ハーレムエンドにはなりません。『3』で完結予定です。
それといつも誤字報告と感想ありがとございます。
嬉しいことに当作品を見てアドコレを購入したとの嬉しいお声も頂き、他所のイラスト投稿サイト様でも当作品を見て色綾まどいのイラストを描きたくなったとのお声があり嬉しいです。
今回と次回で二人の関係が発展します。原作からは考えられない異色のカップリングですが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
そのまま熱斗君と二人でのんびりアメロッパ城の周りで観光デートを楽しんだわけだけど、結局何にも起こらず。プライドがゴスペルに関与してないせいもあってゴスペルもここまで手が出せなかったのか、それとも他の理由があるのか。
屋台でおいしそうなものが沢山あって手当たり次第に食べてるけど、熱斗君がいるから一つ買ってはシェアして食べてる。珍しいもの好きだから全部食べたいけどお腹がいっぱいになっちゃうし一つ買ってみたりで分けたらその分色んな物が楽しめてお得だよね。
「熱斗君、世界会議も無事に終わったみたいだし、ホテルでプライドさんを待ってようか、たぶん重要な情報が聞けるわよ」
『熱斗君、いつまでも食べてないで、そろそろ仕事の時間だよ』
ホテルで二人時間を潰してるとプライドさんが部屋に入ってくる。なんで俺がさん付けかというと、向こうが良いですよって言ってくれたからというなんともフランクな理由だったりする。ちなみにネットバトルは負け越してるよ。ガードを決め込んだナイトマンはこっちの攻撃を物ともせずに接近戦を強引に仕掛けてきてそのまま負け越すパターンが多いのだ。
「……というわけでゴスペルの真の目的は究極のナビの開発、そのためにどうやらバグの欠片を利用しようとしているようなんです」
「バグの欠片ね、そんなもので究極のナビが作れるなんて思わないけど」
「オフィシャルもそのように考えています、しかしバグを利用したナビの開発なんて危険すぎます。もし電脳獣のようなものが生み出されたとしたら……」
「ねぇ、電脳獣って何?」
そりゃ自分が生まれる前の話だし、知らないのも無理ないかも知れないけどネットエージェントとして教えておいた方がいいよね。
「そもそもバグの欠片って言うのはね……」
システムやプログラムの不具合によって生じた「バグ」が一ヵ所に寄り集まって出来た、小さな塊。それが大量に集まると獣のような形を構成し出す。初期の頃のインターネットでは全体的にバグが多く発生してしまい、それらが形となり電脳獣グレイガを生み出す原因となってしまった。
「ふーん、でもさ、それならゴスペルの狙いって究極のナビを作ることじゃなくて、電脳獣を作りだすことなんじゃないの?」
『確かに、あれだけの組織なんだからオフィシャルがわかってることを理解して無い筈ないよ』
確かに不思議である、なんでフォルテのコピーを創り出すのにわざわざバグの欠片なんて使おうとしたんだろう。でもあながち間違いとも言えない。『3』以降はロックマンにバグの力を組み込んで戦う方法が確立されるし、確か公式の大会なんかはバグ状態のロックマンのオンパレードだったって話だし。
「とりあえずニホンに戻ったら光さんにもこの情報を見てもらいましょう。もしかしたらウラのウイルス製作者とかバグの欠片の専門家ならまた違った意見が出るかもしれないし」
「あのセキュリティウイルスを作った方ですね。ぜひとも我が国の技術顧問として迎え入れたかったのですが、振られてしまいましたわ」
「無理よ、組織に属するのが嫌いな偏屈ものなんだから、まぁそんなんだからウラでのびのびしてるほうが性に合ってるんでしょう」
科学省の誘いもクリームランドからの誘いも断るとか中々すごいよな。今じゃシークレットエリアの奥に居場所を移してコソコソ新作を作ってるんだってさ。ゴスペルや他の組織にも狙われないし強いウイルスのサンプルも多いから本人的には良いらしい。会いに行くのがむっちゃ大変になったんだけどな!
「もっとも一度の失敗で諦めるなんてことはしません。機会があればアタックし続けますね」
「ふふっ、本当に自分の国が好きなのね」
「もちろんです、祖国を愛する気持ちさえあれば私は何だってすることが出来ますよ」
「そうだよね、好きな気持ちさえあればなんだって出来るし、何度だってチャレンジすればいいんだね!」
熱斗君の言葉に、プライドさんは一瞬驚いた表情を見せるとすぐに笑顔になって答える。
「そうです、私も何度諦めかけたことかわかりません、でも今はあれだけ悩み続けた日々が誇らしい思い出に変わりました。あなたも悩むことがあればどんなに悩んでもいい、その代わり悩むことを放棄してはいけませんよ」
なんか熱斗君とプライドさんでいい感じになってるけど、取りあえず情報共有も終わったし、ネットバトルだね。熱斗君に俺も負け越してる相手だから強敵だよって伝えたらやる気満々だった。熱斗君とプライドさんの戦いはなかなか見ごたえがあったよ。ガードを固めつつ接近戦に持ち込もうとするナイトマンを、ロックマンがプログラムアドバンスで牽制しつつ、隙を見ては強力な一撃を叩き込む。ガードしても衝撃は伝わるのか、ナイトマンは動きが鈍くなるのでそこを攻めていくという戦いだった。最後はロックマンがナイトマンの懐に飛び込んでパラディンソードで大ダメージを与えたところで勝負が決まった。
「これはお強い……ニホンのネットエージェントのエースに相応しい実力ですね、ナイトマン」
『姫様の仰る通り、それがし防御には自信がありましたが、まさかこれほどとは』
「今回は私の負けでしたが、次は負けませんわ」
その後三人と三ナビで軽くネットバトル談義をしてるうちに日が傾いてきた。明日は帰国だし、今日のところはホテルでゆっくり過ごそうかな。
「それじゃ私はこの辺でお暇しますわ、まどいさん、熱斗君。何かあればクリームランドは貴方たちの味方になりますから、覚えておいてくださいね」
「こちらこそよろしくね、何かあればすぐに駆けつけるわ。熱斗君が!」
「ありゃ、そこはまどいさんも一緒に来てよ!そうだ俺プライドさんを送ってくるね」
そういうとエレベータに一緒に乗り込んでいく二人。なんか最近ちょっと熱斗君との間に距離があるような気がする……。
あれかな、からかいすぎたからかな、もしくは成長するためにはもう俺の相手だと満足できなくなってきて、新しい特訓相手の方が優先度高いとか、悲しいけどしょうがないんだよね、俺が熱斗君の相手をすることが多いんだけど、負け越してきたときから撃破タイムがどんどん早くなってきてる。こっちも新しい戦術を組み直してみたり、チップを手に入れて対抗してるつもりなんだけど、もう勝てる気が全然しないのだ。
「もしかして……潮時なのかな、熱斗君の相棒ポジションも」
原作にない俺の動きだけど、何とかここまで熱斗君をサポートするお姉さんとして頑張ってきたつもりだし、二人しかいないネットエージェントで相棒として頑張ってきたつもりだけど、もうネットエージェントといえばエース光熱斗の名が挙がるくらい有名になってしまった。きっとこれからも熱斗君は成長するだろうし、もしかしたらサポートが出来るのだってそろそろ終わりが近いのかもしれない。熱斗君の成長は喜ばしいことだし、俺が世界の危機なんか巻き込まれることは無くなるのかもしれない。でも、寂しいものはやっぱり寂しいなぁ。
部屋に一人取り残されてるけど、熱斗君は帰ってこない。もしかしたらプライドさんとネットバトルの続きをしてるのかも知れないし、ラウルさんのところに寄ってアクアカスタムでの弱点を突いてくる敵の対処法の特訓をしてるのかもしれない。
「まぁ、いいや。今日は早めに寝ようっと……」
『ねぇねぇ、まどいは熱斗のことが好きなの?』
「どうしてそう思うの?」
ベッドに横になっていると、カラードマンが突然そんなことを言い出した。確かに熱斗君と出会ってからは助けられっぱなしだし、なんだかんだで俺がピンチの時は助けに来てもらった、ネットエージェントになってからは熱斗君と一緒にいる時間は長い。でもそれは俺が熱斗君のサポートをするって決めたからだし、熱斗君が困ってるときに力になりたいって思ったからだし、それに一番大事なことは熱斗君が俺に好意を持ってるってわけじゃないと思う。
『うーん、なんとなく?熱斗もまどいと一緒のときは楽しそうに見えるからさ』
「そうかしら、でも熱斗君の周りにはもっと魅力的でいい子がいるわよ」
『まどいよりも若い?』
「このっ、人が気にしてること平気で言う。私もね、あんな輝かしい才能の塊が近くに居たら自分の限界とかいろいろ見えてきてセンチになるわよ」
もし俺が熱斗君と同じ歳で互いに補える相棒だったら、もっと一念発起して強くなろうとするのだろうか。デカオ君みたいに負けても負けても喰らい付いていこうとするだろうか。実は俺は諦めが見えてきてしまってる。正直この世界で強いほうの部類には入るだろうしカラードマンのことも信頼してる。でもどう頑張ったって熱斗君や炎山君に勝てる気がしないし、すでに見えて来た明確な差を埋めることが出来ない。
いや、違うな、差を埋める努力が出来なくなってきてる。もう自分では無理なんだ。だから熱斗君が成長していく姿を見るたびに焦りを感じてしまう。俺も歳なんだなっていやでも実感してしまうのさ。これは俺自身の問題なんだろう、色綾まどいの体になってその才能も受け継いでいる。お絵かきが出来ることもそうだが、ネットバトルだってWWWの幹部になれるくらいだ。この体に才能はある。ただ、俺自身がそれを生かすことが出来ていない。
だから熱斗君の役に立つためにも、俺自身が強くならないといけない。熱斗君の足を引っ張らないように、俺が熱斗君のパートナーである意味を示せるほどに強く。そう思えずに誰か違う人が熱斗君の隣に立つであろうと俺の心が諦めてしまってる。サンダーマンもナイトマンも俺だって戦えた、けど熱斗君はそれ以上に強く輝きを見せつけた。
「本当はね、熱斗君が大好きで隣に立ちたかったんだと思う、でもね、私じゃ無理みたい」
子供の頃大好きだったロックマンエグゼ、小さいころは俺もあの世界に飛び込んで一緒に世界を救ったり熱斗君たちと冒険したいと夢見たものだ、でもいざ大人になって、この世界でも大人として彼らと関わっていくにつれて、俺では彼らの背中を追うことしかできないんだと思い知らされてしまった。
熱斗君たちは俺よりずっと先を行っていて、俺じゃ追いつけない。だからせめて熱斗君が困った時に支えられる大人になろうと決めていた。でもそれももう終わりかもしれない。支えてくれる大人がこんなにも増えたんだから。
「熱斗君はみんなのヒーローだからね……なんか考えるほどへこんできちゃった」
所詮色綾まどいは『1』でしか出番がなくて、その後のシリーズに出れなかったキャラだもんな……。『2』『3』と続くたびに出来ることも無くなって必要とされなくなっていくのかもしれない……。
一人うじうじしてホテルのベットの上で転がりまわっていると、部屋のドアが開いて熱斗君が入ってきた。
「まどいさん、ごめんね遅くなっちゃって、これ買ってきたんだ!」
両手に持つ赤いチューリップの花束と紙袋を俺に向かって笑顔で渡してきた。
「いつもお世話になってるまどいさんに俺からの気持ちだよ!」
『赤いチューリップ』
『6』で受けられる依頼の一つ、『あのころをもういちど』のキーアイテム。
詳しく書くのも野暮なので割愛。
依頼は本編に関わらないものがほとんどだが結構面白いショートストーリーが展開されてて好き。