その代わり空いたところにまどいさんと熱斗君の物語を詰め込む構成に。
「おいおい、待ち人ってこんな小さなボーイですか!?」
「そうよ、私の大事な待ち人なのよ、文句ある?」
ダッシュで熱斗君も来てくれたし、ナンパ野郎の相手は任せよう。あれよあれよという間に二人はネットバトルしたんだけど、すぐに終わったわ、いや、本当に見せ場がない位に。だって開幕ドリームソードで一刀両断してたよ、あれ斬られたことも気づいてなかったんじゃない?
「まどいさん、大丈夫だった?」
「ううん、熱斗君なら助けてくれるってわかってたから全然平気よ、あ・り・が・と」
足を曲げて同じ目線に降り、ちょっとだけ上目遣いで見つめてみる。するとすぐに顔を真っ赤にしちゃったけど……ああもう可愛いいな! 抱きしめたい衝動に駆られるけどここは我慢しないと。さすがに公衆の場でそれはまずいわ。まさかヒロインみたいに熱斗君に助けてもらえることになるなんて貴重な経験だよね。
まぁWWWに捕まった時に助けてもらってるんだけど、あんなこともう起こらないだろうし、俺が助けられることってたぶんないもんな、本当はずっと助け続けてほしいけどね。熱斗君の方が強いんだし、出来ることなら全部任せっぱなしにしたいところだけど、そういうわけにもいかないしな。
もし俺がメイルちゃんみたいなヒロインになれてたら、影からこっそり見守ってるようなことも出来たかな?無いものねだりだけど、使えるそうなチップを随時あげて、時にはピンチに陥るけどいつも熱斗君に助けてもらって……。一応戦う描写が来るのは『4』からなんだよね。それにしてもこの歳の男の子だったら、俺が付いてないと心配しちゃうような、か弱い幼馴染に心揺さぶられて当然だしな。
「ど、どうしたのまどいさん、ずっと俺の事見て……」
「ううん、ちょっと考え事、熱斗君がまぶしすぎてメイルちゃんみたいな若い子が羨ましくなっちゃった」
「えっ、そ、それってどういう」
あれ?顔が赤いから気づかなかったけど、よく見たらほっぺに薄っすら口紅の後が……、もしかしてミリオネアさんにそこまで気に入られちゃったのか、すげぇな熱斗君、ケロちゃんといい年上キラーだ。誰からも可愛がられるのはいいことだけど、ちょっと色んな女性にアプローチされ過ぎじゃない?まぁ考えてみたら原作でも魅力的な女性が沢山ストーリー上出てくるから仕方がないのか。
「あら、ほっぺにルージュの後が……、お姉さんとのアメロッパデートなのに、他の人とキスとかしちゃうんだ。ふーん」
「あ、こ、これは違うよ、ミリオネアさんが勝手にしただけで……」
「ミリオネアさん綺麗だったでしょ、そっか、あんな人が好みなのか、ケロちゃんといい色んな人にモテるのね」
「ね、熱斗君、はぁはぁ、久々のダッシュは体に堪えるでマス……」
後ろから日暮さんが息切れしながらやってきた。確かにあの距離だと結構きついかも、俺でもかなり疲れそうだし。そうなんだよな、結局は若さを羨むことも多いんだよ、前世と年齢的には同じだけど、小学生を見てやたら輝いて見えるのも歳を重ねた影響なのかね?俺もメイルちゃんみたいな熱斗君と同い年位の女の子になってたらもしかしてヒロインフラグが立つ世界線もあったのかもと思うと色々複雑だわ。
「OK、それじゃみんな合流したことだし、一度ホテルに戻ってみんなで情報を整理しましょうか。ついでにルームサービスも頼んじゃおう、いいホテルだからきっと美味しい料理が出るはずよ」
そうして俺たちはホテルへと戻った。ちなみに部屋割りだが、俺と熱斗君はもちろん別々の部屋、さすがに同室だと熱斗君が気を使っちゃうからね。一応俺女だし、着替えとか見たり見られたりいちいち気にするのめんどくさいだろうし、少年のためにも必要なこと。隣の部屋だから何かあればすぐに連絡も取れるし防犯的には問題なし。
そして俺達は食事を終え、今日あった出来事を報告しあう。
「ってことで現状手に入った情報は科学省に送って分析してもらわないとだめね」
「でマスな、不自然にバグの欠片の取引が増えてることや、ウラやオモテを上手いこと経由して取引されてるチップ。これは本格的にデータを調べ直さないといけないでマス」
「ってことは、取りあえずすぐにわかることは無かったってことだよね」
「まぁ、そういうことね、今日はもうこれでお開きね」
異国の地だし、明日の世界会議のこともあるから今日はもう仕事終了。日暮さんも自分の泊まってるホテルに戻ったし、再び熱斗君と二人っきり。
「それじゃ、仕事も終わったけど熱斗君ミリオネアさんとのネットバトルで疲れてない?実はもう一人戦ってほしい人がいるんだけど」
「全然大丈夫だよ、それにしてもミリオネアさん強かったよ、まどいさんといつも戦ってなかったら負けてたかも」
やっぱり強いんだよねぇ、俺も色々戦ってきたしそれなりに強いと思うんだけど、正直熱斗君には勝てないもんな。もうそろそろトレーニングのお役もごめんかもしれない、正直ついていくのももう無理かもしれない、勝てないとわかっていて戦い続けるのって精神的に辛いもん。だからこそ実力的に拮抗してる炎山君や、負けても負けても喰らい付いて強くなっていくデカオ君みたいな人たちがライバルとして相応しいんだろう。
俺も先を導くお姉さんキャラやライバルキャラもそろそろ限界かな。後できそうなのは情報を集めて渡してあげることと、せめて戦闘の経験を積ませて上げれる人を仲介する程度が良い所かな。
「実は裏通りに凄腕のオフィシャルの人がいてコンタクトが取れたの、明日の世界会議にも呼ばれてる凄腕よ。熱斗君のいい経験になるからぜひ戦ってほしいのよ」
その点今回の旅で出会えるラウルさんは熱斗君のいい経験になる。良識のある大人だし、今熱斗君の最大の強みであるアクアカスタムの弱点を突く苦手な相手だ。
「いつも俺のために対戦相手を探してくれてありがとう、でも俺、まどいさんとのネットバトルが楽しいからずっとまどいさんが相手でもいいのに」
「もう、本気の熱斗君には勝てなくなってきてるんだもの私、自分の腕は自分が一番わかるわ……」
周りの大人たちも熱斗君をサポートする体制が整ってきたから、本格的に出番も無くなるかも『2』を最後まで走り抜けたら物語的にはお役御免かな。
それじゃとりあえずラウルさんと戦ってもらって今日のところは終わりにしちゃおう。明日は大事な世界会議もあるし。
ちなみにラウルさんとの戦いの結果も熱斗君の勝ち。事前に対策を積んできた俺と違って初見で苦手な属性のナビを倒せるってやっぱりすごいわ。その後ホテルに戻ったんだけど、なんか国際電話でケロちゃんと喋ってたよ。もしかしなくても熱斗君の本命ってケロちゃん!?惜しいなぁ、俺もあと少し若いキャラだったらヒロインとして扱われそうなのに……。
次の日二人で向かうはアメロッパ城。世界会議の会場なのだけど呼ばれてないから秘密の通路から会場までは行けません。でもちらほらこちらの顔色を窺ってくる人たちを見かけるし、一般公開してるお城なんか秘密の会議の場所に指定してるせいか、一般の人もそこらかしこにいるよ。ラウルさんなんてまた会っちゃって軽く会釈したし、ニホンから来た炎山君とも秘密の通路の入り口付近でばっちりエンカウント。もう少し機密保持をしようよオフィシャル……。
なんか熱斗君と炎山君張り合ってんな、そのうち熱斗君と互角に戦えるのって味方だと炎山君しかいなくなっちゃうよね。次点でデカオ君。やっぱり二人を巡り合わせてよかった。色々ガバも多かったけど俺も何とかここまでやってこれたもんだ。
「あら、まどいさん、呼ばれてないのに世界会議の会場入り口に居たらオフィシャルに目を付けられますわよ」
「いやね、私たちデート中のただの観光客よ、そもそも一般人が入り込める観光名所を本部に偽装するほうが悪いわよ」
そういうプライドさんもお元気そうで、実はクリームランドとは科学省を通して俺がネットエージェントになった時からニホンと交流をしていて、技術交流を盛んにしている。おかげでクリームランドは世界でもセキュリティに特化した小国としてこの世界で名をはせている。
「そういえば例のセキュリティウイルスのその後はどう?」
「おかげさまで国全域に配備が終わりましたし、ゴスペルと思わしきナビやウイルスによるテロの被害も我がクリームランドは無縁です」
『今回の世界会議もゴスペル対策のセキュリティ特別顧問として姫は好待遇でオフィシャルに迎え入れられています。まどい殿のおかげでクリームランドもかつてのように各国からの評価も上がってきております。なんとお礼を申せばいいか』
『相変わらずナイトマンは固いな~、そっちでセキュリティの実験データ集めとかほとんどしてもらってるからクリームランドの手柄なのに』
それなりに大きな国のニホンだと科学省だけの判断じゃ動けないことも多いけど、小国のクリームランドなら王女であるプライドの一声で動かせるからね。それはもう国を挙げて行動を起こせるのが強い。それでいてプライドさんも先見の明があってすぐにセキュリティウイルスの有用性に気付いてくれたからね。
「それじゃ後でこの会議でわかったことがあったらご報告しますわ……それでそっちのニホンのオフィシャルのエースと張り合ってるのが……」
「そ、前から話してたネットエージェントのエース光熱斗君。後でプライドにも紹介するからナイトマンでバトルしてあげてね」
それじゃプライドに直接手渡しで科学省が手に入れたゴスペルの情報なんかを渡して、後は会議が終わるまで本当にすることないや。一応何かトラブルが有ったらプライドが教えてくれるだろうし、昨日のうちにラウルさんと顔見せも済ませたから何かあっても迅速に協力できるだろう。
それじゃ熱斗君、そんなところでオフィシャルのお邪魔しないで、一緒に観光しなおそう!おいしそうなソフトクリームの屋台発見したからさ、他にもおいしそうなグルメが目白押しだったよ。
「熱斗君、そろそろ行くわよ、早いとこ行かないと今日中に観光名所回れないわよ~」
「ってわけで炎山、俺これからまどいさんとデートだから、オフィシャルのお仕事頑張れよ!」
「あっ、待て熱斗!」
ライバルというよりも仲のいい友達だなこりゃ、原作でもこんなに仲良かったっけ?
『アメロッパデート』
アメロッパ城周辺の観光地を巡りながら、屋台とかのグルメを満喫。一応いつでもお城に駆けつけれる位置に待機。万が一中に入ってもワイヤレスプラグもあるしお揃いのスーツも耐熱性だし準備は万端。
『プリンセスプライド』
クリームランドはニホンの科学省との技術交流を得て再び表舞台に返り咲きつつある。そこに小国の強みであるフットワークの軽さで次々に最先端技術を取り入れて、世界トップクラスのセキュリティ国へと。今回の会議もそれなりの待遇で御呼ばれした。
ちなみにニホンではセキュリティウイルスを一部エリアで試験的に運用してる段階だが、クリームランドはもう配備がほぼ終わり、データも国をあげて運用や解析が行われてる。
『ウイルス製作者』
防衛ウイルス、セキュリティを作ったナビ。科学省からは新しく立ち上げるウイルス研究室の室長に、クリームランドからは国家専属のセキュリティ担当にスカウトされたが組織に属すのが嫌いだから断っている。
実は今回の件でかなり儲けており、金目当てのチンピラやゴスペルのナビに狙われてる。でも本人はウラの世界が気に入っており、ウラの奥深くに潜り込んでいる。
今研究しているのはさらなる強力なセキュリティウイルス。強力なウイルスが封じ込められた石碑の研究も統治者に認められていて、研究が捗っている。
『炎山君』
仕事で一人アメロッパに来たら、ライバル認定してた奴が海外デートを楽しんでいた。
『熱斗君』
色々自覚してるし、大人の階段を上ってる。原作でもアメロッパ編は成長する部分が多かった気で果たして今作では……。