくそうだった。しかし、クリソベリルはそれはそれで楽しそうだった
『これやって涼しい顔してる人、君くらいだろうね』
一連の動きの最後に大きくゆっくりと腕を広げて身体を前傾させ拳を合わせる。ぴえヨンは心底感心していた
音楽が止まった。どうやら終わったようだ
『マイクなんかもう必要なかったね! 自己紹介アァイ゛ッ!』
『おーッホッホッホ! クリソベリルですわぁ! みなさま、よろしくお願い致しますわね』
クリソベリルは片手を口にやって高笑いをしてからドレスの端をつまんで丁寧に礼をした
なんとも華やかだった。なんかぼくのキャラクターとしての存在危機を感じる、との呟きが入っていた
『で、でもでもスゴかったァ! 動画じゃ伝わらないと思うけれど、一時間ガチでやってくれたもんね! ……やったんだよ? 本当だよ?』
クリソベリルは困ったように笑って片手でガッツポーズしていた
逞しいなぁ、とのぴえヨンの感心が入った
『ねぇねぇ、ビジュアルよすぎない……?』
そんなそんな、といやんいやんと当人は両手を頬にやっていて汗に輝いていた。後ろからライトが当たっていて少しでもかわいく見せようたる母親の愛を感じた
これぼくいる? との気付きがあった
『よ、よくわからないけど社長令嬢とは思えないほど腰が低いのも好感触! よォし、弟子決定!』
パンパカパーン、との効果音と共に画面外から二つクラッカーが放たれてクリソベリルは万歳した
やりましたわー! との満面の笑みがあった。ぴょんぴょんしていた
『頑張ろうね。それとお願いだからぼくの仕事は奪わないでね』
『わたくし、右も左もわかりませんもの! ぴえヨンさんはぴえヨンさんで必要ですってお母様もお父様も仰ってましたし! ですから、問題ありませんわ!』
いやとんでもない権力だ、とのぴえヨンの嘆きがあった
最後に二人はがっしり握手しあって。ぴえヨンちゃんねるは終了していくのだった
自宅で星野アイ、アクア、ルビーは端末の前に三人並んでこれを視聴していた
「──なにこれ?」
アクアが抱いたのは当然の疑問だが、対する答えは恐らく誰も持ち合わせていないだろう
「……わたしもやりたいなぁ」
えぇ? とのアクアは信じられなさそうな顔をルビーに向けた
なお星野アイはこの動画をみて腹筋がよじれて倒れていた
「あー、しんどい。お腹いたいよ。もう何度みてもしんどいよぉ……!」
笑い疲れたのか仰向けに倒れていた
別の意味で鍛えられてそう。ルビーが星野アイの頬をツンツンしていて当人はもうダメやめてぇ、と身を捩っていた
その様をじっくり見てしまったアクアは心頭滅却のためもう一度この動画を個人的に見ることにした
多分大丈夫だと思いますが臨機応変な対応を心掛けます。突然この話消えるかもしれません
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