WWWはドリームウイルス作成に必要なエレキプログラムの奪取に無事成功。計画は最終フェイズに移行、狙いは超大国R国の軍事衛星だ。ドリームウイルスを乗せたロケットで軍事衛星をハッキング、終末戦争を引き起こすというまさに悪の組織のお手本のような作戦だ。
もちろん上手くいくはずもなく、光熱斗&ロックマンのコンビにその野望は阻止され、エグゼ『1』の物語は終わり。ここまでシナリオの最終局面が見えたら、そろそろ俺もこんな組織おさらばして、安全圏内からこっそりと熱斗君たちを応援したいところなんだが。
「あ~ぁ、最後の最後にばれちゃった……まさか終末戦争がはじまるまで監禁されることになるなんて」
WWW本部に帰って指定された部屋で待機してるように命じられて、今まで入ったことのない部屋に入ると、そのまま監禁されてしまったのだ。ご丁寧に中からプラグインできる端末を一切撤去した監禁用の部屋らしい。一応着替えとかトイレも用意されてるから、裏切り者ってよりも組織が誘拐した重要人物を監禁しておく部屋なんだと思う。こんな部屋あるなんて初めて知ったよ。
どうも組織に流していたお金やチップを懐に入れていたのがばれてたらしく、忠誠心って意味じゃ信用無かったみたい。一般人にやたらとWWWの負けが続いたこともあって、組織に見切りをつけ、よそに逃げるのを防ぐために前々からマークされてたらしい。
んで、決定的なのは、例のパスコードだ。どうもロックマンがプラグイン出来たパスコードって、俺にしか渡されてなかったものみたいで、情報流出が一発でバレて即監禁。一応優秀なオペレーターだし終末戦争後の行き場がなくなったらまたこき使う予定なんだってさ、酷いブラック企業である。
『でも、まどい落ち着いてるよね、大丈夫なの?』
「平気、平気、熱斗君とロックマンが何とかしてくれるから」
逃げるのに失敗しちゃったけど、アジトの場所や秘密の地下メトロのパスなんかは光さんに渡すことが出来たし、俺が組織にばれたのは熱斗君にパスコードを渡したのと、組織に献上しなきゃいけないものを中抜きしてた事実だけだもんね。致命的な情報を渡したことはバレて無い筈。ネットワークを使わないで直接手渡しでデータを渡せたからね。
「それよりも久しぶりの休暇だと思って、のんびりしましょうよ。そうだ、お絵かきソフトでなんか描いてようか」
『PETの没収もされなかったのは幸いだったね、よしよし、お絵かきしよう!』
たぶん粛清とかじゃなくて、組織の離反者を出させないためのお仕置きくらいの感覚なんだろうね、自宅謹慎的なやつ。PETもプラグインは出来ないし部屋に閉じ込められてるけど、普通にそのままだし。
「ごはんもコンビニ弁当だけど、毎食欠かさず配膳ロボが持ってきてくれるし、ブラックなんだかホワイトなんだかわからなくなってくるわ」
でも、これで原作通り熱斗君が戦える環境は整えれたはず。後は出来ることもないし、なるようにしかならない。暇な時間をのんびり潰して、どうなるかを見守るか……。さすがにドリームウイルスが負けてアジトが爆破するのに巻き込まれるエンドは勘弁だけど、きっと誰か助けてくれるでしょ!
「たぶん原作的の感じだと、三日以上一週間未満にここにたどり着く感じかな」
コンビニで買える安いコーヒーを飲みながらそんなことを計算してると、扉の向こう側が騒がしい。あれ、配膳が来るにはまだ早すぎる時間だよ?
突然扉が開いたと思ったら弾丸のごとく人影が飛び込んで俺にタックルしてきた。ぐへっ!勢い余って後ろのベッドに倒れこみ、そのまま人影にベッドに押し倒される。ちょい待って何この急展開!? 押し倒されたまま顔を上げると、そこには見覚えのある少年がいた。
「まどいさん!よかった無事だったんだね、俺、心配で心配で」
「ね、熱斗君、重いから退いてもらえないかしら……」
『熱斗君、勢い余ってまどいさん押し倒しちゃってるよ、ほら、苦しそうだから早く退いて』
ダッシュアタックのごとき勢いで突進してきた熱斗君は、冷静になったのか、恥ずかしそうに顔を赤くして慌てて退くと、今度は申し訳なさそうな表情を浮かべて頭を下げてきた。なんかごめんね、監禁されてたのがメイルちゃんだったら、このままいい感じのシーンになると思うんだけど、俺が相手じゃねぇ……。
「熱斗君、心配してたのはわかるでマスが、ちょっと落ち着くでマス」
「そうだぜ、ドリームウイルスってのを倒すために体力温存しとけ、何のために俺とガッツマンがここまで頑張って来たと思ってるんだ」
「日暮さんにデカオ君も!えっ、なんでここに!?」
なんでこの二人もここに居るの!?確かに二人とも最終決戦に駆けつけてくれるけど、こんな感じだったけ?それに予想よりも助けられたのが早いし。
『まどいさんがパパにくれた情報でアジトの場所も行き方も、あの後すぐにわかったんだよ。でもオフィシャルの突入作戦にはまだまだ時間がかかりそうで』
「急にナンバーマンの暗号回線でのやり取りが出来なくなったでマスから、きっとまどいさんの身に何かあったと思ったんでマス。熱斗君に相談したらすぐにお父さんの光さんから事情を聞いて」
「動けねぇオフィシャルに代わって、この大山デカオ様率いる救出部隊が結成されたってわけだ」
『ガッツマンが雑魚ウイルスを蹴散らして、ナンバーマンにセキュリティを解除してもらう分担作戦でロックマンを温存しながらここまできたんでガス』
ってことはこのメンバーで一気にWWWのサーバーを探すシナリオとかをカットしてここまで最速でたどり着いたのか!すげぇな、つまり日暮さんもWWWに原作みたいに捕まってなかったし、WWWのサーバーアドレスが流出したことも気づかれなかったからセキュリティが無駄に強化される前にここまで来れたってわけだ。でもなんでデカオ君も一緒なの?原作ではメイルちゃんがみんなを呼んできたはずでしょ?
「えぇっと、取りあえず助けてくれてありがとうみんな。そっちの君とは一応初対面のはずなんだけど……」
「俺の名前は大山デカオ、全部熱斗から聞いたぜ!日暮さんみたいにWWWから足を洗うため頑張って来た人なんだろ、熱斗の永遠のライバルとして手助けしないわけには行かねぇぜ!」
『持ちナビのガッツマンでガス!日暮さんから貰ったチップもわざわざガッツマンが使いやすいものを選んで送ってくれたって聞いてるでガス。世話になった義理人情にはしっかり応えるでガス』
まさかデカオ君とガッツマンまでこんな早い局面で熱斗君と一緒に戦ってくれるなんて、すげぇな友情パワー、良かったガッツマン用のチップも日暮さんに渡しといて、ナイス判断俺!
「熱斗君はともかくアッシとナンバーマンだけだと戦力に不安が残るんで、思い切ってデカオ君とガッツマンにも事情を説明したでマス」
「俺のライバルはすげぇんだぜ、この部屋のセキュリティを守ってた自立型ナビのボンバーマンって強敵もデカオとガッツマンが蹴散らしたんだ!」
『ボンバーマンの最後の自爆を同じ爆風で打ち消したのは日暮さんとナンバーマンだけどね』
熱斗君が胸を張りながらデカオ君とガッツマンを称え、ロックマンがサポートしてた日暮さんとナンバーマンのことを補足する。ってボンバーマンって後半の敵で、結構強くなかったけ?そんなに強くなってるのかガッツマン。熱斗君からもライバル認定されてるし、良かったね二人とも、刻み込んだ敗北は無駄じゃなかったんだよ。
「それで、この後の作戦は?」
「人質のまどいさんも助けたし、このまま一気に攻め込むよ。ドリームウイルスが完成する前にWWWの野望を食い止めるんだ!」
そっか、原作よりもアジト突入が早いからまだドリームウイルスが完成してないし、軍事衛星をハッキングする演説もしてないのタイミングなのか。どうしよう、取りあえずこのままいけばWWWは潰せそうだけど、原作との相違点的に問題ないかな。
うーん、あれ、考えたらオフィシャル抜きでWWWが無くなるんだから、そのまま俺も逃げて姿をくらませることも選択肢に入るよね。たぶんオフィシャル部隊の準備が整って突入してたら、俺も一緒に逮捕されてただろうし、少なくとも早めにWWWがどうにかなれば、熱斗君経由で光さんに連絡取ってもらって交渉することだってできるし。決めた、ここから俺も熱斗君を全力サポートしちゃおう。
「最初で最後の共闘になるかもしれないけど、私とカラードマンも戦うわ、よろしくねみんな」
『ぼくとまどいをこんなとこに閉じ込めた報いを受けさせてやる!』
「これが最後になんて絶対させないよ、それにまどいさんとカラードマンがいれば百人力さ!」
『カラードマンの強さは僕が身に染みてわかってるからね、頼りにしてるよ二人とも』
なんか最後の意味を勘違いしてるみたいだけど、まっいっか。これが終われば次はエグゼ『2』だけど、そこまで行けば色綾まどいってキャラの出番は必要ない。きっと物語に関わるのもこれが最初で最後になるんだろう。でもそれでいいんだ。だってこれは熱斗君たちの物語なんだから。
「えぇ、頼りにしてるわよ熱斗君、ロックマン!ここまで来たら世界も救っちゃいましょう、ヒーローさん」
「まどいさんを助けるヒーローに、俺、なれたかな?」
「もちろんよ、恰好よかったぞ、ね・っ・と・君!」
正直テンション上がって来た、なんたって憧れのヒーローと世界を救うために共闘できるんだから、これで心が熱くならなきゃ男が廃る!って今は女なんだけどね、それはさておき、さっさとWWWの野望なんか阻止してエンディングを迎えよう。
「二人だけで盛り上がってるとこ悪いでマスけど、アッシらも、もうひと踏ん張りでマス」
「熱斗ばかりに良い恰好はさせないぜ、ここまで来たら最後までこのデカオ様に任せときな」
まるで『5』のチームみたい、四人しかいないし、小学生二人と、元WWWの団員二人の歪なチームだけど。きっとこの世界で今最高のチームなんじゃないかな?
「ロックマンいくぞ、ラストバトルオペレーションだ!」
『任せて熱斗君、僕たちの絆の強さをWWWに見せつけてやろう!』
『光熱斗』
まどいさんの残した情報のおかげで、シナリオを一つスキップしてアジトに突入。囚われのまどいさんを救い出しに来た我らがヒーロー。
『ロックマン』
道中のウイルス戦をガッツマンとナンバーマンがしてくれたので、体力気力共に満タン。仲間を信じて戦いの場を譲る判断が出来るナビ。
『大山デカオ』
熱斗君にライバルとして認められた男。特訓に何度も付き合っているうちに強くなった。何度負けても決して折れない心はまさしくガッツ。
『ガッツマン』
ロックマンのライバル。パワープレイを活かせるチップをヒグレヤ経由でもらい、みるみるパワーファイターとしての戦い方を確立させていった。その腕はボンバーマンすら退ける。
『日暮闇太郎』
原作のように捕まってたのではなく、自分の意思でアジトに乗り込んできた。バトルは苦手だが、セキュリティ突破やサポートはお手の物。
『ナンバーマン』
強敵はガッツマンに任せ、数の多い雑魚は自慢の爆弾チップで蹴散らしてきた。ボンバーマンの自爆も自慢の頭脳で防ぐ、サポート特化でチーム戦に強い。
『色綾まどい』
いわゆる囚われのヒロイン。自分の出番が終わりに近づいてる自覚もあるが、それでも熱斗君と一緒に戦えることに心振るわす。
『カラードマン』
やる気十分、まどいの持ちナビ。自分たちをこけにしたやつらに目に物見せてやる。