久々に来た秋原町。最近は科学省の近くの職員が多く住んでいるマンションに部屋を借りて、ずっと家と職場の往復だったからなんだか新鮮!本当は久しぶりにヒグレヤにも顔を出したかったんだけど、日暮さんはレアチップの収集と目利きを鍛えるために海外遠征に挑戦しててヒグレヤはしばらくお休み。勿論ネット上ではナンバーマンが変わらずにショップを開いてるから顧客はそっちの方に行ってるみたいだ。
実はナンバーマン、ウラインターネットにも顧客が沢山いて、ちょくちょく仕入れやウラのチップ相場を調べに足を運んでるらしい。日暮さんもなんだかんだ言ってオペレートの腕も上がってるみたいだし、ウラの世界ではWWWの元団員で壊滅作戦に関わったチップ商人だということが公然の秘密として知れ渡っている。俺との接点も合わせて情報が拡散してしまったせいで、ウラでナンバーマンに手を出すような奴はいないからすごく助かってるとお礼を言われることもある。
しかも商人的なかかわりで情報も入ってくるのか、かなりのウラの事情通なのだ。正直カラードマンや他のナビがウラに情報収集に行ってもせいぜい掲示板を覗くのが関の山だが、ナンバーマンがウラの住人と交流を持って得られる情報量は段違い。凄いぞナンバーマン!今回もデンサンガスの集金用のナビを『2』では見なくなったファンカー系ウイルスが落とすバトルチップで戦闘用に改造したとの情報をタレこみで受け取って、チップの流通から裏取りまでしてくれた。
ここに俺が持つ原作知識を合わせれば時期的に『2』のシナリオが始まりエアーマンがボスとしてロックマンに立ちふさがるのは容易にわかる。
エアーマンのオペレーター、風吹アラシだ。身代金目的でやいとちゃんに目をつけ、ガス湯沸かし器をハッキングするゴスペルのオペレーター。といっても仕事のストレスを発散するためにゴスペルの後ろ盾を求めた小物だから全然たいしたやつじゃないんだけどね。
「どうしようかしら、出来たら事前にやいとちゃんに連絡が取れたらいいんだけど……」
確認したら明日から夏休みらしいから、今日が事件の起こる日。でもさすがにやいとちゃんの家に張り付いてるのも不自然だし、出来たらどこか近い場所で、待機してたい。ついでにやいとちゃんにメール出来るような人物が知り合いに居たらいいのになぁ~。
「あらあら、お久しぶりですまどいさん。新しいお仕事には慣れましたか?」
「はい、とてもやりがいのある素敵なお仕事を頂きまして……その節は光さんに大変お世話になりました」
俺がいるのはもちろん熱斗君のお家、一足先にお邪魔して熱斗君を待たせてもらおうっと。相変わらずお綺麗なはる香が最近凝ってるという手作りのチーズケーキを頂きながら、楽しくおしゃべりしているところである。ちなみにこのチーズケーキ、味も見た目も完璧。こんな美味しいものを作れるなんて本当にすごいと思うよ。熱斗君羨ましすぎ、なんだったら毎日通いたいくらいだよ。
「それでね、私と初めてデートした時なんて祐一朗さんったら待ち合わせ場所に三時間も遅れて来ちゃって……」
うん、もう一つすごいのがこの夫婦のラブラブっぷりだ。俺は立場上光さんが上司みたいなところがあって、比較的よく話すんだけど、光さんの話題を共有できるのが楽しいのか、いつの間にか惚気話が止まらなくなってきた。最初は夫の仕事中の姿を聞きたいっていう話だったのに、今は光夫妻初デートのエピソードトークが始まってしまった。
「まどいさんは誰かいい人はいらっしゃらないんですか?」
「い、いい人ですか!?私は今は仕事が忙しいので……」
はる香さんの目がいつの間にかキラキラ輝いている。これはあれですね、完全に恋バナを期待している目ですわ……。でも申し訳ないけど、自分が誰かと結婚する未来とか全然見えないんだよね。二回目の人生で性別も逆転しちゃったし、これが元から女の子のエグゼファンだったら、もしかしたら原作のキャラとの結婚とかも夢見るのかもしれないけどなぁ。
「実は熱斗もね、最近まどいさんの影響で少しだけ頼もしくなって、勉強やお手伝いなんかもよくしてるのよ」
へぇ、えらいな熱斗君、勉強もお手伝いもそんなに好きそうじゃないイメージだったけど、俺の影響で進んでするようになったんだ。もしかして女の人を大事にするレディファースト精神でも身に付いたのかな?いいことだよね。きっと将来良い旦那さんになるよ。
「ママただいま!ってまどいさん、久しぶり!どうしたの急に」
「お仕事で秋原町に来たから熱斗に会いに来てくれたんですって、ほら、美味しい紅茶をお土産で頂いたから、早く手を洗ってらっしゃい」
「まどいさんが俺に!?あっでもごめんなさいこの後友達とネットで会う約束しちゃってて……」
「あら、それじゃあ熱斗君の部屋でネットを繋ぎながらお話しできるかしら?ちょっと頼みたいことがあって」
「へ、部屋に!?ちょっと待って、すぐに片付けてくるから」
『もう、普段からちゃんとしておかないから』
すごい勢いで二階の自分の部屋に駆け上がっていく熱斗君。そうだよね、自分の部屋って基本散らかしっぱなしにするよね。んでもってたまのお客さんが来たら焦るよね。でもでも、熱斗君の部屋楽しみだな。毎回シリーズごとに変化があって地味にうれしいんだよね。
「あらあら、あの子ったら、それじゃすいませんが熱斗のことよろしくお願いしますね」
「ママ、余計なこと言わなくていいって、いいよーまどいさん、上がってきて」
ママの愛情が恥ずかしい年頃だよねぇ、可愛いなぁ熱斗君。こんなところは小学生なんだから。俺よりも強い凄腕ネットバトラーもママには形無しだ。
部屋に入るとまさにエグゼファンなら誰もが知ってるような熱斗君の部屋!カプコンのフィギュアが所狭しと並んでいて、壁にはポスターやタペストリーが飾られている。うっひゃ~、これ全部熱斗君が集めたのか、すげ~! 思わずテンションが上がる。
「すごいわね、全部自分で集めたの!?うわっ、これなんて小さいのによくできてるわね!」
「そ、それは前に食玩で入ってたんだよ、ほら、こっちはシークレットの奴で中々出なかった奴なんだ」
「もしかしてこれって可変式なの?うわっすご~い、今の食玩ってこんな風になってるんだ」
思わず任務そっちのけで反応してしまう。まさに子供の夢が詰まった男の子の部屋だよな。転生してから女物のアイテムに囲まれて久しく忘れてたけど、俺もこんな風に集めて自分の部屋に飾ってたよ。でも俺の子供の時よりもクオリティが高いよ全体的に!
「そうそう、すげぇんだよお菓子のおまけなのに、こっちのなんて懸賞で当たったやつで……」
『二人ともなんだか気が合うね、熱斗君の無駄遣いが女の人に褒められたのって初めてじゃない?』
「あら、無駄遣いじゃないわよ。いいわねぇこの部屋。……一晩泊まりたいなぁ」
「と、泊まる!?」
自分の今の部屋も気に入ってるけど、たまにはこんな感じで、子供っぽい趣味全開の空間で寝るのもいいかも……と、思ったんだけど、さすがにダメだよね。でも、本当に熱斗君はいいセンスしてると思うんだけどな。子供の頃のお泊り会でよく男友達の家に泊まったなぁ。ずっと寝ないで一緒に遊んでてさ、疲れたら同じ布団で川の字で寝て。
「でも二人で寝るにはちょっとベッドが狭いわよね」
「い、い、い、一緒に寝る!?」
熱斗君のベッドさすがに俺が寝たら小さいよな、それにベッドで複数人寝ると誰か押し出されるのもあるあるだよね。
『ねぇねぇ、熱斗君そろそろ行かないと間に合わないよ、帰ってきたら宿題もしなくちゃいけないし』
「そ、そうだなロックマン、取りあえずオフィシャルスクエアに向かってくれ、何かあったらすぐにオペレートするから」
「あらそうだ、実はね、お願いがあるの」
忘れてた、任務任務。二人にネットマフィアゴスペルのオペレーターになった男が秋原町にて事件を起こす可能性があり、やいとちゃんが狙われる可能性が高いと言える部分だけを話して、やいとちゃんとコンタクトが取れるようにしてほしいと頼んだ。
「やいとが……わかった、ちゃんと伝えておくよ。まどいさん、俺もやいとの家に着いていってもいい?」
「もちろん。熱斗君が友達のためなら止まってられない性格なのは知ってるから、その代わり私の管理下に入ってもらうわよ、絶対に命令には従ってね」
「任せてよ、絶対まどいさんの邪魔はしないし、むしろ役に立って見せるからさ!」
熱斗君もやる気満々、頼もしいな。俺が変に話を膨らませちゃったけど、原作の宿題チュートリアルがなくなったから時間的にも特に変化ないだろう。その分帰ってきてから宿題をしなくちゃいけなくなったけどね。
「でも、夏休み直前に私が来てよかったでしょ?」
「えっ、も、もちろんまどいさんに会えてむちゃくちゃうれしいよ、あの後ネットエージェントになってから全然会えなかったもん」
ママに通知表の話を振られなかったからよかったでしょって意味で言ったのに、俺に会いたかったんだ。やっぱりいい子だよなぁ。ファンとかじゃなくても好きになっちゃうよ、素直でまっすぐに好意を向けるなんて中々歳取るとできないもんね。まぶしいよ若さが。
あんまり部屋に居てみんなとの会話を邪魔したら悪いから、ここらでお暇しよっと。やいとちゃんの件は家に事前にお邪魔するアポを取ったらまた連絡をくれるってさ。さて、連絡が来たらお仕事お仕事。熱斗君の協力も取り付けたし、安心だね。
「熱斗君に頼りっぱなしで悪いわね、たぶんこれから何度も会うことになると思うけど、頼りにさせてね」
熱斗君は『2』の開始から気合入りまくりで、少年らしい元気な返事をしてくれた。気合入り過ぎて顔が赤かった気もするし、風邪でも引かれたらまずいからおでことおでこを合わせてみたけど、やっぱり熱い。この後湯沸かし器の電脳に入るのに大丈夫かな?空いた時間にコンビニで冷えピタとか、栄養ドリンクとか買っておいてあげよう。体調管理はしっかりしといてくれよ熱斗君。
『日暮さん』
『1』で小金が出来たから海外旅行中。
チップ収集ついでに、各国の様子や生の情報をナンバーマン経由でまどいに送っている。元WWWなこともあり、まどい専属の外部協力者だと思われてるとか
『ナンバーマン』
ウラにも出入りする商人で、扱ってるチップの豊富さやコレクター知識で重宝されてる。
バックに色綾まどいとカラードマンが付いてるのはウラでは有名な話。そのため伝手を頼った顧客も数多くいる。何気に戦闘以外は優秀。
『熱斗君』
『2』の序盤から歪ませられてる。
『ロックマン』
後述するがメイルちゃんが不憫だと思う。
『熱斗のママ』
夫とはラブラブ、まどいさんとの中も良好。夫のことを好きなだけ話せる相手が出来た。
『色綾まどい』
前世は男性で三十路、朝起きたらなぜかエグゼ『1』の悪役色綾まどいになっていた。
久しぶりに前世を思い出し懐かしい気持ちに、少年の心は大人になってから顔を出すとテンションが上がる。基本的にうかつなお姉さん。
小ネタ『もしも熱斗が勘違いをまき散らす側だったら』
熱斗 「なぁ、大事な話があるんだ、あとでやいとの家に行ってもいいか?」
やいと「な、なによ急に、今ここで言いなさいよ!」
熱斗 「いや、みんなには聞かれたくないんだ。たのむ真剣な話なんだ」
やいと「わ、わかったわ、あとでうちに来なさいよ」
メイル(えっえ!?)
やいと(ど、どうしましょ、メイルちゃんがいるのに、大事な話って……)
熱斗 「ありがとうやいと、断られたらどうしようかと思ったよ」
やいと(なんなのよ急に、わ、私にだって心の準備が……)
メイル(熱斗~(´;ω;`))
エグゼ『2』で助けたやいとがかわいかったのでついカッとして書いた。
助けられたやいとちゃんはすごく可愛いので是非原作をプレイしてみてください。