崩壊する電脳空間、その中枢で。
《警告:システムに深刻なエラーが発生しています》
《警告:システムに深刻なエラーが発生しています》
《警告:システムに深刻なエラーが……》
「なんだ、この警告音。いったい今度は何をしたんだ!」
『違う、これは僕じゃない……、なんだと!?強引に外部から何者かが侵入を試みている。そんなバカなはずが……。WWWエリアからだと!?』
ロックマンとドリームウイルスの激戦の最中、突如として鳴り響く電子音声。それは、この電脳世界を構築しているはずのサーバープログラムによる悲鳴にも似た絶叫だった。同時に、それまでただの無機質あったはずの電脳内に突如として現れた黒い渦、まるで闇が晴れていくかのように徐々にその姿を露わにする。
『ふん、俺のコピーをばら撒く愚かな人間を辿れば、思わぬ強者に巡り合えた……』
現れたのは究極のナビ。それはコピーを目にしたロックマンや、コピーを創り出したシュンの想像を超える波動を放っていた。そして、その存在を前にして思わず息を飲む二人、特にロックマンはその圧倒的な力を感じて身動き一つできないほどだ。一方でドリームウイルスとシンクロしたシュンも目の前に現れた存在の正体を知って驚愕する。
『私が創り出したゴスペルはどうした、WWWエリアを経由してきたということは奴と出会ってるはず』
『キサマが俺のまがい物を無断でばら撒いたガキか……、あの電脳獣モドキなら、俺の手の中にある!』
フォルテが腕を構えると、その先端が獣の頭部に変化していく。そして咆哮を上げるかのように口を開くと、そこには禍々しいエネルギーが集まりつつあった。
『消えろ人間』
放たれる破壊光線。それの閃光は一瞬にしてドリームウイルスを飲み込み、ロックマンをあれほど絶望させたオーラをすさまじい勢いで削り取っていく。
グオォオオッ!!!
オーラを剥がされ、その巨体がむき出しになるドリームウイルス。だが、それでもまだ完全に消滅させられてはいない。巨大なドリームソードに腕を変化させて応戦しようとするが、その前に空中に飛び上がったフォルテの攻撃が再び襲う。
『アースブレイカー!』
大地すら切り裂かんばかりの破壊の衝動。ドリームソードと拮抗していたドリームウイルスだったが、それも長くは続かない。やがて剣ごとドリームウイルスを包み込むように広がった爆発の前についに膝をつく。所々亀裂が入り満身創痍のドリームウイルス。それを見て満足げな笑みを浮かべると、フォルテは両手を前に突き出しエネルギーをチャージする。
『存在価値のない人間よ、我が裁きを受けるがいい。エクスプロージョン!!!』
腕から無数の光弾を放つ、降り注ぐ攻撃の数々、それがドリームウイルスに降り注いだ瞬間大爆発を引き起こし、後に残ったのはボロボロになり地面にひれ伏すドリームウイルスの姿だった。
『こ、これが究極のナビの力……』
『ふん、しぶとさだけは認めてやろう。次で終わりだ』
ふたたびフォルテが腕にエネルギーを集めた瞬間、ロックマンのチャージショットがその攻撃を遮った。強烈な一撃を受け吹き飛ばされながらも体勢を整えるフォルテ。一方、ロックマンも追撃の手を緩めない。ロックバスターを撃ちながら接近するや否や、パラディンソードを振りかざしながら斬りかかる。
しかし、その斬撃が届くことはなかった。突如として現れた漆黒のオーラが一瞬攻撃を弾いてしまう。何が起こったのか分からず呆然と立ち尽くすロックマン。すると次の瞬間、突然視界からフォルテが消えた、咄嗟にバリアのチップデータで上空から振り下ろされる巨大な爪を防ぐと、オーラが消えたフォルテ目がけ再びチャージショットを繰り出す。
「中々の強者の波動を感じる、そこのウイルスと融合した愚か者と違い、少しは骨がありそうだ」
「ロックマン……、こいつが本物の究極のナビ、フォルテ」
『うん、今まであったどの敵よりも……強い!』
フルシンクロした熱斗とロックマンですら驚くほどの実力の持ち主。そんな相手にロックマンは一歩も引かない。
「おい、シュン!生きてるか!」
『この期に及んで、僕の心配とは……、お人よしにもほとほと飽きれるぞ』
「そんなことより、この電脳空間自体が崩壊しかかってる。まどいさんは無事なんだろうな」
『フォルテの乱入で現実と混ざり合ったこの電脳空間が不安定になってきてる。このままだとドリームウイルスの制御を離れて僕たち全員が電脳世界の藻屑になるぞ。安全圏内に避難させてるまどいもな……』
突如乱入したフォルテによって電脳世界の崩壊が進みつつある。シュンの言葉を聞いて焦燥感を募らせる熱斗。だが、目の前には究極のナビであるフォルテが立ちふさがる。このままでは別の電脳空間に隔離しているまどいの命もない。
『どうした、二体同時にかかってきてもいいんだぞ。その方が楽しめそうだ』
最初は自分を模した粗悪品を創り出した、ゴスペルというふざけた組織を壊滅するために動いていたフォルテ。しかし思わぬ強者の波動を感じ、自らが究極のナビであり続け、いつかウラの王を吸収するための踏み台になると判断し、戦いを求める。
「おい、今何を優先するべきかわかってるよな」
『無論だ、僕か君が折れるのは納得した当事者の戦いだから文句はないが、ここにいないまどいを巻き込むわけにはいかない』
ロックマンはバスターをチャージし、フォルテに向かって狙いを付ける。ロックマンがフォルテと戦闘してる最中に、負傷したデータをリカバリーし、オーラを纏いながら再び立ち上がるドリームウイルス。
『ほう、まだ動けたか……。ならば、俺を楽しませてみろ!』
フォルテの叫びは電脳空間全体に響き渡る。そしてロックマン、ドリームウイルス、フォルテの死闘が始まる。電脳世界で繰り広げられる激闘は激しさを増すばかり。フォルテの攻撃は強力でその度に電脳世界を揺るがすような衝撃が起こる。一方でドリームウイルスの攻撃もまた凄まじさを増していく。巨大な閃光とレーザーがぶつかり合うたびに電脳世界にダメージを与えていく。
『くっ!』
ドリームウイルスの攻撃がフォルテの肩口をかすめ、傷口から破損したデータが黒い血のようなものが流れ出る。一方のドリームウイルスもフォルテの攻撃を受け、その身をボロボロにしながらもドリームソードを振るい続ける。両者譲らない攻防が続く。そんな中、フォルテの放った攻撃がドリームウイルスの右腕を切り裂いた。
グオオオッ!!
苦悶の表情を浮かべながらも反撃に出るドリームウイルス。だが、その攻撃もフォルテに届く前にオーラで防がれてしまう。
「お前の相手はこの俺たちだ!」
ロックマンと光熱斗がシンクロで得た二人の絆が生む奇跡の力、サイトスタイルと名付けられるべきその力は、ドリームウイルスの攻撃で消えたオーラを見逃さない。ロックマンのバスターから放たれたチャージショットはフォルテに放たれる。ドリームウイルスの攻撃をオーラで防御していたフォルテは決して油断などしていなかった。その証拠に片腕にエネルギーをチャージした拳でその攻撃を相殺する。
『ふん、キサマらのあがきはその程度か』
幾つもの攻撃が三者三様に降り注ぐ、ドリームウイルスは持ち前のオーラとタフネスで耐え、ロックマンはその機動力と反射神経で致命傷をすべて避け切って来た。それでも目の前のフォルテには決定打を与えることはできず、こちらのリソースが削れる一方であった。それでもフォルテに油断など無い、ドリームウイルスの攻撃は破壊力こそあれどフォルテの俊敏さを捕らえることはできず、ロックマンは攻撃を当てることができるがオーラを突破できない。
だからこそ二人は互いを補って攻撃を重ねて来た。ドリームウイルスでオーラを崩し、ロックマンの攻撃をフォルテ本体に当てる。その行動はついに成功したのだが、狙いが読めているのはフォルテも同じ、オーラが消えた瞬間にロックマンを視線から一瞬たりとも離さず、こちらに向いた銃口から狙う個所を特定し、攻撃で相殺したのだ。
究極のナビと言われ続けた理由は決して自身に備わったプログラムではない、今日に至るまで立ちふさがるものをすべてねじ伏せて来たクレバーな判断力が故。しかし、視界に捕らえることのできないものを感知することはできない。それはドリームウイルスの巨体で隠れた死角から、数分前にロックマンが空高く投げたバトルチップ。
『!?』
突如自分の背後に現れた、ナビと同サイズはあるであろうプリズム。その瞬間フォルテは全力で回避をしようとするが、巨大な手がプリズム諸共フォルテを握り締める。
『キサマら!何を……』
『ふん、お前が使うオーラは元々ドリームオーラを複製したものだな、同系統の能力を持つドリームウイルスがゼロ距離でお前に触れていれば中和することも可能だ』
「そしてこれが俺たちの最後の一撃だ!!!」
ロックマンが振りかざす巨大なソード。すでに限界を超えて活動するロックマンの最後のリソースが詰め込まれた夢の剣。その斬撃がプリズムに触れた瞬間、電脳空間に眩い光が溢れだし、電脳空間全体を包み込むほどの光の奔流がフォルテを襲う。
大いなる光の洪水が引いた時にはそこには何も存在しなかった。残されたのは両腕を失い満身創痍のドリームウイルス、元の姿に戻った光熱斗とロックマンの姿。
『フォルテGS』
ゴスペルを吸収し強化されたフォルテ。簡単に言うと『3』の裏ボス。
自分のコピー軍団を創り出した人間を始末するためにWWWエリアに侵入。そこでゴスペルを吸収し、その力を得た。
思わぬ過程で得た強大な力を試すため強者の波動を感じるロックマンと戦う。最後は自分が愚か者と見下した人間と連携したロックマンのプリズムコンボの前に敗れる。