朝起きたら悪役でした
「やっぱり今更どこのゲーム屋見ても売ってないよな、大人気らしいもんな」
俺はあろうことか待ちに待った『ロックマンエグゼアドバンスドコレクション』の予約をすっかり忘れていたのだ。ここのところ仕事が忙しすぎて全然ゲームなんて出来てなかったもんな、昔はゲーム大好きで一生ゲームが好きだと思い込んでた少年だったのに、時は流れ俺も三十路に突入し、久しぶりに少年時代大好きだったロックマンエグゼシリーズで思い出にタイムスリップしようと思ってたのに……。はぁ、ショックだなぁ。
一人寂しくアパートに戻り、ふて寝を決め込む。寂しくなんかないやい、ロックマンや熱斗君に久しぶりに会いたかったなぁ……。
「なんて思ってたけどまさか異世界転生ならぬエグゼ転生することになろうとは」
俺が目を覚ますといつもと違う部屋、手元にもスマホじゃなくてPET。しかもテレビのニュースではWWWと名乗る犯罪組織が起こしたとされる放火のニュースが流れる。間違いなくロックマンエグゼ、しかも初代の第一話ヒノケンが事件を起こした後の話だ。
「確かにロックマンにも熱斗君にも会えるだろうけどさ」
俺はPETに添付されてる指令書に目を通す。
『水道局に保管されているアクアプログラムを入手せよ』
『まどい、新しい任務がきたよ!きっとこれに成功すればまどいも晴れてWWWのSランクオペレーターになれるね、そしたらもっともっとお給料もよくなるし僕頑張っちゃうよ』
PETの中でカラードマンが無邪気に張り切っている。そう、俺が成り代わったのは確かに原作キャラなんだけど、『1』にしか出ていない敵役の色綾まどいなんだよね。
原作ではドリームウイルス生成のために必要なアクアプログラムを奪うため、水道局で働く氷川清次の息子、氷川透を誘拐して騒ぎを起こし、その隙にアクアプログラムを奪取。その後すぐにWWWの活動資金を集めるために街の信号機に細工を施し、オートドライブシステムに異常を引き起こす細工をする。異常を取り除くためのプログラムを高値で売りつけようとしたところを熱斗君に邪魔され、ヒロインのメイルちゃんにひどいことをしようとするもカラードマンはロックマンに返り討ちにされ作戦は失敗。その後のシリーズでは登場無し、ゲームキューブ版の『トランスミッション』ではカラードマンだけが登場して、言動から逮捕はされてないみたいだけど……。
「原作キャラならせめて味方キャラが良かったのに……、最悪ヒノケンなら『5』以外は出番あるし最終的には改心するのに」
『まどい~、早くアクアプログラム盗む計画立てようよ、急がないと他のメンバーに先を越されちゃうよ』
このまま組織なんか抜けて寝返りたいけど、元WWWって言っても日暮さんと違ってまどいはAランクオペレーター、ぶっちゃけ幹部だからすんなり抜けれなさそうなんだよね。しかもなるべく原作通りに進めないと、万が一ロックマンの冒険が上手く進まなかったらとんでもないことになっちゃう。この後も世界の危機を救う予定が盛りだくさんなのに。
「よし、決めた!とりあえず原作通りに話を進めて、切りの良い所で出頭して味方ポジションに収まろう。そうすれば後のナンバリングでは出番もないし、ファンの一人としてこの世界を楽しめるはずだ」
そうと決まればまずはアクアプログラムの入手からだよね、うん、何とかして頑張ろう。水道局と信号機のイベントが終われば晴れて自由の身だ!
って思ってたけど現実ってそんなにうまくいかないよね。うんしょうがない。
『時系列』
エグゼ1真っただ中、熱斗君はストーンマンを攻略中ですね。
『色綾まどい』
エグゼ1に登場する悪役、1にしか出ない悪役で影が薄め。お金のためにWWWに加担している。(日暮いわくWWWは高給取りらしい、本人はAランクのオペレーターのため幹部で高給取り)持ちナビはカラードマン。
『カラードマン』
色綾まどいのナビ。中盤のボスキャラで可愛い外見に寄らずストーリーでは外道な立ち回り。しかし『トランスミッション』ではゲームセンターでいたずらを繰り返す無邪気な性格、こっちの方が素なのだろう。オペレーターよりも出番が多い。