「ねぇ、日暮さん。さっきのまどいさんって何者なの?俺のことも知ってたみたいなんだけど」
「それがアッシもさっき初めて会ったお客さんなんで、どこの誰かは全然わからないんでマスよ。でも、あの知識とバトルの腕前は……、もしかするとオフィシャルネットバトラーの人なのかもしれないでマス」
「オフィシャルネットバトラー?」
「国が認めたネットバトラーでマスよ」
国が認めたネットバトラー……。道理で強いわけだ。俺もロックマンのコンビネーションには自信があるし、今までWWWのナビたちも倒してきたけど、世の中上には上がたくさんいるんだなぁ。
「熱斗君が間一髪で避けたパラディンソード。あれは存在すら知らない人も多いレアチップなんでマス。それこそWWWに居たアッシやオフィシャルに所属する凄腕のネットバトラーくらいじゃないとあれの価値はわからないでマス」
「でもなんで俺とWWWの関係を知ってるんだろう」
『もしかしてオフィシャルでも僕たちの情報が出回ってるんじゃないかな?何度も戦って計画を阻止してるし』
「そうかもな、ってことは俺たちと同じWWWに立ち向かう仲間なんだ」
「もしかしたら今日ここに来たのも足を洗ったアッシがちゃんと更生してるか確かめに来たのかも……。どうやらお眼鏡にかなったみたいでほっとしたでマス。それにお祝い金を頂いたみたいで、ヒグレヤの幸先も好調でマス」
にっこり嬉しそうな日暮さん。この人も元WWWだけど、俺たちと戦った後に改心して新しい人生を歩み始めたんだ。
「よかったね日暮さん、ちゃんと見てくれてる人はいるんだね」
「それは熱斗君も同じでマスよ、さっきまどいさんから貰ったチップ。値段にしたらこんなになるんでマスよ」
日暮さんが電卓でこっそり値段を教えてくれる。うわっ!ゼロの数多すぎだよ!!
「うげっ、そんなにするの、ど、どうしようロックマンこんなのタダでもらうわけにはいかないよ!」
『でも、WWWとの戦いに巻き込まれるからって言ってたよ、もしかして今後なにが起こるか知ってるんじゃない?』
「可能性はあるでマス、WWWの活動も活発化してるし、それを何度も阻止した熱斗君とロックマンは目を付けられててもおかしくないでマス。もしかしたらAランクオペレーターが出てくることがあるかも」
「Aランクオペレーターって?」
「WWWの中でも優秀なオペレーターたちで重要な作戦を任せられる幹部たちでマスよ」
Aランクオペレーター……、もし出てきたとしても俺は負けたくない。どんな相手だろうと絶対に勝ってみせるぞ!
『熱斗君、僕たちもWWWなんかに負けないくらい強くなって、まどいさんに恩を返そうね!』
「そうだな、そんでもって次はまどいさんにもリベンジだ!」
「アッシも陰ながらサポートするでマスよ、今回の資金でさらにレアなチップを仕入れる予定なので、是非ヒグレヤをごひいきにでマス」
その日の夜、俺はベッドの上で寝転がりながら昼間の出来事を思い出していた。ずっと連戦連勝してきたけど、より上の世界を教えてくれて、しかもチップまでくれたまどいさんの優しさに感謝しないとなぁ……。
「これからもあなたはWWWとの戦いに巻き込まれるけど、決して諦めないで、あなたとロックマンならきっとどんな困難も乗り越えられるわ」
どうしてあんなに俺たちのことを知ってたんだろう?オフィシャルネットバトラーだから情報とか集めやすいはずだけど、なんで俺たち二人にそんなに期待してくれてるんだろう、やっぱり謎が多い人だ。また会えるかな?
『熱斗君まどいさんのこと考えてるの?』
突然ロックマンに話しかけられてびっくりしてしまった。そりゃあ気になって当然じゃないか、だって俺とロックマンのことを応援してくれるんだもん。俺にとって初めてのWWWと戦う味方だし、すこしでも仲良くなりたいと思う。
「ああ、あの人は一体何者なのかなぁ……って思って」
『熱斗君が女性のことを知りたがるなんて、みんな知ったらびっくりするだろうね、まどいさん美人だったし』
「な、なんだよロックマン、まどいさんのことはそういうことじゃないから!」
『冗談だよ、冗談。ほら明日も早いんだから早く寝よう』
まったく何言ってんだよロックマン、確かに美人で手を握られたときはドキッとしたけどさ……。
そして次の日の朝。
「ママ、おはよう、今日の朝ごはんは何?」
「それが朝から水道が止まっちゃって朝ごはんが作れないのよ、幸い飲み物は少し冷蔵庫に残ってるけど、困ったわ」
「えぇ、朝ごはん抜き!?」
『熱斗君、ママを困らせないの。早く行かないと学校遅刻しちゃうよ、朝ごはん食べてる時間なんて元から無いんじゃないの?』
「鬼!悪魔!ロックマン!」
そのまま家を出ると迎えに来たメイルと今朝水が出なかった話をする。
「メイルん家も水が出なかったのか」
「そうなの、それで朝から顔を洗えなかったから気持ち悪くて、学校に行けば洗えるかな?」
『さっき熱斗君が準備してるうちにママに聞いたんだけど、水道局からの臨時のお知らせで今街中の水道が使えなくなってるんだってさ』
「いままでこんなことなかったのに、もしかしてまどいさんが言ってたWWWとの戦いに関係あるのかな?」
「熱斗、まどいさんって誰?」
俺とロックマンがWWWと水不足の関係性を考えてるとメイルが質問してきた。んん、なんて答えたらいいのかな。
「昨日ヒグレヤで会った女の人で、バトルしたんだけど今まであった人で一番強かった人!引き分けで終わったから次会った時はリベンジする目標みたいな人かな」
「熱斗と引き分けるなんてその人相当強いのね、もしかして可愛い人?」
『可愛いって言うよりも綺麗系だよね、さすがの熱斗君も照れてたでしょ』
「えぇ、普段あれだけ鈍感なくせにいっちょまえに照れてたの!?」
「ち、違うよ、握手されてビックリしただけだよ!」
ロックマンにからかわれながらメイルと学校に向かうと、学校は臨時休校に。しかも街中から飲み物が姿を消してしまいなんだか事件の匂いがプンプンする。とりあえずお知らせを発行した水道局に行くと、受付に俺と同じくらいの歳の男が立っていた。
「オフィシャルの方ですね、どうぞ、そちらのエレベータで水道施設のあるフロアまで向かえます」
俺とひと悶着あった後そいつはすまし顔でエレベーターに乗り込んでいってしまった。
「なんだよあいつ、自分だって同い年くらいのガキじゃんか、感じ悪いなぁ」
『あの子もオフィシャルなんだ、いよいよ事件の匂いがしてきたね』
エレベーターにはIDカードがないと乗れなかったけど、そこはちょっとパパのカードをお借りして……。
『後でちゃんと返さないとだめだからね』
わかってるよ。緊急事態に付きちょっと借りてるだけだから。
水道局責任者の氷川清次さんによると給水ポンプのプログラムがバグを起こしてるだけで、特にWWWは関係してないらしい。
『でも変だよ熱斗君、それだけならオフィシャルが出てくるかな?それに飲み物も街から消えたってのも気になるし』
「簡単に解決する事件じゃなさそうだな」
『ねぇ、このまま科学省に隠れてみんながいなくなってからネットワークを調べて見ない?』
「その話乗った!パパの研究室なら誰も来ないはずだから、そこで時間をつぶそう」
俺たちはパパの研究室に籠り時間を潰した。それにしても……。
「暇だし、喉も乾くなぁ、こんなことなら家から水筒にお茶入れて持ってきたらよかった」
『まさか、こんな時間まで家に帰らないなんて思わなかったもんね』
「時間もまだあるし……。そうだ、パパの作ってくれた練習用ウイルスバスタープログラムで練習でもするか。まどいさんにもらったチップも組み込んだフォルダの調整もしたいし」
『そうだね、今度会った時に強くなった僕らを見てもらおうよ』
俺は早速、ロックマンと一緒に作った新しいチップを組み込んだフォルダを開いた。属性系のチップを多めにしてどんな敵が出てきても対処できるようにして、近距離系のチップも一新した。
「どうだロックマン、俺的にはかなりいい感じに仕上がってると思うんだけど」
『こっちも好調だよ。全体的なバランスもいいし、これなら今度カラードマンと会う時に驚かせそうだよ』
「そうだな、次会う時は成長した俺たちを見せて驚かせてやろうぜ。そのためにもWWWなんかに負けられないぜ」
『その意気だよ熱斗君』
そして数時間たった頃。
『ピーン、ポーン、パーン、ポーン、本日の営業は終了しました』
「よし、いくぞロックマン!」
エレベーターに乗り込んで水道施設があるフロアに降りるとすぐに見覚えのある後ろ姿が見えた。
「あれ?まどいさんじゃん、こんなところで何してるの?」
そこには昨日会ったまどいさんの姿が……。
『受付にいたオフィシャル』
カリメロみたいな頭の熱斗君と同い年くらいの少年。いったい何集院なんだろうか……。
『氷川清次』
水道局の責任者で今回の事件の黒幕。息子を人質に取られ仕方がなく事件を起こしてる。アニメ版では息子がレギュラーキャラに昇格したので影薄め。
『熱斗君』
早速まどいとの戦闘経験ともらったチップで強化フラグ。主人公はすくすくと成長していきます。思えば同世代のライバルや負けられない戦いは多かったけど、年上の超えるべき目標みたいなのは原作ではなかったな。
『ロックマン』
しっかり者に見えてユーモアたっぷり、美人なまどいさんを出しに熱斗君をからかう。
しっかり者に見えて案外そうでもない、パパのID借りたり、勝手に水道局のネットワークに侵入するの犯罪ですよ。
『メイルちゃん』
ご存じメインヒロイン、鈍感な熱斗君相手に結構頑張ってるけど中々素直になれない。突然鈍感幼馴染の会話に出て来たまどいさんに危機感を持ってるとか持ってないとか。
『色綾まどい』
転生した本人も忘れてるけど、実はカラードマンともどもいち早くアイスマンシナリオで登場済み、お互い名前も名乗らずほんのちょい役だったけど、今作ではヒグレヤでがっつりエンカウントしてるので、向こうから話しかけられる。脇が甘い。