共闘っていってもここまでの電脳はガッツマンとナンバーマンが攻略してくれたみたいだから、残す電脳はあと一つ。ワイリーの肖像画の電脳だ。
『熱斗君ここだけ靴の跡が集中してる、たぶん隠し扉か何かなんだよ』
「ちょっといいでマスか……、どうやら肖像画が動く仕掛けみたいでマス」
「なら、やることは決まってるな、今回は俺とロックマンも戦うぜ!」
『たぶん、ここが最後のセキュリティだろうからね、敵の抵抗も激しくなるよ』
全員がプラグインして、ナビを送り込もうとすると……。
『プロテクトが掛かっててプラグインできないでガス』
『日暮さん、かなり強力なプロテクトみたいで、私の演算能力でもかなりの時間がかかるかと』
『発電所の時よりもかなり強固に作られたものみたい』
『まどい~、僕の持ってるパスコードじゃ入れない設定みたいだよ~』
その時、部屋に設置されたスピーカーから男の声が響き渡る。おいおい、まさかプラグイン自体をさせないなんて反則だろ!こんなこと出来るやつはワイリーを除いてWWWには一人しかいない。
「残念ながら、特製プロテクトで隠し扉の電脳には入れないようにさせて頂きました。我が名はワイリー様の右腕、マハ・ジャラマと申します。以後お見知りおきを」
「何者なの、まどいさん」
「WWW唯一のSランクオペレーターで、私たち幹部の一番偉い奴よ。前の発電所のプロテクトを作ったのもあいつよ」
原作では全然出番がなかった奴のくせに、なんでこんな優秀な悪の幹部ぽいムーブかましてくれてんだよ。ネットバトルさせないとか反則だ反則!
「おやおや、まどいさん、まさか本当に裏切るとは。所詮は金に釣られて組織に参加した、崇高な目的がわからぬ俗物。そこで終末戦争の幕開けを眺めていくがいい」
「うるせぇ!正々堂々勝負しやがれ!卑怯だぞ!」
「あいたたた、まどいさんへの金儲け云々の批判は、アッシにも刺さるでマス……」
デカオ君がスピーカーに向かって怒鳴りつけ、なぜか日暮さんに精神的ダメージが入ってる。ってどうしよう、こんな展開予測してないし、どうにかする方法が何にも浮かばないんですけど、高性能なロックマンや、演算能力に特化したナンバーマンでもどうしようもないとすると、もしかして詰んでる?
「すまないが、そのプロテクトは僕とロックマンに任せてもらえないだろうか」
この部屋に入って来た入り口から、こちらに駆け寄ってくる光さん。ってなんで!?あなた通信で話したりはするけど、現場には出ないタイプのお人でしょ!?
「パパ!?どうしてここに」
「熱斗が戦ってるのに、一人科学省で待ってるなんて出来なくてな、届けたいものがようやく完成したから、手伝いに来たんだよ。ロックマン……いや、彩斗、僕に力を貸してくれるかい」
『パパ……うん、任せて、僕が熱斗君の力になれるなら』
突然の事態を飲み込めない熱斗君と、俺たち部外者。俺は全部知ってるけど、まさか光親子のこんな大事な場面に遭遇するなんて。
そこから光さんはみんなに説明を始めた。かつて、幼くして心臓病で亡くなった熱斗の双子の兄の光彩斗のこと、光彩斗の遺伝子データをプログラム化し搭載したネットナビを作ったこと。いつの間にか熱斗君の顔は真剣な目でロックマンを見つめている。
「このsaito.batをロックマンに使えば、オペレーターの熱斗と完全なシンクロを可能にし、ロックマンの能力を最大限に引き出せるようになる。パパが作った対WWW用のプロテクト解除プログラムの後押しをしてくれたらそのままプロテクトを破ることが可能だろう。その代わり……」
ゲームでも一心同体のような状態となり、オペレートに無駄がなくなり、ナビの潜在能力を十二分に引き出すことが出来るようになるフルシンクロ。勿論とんでもない欠点が存在する。完璧にシンクロした精神はナビが受けたダメージもオペレーターにフィードバックしてしまう。つまり、もし仮にロックマンがデリートされてしまったら、熱斗君の精神も同じように……。
「やるよ、俺、彩斗兄さんと一緒に戦うよ。ここまで一緒に頑張ってこれたんだ、これからの俺たちの未来のためにも、ここで立ち止まるわけには行かないんだ!」
『熱斗……、うん、そうだね、今僕たちは自分の意思でここに立ってる。僕たちの選んだ未来のために一緒に戦おう!』
なんて熱い展開なんだ。プレイ中も感動した名場面だけど、実際に目の前で親子、兄弟、家族の絆をマジマジと見せつけられると涙腺に来るものがあるぜ……。ロックマンの全身が眩い輝きに包まれる、これが真の姿。完全な姿のロックマン.EXE。
「プロテクトさえ解除し切れたらセキュリティの突破は私たちに任せて頂戴。光さん、あなたの息子さんは必ず守り通して見せます」
ここまで見せつけられたら俺にできることなんて決まってる。
「そうでマス、熱斗君とロックマンを一人で戦わせたりしないでマス!」
「ここまで、活躍できたんだ、最後まで俺とガッツマンでWWWなんかぶっ飛ばしてやるぜ!」
やる気も気合も十分、見せつけてやろう。チーム・オブ・ロックマンの力を。
「皆さん……、本当にありがとう」
いざ行かん、肖像画の電脳世界へ。プラグインすると俺たちを待ち受けていたのは……。
「おやおや、私のプロテクトを破ってくるとは……。さすがは光博士、しかし残念でしたね。ドリームウイルスの試作品はすでに完成し、量産体制が済んでいるのです。行けドリームビットたちよ!」
オーラを身に纏い存在感を放つドリームビットの群れ。その遥か奥にはマジックマンが見える。そうか、マジックマンのウイルス召喚プログラムにドリームウイルスのデータを取り込ませて、無理やり量産させてるんだな。
「奥に控えるマジックマンがあのウイルスを召喚してるわ、纏ってるオーラは一定以下のダメージをはじき返すから、まともに相手にしないで!」
『喰らえ、先手必勝アクアタワーにフレイムタワーの乱れ撃ち攻撃!』
くそっ!敵の攻撃と相殺しちゃうし、そもそもの数が多くてウイルスまで攻撃が届かない。それどころか、数が多いせいでうち漏らした攻撃がこっちにまで届きそうだ。
「そうはいかないでマス、バトルチップ、ストーンキューブ」
『このくらいの攻撃能力的では、ストーンキューブを崩すのはお辛いでしょう』
俺たちの前に無数のストーンキューブが入り乱れ敵の攻撃を防ぐ障壁となる。サイコロ爆弾を投げつけるような感覚でナンバーマンが的確に攻撃予測地点に壁として設置していく。
「お次は俺たちの番だ。いけ、ガッツマン、ガッツパンチだ」
『フンガァ、ガッツでガス!』
ストーンキューブを力いっぱい殴りつけドリームウイルスに向かって一直線に吹き飛ぶ質量の暴力。その攻撃にオーラは耐え切れず次々と剥がれていく。
「やるじゃない二人とも。私たちも見せつけてやりましょう、カラードマン」
『おっけぇ、まどい、必殺パワードキャノン!』
オーラを剥がされたドリームウイルスの集団に誘爆する広範囲の強烈なプログラムアドバンスを叩きこんで、敵の群れに風穴を開けてやる。ウイルスにも恐怖心はあるのか、足並みが乱れる。
「まどいさんとカラードマンの追撃のおかげで、こっちも準備が出来たでマス。アッシとナンバーマンのとっておき、秘蔵のレアチップ、カウントボム3をお見せするでマス」
『ストーンキューブにばかり目を向けて、足元がお留守だったのでこっそり仕掛けさせていただきました』
高火力の爆発がうろたえる、残りのウイルスたちを巻き込んでオーラを吹き飛ばす。
「ナイス日暮さん、カラードマン、このままマジックマンまでの道を作ってあげて」
『ほいきた、アクア&フレイムのタワー攻撃はそう簡単に消えないぞ』
群れの隙間に二種類のタワー攻撃をぶつけて、マジックマンまでの直通ルートを作る。俺とカラードマンの得意技、タワー攻撃は速度が遅い代わりに攻撃判定が長く残り、ドリームウイルスの足止めをする。
「いくぞ熱斗、美味しい場面譲ってやるんだから失敗すんなよ」
「わかってるって、そっちこそタイミングミスるなよ」
『いくでガスよ、ロックマン』
『準備万端だよ、頼むよガッツマン』
エグゼ『1』で最もプレイヤーが使ったであろう、高火力プログラムアドバンス。まさに二人の友情技。
『『プログラムアドバンス、ガッツシュート!!!』』
ガッツマンの渾身のピッチングで目標に向け飛んでいくロックマン、淡く光輝くロックマンはまるで聖なる銃弾のようにマジックマンに吸い込まれていく。
『ぐおぉおおお、まさか、ドリームビットを引き連れた、私が敗れるとは……、グハッ……』
「まさか、マジックマンまでも……だが、一人で接近したのは間違いだったな、マジックマン、ドリームマジックを放て!」
『貴様も道連れだ……、ロックマン……、ドリームマジッ……』
「熱斗君危ない!」
やばい、あれはPET本体にもダメージを与える、マジックマンの必殺技、本来ならこれでロックマンがデリート寸前の大ダメージを負ってしまう。フルシンクロしてる今のロックマンがこんな攻撃喰らったら……。
「バトルチップ、パラディンソード」
『今の僕と熱斗君に感知できないものなんてない!』
マジックマンがドリームマジックを撃つ前に、ロックマンのパラディンソードが必殺の軌道を辿り、マジックマンを切り裂く。
『馬鹿……、ナ……!?』
すさまじいコンビネーション。これが二人の本気なのか、流れるような動きで敵の攻撃はおろかこっちの援護やサポートが入る隙間さえなかった。ってか、むちゃくちゃビビっちゃったよ、良かったぁ~、熱斗君もロックマンも無事で。流れるような急展開でついていくのがやっとだから、ドリームマジックの構えをした時に思わず叫んじゃったじゃん。うわっ、恥ずかしい。
「さすがだぜ熱斗!それでこそ俺様のライバル!」
「すごいわ、熱斗君、もう最高よ!」
「デカオ、急に背中叩くな、痛いって。ま、まどいさん抱き着かないで、まだ終わってないんだから!」
「三人とも、まだセキュリティの解除は終わってないでマスよ……って仕方がないか、こっちはアッシらの担当でマスから、三人とも浮かれてるうちにさっさと終わらせるでマス」
『ロックマン、怪我はないでガス?背中を抑えてるけど、どこか痛むんでガスか!?』
『い、いやぁ、熱斗君とシンクロしてるからさっきのデカオ君のビンタの衝撃が僕にまで……』
『ぷぷぷ、まどいの感覚も伝わってるの?ロックマンの顔が少し赤いよ、や~いむっつりスケベ』
『……、あぁ私はセキュリティを解除しときますから、冷静なナビがこのチームに居てよかった』
いよいよ、次はお待ちかね、ドリームウイルスとのご対面か。まだ完成してない可能性もあるけど、どうなんだろうな……。よし、こうなりゃこのままチーム・オブ・ロックマンで攻め込むぜ!
『チーム・オブ・ロックマン』
案外いいチーム、オールラウンダーのロックマン、パワー系のガッツマン、サポート系のナンバーマン、遠距離戦のカラードマンで構成されてる。
オペレーターに元犯罪組織の団員が二人、うっかり犯罪を起こしちゃう系リーダーの主人公もいるので、チーム・オブ・カーネルとはいい勝負。
『マジックマン』
試作品のドリームウイルスのビットデータを最初から取り込んでおり、ドリームビットを召喚できるようになったし、最初からドリームマジックが使える。
かなりの強化がされていたはずが連携した4人のナビの前に敗れる。
『パラディンソード』
今回の救出作戦のため、熱斗君用に日暮さんがむちゃくちゃ頑張って手に入れた。ヒグレヤに赤字フラグが経ちました。まどいさんとおそろいだね。
『ドリームビット』
『1』ではドリームウイルスが召喚する、オーラなしの取り巻きウイルスのはずが、マジックマンを経由して量産された影響でオーラを身に纏う。
『ガッツシュート』
『1』における対ボス戦の優秀なプログラムアドバンス。ガッツマンがロックマンを投げつける。今作ではロックマンがフルシンクロしてる関係でパワーアップしてる設定。