この辺で一度情報の整理回を挟みます。
強敵でしたねクイックマンは……。いや、ごめん。事件もバトルもスピード解決しちゃったわ。
だって事前に炎山君が爆弾を全部解除しちゃうし、起爆コードの電脳もカラードマンで俺が全部解除。犯人の速見ダイスケも熱斗君が最後の起爆コードになっていたクイックマンをデリートして処理。なので爆破事件なんてそもそも起こらず、事件をネットエージェントとオフィシャルが未然に防いだってことで報道されることになる。
「それでは現場から、史上最年少でSライセンスを取得した話題のネットバトラー。光熱斗君の独占インタビューをお届けします!」
炎山君は犯人を連行するためにさっさと帰っちゃった。熱斗君に対しても、「それなりに腕は立つようだな……」って一言だけ評価してたから、案外同世代のライバルとして認めてくれたんじゃないかな。腕だけはね、事件解決後俺を間に挟んで二人の紹介もしたんだけど、なんかお互い突っかかっていくんだよね。まぁ最初はこんなもんだったけ?
「お手柄でしたね、どうですか市民バトラーとして人々の命を救った感想は!」
「い、いやぁ、俺はただ必死だっただけで、みんなの命とかそんなすごいことは……」
「謙遜しないで、あなたが人々の命を救ったヒーローに変わりはないんだから、ほら胸を張って」
ケロちゃんに背中を叩かれて照れる熱斗君、いい感じだね。二人の距離感もネットバトルで近くなったせいか、ケロちゃんものびのびしているように見える。
「今回はオフィシャルとネットエージェント、市民バトラーが事前に犯罪を防ぎましたが、今回の事件は国際的ネットマフィアゴスペルの関与が一部で噂されています。我が国はWWW問題からオフィシャルに続きネットエージェント制度を発足させネット犯罪に対策を練っている最中です」
一応二人にはインタビューで熱斗君がネットエージェントに内定してることは触れないようにしてもらってる。オフィシャルには熱斗君を取り込んで炎山君と二人合わせて二枚看板にしようと考えてる人たちがいるらしいし、オフィシャルが主導してる市民バトラーライセンスの普及の結果が今回の事件解決に結びついたって感じに報道してもらっておこう。
上層部はバチバチにやり合ってるが、あんまり現場レベルで不和を持ち込まれても困るし、少なくとも表面上はお互い上手くやってますよってアピールは大事だよね。
ちなみに熱斗君から回収した予備のネットエージェント装備は炎山君に渡しちゃった。光さんにも了承済みで、表向きは使い勝手の感想聞きたいってことにしてるけど、本当は光さんも炎山君の事心配してるんだよね。熱斗君がネットエージェントに正式に加入しちゃったら否が応でも二人が比べられるからさ。子供を大人の権力争いに巻き込みたくないけど、二人の影響力を考えたら無視するわけにもいかないんだよね。
そういえば初めてメイルちゃんに会ったよ!ちらっと見ただけで話せなかったけど。熱斗君がインタビュー受けてる間、やいとちゃんがわざわざ前の事件のお礼を言いに来たり、デカオ君がAライセンスに受かった報告に来てくれたから、遠慮して近づかなかったのかな?
そのままインタビューが終わるのを待つとDNNの中継車に乗せてもらって科学省まで帰ったよ。楽ちん楽ちん、実はゲームと違ってメトロもバスもお金かかる。無料なのは小学生まで、子供の福祉が行き届いてるよね。
ちなみにその日は残業をみんなで引き受けて光さんをさっさと帰らせた。今日ぐらい家に帰ってテレビに出た息子を褒めてあげればいいんだ。他のみんなも協力してくれて、研究室から締め出すのを手伝ってくれた。光さん自分の研究室を追い出されるとか初めてだろうな、むっちゃ笑ってた。その後みんなで残業してたら突然デリバリー夜食の差し入れが、全部光さんが払ってくれてるってんだから、あの人の人望がある理由がわかるなぁ。
次の日、光さんの出勤になぜか熱斗君が付いてきた。朝から科学省に親子で来るなんて珍しいから、みんな興味津々だ。ほら受付のお姉さんからお菓子もらってるよ。そういえば俺のスーツにメガネ姿も初めてだよね。なんだ見とれちゃって、わかるよ私服はラフなのに仕事中はメガネにスーツの出来る女って萌えるよね。
「あら、光主任、おはようございます。今日は親子で出勤ですか?」
「おはよう、まどい君。実は熱斗にも色々話そうと思ってね、悪いけど朝のミーティングの後で私の研究室に来てくれ」
そんなわけで昨日の事件のことを報告し終えた俺は改めて光さんの研究室へ。
「あぁ、お疲れ様。ゴスペルの動きに関しては何か報告はあったかい?」
「いえ、いずれのニホンで起きた事件もゴスペルの組織力目当てにすり寄った、いわば使い捨ての人材が起こしたと思われる事件ですので、組織に繋がるような情報は何も……」
「幸いニホンではオフィシャルとネットエージェントの二枚看板で事件が未然に防げているが、国際的に見れば被害を受けている国が多い。国内での事件も表面化してきたから、もしかしたら次の標的はニホンなのかもしれないな」
ニホンではこれから一気に起こるんだよね……その対策としても熱斗君が強くなってくれてるのはありがたいんだけど、なんか強くなるの早すぎない?まぁ、全然強くなることはいいんだけどさ。
「そこで前から話していたアジーナ国との技術交流……、あれをネットエージェント初仕事として熱斗とロックマンに任せてみようと思うんだ」
「ってことは、まさか正式に……」
「じゃじゃ~ん!見て見て、まどいさんと同じネットエージェントのライセンス」
これ見よがしにPETを見せつけてくる熱斗君。それにしてもついに熱斗君が正式なネットエージェントか……。いやいや、本当に早いでしょ。話の展開が高速だよ。
「立場上はまどい君の同僚になるけど、先輩として色々教えてあげてほしい。まぁ、今抱えてる仕事が多いから中々直接教える機会もないかもだけどね」
「抱えてる仕事量で言えば光主任にはかないませんよ、昨日はきちんとご家族と過ごせましたか?」
「私みたいな仕事人間は研究室を追い出されたら行くところがないからね、いつでも帰ることが出来る我が家はありがたいよ。まさか、自分の研究室に入れなくなるなんてな、一本取られたよ」
「主任抜きでもきちんと機能するかどうかの実験ですから、何なら午後は二人っきりでサボりますか?この前食べに行った喫茶店のランチ美味しかったですよね」
「確かにあそこの店は美味しかったけど、サボるのには同僚が多すぎるな」
二人して笑いながら冗談を言う。俺と光さんは気兼ねなく喋れる関係だ。上司と部下っていうよりは友達に近い感覚、熱斗君に目線を向けると、こっちを見て首を傾げる。
「なんか、まどいさんとパパ、仲良過ぎない?」
『なんか怪しいよね……』
おやおや、大好きなパパを取られて二人ともご機嫌斜めかい?も~可愛らしいんだから、この辺がまだ小学生だよね!
『速見ダイスケ&クイックマン』
出番も早かった。
『熱斗君』
正式にネットエージェントに加入。初仕事は友好国との技術交流。
スーツにメガネ姿のまどいに見とれてるけど、仕事中はその格好で会うんだから慣れときなさい
『炎山君』
腕は認めてる。だがエージェントやオフィシャルに向いてるとは思ってない。
なれ合いはすかん。
『光主任』
熱斗君のパパ、普段尊敬の目を向けてくれる熱斗君とロックマンに妙な視線で見られた。