【完結】朝起きたら色綾まどいになってました   作:発火雨

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遅れました。いや全然遅れてないですけどね。
ちょっと完成直前でメンタルがトラブルシューティングしました。
小説書いてる時が落ち着いて安定しますね。楽しいです。


熱斗君サイド 宝石店にて

「ところで日暮さん、これから会うミリオネアさんっていったいどんな人なの?」

 

 なんかよくわからないままにまどいさんと別行動して、日暮さんの情報集めに着いていく。

 

「実業家ですごいお金持ちでマス、いつの時代もチップも情報もそんな人のところにこぞって集まると相場が決まってるでマス」

「すごい、日暮さんそんな人と知り合いなんだ」

「アッシもまどいさんのおかげで商売が軌道に乗ったからたまたまお眼鏡にかなったんでマスよ、それに最初はWWWの一員として働いてたところを熱斗君に救ってもらったことがきっかけでマス、お二人には感謝してもしきれないでマスよ」

 

 最初は敵として戦ったけど、いつの間にか身近で頼れる大人として助けてくれた日暮さん。俺の周りには頼りになる人が沢山いて恵まれてるな。

 

 それから道すがら、お互いのこれまでの話をした。日暮さん世界中を回ってるんだすげぇな、アジーナにも先週行ってたんだってさ。

 

「それでね、俺もアジーナスクエア復興のためにロックマンと一緒に何度も依頼を受けてさ、その時にガウスさんとも出会ったんだよ」

「ガウスってあのガウスコンツェルンの!?そっちのほうがすごい気がするでマス……」

 

 俺とロックマンが復興の手伝いをしてる最中にマグネットマンが声を掛けてくれて、そこで足りない支援やあった方がいいものを現地の人以外の視点から聞きたいってことで一緒に仕事をすることになった。俺よりもずっと年上で偉い人だけど全然気さくに接してくれるし、話していて楽しい人だった。

 

「俺にはいないからわからないけど爺ちゃんが生きてたらあんな感じなのかも」

『ガウスさんも熱斗君の事本当に可愛がってくれてるよね』

「熱斗君には人を引き付ける不思議な魅力があるんでマスよ……、それに誘われてアッシもまどいさんも今こうして幸せになれてるんでマス」

 

 そう言ってくれると嬉しいんだけど照れくさいぜ!でもそうだといいなって思う。俺とロックマンのおかげでみんなが笑顔になってくれてればそれが一番だもんな。しばらく歩くと大通りでも目立つ場所に宝石店が……なんかよくわかんないけど、すげぇ数字がいっぱい並んでるよ。

 

「ちょっとここで待っててほしいでマス、アッシが奥に行って話をしてくるから、宝石でも見て待っててほしいでマス……っといっても熱斗君は宝石なんて見ても面白くないでしょうが」

「たしかに、どっちかと言ったら玩具とかチップを見てるほうが面白いよ、俺別に宝石に興味ないし」

「ははっ、いつの日か熱斗君も大人になったら大切な人に贈る日が来るでマスよ」

 

 大人になったらか……やっぱり大人の女の人ってこういうのが好きなのかな。並んでる宝石は確かにきれいだし、キラキラ輝いてるけどとても俺の手に届くような値段じゃないなぁ。

 

「なぁ、ロックマン、やっぱり大人の女の人ってこんなのもらったらうれしいのかな」

『たまぁにママがオシャレで着けてるよね、パパが贈り物でくれた大事なものなんだって言ってたよね』

 

 確かにオシャレして出かける時もいつもお気に入りのネックレスをしてたよなぁ。

 

『こういう贈り物は身に着ける人の姿を想像するのがコツだってテレビで言ってたよ』

 

 想像か……、きっとまどいさんだったらなんでも似合うなんだろうな、ネットエージェントになってからのスーツ姿もかっこいいし、普段着もかわいいもんなぁ。

 

『でもさすがにママにプレゼントするには高すぎるし、メイルちゃんたちへのお土産にもちょっとね……って熱斗君聞いてる?』

「ん!?聞いてる聞いてる、俺たちには高すぎで手が出せないよな」

「あら、ずいぶんとおませなボウヤだことね、でも宝石の輝きって素敵なのよ、この不変の輝きは自分の思いを込めた贈り物にはぴったり。古来より男が女へ送る愛の証として最もポピュラーなものなんだから……」

 

 いきなり後ろから話しかけられてびっくりしたけど、振り向いた先にはきらびやかなドレスを身に纏ってメガネを掛けた美人のお姉さん。

 

「初めまして熱斗君……ワタクシの贔屓にしてるチップ商人からあなたを紹介されたの……楽しませてくれる?」

「ってことはあなたがミリオネアさん!?は、はい、よろしくお願いします」

 

 宝石店の奥のVIPルームに案内されると日暮さんとボディガードと思わしき屈強そうな男が一人。そしてその中央に座ったのはまさに大人の女性って感じの綺麗なミリオネアさん。

 

「うふふ、そんなに緊張しなくてもいいのよ……さぁ早速ネットバトルしましょうか」

「よ、よし行くぞロックマン」

「なんだか、ゾクゾク!してきたわ!!」

 

 対峙するミリオネアさんのナビはツボに入ってこちらの攻撃から身を隠すスネークマン、しかもずっとこっちと距離を取って遠距離戦を仕掛けてくる。だけど遠距離の戦いならまどいさんと何度もやってきたんだぜ!プログラムアドバンス、メガデスバーストで飛びかかってくるヘビを吹き飛ばしながらスネークマンにもダメージを与え続ける。

 

『ぎぇぇええ、こ、これならどうですかデスマッチ2!』

 

 突如床パネルがひび割れが起こったかと思うと、足場が次々と崩れ去りロックマンが移動するエリアが無くなってしまった。それどころかスネークマンに射撃するラインが合わなくなってしまった。

 

『行きますよ、必殺のカモンスネークコンボ!!!』

 

 穴から無数のヘビが飛び出してきてロックマン目がけて襲い掛かってくる。でも相手がこっちの逃げるエリアを無くして射撃で追いつめてくる戦い方は散々経験したから!

 

「ロックマン、エアシューズで動きながらもう一度射線を合わせてプログラムアドバンス、オメガキャノンだ!」

 

 インビジブル状態のロックマンをヘビはすり抜けていき、キャノンの連射がスネークマンにヒット。そのまま遠距離戦は終始こっちのペースで進み、俺達の勝ちとなった。ネットバトルが終わると同時にミリオネアさんは席から立ち上がって俺達の元へ歩み寄ってきた。

 

「フフフ……、負けたけど気持ちよかったわ……、それにここまで遠距離戦に秀でたナビも珍しい」

「えぇっと、ネットエージェントの先輩に遠距離戦の上手い人がいてそれで……」

「知ってるわ、まどいちゃんね、あの子も一度戦ったけど狡猾でゾクゾクさせてくれる遠距離戦を魅せてくれたわ、比べたらボウヤは少し若さに任せて乱暴だけど力強いテクニックで攻めてくるのね」

 

 体を少しねじりながら話しかけてくるミリオネアさんはすごく色っぽくてドキドキしてしまう。ミリオネアさんは俺の顔に唇を近づけて囁いてきた。

 

「ねぇ、本当はもっと隠してるテクがあるでしょ……、もう一戦、もう一戦でそれを見せてくれたら、あなた方ネットエージェントにそれ相応の協力をしてあげるわ……」

 

 そう言ってまた妖艶な笑みを浮かべる。やばい、俺の心臓がバクバク鳴ってる……。頑張れ俺の心臓。ここで頑張ればまどいさんに一歩近づくんだ……っ!!

 

「了解、今度は遠距離系のチップを使わないで近接戦で戦うよ」

 

 再び、スネークマンと戦うんだけど、今度はさっきとは違う動きで攻め立てる。さっきまでは遠距離戦で付き合ったけど、今度はブルースがするみたいに攻めの近距離戦を仕掛ける。飛んでくるヘビを避けながらバリアブルソードでソニックブームを飛ばす、ヘビを斬撃で薙ぎ払いながらエリアスチールで距離を詰め、プログラムアドバンスのドリームソードで切りかかる。いかにスネークマンは素早い身のこなしで攻撃をかわそうが、この広範囲を薙ぎ払う斬撃からは逃れられない。勝負あったと思ったその時、ミリオネアさんの声が響いた。

 

「お見事、なかなかいいセンスしてるじゃない……、じゃあ次はワタクシの番よ、ワタクシの切り札を見せてア・ゲ・ル」

『接近してくる敵への対策は遠距離師のたしなみ、プログラムアドバンス、カースアンガー!』

 

 ウイルスのカーズが攻撃を受けきったと思ったら物凄い速さでロックマン目がけ突っ込んできた。

 

『なまじ接近した分、この攻撃は避けられないでしょう……ってありゃ!?』

 

 シールドがロックマンにヒットした場所にはそっくりな人形。そしてスネークマンに刺さる手裏剣。

 

『ごめんね、何かあると思ってあらかじめカワリミを発動してたんだ』

「んでもってこの距離なら届く、パラディンソード!」

 

 スネークマンが隠れるツボごと一刀両断。よっしゃ!ブルースを参考にした超近接の攻めのスタイルに、敵の攻撃を誘うシャドーマンのスタイルも上手く融合できてる!特訓の成果はばっちしだぜ! ミリオネアさんは両手を広げて自分の体を抱きしめながら言った。

 

「あぁ、カ・イ・カ・ン……、こんなにワタクシを興奮させるなんて……、将来が楽しみねぇ、私がもう少し若ければ熱斗君を愛人にしてあげても良かったのに……残念」

「えぇ!?」

「ウソウソ、冗談よ、でもワタクシは本気だからいつでも連絡待ってるわよ……、熱斗君」

 

 ウィンクしながら俺の頬にキスをするミリオネアさん。やばい、ドキドキが止まらないよぉ……!

 

「フフッ、日暮さん、後程情報と今回の楽しませて頂いた謝礼をナンバーマンに渡しておきますわ」

 

 そう言いながら、自分のカバンの中から小さな箱を取り出す、中には小さな宝石があしらわれたリングが二つが入っていた。

 

「これはね、今度私の知り合いが売り出そうとしてるペアリングなのよ」

「ロックマン、ペアリングって何?」

『お揃いの指輪の事だよ、結婚指輪とか、恋人同士が身に着ける絆を形に表したものだよ』

 

 一つはロックマンみたいな青いリング、そしてもう一つはピンクのリングだ。

 

「大事な人同士の絆を表す……、離れていても思い人を身近に感じる。PETのナビアイコンのウラに納まるサイズだから普段はそこに入れておくといいわ、久々に燃え上がらせてくれたほんのお礼よ。受け取って頂戴」

「あ、ありがとうミリオネアさん!」

「本当に大事なのは気持ちなのよ、社会とか他人とかはどうでもいいの、そんなくだらないもののために私も人生を掴み損ねたわ」

 

 ミリオネアさんはここじゃないどこか遠くを見るように目線を離した、それは距離として遠くじゃなくて、思い出の遠い彼方を見ているような気がした。

 

 俺と日暮さんが外に出ると時間はそれほど経って無い筈なのに、どっと歳を取ったような気がする。なんだか太陽までさっきよりまぶしいような。帰り道、俺はミリオネアさんから貰った二つのリングを眺めていた。

 

『日暮さん、なんか熱斗君が少し大人びたような……』

「アッシもそう思うでマス、色々大人過ぎる風格を受けて影響されたんでマスな」

『どうする熱斗君、せっかくもらったリングだけど、まだ熱斗君が身に着けるには早すぎるよ』

「そうだな……とりあえず俺とロックマンの大事な絆ってことで青いのはPETに組み込んどいて、ピンクのはまた後で考えよう」

 

 大事な人との絆か、俺にとって大事な人って一体誰だろう……。

 

「あっ!まどいさんだ!!!」

『熱斗君、なんか男の人に絡まれて困ってるみたい』

「なにぃ、日暮さん、俺とロックマン先に行ってるね!」

 

「行ってらっしゃいでマス~。熱斗君も大変でマスな、どうもお節介を焼きたがる縁にも恵まれてるでマス」




『ミリオネア』
生まれつき高貴な血筋でとてつもないお金持ち。今作では名うての実業家設定。独身。
宝石が好きというよりそこに込められる人々の思いが好きでコレクションを始めた。ネットバトルも大好きでそこで気に入った人には援助を惜しまない楽しい道楽で人生を過ごしてる。

彼女の本当に欲しかったものは手に入らず、希望の未来も美しい過去もすべて色あせてしまった。今この時を生きる若者の未来に好き勝手お節介するのが楽しみの達観した人。

熱斗君を見て遠い日の何かを見てしまったのかも……。

『ペアリング』
青とピンクの二種類のリング。
すごく高い、希少な鉱石をあしらっている。PETのナビマークの部分は自分でカスタム出来るので小さなくぼみがあり、そこに入れるのに良いサイズ。(携帯の裏蓋にプリクラを張るあの感じ)
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