【完結】朝起きたら色綾まどいになってました   作:発火雨

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おねショタ要素ゼロの敵サイドのお話。
敵も強化フラグをガンガン突っ込む。
更新速度と感想返しとプロット構築など色々フルスロットルなので今後更新頻度が緩やかになっても許してほしい。


ゴスペルサイド

『ダーク・ミヤビとシャドーマンは失敗したか……。陽動がメインとはいえあれだけの戦力を集めて侵攻した科学省攻略も失敗。オフィシャルどころか出来て日が浅いネットエージェントがここまで抵抗するとは、オマエの報告とはだいぶ違うようだな……』

「も、申し訳ありません、伊集院炎山、光熱斗共にマークしていましたが、まさかシャドーマンを退けるほどとは」

『ゴスペル、掟その二』

「はっ!ゴスペル、掟その二、弁解する者には死を!し、しかし管理人様……」

『わかっていると思うがゴスペルから逃げられはせんぞ、せいぜいその日までおびえて過ごすがいい……』

「お、お許し……」

 

 最後の言葉を紡ぐことは叶わず、暗号回線を切られる男。この回線が使われることは二度とない。無機質なパソコンの画面には無能を証明した構成員の名前が映し出され、アクセスを遮断されたことを示す文字のみが残る。

 

『能無しが……いくら陽動作戦が成功したとはいえ、考えうる最も成果の乏しい成功を叩き出すとは』

 

 大量のサーバーに囲まれて、男が再びパソコンを操作する。今回の件で失ったウイルスと構成員の補充リストを作成しているのだ。

 するとほどなくして暗号回線での音声通話の着信が表示され、通話を開始する。

 

『待っていた、プロジェクトの進行状況はどうだ?』

「順調です、今回のオフィシャル、ネットエージェントに対する二面陽動作戦でハイパワープログラムの奪取はつつがなく終わりました。これがあれば究極のナビ制作はもちろん、現在行っているドリームビット量産計画も飛躍的進歩を遂げるでしょう」

 

 電話の向こうの報告する声色は加工され性別や年齢さえもわからない、しかし、作戦の失敗など微塵にも感じさせない口調である。

 

『よくやった、オマエが企画した計画は我がゴスペルの最終目標に近づけさせた、まったく組織に数ばかりいてもオマエのような優秀なものが少ないのが我が組織の欠点だな』

「お言葉ですが、オフィシャルの上層部ほど優秀な人間が多い組織はありません」

『ふふっ、あの自らの権力にしがみつき我々の思うがままに動く烏合の衆がか、年端もいかない子供たちに尻拭いをさせ続けるやつらが優秀とは中々痛烈な皮肉だな』

 

 よほどその言葉が気に入ったのだろう。男は上機嫌に笑う。

 

「誰もが国を思い、社会を思う善良性を持っております、社会では立派な人間と褒められてきたのでしょう。しかし短絡的で視野が狭く、変革し続ける世界に対応する恐怖から保守的になり、迫りくる現実を直視できていない。そして潔癖なまでに悪を憎み、そのためなら真実から自分たちを騙し続ける。これほど扱いやすい手駒はありません」

『その通り、ネットエージェント制度を後押しし、組織間の対立を少し煽っただけで面白いぐらい滑稽に動いてくれた。迫りくる未知の脅威ゴスペルの現実ではなく、元WWWの肩書に踊らされ、壊滅した組織の幻影を未だに見て自分たちの都合のいい正義を守ろうとするオフィシャルは我が組織の構成員よりも優秀だと言わざるを得ない』

 

 元WWW幹部、色綾まどい。彼女は本当に有能な人物だ、しかしその有能さを理解出来る人間は決して多くない。

 

『出来るなら彼女を幹部としてゴスペルに迎えたい、ウラとの繋がり、オモテにも顔が利く肩書と立場、そしてなにより正反対の組織を渡り歩いた実績。表と裏、光と影、相反する世界を渡り歩くバランス感覚はいずれこの社会を破壊しつくした後で大いに役立つであろう』

「一度コンタクトを取ってみましょうか?味方に引き入れるにせよ、敵として対峙するにせよ、直接お会いしたい」

『オマエの表の立場がどんなものか知らぬが、引き込めそうなら引き込んでみろ、ゴスペルとして用意できる対価は用意しよう』

「ありがとうございます、で、組織の失った戦力については……」

 

 男は製作中のリストをジロリと見直しながら頭の中で計算をする。先ほどの任務失敗でダーク・ミヤビとシャドーマンはもう使い物にならないだろう。集めたチンピラや組織の使い捨て部隊もかなりの数が減った。ゴスペルの構成員の数だけ見れば手痛い損失だ、しかし。

 

『問題ない、すでに量産に成功したドリームビットとハイパワープログラムの力があれば戦闘用ウイルスについてはすぐに補充の目途が立つ。それどころか、バグの欠片のリソースを究極のナビに注ぎこめる上に、ドリームビットから得た貴重なデータも反映する予定だ』

「しかしそれでは指揮官が不足してしまうのでは?」

『それについてもすでに準備は出来ている、やられた無能共とはいえ奴らのナビのバックアップデータに究極ナビの試作データを取り込ませ自立型ナビとして蘇らせた、無能なオペレーターどもよりは働けるだろう。私自ら作り出したゴスペル総指揮官を担当するナビとは別に、より優秀な自立型ナビも新たに用意してある。すでにゴスペルには生きた人間はオレとオマエだけで十分であろう』

 

 ネットワークを介し、組織のメンバーが誰一人として顔を合わすことがないゴスペル。すでに人間を誰一人頼らなくても強大な力を振りかざせる一つの化け物になりつつあった。

 

「それでしたらオフィシャルとネットエージェントに関しては私の方で接触を進めておいてよろしいですね?」

『必要ならば残った使い捨て共を好きに利用してもかまわない、最終フェイズにはどれも不必要な者たちばかりだ』

「わかりました、それでは……」

 

 通話が切れ、部屋にはサーバーが動き続ける音だけが響き渡る。

 

『ふん、社会を憎む共通点だけでゴスペルに参加し、優秀だから究極のナビ製造計画も任せたが得体のしれない奴だ。オレですら正体を探れん』

 

 立ち上がり別室に特別に置かれたサーバーを見るために移動する、ゴスペルの電脳空間からも隔離され、組織の人間はもちろん、協力者だって知りえない秘密のサーバー。

 

『もうすぐ究極のナビが軍団として我が手に収まる。そうすればこのネットワーク社会の破滅も思いのままだ』

 

 サーバーに唯一繋げられたモニターに映し出される電脳空間。

 

『そしてオマエさえいれば歴史に名を遺す、プロトの反乱、電脳獣の伝説をオレの手で再現することも可能だ。まさにネットマフィアゴスペルは福音となって俺の手に社会に対する天罰……いや慈悲を与える力を授けた』

 

 社会への憎しみを、自分に救いの手を差し伸べなかった憎しみを、今もなお自分を利用しようとする大人たちへの憎しみを。

 

『オレとオマエは巡り会うべくして出会った。共に世界を終焉へと導こう!』




『ゴスペル』
互いの正体を誰も知らない、ネットワーク社会が生み出した怪物。
世界を憎み攻撃することで知られているがその真の目的を理解している者は組織内でも少ない。

ただ破壊を振りまくだけの組織と思われがちだが、実態はより狡猾。
社会への復讐心は破壊衝動を冷徹にコントロールしている。

『ハイパワープログラム』
飛行機のエネルギーを発生させるプログラム。安定して強力なエネルギーを生み出すことが出来る。
メトロなど移動手段が格安で利用できる理由はエネルギー問題を解決しているから、その中でも飛行機を飛ばすこのプログラムは桁違いのエネルギーを生み出す。なお世界中で使われてるのはコピーであり今回ゴスペルが盗み出したのはオリジナル。大量のコピーに紛れ込ませ存在を隠す方法はこの世界ではよく使われる手法だがゴスペルの組織力の前では無力。

『究極のナビ』
歴史の闇に葬られた究極のナビ。都市伝説と化している。

『???』
ゴスペルの最終目標である究極のナビとは別にゴスペル首領が手にした新たなる力。
プロトの反乱、電脳獣の伝説、を再現できると見込まれた。
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