【完結】朝起きたら色綾まどいになってました   作:発火雨

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次でエピローグ。
それとは別に本編と少し関係ない掲示板回も予定していますので、更新時にびっくりしないように今のうちに告知しておきます。


夢の終わり

 迫りくるドリームビットの大軍、そのすべてがオーラを身に纏いまるで巨大な蠢く肉塊のように膨れ上がりながら迫ってきていた。そしてその中心で不気味に佇む巨大なドリームウイルス。

 

「カラードマン、まずはあの邪魔なオーラを根こそぎ剥がすわよ、バトルチップ、オオツナミ!」

『どっぷ~ん、呑み込まれちゃえ、はは』

 

 巨大な電脳津波がドリームビットを飲み込み、オーラを消滅させる。だが、その波を乗り越えてさらに大量のドリームビットが迫ってきた。

 

「オーラが剥がれた奴から狙い撃つぞロックマン、バトルチップ、メガキャノン三枚投入、プログラムアドバンス、ゼータキャノンだ!」

 

 メガキャノンを5秒間打ち続ける砲台と化したロックマン、オマケにインビジブル状態だから、敵の攻撃を食らう心配もない。つまりこの5秒間はサポート不要で敵を削ることに専念できる。それならカラードマンの役目はっと。

 

「カラードマン、ロックマンが抑え込んでるうちに鳥籠コンボの準備は出来た?」

『もう、ばっちりだよまどい、バトルチップ、ロックオン3!フィールドに並べれる限り設置完了』

 

 ロックオンした敵をバルカンで攻撃し続ける小型衛星を並べられる限り並べた、近接で戦うのが怖いし苦手だから遠距離戦に特化して改造したカラードマンの恐ろしさを見せつけてやる。

 

「すげぇ、まどいさんとカラードマンだけで絨毯爆撃してるみたい……」

『あっ、今数に任せて無理やり突破したウイルスが、ダイナマイトに引っかかった、いつの間に仕掛けたんだろう……』

「呑気なこと言ってないでほら、インビジブル系のチップ持ってるでしょ?今のうちにこっそり本体に近付いちゃいなさい」

『敵もこっちに釘付けみたいだし、今なら隙間を潜って近付けると思うよん』

 

 それにもうこれネットバトルって言えないもんね、ほぼルール無用の闇鍋バトルみたいなもんだし、でもね、基本大量につるんでる敵対組織ナビたちをカラードマン一体で蹴散らし続けた経験は伊達じゃないのよ。

 

「ほらほら、私たちは多人数戦に慣れてるから一人の方が戦いやすいのよ、さっさと行った行った」

「で、でもこの大軍相手に囮の役目をカラードマン押し付けちゃうよね」

「はぁ、まだまだ、ボウヤね。いいこと、いい女の条件は自分の身は自分で守れる事よ」

 

 よし、熱斗君押し問答はいいから、早いとこドリームウイルス倒してくれないかな、正直一対一のバトルそんなに得意じゃなかったから、数で押せ押せ戦法にシフトしたんだよね。こっちは元をただせば悪役だし、正々堂々戦う相手でもないし、卑怯な手も上等。ってかロックマン近くにいると間違って誤射しそうで怖いんだよね。

 

『行こう熱斗君、後ろはカラードマンに託して、僕たちは僕たちの出来ることをしに行こう』

「……、あぁ、わかったよロックマン。まどいさん、カラードマン、すぐにドリームウイルスなんか倒してくるから絶対無事でいてね」

「ほら、さっさと世界を救ってきなさい、可愛い幼馴染が君の無事を待ってるんでしょ……って聞いてないか」

 

 ヒロインメイルちゃんのことでも話題に出して発破掛けようとしたら、もう二人ともウイルスバスティングに集中して周りの音が聞こえてない。シンクロしてる影響もあるんだろうけど、若者の集中力ってすごいね、俺も昔はゲームにいくらでも集中できたのに、今じゃ神経が疲れちゃうもんね……、はぁ、どうせならもっと若いキャラに転生出来てたらなぁ。

 

『まどい、まどいったら!どうしたの急に黄昏ちゃって』

「えっ、あらごめんね、若さっていいわよねぇって急に思っちゃって」

『確かに、まどい以外みんな若いオペレーターばかりだもんね、WWWに居た時よりも周りに影響されて若返ったんじゃない?』

 

 そんなもんかね?正直スキンケアとか、化粧の仕方は体のオート機能任せみたいなもんだし。まぁ、そもそも男だったわけで、女の子特有の美意識とかいまいちわかんないんだよね。

 

「って、そんなことより、オーラ纏った敵がまた増えて来たわよ、カラードマン、ウイルス爆弾の準備は?」

『もちろん、完璧だよ、ロックオンの制限時間と一緒に一斉発動、どっか~ん!』

 

 対ブルース戦で効果てきめんだった、ウイルス作戦。そもそもゲームだと結構なナビがウイルス使いだったし、あんな戦い方に憧れてたんだよね。でも下手なウイルスだとこっちも襲いかかかってくるし、案外制御が難しいので、俺の愛用は決まった方向の敵を一方的に攻撃するキャノーダム系、比較的簡単に手に入るし、プログラミングも簡単、それに何より安いから数で勝負できる。安価ゆえ一部ではセキュリティ代わりにも使われてるのだ。

 

「一斉射撃!撃って撃って撃ちまくるのよ!」

『数が多いから適当に撃ち込んでも当たるもんね、こりゃ楽ちん楽ちん』

「カラードマン、私たちに暇なんかないわよ、オーバーヒート寸前までアクア&フレイムタワーの乱れ撃ちよ、あんなの大軍に飲み込まれたら、すぐさまデリートなんだから」

 

 それからしばらくはずっとこの調子でドリームビットを遠距離攻撃で削っていく作業を繰り返している。少なくてもこのエリアに創り出されるウイルスは派手に攻撃してる影響か、ロックマンには目もくれず、こちら側に群がってくれてる。すさまじい数で少しづつ戦線は押され気味だが、何とか時間は稼げてる。

 

「いいわよ、こっちの目的は時間稼ぎなんだから……カラードマン、ロックマンの様子はどう?」

『順調みたいだよ、ドリームウイルスがおっきすぎてここからでも見えるけど、かなり苦しそうだし、心なしかウイルスの数も減って来たみたい』

 

 順調順調!って待てよ、今ドリームウイルスは研究所のメインコンピューターを経由して基地中のエネルギーを集めてるんだよね、それがウイルスの生成を緩めたってことは可能性は二つ、一つはエネルギーが不足し始めたってこと。んでもってもう一つはボス特有のHPは減ったから攻撃パターンが変化して、大技のためにエネルギーをため込んでるって可能性が……。

 

「カラードマン、注意して嫌な予感がするわ!」

『げげっ、空からなんかどでかいのが降って来たよ!!!』

「バ、バトルチップ、バリア!」

 

 空から降り注ぐ無数の巨大隕石は、電脳世界のいたるところに居る場所を直撃した。そして、その衝撃は電脳世界その物を崩壊させるのに十分すぎる威力を持っていた。崩れ落ちるバトルステージ、砕け散る電脳空間の破片、飛び交うデリートされたウイルスの残留データ。

 

「何よ今の無差別攻撃!カラードマン大丈夫!?」

『けっほけっほ、まどいのバリアのおかげで何とか無事だよ、でも今の一撃で、敵味方ほとんどのウイルスが吹っ飛んじゃった』

 

 やばっ、さすがにこれはまずいかも。こっちのウイルス軍団はさっきのでほとんど壊滅状態だし、向こうのドリームウイルスも巻き込まれてかなりの数は減ったけど、オーラで直撃を免れたのがちらほら見える。

 

『どうするまどい?もうウイルスのロックオンも使い切っちゃったし、残ったウイルスは何とかできるけど、追加のおかわりは無理だよ~』

「ね、熱斗君まだかかりそう!?って聞いちゃいないわね……カラードマンロックマンの様子はどう」

『まだ戦ってるけど、ドリームウイルスも相当まいって……っげ、またチャージしてるみたい、ど、どうしようまどい、このままじゃ電脳空間そのものが持たないよぉ』

 

 うへっ、このままじゃ電脳空間ごとカラードマンもロックマンもおじゃんかも。こうなったら最後の手段。

 

「カラードマン、こうなったら残りの攻撃は全部あのデカブツに集中してあの攻撃が来る前に終わらせるわよ、ほら、いつものパワードキャノン用意!」

『うへぇ、もうあんな攻撃はこりごりだよ、いい加減倒れてよね!』

 

 ロックマンに当てないように適当に頭の方を狙っていつもの攻撃を発射!ってあれ?当たって怯んだところに飛び出したロックマンがドリームウイルスを真っ二つに……すげぇ、美味しい所ちゃっかり全部持っていかれた。

 

「うおっしゃ!熱斗君ナイス!」

『やったー、勝った!ロックマン最高!』

 

 ガッツポーズを決める俺たち。結局、俺とカラードマンは囮役に徹してただけで、後はロックマン一人で倒しちゃった感じだけど、まぁいいよね?

 

『危険警報、危険警報!メインコンピュータの異常により研究施設の情報漏洩が危惧されたため、自爆プログラムが作動しました。職員は速やかに避難を開始してください』

 

 うわっ、お決まりの悪の組織の自爆要素だ!いつの間にかワイリーの姿もないし、早く俺たちも避難しないと。

 

「早く逃げるわよ、熱斗君……」

 

 熱斗君の方を振り返ると、こちらを振り向くことなく、床に倒れそうになったので慌ててその体を受け止めた。えっと、何これどういうこと!?

 

『まどい!ロックマンも倒れたまま動かないよ!』

「あぁ、もう世話の焼けるヒーローね!二人とも回収して急いで逃げるわよ」

 

 小学生とはいえ、女の体で背負って逃げるのって大変だよ。作戦指令室ももぬけの殻でみんな脱出準備しにメトロに向かっちゃったみたいだし、いやね、脱出経路の確保目的なんだろうけど、一人くらい待っててくれてもいいじゃん!一応か弱いレディなんだよ俺。

 

 メトロに乗り込んでしばらくすると、豪快な爆発音とともに、研究所は木端微塵に吹き飛んだ。

 

 その後の話をしよう。熱斗君は目立った外傷もなく、ただ気を失っているだけとのことで、大事をとって一晩入院することになった。俺はというとメトロの秘密の出入口があった小学校に待機していたオフィシャルの人たちに連行されて、一人捕まっちゃったんだよね。準備に手間取って今回の作戦に何にも参加してないくせに、逃げて来た俺を待ち構えてるんだから、本当に仕事してないよ今回、この税金泥棒!

 

 光さんが必死に説得してくれたけど、WWWの壊滅に何ひとつ関わらず市民バトラーだけに任せっぱなしになってしまった今回のシナリオは、オフィシャルとしてもメンツに傷がつくし、せめて残党を捕まえるくらいの功績を残さないと組織として不味いんだろう。カラードマンはロックマンと一緒に熱斗君のPETに避難してるし、後は光さんが良いようにしてくれるだろう。

 

 あぁ、何とか恩赦とかもらえないかなぁ。暇なんだよな留置所の中って、カラードマンもいないから話し相手もいないし、一応ナビがいないサブPETだけは貸してもらえたからお絵かきソフトインストールしてもらって色々描いてるけどさ。

 

「熱斗君元気かしら……この後三カ月後に『2』が始まるけど、それまでに仮出所出来ないかな……」

 

 このままずっと刑務所暮らしなんてやだやだ!せっかく出番も全部終えてこれからこの世界を純粋に楽しもうと思ってたのに、助けて熱斗君!




『色綾まどい』
結局駆けつけたオフィシャルに捕まった。そりゃ脱出してきた幹部は捕まえられるよね。

『オフィシャル』
組織として準備に時間がかかり、事件解決に乗り遅れてしまう。結果として研究所の爆発を受けて慌てて出動、逃げ出した幹部を捕まえて何とかメンツを保つ。

『熱斗君』
意識を失ってるだけだが念のため検査入院。オフィシャルが護衛付きで送ってくれた。

『光パパ』
抗議もむなしく、オフィシャルには聞き入れてもらえなかった。熱斗と共に病院へ。サイトバッチも取り外し、避難していたカラードマンもこっそり回収済。

『デカオ』
事件解決に関わった善意の市民バトラーとしてそのうちオフィシャルから表彰されそうなガキ大将。でも所詮市民バトラーで小学生だから権力になすすべなし。

『日暮さん』
元WWWなんだけど下っ端だったし、幹部を捕まえたオフィシャルの眼中になかった。脛に傷がある者としてオフィシャルに強く出れない難しい立場。
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